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最後の恋
マイナス1度
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「冷めたっ!!」
凍ったグラスを、頬に当ててきた、新しく入ってきた、笑い転げるバイトの後輩。
「やりやがったな。」
冷凍庫に入ってあるグラスは、透明よりも、白っぽくなり、冷たさを表現している。
「ゆうさん、おもしろいっすね。」
最近の年下は、言葉遣いもなってないな。と思う気持ちより、仕様がないな。と感じる方が強かった。
「仕事しろよ。」
今まで年下だった自分が、年上の立場になっていること。
時間だけが過ぎてきたことが、改めて分かる。
「いらっしゃいませ。」
熱々のおしぼりも出せるようになったよ?
冷たいビールも上手く注げるようになったよ?
そんな、あいには届かない思いを考えながら、仕事をしていた。
「ゆうさん、溢れてますよ?」
「ん?おっ!!」
また、生意気な後輩に笑われながら、慌てて、綺麗なタオルでグラスを拭いた。
どう仕様もないな。と自分でも思いながら、トレーに乗せ、どうぞ。と清ました顔で、ビールを出す。
首を一度傾げたお客のお爺さんがいて、見えない場所で手を合わせた。
裏へ回り、煙草に火を点け、あれをしないと。これもしないと。と、一人で確認作業を行う。
ブーブ…。
「すいませーん。」
携帯電話の振動を感じた。と同時に、お客さんからの呼び出し。
それのサイドボタンを押し、名前を確認する。
「…はい。どちらでしょう?」
表へ向かい、忙しそうにドリンクを作っていた後輩の姿を確認し、お客の方へ足を運ぶ。
「ビールですか?はい、ただいまお作りします。」
おい、ビール。と後輩に告げてから、裏へ戻り、無くなった物を、仕込む準備に取りかかった。
新着メール1件。
気になって、開いた携帯電話。
『ゆうくんのこと、いろいろ考えたけど、もう昔みたいに戻れない。』
突然の、あいからのメールだった。
「ゆうさん、変わりますよ?」
小さなカーテンの向こうから、ひょっこり顔を出した後輩が、
「大丈夫ですか?」
と、言葉を追加した。
僕は、オニオンスライスを作るため、切っていた玉葱のせいだ。と崩れた足を立ち上がらせ、頼むわ。と交代してもらった。
表の店内の方が、照明を落としているため、涙目を誤魔化せれるから。
カウンターに座っていたお客さんに、最近の玉葱は強いですね。と笑ながら話す、僕がいた。
何度も分かっていたのに、ずっと、考えていたことなのに、文字にされると、改めて実感するね。
凍ったグラスを、頬に当ててきた、新しく入ってきた、笑い転げるバイトの後輩。
「やりやがったな。」
冷凍庫に入ってあるグラスは、透明よりも、白っぽくなり、冷たさを表現している。
「ゆうさん、おもしろいっすね。」
最近の年下は、言葉遣いもなってないな。と思う気持ちより、仕様がないな。と感じる方が強かった。
「仕事しろよ。」
今まで年下だった自分が、年上の立場になっていること。
時間だけが過ぎてきたことが、改めて分かる。
「いらっしゃいませ。」
熱々のおしぼりも出せるようになったよ?
冷たいビールも上手く注げるようになったよ?
そんな、あいには届かない思いを考えながら、仕事をしていた。
「ゆうさん、溢れてますよ?」
「ん?おっ!!」
また、生意気な後輩に笑われながら、慌てて、綺麗なタオルでグラスを拭いた。
どう仕様もないな。と自分でも思いながら、トレーに乗せ、どうぞ。と清ました顔で、ビールを出す。
首を一度傾げたお客のお爺さんがいて、見えない場所で手を合わせた。
裏へ回り、煙草に火を点け、あれをしないと。これもしないと。と、一人で確認作業を行う。
ブーブ…。
「すいませーん。」
携帯電話の振動を感じた。と同時に、お客さんからの呼び出し。
それのサイドボタンを押し、名前を確認する。
「…はい。どちらでしょう?」
表へ向かい、忙しそうにドリンクを作っていた後輩の姿を確認し、お客の方へ足を運ぶ。
「ビールですか?はい、ただいまお作りします。」
おい、ビール。と後輩に告げてから、裏へ戻り、無くなった物を、仕込む準備に取りかかった。
新着メール1件。
気になって、開いた携帯電話。
『ゆうくんのこと、いろいろ考えたけど、もう昔みたいに戻れない。』
突然の、あいからのメールだった。
「ゆうさん、変わりますよ?」
小さなカーテンの向こうから、ひょっこり顔を出した後輩が、
「大丈夫ですか?」
と、言葉を追加した。
僕は、オニオンスライスを作るため、切っていた玉葱のせいだ。と崩れた足を立ち上がらせ、頼むわ。と交代してもらった。
表の店内の方が、照明を落としているため、涙目を誤魔化せれるから。
カウンターに座っていたお客さんに、最近の玉葱は強いですね。と笑ながら話す、僕がいた。
何度も分かっていたのに、ずっと、考えていたことなのに、文字にされると、改めて実感するね。
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