32 / 97
7-5
しおりを挟む
筑波山でのハイキングを楽しむ一行をよそに、慶輔は未だに不安を隠しきれない表情をしている。
(もし、僕が負けたら、アリエルさん達はどうなるんだろう……)
そんな慶輔を心配そうに見つめていたアリエルは、彼に近づいてくる。
「慶輔君、もしかして魔界獣の戦いの事を心配してるの?」
「アリエルさん……」
アリエルの方も見つめてポロリと吐く慶輔。この後アリエルは、慶輔が腰かけているベンチの隣に座り、悲しそうな瞳で慶輔を見つめる。その瞳を見た慶輔はついに本音を吐き始める。
「僕はヴィオラ―ドに生まれ変わって、アリエルさん達と出会ってから何かが変わった事を感じられるようになった。でも僕はこれから僕よりもっと強い魔界獣と闘わなければいけないと思うだけで、心が不安になるんだ。そんな僕じゃ、アリエルさん達を守る事ができなくなるかもしれない……。そして、アルクゥ君やルーネス君と闘う事も……」
「いいえ、あなたはみんなの事を思って戦ってくれてるわ。私はあなたが戦っているところを見ただけで、あなた自身が強くなっている事が分かるの。人間だったころ、慶輔君はいじめられ続けたんでしょ?」
「え?」
その言葉を聞いた慶輔は、心臓を何かで貫かれた触感に襲われる。どうしてアリエルが自分の過去を知っているのか、疑問に思ってしまう慶輔。
「ムニエルから聞いたんだ。私も慶輔君の事を、少しでも知っておきたかったから……」
「そっか……」
アリエルに自分の過去を喋ったムニエルの事を責めたかったかもしれないが、自分の事を知りたがってくれているアリエルに対して何も言えなかった。
何せ、初対面であんな恥ずかしいところを見てしまった女の子に対して……。
「私も戦うから、慶輔君は自分の身を守る事に専念して。もうこれ以上、誰かが傷つくところはもう見たくないから……」
「ありがとうアリエルさん……」
そう語り合うアリエルと慶輔がお互いを見つめあったその時……。
「みんな、魔界獣が来たぞ! 急いで出撃を頼む!」
魔界獣が出現したという凶報を聞いた瞬間、表情を変える慶輔とアリエルであった。
「まさか、魔界獣が現れるなんて!」
「こうしてはいられないよ。行こう、アリエルさん!」
---to be continued---
(もし、僕が負けたら、アリエルさん達はどうなるんだろう……)
そんな慶輔を心配そうに見つめていたアリエルは、彼に近づいてくる。
「慶輔君、もしかして魔界獣の戦いの事を心配してるの?」
「アリエルさん……」
アリエルの方も見つめてポロリと吐く慶輔。この後アリエルは、慶輔が腰かけているベンチの隣に座り、悲しそうな瞳で慶輔を見つめる。その瞳を見た慶輔はついに本音を吐き始める。
「僕はヴィオラ―ドに生まれ変わって、アリエルさん達と出会ってから何かが変わった事を感じられるようになった。でも僕はこれから僕よりもっと強い魔界獣と闘わなければいけないと思うだけで、心が不安になるんだ。そんな僕じゃ、アリエルさん達を守る事ができなくなるかもしれない……。そして、アルクゥ君やルーネス君と闘う事も……」
「いいえ、あなたはみんなの事を思って戦ってくれてるわ。私はあなたが戦っているところを見ただけで、あなた自身が強くなっている事が分かるの。人間だったころ、慶輔君はいじめられ続けたんでしょ?」
「え?」
その言葉を聞いた慶輔は、心臓を何かで貫かれた触感に襲われる。どうしてアリエルが自分の過去を知っているのか、疑問に思ってしまう慶輔。
「ムニエルから聞いたんだ。私も慶輔君の事を、少しでも知っておきたかったから……」
「そっか……」
アリエルに自分の過去を喋ったムニエルの事を責めたかったかもしれないが、自分の事を知りたがってくれているアリエルに対して何も言えなかった。
何せ、初対面であんな恥ずかしいところを見てしまった女の子に対して……。
「私も戦うから、慶輔君は自分の身を守る事に専念して。もうこれ以上、誰かが傷つくところはもう見たくないから……」
「ありがとうアリエルさん……」
そう語り合うアリエルと慶輔がお互いを見つめあったその時……。
「みんな、魔界獣が来たぞ! 急いで出撃を頼む!」
魔界獣が出現したという凶報を聞いた瞬間、表情を変える慶輔とアリエルであった。
「まさか、魔界獣が現れるなんて!」
「こうしてはいられないよ。行こう、アリエルさん!」
---to be continued---
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる