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本編
02 お勉強と休息
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魔女……改め、生まれ変わったオデット姫は、ひとまず前世のことは隠し大人しく生きることを決めた。
幸い、今世は優しい両親のもと、恵まれた王族という身分で生まれたため、前世の知識や魔法などを使う必要もなかった。
というより、生まれてこのかた三年、求められる能力が少なすぎた。
寝返りをして喜ばれ、立って歩けば驚かれ、話せば褒められて、のたくった文字のようなものを書けば天才だと称えられた。
(……こんなの、昔の記憶があれば魔女でなくともできて当然だわ。やっぱり、覚えてないのが普通なのね)
オデット姫は盛り上がる周囲をよそに、しみじみとそのことを実感した。
##
「姫さま。本日は語学の先生がいらっしゃいます」
「わかったわ」
読んでいた本から顔を上げ、オデット姫は知らせに来た侍女に微笑みかけた。深い意味は無い。ただ、こういった僅かな工夫で人は好感を持つということを、彼女はここ数年の経験で知っていた。今や周りの人々は、オデット姫を愛らしく素直で心優しい姫さまだと褒め称している。
しかし、そんなオデット姫にただ褒めて好感を持つだけではない人間もいた。
「姫さま。お勉強がお好きで楽しいのは素晴らしいことですが、休息も大事なことですよ」
乳母のメリッサは、ときどき困ったような顔でこのような苦言を呈する。そしてオデットは、そんなときのこの人の考えが読めないでいた。
(私が賢ければ、育ての親の彼女の評判も上がって良いこと尽くめの筈なのに。なぜ、止めるようなことを言うのかしら?)
別に苦しんでやっているわけではなく、オデットとしては勉強は趣味や暇つぶしの感覚だった。しかし、彼女はかつての不死の魔女で魔法に全てを捧げた女である。その感覚はかなり狂っていた。
「身体を崩しては元も子もありません」
「確かにそうね。ありがとう、気を付けるわ」
生き方や生活について人から指導や意見をされることも、話し合うこともしてこなかった魔女は、自分で思っている以上に頑なだった。
(……ま、いいわ。彼女の見ていないところで、こっそりやればいいもの)
幸い、今世は優しい両親のもと、恵まれた王族という身分で生まれたため、前世の知識や魔法などを使う必要もなかった。
というより、生まれてこのかた三年、求められる能力が少なすぎた。
寝返りをして喜ばれ、立って歩けば驚かれ、話せば褒められて、のたくった文字のようなものを書けば天才だと称えられた。
(……こんなの、昔の記憶があれば魔女でなくともできて当然だわ。やっぱり、覚えてないのが普通なのね)
オデット姫は盛り上がる周囲をよそに、しみじみとそのことを実感した。
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「姫さま。本日は語学の先生がいらっしゃいます」
「わかったわ」
読んでいた本から顔を上げ、オデット姫は知らせに来た侍女に微笑みかけた。深い意味は無い。ただ、こういった僅かな工夫で人は好感を持つということを、彼女はここ数年の経験で知っていた。今や周りの人々は、オデット姫を愛らしく素直で心優しい姫さまだと褒め称している。
しかし、そんなオデット姫にただ褒めて好感を持つだけではない人間もいた。
「姫さま。お勉強がお好きで楽しいのは素晴らしいことですが、休息も大事なことですよ」
乳母のメリッサは、ときどき困ったような顔でこのような苦言を呈する。そしてオデットは、そんなときのこの人の考えが読めないでいた。
(私が賢ければ、育ての親の彼女の評判も上がって良いこと尽くめの筈なのに。なぜ、止めるようなことを言うのかしら?)
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「身体を崩しては元も子もありません」
「確かにそうね。ありがとう、気を付けるわ」
生き方や生活について人から指導や意見をされることも、話し合うこともしてこなかった魔女は、自分で思っている以上に頑なだった。
(……ま、いいわ。彼女の見ていないところで、こっそりやればいいもの)
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