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番外編 家族旅行(年末年始編)※
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「こちらの露天風呂からは日の出をご覧いただけます。明日の日の出の予定時刻は……」
案内係の人が日の出の時刻は六時五十分だと教えてくれる。扉を開けて部屋に入った瞬間に全面の窓から見える山々の稜線とその先にある水平線が冬の乾いた空気に鮮明に映し出される。
朝は少しモヤが出るそうだが、それに映る朝日もまた美しいそうで、見たことのない景色を想像して気分が盛り上がる。
それは遡ること数日前、それは晴臣からの突然の申し出から始まった。
師走の名の通り、晴臣は毎日深夜になるまで帰ってこれないほどに、仕事が多忙を極めていた。
十二月と言えば、月の頭から街中はクリスマスに浮き足立っている。亜季にしてみれば、およそ十年ぶりに晴臣と過ごすクリスマスになるはずだった。
初めて一人で過ごしたクリスマスは発情期にうなされるひどく散々なものだった。
それからというもの、送られてくる家族からのプレゼントは幸せだったクリスマスを思い起こさせるだけの辛いもので、開けもせずに寮の部屋の収納に毎年詰め込まれた。
一人で過ごすクリスマスは虚しく、何も楽しいことなどなかった。ワクワクするようなこともない。志季が生まれても、生活の苦しさゆえに変わることはなかった。
それが愛する人と一緒になったところで、実感をともなって良いイベントに一瞬で変わるなんてこともなく、買い物に出かけては冷めた気持ちで眺めていた。
しかし、晴臣の方はそうではなかったようで、クリスマスをどうするか、プレゼントは何がいいかと目に見えて浮かれていた。
浮かれるだけ浮かれてから、どうにも仕事が立て込んでいて、クリスマスを一緒に過ごせないと分かり、ひどく落ち込んでいた。その姿に共感出来ないことが申し訳なくなるほどだった。
そんなことで、晴臣とのクリスマスがなくなると、母からの提案で久しぶりに実家に帰り、父と母と過ごそうということになった。
実家の大きな玄関のアプローチには大きなもみの木にふんだんに飾り付けがされていた。木の下には昔と同じようにプレゼントの包みが積み上げられていて、亜季は懐かしさで胸が苦しくなる。
亜季が不在の数年間も同じようにこのように飾られていたのだろうか──。
玄関を入ってから、志季はしきりに「おっきいー、おっきいー」驚きの声をあげている。
亜季の貧しい生活の中でこのような四季折々のイベントが行われることはなかった。預けていた保育所ではもしかしたらあったのかもしれないが、これほどに煌やかな飾りつけではなかったことだろう。
愛情いっぱいに育てようと思ってはいても、あの生活の中ではしてあげられることが限られていたことに改めて気づかされた。
「いらっしゃい、志希ちゃん、亜季」
出迎えの母の声に鼻の奥がつんとする。
クリスマスはそんなこんなで両親と過ごした。「じいじ」、「ばあば」と拙い言葉で反応する志希に両親はデレデレになっている姿を見て、戻ってきて本当に良かったと亜季は心から思った。
両手に抱えきれないほどのプレゼントを渡されて帰ってきて、志希が寝入ってしばらくしたころに帰ってきた晴臣は申し訳なさいっぱいの表情で亜季にクリスマスを一緒に過ごせなかったことを詫びて、「年末年始なんだが……」と話を切り出した。
「え?」
「年末年始は温泉で過ごそうって言ったんだが」
さすがに年末と年始くらいは忙しい晴臣でも仕事が休みであろう。だが、年末のぎりぎりまで仕事だと思っていた亜季はいつから行くのだろうかと疑問に思う。
「いいね。いつから? 年始は両親のところにも挨拶に行かないとだし、それ以外にもご挨拶しないとならないところが……」
「私の休みが三十日からだから、三十日から二泊、一日にチェックアウトしようかと考えているんだけど」
考えているといいつつ、おそらくもうすでにその予定で予約が取られているに違いない。そう考えて亜季は「いいね。二泊くらいならちょうどいいね」と答える。
場所がどこなのかにもよるが、それほど大きな問題はない。
そんなやり取りを経て、亜季たち一家は年末年始のお籠り旅行へと来たのであった。
「わぁ……すごい、素敵」
眼下に広がる雄大な景色に思わず感嘆の声が漏れる。
広大な敷地の宿は離れて点在する部屋が五つのみで、隣のヴィラまでは数百メートル離れている。他の宿泊客も気にしなくていい造りは番がいるとはいえ、オメガである亜季にとっては嬉しいことだった。
各ヴィラの造りはすべてスイートで、リビング、ダイニング、寝室が二つに大きな露天風呂が設えられている。チェックインをしてからは帰るまで部屋の外に出る必要はなく、食事も部屋でとれるとのことだった。
部屋の露天風呂から、奥の海から上がる太陽を望めるという。初日の出を部屋の露天風呂から眺められるのだ。
「ほんとにすごい……晴に……晴臣さん、良く取れたね、こんな素敵なところ」
普通に考えたら、年末年始の繁忙な時期に直前にとれるはずがない。
「まあ、ね」
曖昧に返された返事にこれ以上追及するのは野暮というものだ。
腕の中の志希も亜季を真似て、「しゅごい、しゅごい」と満足げな笑みを浮かべている。
亜季は本当に幸せだと心の底から感じていた。
元日の朝、二人はそろって部屋の露天風呂につかっている。
「何度見てもすごい景色だね……」
「気に入った?」
「もちろん!」
「よかったよ。こっちにおいで」
「え、え……」
この宿に滞在して露天風呂には何度も入っている。だが、よく考えたら二人きりで入るのはこれが初めてだ。
亜季はすっと湯をかき分けて、晴臣の近くに寄る。隣に腰かけようとしたが、晴臣に腕を取られて膝の上に乗せられてしまった。
「あ、の……」
「いや?」
嫌ではないが、気恥ずかしい。胡坐で座る晴臣の上にゆっくりと腰を下ろすと、尻に固いものが当たった。
「晴臣、さん?!」
驚きの声は顎を持ち上げられて、晴臣の唇によって塞がれた。
「んん!」
ゆっくりと分厚い舌で口の中を舐られて、亜季の腹の奥がきゅんと切なくなる。
「だ、め……」
露天風呂……外だ。こんなところで、盛り上がっていいはずがない。
「大丈夫。外からも見えないし、他の部屋からも離れているから」
亜季の心配をよそに、晴臣はまったく動じる素振りを見せない。
首すじに吸い付き、番の証を甘噛みする。それだけで亜季の背筋に稲妻のように快感が駆け抜けた。
「あ、んん……」
亜季は腰を浮かせて逃れようとしたが、後ろから抱きしめる晴臣の腕に阻まれて上手くいかない。温かい湯から冷たい空気に晒された胸の突起がツンと芯をつくる。晴臣の指がそれを掠めて、「あ、あ」とあえかな声が漏れた。
尻のあわいからも蜜が溢れてくるのを亜季は感じた。
(駄目なのに……)
亜季の腰が物欲しげに揺れたのを晴臣は見逃さなかった。
揃えられた太く長い指が穴の周りを数度撫でてから、熱い湯とともに中に突き入れられた。
「ん、あっ!」
ひと際大きな声を漏らして、亜季は自分の両手で口を塞いだ。
目の前の海からはゆっくり元旦の朝日が登ってきている荘厳な景色が広がっている。
猥りがわしい行為をしている状況との対比は倒錯的で亜季はくらくらしてきた。
「も、だ……」
最後まで言い切るまでに唇を塞がれ、抜かれた指の代わりに熱い杭が打ち込まれた。
「ん、んぅーー……!」
背面座位で後ろから容赦なく突き上げられ、亜季の身体ががくがくと震えた。胸の突起をくじられ、晴臣の熱い肉棒で奥を突かれ、亜季は息も絶え絶えだ。
「ん、ん、あっ、あぁ……」
しきりに出し入れされる晴臣をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「亜季……」
「晴にい……さま」
腰の動きが激しさを増し、二人の絶頂が近いことを告げていた。
「あ、あ、いく……!」
亜季が大きく身体を震わせ行くのと同時に奥に熱い迸りが打ち付けられた。
「亜季、愛してる。これからも毎年一緒にここに来よう」
「はい……」
案内係の人が日の出の時刻は六時五十分だと教えてくれる。扉を開けて部屋に入った瞬間に全面の窓から見える山々の稜線とその先にある水平線が冬の乾いた空気に鮮明に映し出される。
朝は少しモヤが出るそうだが、それに映る朝日もまた美しいそうで、見たことのない景色を想像して気分が盛り上がる。
それは遡ること数日前、それは晴臣からの突然の申し出から始まった。
師走の名の通り、晴臣は毎日深夜になるまで帰ってこれないほどに、仕事が多忙を極めていた。
十二月と言えば、月の頭から街中はクリスマスに浮き足立っている。亜季にしてみれば、およそ十年ぶりに晴臣と過ごすクリスマスになるはずだった。
初めて一人で過ごしたクリスマスは発情期にうなされるひどく散々なものだった。
それからというもの、送られてくる家族からのプレゼントは幸せだったクリスマスを思い起こさせるだけの辛いもので、開けもせずに寮の部屋の収納に毎年詰め込まれた。
一人で過ごすクリスマスは虚しく、何も楽しいことなどなかった。ワクワクするようなこともない。志季が生まれても、生活の苦しさゆえに変わることはなかった。
それが愛する人と一緒になったところで、実感をともなって良いイベントに一瞬で変わるなんてこともなく、買い物に出かけては冷めた気持ちで眺めていた。
しかし、晴臣の方はそうではなかったようで、クリスマスをどうするか、プレゼントは何がいいかと目に見えて浮かれていた。
浮かれるだけ浮かれてから、どうにも仕事が立て込んでいて、クリスマスを一緒に過ごせないと分かり、ひどく落ち込んでいた。その姿に共感出来ないことが申し訳なくなるほどだった。
そんなことで、晴臣とのクリスマスがなくなると、母からの提案で久しぶりに実家に帰り、父と母と過ごそうということになった。
実家の大きな玄関のアプローチには大きなもみの木にふんだんに飾り付けがされていた。木の下には昔と同じようにプレゼントの包みが積み上げられていて、亜季は懐かしさで胸が苦しくなる。
亜季が不在の数年間も同じようにこのように飾られていたのだろうか──。
玄関を入ってから、志季はしきりに「おっきいー、おっきいー」驚きの声をあげている。
亜季の貧しい生活の中でこのような四季折々のイベントが行われることはなかった。預けていた保育所ではもしかしたらあったのかもしれないが、これほどに煌やかな飾りつけではなかったことだろう。
愛情いっぱいに育てようと思ってはいても、あの生活の中ではしてあげられることが限られていたことに改めて気づかされた。
「いらっしゃい、志希ちゃん、亜季」
出迎えの母の声に鼻の奥がつんとする。
クリスマスはそんなこんなで両親と過ごした。「じいじ」、「ばあば」と拙い言葉で反応する志希に両親はデレデレになっている姿を見て、戻ってきて本当に良かったと亜季は心から思った。
両手に抱えきれないほどのプレゼントを渡されて帰ってきて、志希が寝入ってしばらくしたころに帰ってきた晴臣は申し訳なさいっぱいの表情で亜季にクリスマスを一緒に過ごせなかったことを詫びて、「年末年始なんだが……」と話を切り出した。
「え?」
「年末年始は温泉で過ごそうって言ったんだが」
さすがに年末と年始くらいは忙しい晴臣でも仕事が休みであろう。だが、年末のぎりぎりまで仕事だと思っていた亜季はいつから行くのだろうかと疑問に思う。
「いいね。いつから? 年始は両親のところにも挨拶に行かないとだし、それ以外にもご挨拶しないとならないところが……」
「私の休みが三十日からだから、三十日から二泊、一日にチェックアウトしようかと考えているんだけど」
考えているといいつつ、おそらくもうすでにその予定で予約が取られているに違いない。そう考えて亜季は「いいね。二泊くらいならちょうどいいね」と答える。
場所がどこなのかにもよるが、それほど大きな問題はない。
そんなやり取りを経て、亜季たち一家は年末年始のお籠り旅行へと来たのであった。
「わぁ……すごい、素敵」
眼下に広がる雄大な景色に思わず感嘆の声が漏れる。
広大な敷地の宿は離れて点在する部屋が五つのみで、隣のヴィラまでは数百メートル離れている。他の宿泊客も気にしなくていい造りは番がいるとはいえ、オメガである亜季にとっては嬉しいことだった。
各ヴィラの造りはすべてスイートで、リビング、ダイニング、寝室が二つに大きな露天風呂が設えられている。チェックインをしてからは帰るまで部屋の外に出る必要はなく、食事も部屋でとれるとのことだった。
部屋の露天風呂から、奥の海から上がる太陽を望めるという。初日の出を部屋の露天風呂から眺められるのだ。
「ほんとにすごい……晴に……晴臣さん、良く取れたね、こんな素敵なところ」
普通に考えたら、年末年始の繁忙な時期に直前にとれるはずがない。
「まあ、ね」
曖昧に返された返事にこれ以上追及するのは野暮というものだ。
腕の中の志希も亜季を真似て、「しゅごい、しゅごい」と満足げな笑みを浮かべている。
亜季は本当に幸せだと心の底から感じていた。
元日の朝、二人はそろって部屋の露天風呂につかっている。
「何度見てもすごい景色だね……」
「気に入った?」
「もちろん!」
「よかったよ。こっちにおいで」
「え、え……」
この宿に滞在して露天風呂には何度も入っている。だが、よく考えたら二人きりで入るのはこれが初めてだ。
亜季はすっと湯をかき分けて、晴臣の近くに寄る。隣に腰かけようとしたが、晴臣に腕を取られて膝の上に乗せられてしまった。
「あ、の……」
「いや?」
嫌ではないが、気恥ずかしい。胡坐で座る晴臣の上にゆっくりと腰を下ろすと、尻に固いものが当たった。
「晴臣、さん?!」
驚きの声は顎を持ち上げられて、晴臣の唇によって塞がれた。
「んん!」
ゆっくりと分厚い舌で口の中を舐られて、亜季の腹の奥がきゅんと切なくなる。
「だ、め……」
露天風呂……外だ。こんなところで、盛り上がっていいはずがない。
「大丈夫。外からも見えないし、他の部屋からも離れているから」
亜季の心配をよそに、晴臣はまったく動じる素振りを見せない。
首すじに吸い付き、番の証を甘噛みする。それだけで亜季の背筋に稲妻のように快感が駆け抜けた。
「あ、んん……」
亜季は腰を浮かせて逃れようとしたが、後ろから抱きしめる晴臣の腕に阻まれて上手くいかない。温かい湯から冷たい空気に晒された胸の突起がツンと芯をつくる。晴臣の指がそれを掠めて、「あ、あ」とあえかな声が漏れた。
尻のあわいからも蜜が溢れてくるのを亜季は感じた。
(駄目なのに……)
亜季の腰が物欲しげに揺れたのを晴臣は見逃さなかった。
揃えられた太く長い指が穴の周りを数度撫でてから、熱い湯とともに中に突き入れられた。
「ん、あっ!」
ひと際大きな声を漏らして、亜季は自分の両手で口を塞いだ。
目の前の海からはゆっくり元旦の朝日が登ってきている荘厳な景色が広がっている。
猥りがわしい行為をしている状況との対比は倒錯的で亜季はくらくらしてきた。
「も、だ……」
最後まで言い切るまでに唇を塞がれ、抜かれた指の代わりに熱い杭が打ち込まれた。
「ん、んぅーー……!」
背面座位で後ろから容赦なく突き上げられ、亜季の身体ががくがくと震えた。胸の突起をくじられ、晴臣の熱い肉棒で奥を突かれ、亜季は息も絶え絶えだ。
「ん、ん、あっ、あぁ……」
しきりに出し入れされる晴臣をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「亜季……」
「晴にい……さま」
腰の動きが激しさを増し、二人の絶頂が近いことを告げていた。
「あ、あ、いく……!」
亜季が大きく身体を震わせ行くのと同時に奥に熱い迸りが打ち付けられた。
「亜季、愛してる。これからも毎年一緒にここに来よう」
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