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すべてのはじまり
しおりを挟む深夜の住宅街、鈍く光る街灯が不気味に道路を照らす。
口裂け女である私にとって深夜は人を効率的にビビらせることの出来る最高の時間帯である。
最近はSNSの発達でビビる人もあまりいなくなっていたのだが、
今日はとてもとても運のいいようで、目の前には気が弱そうでナヨっとした青年が歩いている。この人だったら、もしかしたら驚いてくれるかもしれない。何なら失神するかも!!逸る気持ちを抑えて、意を決して私は青年の肩を叩いた。
「え、あの、どうかしました?」
「私、綺麗?」
「?ええ、綺麗ですよ?」
少し戸惑った表情をしつつ肯定してくれる青年は間違いなく善人だと思う。そんな彼に恐怖を与えるのは少し良心がとがめるが、怪異として生きていく為にどうしても必要なので許してほしい。
「.....これでも?」
決まった!着けていたマスクを外す角度、一番裂けた口が不気味に見える笑い方、顔に当たる光の角度、最高に今の私は怖い!貞○にだって負けないレベルだ。
これできっと、私は最盛期のあの頃のように人から恐れられるに違いない!事実彼は恐怖のあまり声すらも出ていない。
彼の口がかすかに動く。
…しかしその口から出るのは恐怖からなる悲鳴ではなく、私への美辞麗句だった。
「やはり貴女は綺麗だ」
あまりに急な一言に頭がフリーズして怖がらせることもできない。
「貴女を一目見たときから綺麗な方だとずっと思っていました。」
そう言ってくる時点でちょっとSAN値大丈夫?って感じなのに彼はこう言葉を続けてきた。
「一目惚れしました。友達からでいいので付き合ってください!」
普通深夜に口裂けた○子っぽい女に話しかけられて告白する奴がどこにいるんだ!もっと怖がってよ!私の存在意義がもう木っ端微塵なんだけど!!
褒められた私が言うのもなんだけど、とにかくこの人の美的センスは壊滅的なまでに狂っているに違いない。…発狂してたりしないよね?
正直控え目に言って、怖いので適当に断って逃げることにした。
別に逃亡じゃないんだ!!!戦略的撤退だから!!
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