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黒の世界と神下し(旧・前の章のような状況(リハビリ0)でヒキニートがまともに働けると思うのか!?え?イける?マジ?)

始まりの日~そして引き籠る。6

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結界に入れることが確認され、何故かっ!状況が悪化した。

「逆です。婚姻は必須になりました。」

「どうしてですか!?」

 すると少し疲れたように、

「考えてもみてください。これまで、それこそ創成期から今まで破られなかった結界がすり抜けられたんです。破壊でも解除でも無く、です。これは、原因が分からなければ解決はできません。解決が出来ない以上今後も同じことが起こりかねないのです。それを避けるには、効果の異なる結界を重ねて貼り侵入できなくして、できればこの例外が無かった事にならねばなりません。」

確かにそうかもしれないけど、結婚は、

「結婚って、そんなんじゃなくて」

すると怒ったようにアリアさんが言う

「だから何なんですか!?私たちには責任が有るんです!皆を治して。守って!繋げていく!責任が有るんです過去からの!今の!この先の!良いとか悪いじゃなくて!そうだとかそうじゃないとかではなくて!責任を果たすんです!」

そう言いきったら泣き出してしまった。そして、そんなアリアさんを慰めるリーリアさんからは「少し外していてくれ」と言われた。

「嫌われましたかね?」

「どうでしょうか?難しいですね。実はあなたから昨日聞いた事をいくらか彼女達に伝えたのです。責任についてあなたなりに向き合っていると。」

「それでもあそこまであそこまで怒られると・・・。」

そう俺が言うとサフサさんが苦笑いしながら言った。

「多井さん。狭い中で、選ばれた中だけ精一杯責任を果たす者と、大きなものの中で自身の選んだ物にのみ責任を果たす者どちらが身勝手に聞こえますか?悪いと思いますか?」

そう言いながら、最初はスマホから電池を取り出し、次に本体を出した。

「はぁ・・・、酷い問いですね」

「そうです。酷い問いです。この世界電池が無ければ動けないし、複合世界本体が無ければ異世界融和スマホはならない。だから今回はどちらもが視野が狭く自身の都合を押し付けるような形です。双方の意見交換する事が必要ではないかと考えます。」

 それに「アリアさんからすればもういっぱいいっぱいなのかもしれません。」、そういうと、こちらに向き直り、

「アリアさんの肉体があの状態になってどれくらいだと思いますか?」

 少し待ってもらい

「数ヶ月、いや、一年二年?」

 しかし答えは桁が違った。

「正解は十三年以上です。あの症例は、最初に確認されたのが18年前。界通障害の一種とされています。」

 『界通障害』世界が繋がった後に新しく広がった病や、呪い等。症状がほかの世界であったものならその世界の対処法を出来る限り転用すればいいが、中には新種の症例もある。

「アリアさんの症例は病と呪いのハイブリットです。ヴァンパイアの系統の者にのみ掛かり血に作用し肉体を変貌させ、それに慣れず、嫌悪感を抱き、苦しみ続ける。さらに、その姿は他者には認識できない。そして最近分かった事ですが、十五年を一区切りに症状が悪化するそうです。ですから自身がまだ時間が有るとは言え、すでに死者が多く出ているので、責任感の強い彼女は、苦しんでいるのでしょう。」

「けど、何故そこまであの二人が責任を感じるんですか?」

 それは、

「それは、私たちが聖域の守護と、一族の長を担う血筋だからだね。サフサ、ここからは私が話すよ。」

 そこにはリーリアさんがいた

「アリアさんは?」

「少し眠らせて来たよ。あの子も九ヶ月前の件からずっと酷かったからね。それと、多井さんはこの件が何か分からないだろうから、簡単に伝えるよ。アリアの親友が亡くなったんだ。例の病でね。それはもう酷かったらしいよ?詳細は私も後から確認したが、その前に壊れた物や、無くなったものが多すぎたから、分かり切らなかったが。」

 そう言って一度リーリアさんが言葉を切った。しかし、ふと疑問に思った。

「でも、だとしたらどうやって詳細を?」

「アリアだ。おそらく酷くなった少し後だろうね。約束をしていたらしく彼女の家に行ったんだ。そこで様子がおかしいと感じたアリアは記録の魔具に記録を残しながら入っていったんだ。これは親友からの申し出だったそうだから、おそらく何か前兆が有ったのだろうね。その前に何かを残そうとして間に合わなかった。そして、親友は、苦しみからか本心からか分からない恨み言を残して逝った。アリアに向けて。苦しみから逃れる為か、そうではないのか。少なくともアリアがあんな風になっていたのは元からだが、酷くなったのはあそこからだ。」

にしても、病と呪いか、

「だとしたら早く治したいです、ね。」

その時嫌な予感がした。


「リーリアさんこの病は呪いも含めた物なんですか!?」

「え?ああそうだよ」

「なら、呪いの分が強くなったら、例えば他人のソレに当てられたら。」

 もしかしたら時間は思っていたよりも少ないのかもしれない。

「まさか?悪いが今日は野営を頼む。私は少し戻る!」

 そう言うが早いかリーリアさんは駆けだした。

「サフサさん。とにかく準備しましょう。僕らに出来る事から。」

 考えていなかった同僚の危機に狼狽えていた。

「そ、そうですね。」

 気付かれていないようだ。

「じゃあ、さっきの所でお願いします。」

「はい」

「行ってきます。」














※何か元を知らなくても様子がおかしいんですが!
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