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1章
4 出会い4
しおりを挟む「あ、あ……なんで?なんで裸なの?」
「人に戻ったのか。」
そう声をかけると、驚いた様子でこちらに顔を向ける。
淡い茶の瞳が不安げに揺れる。
「え、なに?どういうこと?」
「すまないが、英語で話してくれないか?」
混乱している…というか、母語で話しているのだろうと思い、リアムは優しく話しかけた。
「あなたは…何で?」
シロウは混乱する頭を振って英語で答える。
「自己紹介はしたが、覚えているかな?」
「ミスターギャラガー。これはどういうことですか?」
「大学校内で話していたら、急に君が倒れたものだから。君の家もわからないし、俺の部屋に運ばせてもらったよ。」
「それは……失礼しました。ありがとうございます。でも、家に帰して……」
ガタガタと震えながら、シーツを掴みベッドの端で蹲る。
「それは構わないが、もう少し具合が良くなってからでも……」
「嫌だ。家に帰りたい。」
「君は……人狼だったんだな。」
「?」
シロウの顔に疑問符が浮かぶ。
「人狼?」
「大丈夫、俺も人狼だ。心配するな。」
リアムは人狼であることがバレたく無くて、怯えているのだと思い、安心させようと自身も人狼であることを告げた。
「何を言っているのですか?人狼って?」
リアムは己の過ちに気づいた。
「君は…自分が人狼である自覚が…もしかして無いのか?」
「わかりません、どういうこと?」
不安でいっぱいの顔は青いを通り越して真っ白だ。少しでも落ち着かせようと思うがどうしたらいいものか。
どういうことはリアムにもわからない。だが、シロウは人狼が何かもわかっていないようだった。
人狼であることバレたく無くて怯えていると思っていたが……どうやらそうでは無いらしい。ここでリアムが狼に変身しても、いたずらにシロウを驚かせ、怯えさせることになることはわかっていたが、このまま帰したら危険だ。意図せずに人狼に変化してしまったら、それこそ彼はパニックのあまり人に戻れなくなるかもしれない。
「落ち着いてくれ、君に危害を加えるつもりはない。君がいま裸なのにも理由があるんだ。落ち着いて。そこで見ていてくれるか。」
そう言うとリアムはおもむろに服を脱ぎ出した。
「な!なにを?!?」
「いいから……」
服を脱ぐと、一瞬にして狼の姿に変身する。
視界が白黒に変わり、視点が下がる。
彼をみると大きな目を驚きに見開いていた。
目が落ちそうだ。そんなことを思ってシロウを見ていると彼はそのまま後ろに倒れた。
また、意識を失ったようだ。
確定。彼は人狼を自覚していない。
とりあえず、人間の身体に戻っているうちに、少し身体を清めておいてあげようと思い、リアムは客間に続くバスルームの湯船に湯をためつつ、彼をバスルームに連れて行こうと身体に手を伸ばす。
本当になんと美しい。
しみひとつない透き通る陶器のような肌はしっとりと滑らかで、いつまでも触っていたい心地になる。胸の突起も小さくピンク色で、寒さのためか少しツンと尖っていた。リアムはむしゃぶりつきたい気持ちをグッと抑えて、身体を抱き起こしてバスルームに運ぶ。バスタブにつけようと身体を隠していた、リネンをとると、下から現れた彼の股間には身体に似合った可愛らしいサイズのペニスがプルンとあらわれた。うっすらとした下生えの中のまだ少年のようなそれは綺麗なサクラ色で、陶器のような肌と相まって、まるでギリシャ彫刻のアドニスを思わせる。
ゆっくりとバスタブにつけ、肌に優しく湯をかける。シロウは「う……ぅん……」と小さなうめき声あげながら、小さく身体を揺らした。
湯の温かさで少し血色の良くなった肌と顔色に少し安心しつつも、いっそ艶かし様子にリアムの股間は痛いほど張り詰める。下心なく、身体を洗うつもりだったがこれはこれで拷問だ。
風呂からあげると、手早く身体を拭ってやり、再び寝室のベッドに横たえた時に気づいた。
股間にあるべきものが、ない。ペニスはあるのだ。しかし、その下にあるべき睾丸がない。そこで気づいた。彼が隠したかったのは、これでは無いかと。
これ以上本人の意思と関係なく、身体をあらためては失礼だと思い、布団をかけてやる。風呂に入れたおかげか、顔色が少し良くなった気がする。額にかかるサラサラとした黒髪を除けると一瞬眉根を寄せたあと、すうすうと寝息を立てて寝ていた。
とりあえず、具合は悪くなさそうだ。
リアムは部屋を出て、再び自分自身でその昂りを鎮めることにする。
『あぁ…いい……もっと……』
たまらなく気持ちがいい。シロウは胸を這う愛撫に身を任せる。
自分の股間のものも立ち上がり、切ない雫を先端から滴らせていた。
『奥……奥にちょうだい……』
下に入っている熱いもので疼く奥を掻き回してほしくてたまらない。
小刻みに揺すられ、打ちつける腰の動きにシロウの口からあられもない喘ぎが漏れる。
『あ、あああん…… あぁ、あ、あー……』
一際大きく、引き抜かれると一気に腰が打ちつけられ、最奥を穿った。
その瞬間、シロウは性を放っていた。
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