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オーガ達を葬り、神栖市の危機を救って一晩立った2日目の朝は、強い日差しと共に幕を開け、この戦闘でバッタリしてしまった慶輔達は、温泉に入った後に食堂でアリエル達と朝食をとっていた。
「2日目か。今日の合宿は何も起こらなければ頑張れるんだけど、現実はそう簡単に行かないんだよね」
この戦闘を思い出してしまったのか、不安そうなため息をついている慶輔。心配していたのか、アリエルが慶輔に話しかける。
「慶輔君、ぼんやりしているみたいだけど、具合でも悪いの?」
「いやいや大丈夫だよ! 気にしないでよアリエルさん」
ちょっと慌てて笑顔で答える慶輔だったが、まだ不安は完全に吹き飛んでいないみたいである。そんな彼をアリエルはどのように見つめていたのか……。
(やはり不安があるみたいじゃない……。一発でわかるよ……)
そんな不安はいつになったら消えるのか、アリエルはまだわからなかった。
★★★
2日目の合宿内容は筑波山へのハイキングであり、みんなは既に移動用バスに乗り込んでいた。
みんながトランプや雑談などで楽しんでいる最中でも、慶輔の表情は不安でいっぱいになっていた。やはり、魔界獣の事が気になっているだろう。
(魔界獣、あいつらは一体どうして僕達に姿を現すのか? もし誰かがこの世界を恨んでいるとしたら、その悪意はどのようにして生まれてきたんだろう?)
慶輔がこんな表情をしているのを見かねたエッジが、心配しているかのように、慶輔に缶ジュースを手渡した。
「どうしたんだよ? 戦闘前はあんなに啖呵切っていたのに、暗い顔しているなんて君らしくないじゃない」
「ありがとうエッジ君。少し、疲れているだけだから気にしないでよ」
そうは言っているものの、慶輔が未だに不安を隠しきれていない事は、エッジは見切っていた。
「慶輔君、余り一人で背負わないようにな? あの時はアーシェ達のお色気のおかげで勝つことができたんだからさ。もう君は一人じゃないんだぜ?」
「分かってるさ。でも僕がやらないと、みんなに危機が迫るから……。それに僕はもう、誰も失いたくないんだ……。失わせたくないんだ」
そう語る慶輔に、エッジは何一つ迷うことなく慶輔の明るく肩を叩く。
「慶輔君、俺はそんな君が羨ましいよ」
---to be continued---
「2日目か。今日の合宿は何も起こらなければ頑張れるんだけど、現実はそう簡単に行かないんだよね」
この戦闘を思い出してしまったのか、不安そうなため息をついている慶輔。心配していたのか、アリエルが慶輔に話しかける。
「慶輔君、ぼんやりしているみたいだけど、具合でも悪いの?」
「いやいや大丈夫だよ! 気にしないでよアリエルさん」
ちょっと慌てて笑顔で答える慶輔だったが、まだ不安は完全に吹き飛んでいないみたいである。そんな彼をアリエルはどのように見つめていたのか……。
(やはり不安があるみたいじゃない……。一発でわかるよ……)
そんな不安はいつになったら消えるのか、アリエルはまだわからなかった。
★★★
2日目の合宿内容は筑波山へのハイキングであり、みんなは既に移動用バスに乗り込んでいた。
みんながトランプや雑談などで楽しんでいる最中でも、慶輔の表情は不安でいっぱいになっていた。やはり、魔界獣の事が気になっているだろう。
(魔界獣、あいつらは一体どうして僕達に姿を現すのか? もし誰かがこの世界を恨んでいるとしたら、その悪意はどのようにして生まれてきたんだろう?)
慶輔がこんな表情をしているのを見かねたエッジが、心配しているかのように、慶輔に缶ジュースを手渡した。
「どうしたんだよ? 戦闘前はあんなに啖呵切っていたのに、暗い顔しているなんて君らしくないじゃない」
「ありがとうエッジ君。少し、疲れているだけだから気にしないでよ」
そうは言っているものの、慶輔が未だに不安を隠しきれていない事は、エッジは見切っていた。
「慶輔君、余り一人で背負わないようにな? あの時はアーシェ達のお色気のおかげで勝つことができたんだからさ。もう君は一人じゃないんだぜ?」
「分かってるさ。でも僕がやらないと、みんなに危機が迫るから……。それに僕はもう、誰も失いたくないんだ……。失わせたくないんだ」
そう語る慶輔に、エッジは何一つ迷うことなく慶輔の明るく肩を叩く。
「慶輔君、俺はそんな君が羨ましいよ」
---to be continued---
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