魔法騎士 マジーア・ドルチェ慶輔

里見ケイシロウ

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クッキーの魔界獣を追っていた慶輔達は、小笠原諸島の山にある南の位置まで来ていた。慶輔達の視界がわずかながら、でも確実にクッキーの魔界獣をとらえ始めているため、追走劇はそろそろ決着がつきそうという場面まで来ていた。

「待ちやがれ魔界獣! てめーのような女の子に手を出すクズは叩き潰してやる!」

 しかし、慶輔はまだ安心できていない。
 魔界獣を追うために魔法力を消費が続いたため、魔界獣を倒す前に魔法力が底を尽きるかもしれないという最悪のシナリオになってしまう可能性だってある。既に慶輔達の魔法力は、80%も消費してしまっていた。

「慶輔君、このままだと我々の魔法力が尽きてしまうぞ!」
「分かってる!」

 時間が迫るたびに慶輔達の心に焦りが募る中、クッキーの魔界獣の姿が近くなってきているの時点で、魔界獣の動きが止まった。絶好のチャンスだと判断した慶輔はすぐさまみんなに声をかける。

「みんな、一斉射撃だ!」
「了解!」

 慶輔からの指示を聞き、反応したのはレフィアであり、次に慶輔の視線に映ったのはシェルクを始めとした一斉射撃を行うメンバー達の姿だった。

「お願いだから倒れてよ! こんな絶好のチャンス、無いんだから!」

 クッキーの魔界獣にある程度ダメージを与えたところでアーシェがマジカルマシンガンを放ちながら叫ぶ。

「リノア、オヴェリア! ここまで来たら覇王の剣と契約の剣が近くにあるかもしれない。君達が指揮を執って、他のみんなと一緒にそれらを探してきてくれ! 慶輔君の援護は僕とアルクゥが引き受ける!」
「分かったわ。その剣2本は私達が見つけるから、絶対にそいつを倒してよ!」

 クラウドの指示でリノアとオヴェリアはクラウドとアルクゥを残して他のメンバー達と一緒にその場を離れて、その戦場を離脱した。

「クラウドにアルクゥ! 僕達でこいつを叩くよ!」
「了解だよ慶輔君!」

 リノア達に2本の剣を託したのはいいのだが、クッキーの魔界獣の大きさを考えると戦況が不利である事と言ってもいいほど立場が逆転してしまったのは明らかである。しかし、そんな状況でも慶輔はクラウドとアルクゥと一緒に攻撃の手を緩める事はなかった。
 そんな慶輔達に突如ムニエルの通信から、凶報が届く。

「慶輔、大変だムニ! ラファエルにゴブリンが侵入してきて、自室に避難したローザがさらわれたムニ~!」
「何だって!?」
「今美織と愛理がローザを助けに行くと言って、ミラージュナイトを使ってラファエルを出たムニ! ボクッチはティナ達も守らなきゃいけないから、クッキーの魔界獣の相手は任せるムニ!」
「了解!」

 突然の窮地に青ざめてしまった慶輔であったが、そのことを嘆いている場合じゃない。彼の目の前にはクッキーの魔界獣が迫ってきており、他のメンバーが2本の剣を探しているため、クラウドとアルクゥだけでそれを撃墜しなくてはいけないのだ。

「ここが正念場か……。ローザさん、無事でいてね!」

 祈る表情を見せる慶輔はラグナロクでクッキーの魔界獣にオールレンジ射撃を食らわせる。無数放たれたレーザーを交わす事が出来なかったのか、クッキーの魔界獣は完全に前段食らってしまい、大きなダメージを受けた。

「慶輔君、もう少しだ!」
「クッキーの魔界獣の装甲がボロボロになってる! これならいける!」

 しかし、またしても凶報が届く。それが確認できたのはアルクゥの一言であった。

「慶輔君、オーガの群れが僕達の方向に襲い掛かって来てる!」
「何だって!?」

 慶輔がその言葉を聞くと、クッキーの魔界獣の後ろには無数のオーガが迫ってきている。

「そんなのってありかよ!?」

 大ピンチとなった慶輔であったが、もう一人、絶体絶命の危機を迎えた人物がいた。

★★★

 突如ラファエルの中にゴブリンの群れが侵入してきたのは数分前。
 そこで運悪くローザと呼ばれたクリアブルーのサイドテール、紫の瞳の少女がゴブリンに攫われてしまったのだ。数分後、ローザはゴブリンが仲間と何やら会話をしている隙を突いて何とか脱出しようと試みたのである。

(よし、何とかなりそうだね。見つからないうちにみんなのところへと急がなきゃ!)

 ローザは自分の事を気にしていないところを確認すると、駆け足でその場を離れようとしたのだが……。

「ぐおおおおおおおおおおお!」
「え……!?」

 なんと一匹のゴブリンがローザが逃げようとしたのを確認、すぐさま雄たけびを上げた。その声の大きさに恐怖を感じてしまったローザは尻餅をついてしまう。

「そ、そんな……。せっかく助かったと思ったのに……!?」

 ゴブリンは気迫と欲望を迫った表情を浮かべながらローザに迫っている。すでにゴブリンの目先にはしりもちをついているローザのスカートの下の黒ブルマーにあった。

「い、嫌あああああああ!」
「ここにいたんだね、ローザ!」
「さあ、早くこっちに来て!」

 美織と愛理が駆けつけ二機と時点で時すでに遅し。
 恐怖によって精神が壊れ始めたローザは既に失禁してしまい、黒ブルマーから勢いよくおしっこを噴射して地面に悪臭の放つ黄色い水溜りができている。

「ローザ!」

---to be continued---
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