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閑話 ジルベールの初恋 3
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キュルルルル~
しまった!って顔しながらアンブローズがお腹を抑えた。
「その前に…ジルベール、僕お腹すいた…屋台行っていい??」
は?今まさに大事な、とても大事な話をしていた…よな?
なのに今かよ?
ここで腹の虫が鳴る??
「ごめん、僕朝食抜いてきたもんだからお腹空いちゃって…」
てへへへっ…
お腹を抱えながら片手で頭を掻いた。
なんだかその仕草が可笑しくて、大声で笑ってしまう。
「お前何もんだよ、マジで…ぷっっ」
「もう!笑わないで、街の屋台って家の食事と違う美味しさがあって、匂いだけでお腹が空くの!!」
「わかったわかった!ならすげ~美味しいとこ連れてってやる」
「マジで??やった~!!」
アンブローズが両手を空に向けて上げ大喜びすると、またお腹の虫がキュルルルル~となって、俺は腹を抱えて大笑いした。
顔を真っ赤にしたアンブローズがめちゃくちゃ可愛かったことは誰にも内緒だ。
街の外れにある煉瓦造りの小ぢんまりしたお店には”ルート”という看板が掛かっている。
そのドアを開けて中に入ってく、買って知ったる何とかだ。
「大将いるー?」
俺には昔から馴染みのある店だ。
薄暗いがいつもこの時間には仕込みをしながら賄いを食べている大将がいる事を知っている。
キッチンの中にはとても大柄で強面の店主が座っていた。
「お前な、毎回勝手に入ってくるな、って言ってあるだろ!」
そんなこと言って俺がくると嬉しそうな顔するんだよな、この人。
「あのさ、こいつになんか作ってやってくれない?」
俺の後ろからひょこっと現れたふわふわ茶髪。
「は?何でだよ…あっお前!」
「ルートさん!!!」
驚いた様子で大将にアンブローズが食いついた。
「え?アンブローズ、ここ知ってるのか?」
「お店のことは知らないけど、ルートさんは仲良しだよ?ね?しかも僕ルートさんのファンだしね!」
「ん?アンブローズ?アレンだろ?誰と間違ってんだジル」
大将が俺に向かってため息をついた。
「ま、お前なら用意してやるよ」
アンブローズのふわふわ茶髪をかき回してフライパンを握り食材をポンポンと放り込む。
「ルートさんって料理人だったんだ!」
「おうよ、これでも安くて美味い店の店主って評判なんだぜ」
「うん、わかる!だってもう美味しそうな匂いしてるもん!よだれ垂れてきそう、さすがルートさん!!」
よだれを拭うフリをしてカウンターに腕をつき顎を両手のひらに乗せた。
「🎵ご飯だ!ご飯だ!おっいしいご~はん♪は~やくっ食べたいなぁ~!」
「そんな歌あったか?」
「ううん、今僕が作った!」
とてつもなく音痴な歌をニコニコしながら歌っていると、フライパンを振っている大将までもが、アンブローズのリズムに合わせながら口ずさんでいた。
よくもまぁこんな下手くそな音程でリズムが取れるもんだと、俺は密かに大将を見直した。
「なぁ、何で大将のこと知ってんだよ」
「ん?この前ね、おじいちゃんが馬車に轢かれそうになって転んだの。それをね、助け起こそうとしたんだ!そしたら意外にも重くて僕のこのスレンダーな身体ではびくともしなくてさ、そんな時に助けに来てくれたのがルートさんだったってわけ!片手に荷物いっぱい持ってたのに、ヒョイって抱き起こすから、僕の思わず『弟子にしてください!』って志願したんだよねー、カッコよかったぁルートさん♡」
瞳いっぱいに好き好きオーラが出ている。
確かに力持ちではあるけど、それくらいで??
「あの顔だぞ?あれ格好いいか?」
とりあえず大将には聞こえないように小声で話しかける。
「何言ってるの!ルートさんイケメンじゃん!ジルベールもイケメンだけど、ルートさんはワイルドイケメンって感じ!ふふふっ!」
うっとりするその姿はまさに恋する何とか。
大事か?こいつ…
横ではまだ下手な歌を口ずさんでいる、そんな姿を見て、ま、何でもいっか、そんな気になっていたら大将が出来上がったさらいっぱいのサロイを持って来た。
「ほらよ、ウチ特製のサロイだ!」
サロイっていうのは、細かく切った芋と肉を炒めた庶民の食べ物。
”ルート”はサロイが美味いんだよなー。
「うわぁ、凄い美味しそう!!!」
「なんだ、アレンはサロイ食ったことねーのか?」
「うん、ぼく初めて見る食べ物だぁ…ねぇ、食べて良いの??」
「たんと食え!お代はこいつからたんまり貰うから」
「やったぁ!!いただきます!!」
てんこ盛りのサロイを口いっぱいに詰め込む。
俺はその横で頬杖つきながらその様子を眺め、可愛すぎて思わず頭を撫ででしまった。
話が本当かどうかなんてわからないが、貴族籍を外れるなら、こいつは俺が面倒みよう、そう心に違った瞬間だった。
しまった!って顔しながらアンブローズがお腹を抑えた。
「その前に…ジルベール、僕お腹すいた…屋台行っていい??」
は?今まさに大事な、とても大事な話をしていた…よな?
なのに今かよ?
ここで腹の虫が鳴る??
「ごめん、僕朝食抜いてきたもんだからお腹空いちゃって…」
てへへへっ…
お腹を抱えながら片手で頭を掻いた。
なんだかその仕草が可笑しくて、大声で笑ってしまう。
「お前何もんだよ、マジで…ぷっっ」
「もう!笑わないで、街の屋台って家の食事と違う美味しさがあって、匂いだけでお腹が空くの!!」
「わかったわかった!ならすげ~美味しいとこ連れてってやる」
「マジで??やった~!!」
アンブローズが両手を空に向けて上げ大喜びすると、またお腹の虫がキュルルルル~となって、俺は腹を抱えて大笑いした。
顔を真っ赤にしたアンブローズがめちゃくちゃ可愛かったことは誰にも内緒だ。
街の外れにある煉瓦造りの小ぢんまりしたお店には”ルート”という看板が掛かっている。
そのドアを開けて中に入ってく、買って知ったる何とかだ。
「大将いるー?」
俺には昔から馴染みのある店だ。
薄暗いがいつもこの時間には仕込みをしながら賄いを食べている大将がいる事を知っている。
キッチンの中にはとても大柄で強面の店主が座っていた。
「お前な、毎回勝手に入ってくるな、って言ってあるだろ!」
そんなこと言って俺がくると嬉しそうな顔するんだよな、この人。
「あのさ、こいつになんか作ってやってくれない?」
俺の後ろからひょこっと現れたふわふわ茶髪。
「は?何でだよ…あっお前!」
「ルートさん!!!」
驚いた様子で大将にアンブローズが食いついた。
「え?アンブローズ、ここ知ってるのか?」
「お店のことは知らないけど、ルートさんは仲良しだよ?ね?しかも僕ルートさんのファンだしね!」
「ん?アンブローズ?アレンだろ?誰と間違ってんだジル」
大将が俺に向かってため息をついた。
「ま、お前なら用意してやるよ」
アンブローズのふわふわ茶髪をかき回してフライパンを握り食材をポンポンと放り込む。
「ルートさんって料理人だったんだ!」
「おうよ、これでも安くて美味い店の店主って評判なんだぜ」
「うん、わかる!だってもう美味しそうな匂いしてるもん!よだれ垂れてきそう、さすがルートさん!!」
よだれを拭うフリをしてカウンターに腕をつき顎を両手のひらに乗せた。
「🎵ご飯だ!ご飯だ!おっいしいご~はん♪は~やくっ食べたいなぁ~!」
「そんな歌あったか?」
「ううん、今僕が作った!」
とてつもなく音痴な歌をニコニコしながら歌っていると、フライパンを振っている大将までもが、アンブローズのリズムに合わせながら口ずさんでいた。
よくもまぁこんな下手くそな音程でリズムが取れるもんだと、俺は密かに大将を見直した。
「なぁ、何で大将のこと知ってんだよ」
「ん?この前ね、おじいちゃんが馬車に轢かれそうになって転んだの。それをね、助け起こそうとしたんだ!そしたら意外にも重くて僕のこのスレンダーな身体ではびくともしなくてさ、そんな時に助けに来てくれたのがルートさんだったってわけ!片手に荷物いっぱい持ってたのに、ヒョイって抱き起こすから、僕の思わず『弟子にしてください!』って志願したんだよねー、カッコよかったぁルートさん♡」
瞳いっぱいに好き好きオーラが出ている。
確かに力持ちではあるけど、それくらいで??
「あの顔だぞ?あれ格好いいか?」
とりあえず大将には聞こえないように小声で話しかける。
「何言ってるの!ルートさんイケメンじゃん!ジルベールもイケメンだけど、ルートさんはワイルドイケメンって感じ!ふふふっ!」
うっとりするその姿はまさに恋する何とか。
大事か?こいつ…
横ではまだ下手な歌を口ずさんでいる、そんな姿を見て、ま、何でもいっか、そんな気になっていたら大将が出来上がったさらいっぱいのサロイを持って来た。
「ほらよ、ウチ特製のサロイだ!」
サロイっていうのは、細かく切った芋と肉を炒めた庶民の食べ物。
”ルート”はサロイが美味いんだよなー。
「うわぁ、凄い美味しそう!!!」
「なんだ、アレンはサロイ食ったことねーのか?」
「うん、ぼく初めて見る食べ物だぁ…ねぇ、食べて良いの??」
「たんと食え!お代はこいつからたんまり貰うから」
「やったぁ!!いただきます!!」
てんこ盛りのサロイを口いっぱいに詰め込む。
俺はその横で頬杖つきながらその様子を眺め、可愛すぎて思わず頭を撫ででしまった。
話が本当かどうかなんてわからないが、貴族籍を外れるなら、こいつは俺が面倒みよう、そう心に違った瞬間だった。
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お時間ある時に是非!『続き』をお願いします╰(*´︶`*)╯♡
楽しく読んでもらえたようで良かったです!
いつか続きを書こうと思っているので、気長にお待ち下さい♪
感想ありがとうございました!