魔法騎士 マジーア・ドルチェ慶輔

里見ケイシロウ

文字の大きさ
39 / 97

Phase9 星空のレジスタンス

しおりを挟む
 3日目の予定はバーベキューでの交流会であり、慶輔達は初めての料理経験だったため、包丁や煮込みなどの調理作業に悪戦苦闘していた。特にアリエルは火から出る煙に対して、ゲホゲホと咳を出している。

「やはり、初めて手料理するのって結構きついんだな……!」
「全くだぜ。こういう事になるんなら、さぼっておきゃよかったよ!」

 カインとエッジも、慣れない包丁手つきでニンジンや玉ねぎを切るのに苦戦していた。特に目が赤くなっており、涙を流していった。

「でも頑張らなきゃだめだよ。今の私達はヴィオラ―ドと言う最強の悪魔なんだから、世界中の人間達の手本にならなきゃ!」
「そのために私達は悪魔に転生したんでしょ?」

 アーシェとリノアの言葉にここにいた全生徒が沈黙しながら作業を始める。やはり、ヴィオラ―ドと言う悪魔に転生した意味を理解できない生徒がいたのが、現状なのだろう。
 そんな中、慶輔は綺麗で素早い料理作業をこなしている一人の銀髪のシニヨンヘアーの少女に目をくぎ付けになっていった。彼女の包丁さばきはプロの料理人のように正確であり、早くこなしているのだった。

「えっと君は確か、大細田慶輔君かな? 悪いんだけど、このお鍋混ぜてくれるかしら?」
「分かりました、ってえ~っと……、名前まだ聞いてなかったね?」
「クルル・パパトプーロス。ギリシャ国籍、双児騎士サウザンドの契約者よ」
「分かった。クルルさんだね。これからもよろしく」

 クルルと名乗った少女は、慶輔に向かって、笑顔でウィンクする。慶輔もお返しするかのようにウィンクした後、お鍋を箆でかき混ぜるのだった。

「クルルさんって料理得意なんだ。あまりにも包丁さばきが早かったからさ、僕も思わず驚いたよ」
「そう言ってくれると嬉しくなるわ。私、こう見えても人間だった頃、誰にも愛されなかった日々だったの」
「ごめん、気が障ったこと、言ったかな?」
「気にしないで。私もこの学園に入って、新しい自分を探す事にしたの。自分の心の傷を強引に癒すんじゃなく、受け入れて誰かを守る力を手にする方法をね」

 クルルと名乗った少女の言葉は、まるで前向きな姿勢を大事にしているかに思えた。自分とは一体何が違うのかは、もうわかったような表情をしてしまう慶輔であった。
 いつかクルルのような前向きな姿勢を向けれたらいいなと、感じる慶輔だった。

「ところで、これは一体何を作ってるの?」
「これはスパゲティミートソース。私は麺をゆでてるんだけど、今ルーネス達がカレーを作ってるから」

 クルルが首を向けた方向を見てみると、ルーネスとラムザがカレー作りに励んでいた。二人とも、行動するたびに戸惑っていたため、どうやら料理は初めてみたいだ。

「全く、こんな料理をやらされるなんて俺達運がないとしか言いようがないな!」
「ぼやくなよルーネス。SMクラブで女王様に鞭でた叩かれるよかマシだろ?」

 ラムザはともかく、ルーネスは完全に白旗を上げているようである。もう少し頑張ってほしいと思っている慶輔であったが……。

「だ~! もうやめだ! 俺俺俺はあそこの木の下で休んでくるわ!」
「おいおい! 今日の昼ごはんはどうするつもりだよルーネス!?」
「いいよ、俺はどっかコンビニで弁当買って食うから!」

 完全にカレー作りを放棄したルーネスは調理場を去ってしまう。それを見かねた慶輔はルーネスを説得するために、彼を追いかけようとしたのだが……。

「大丈夫よ。こういう時のために、彼女が来るから」
「彼女!?」

 クルルに止められた慶輔は彼女と言う言葉の意味が分からなかったが、この後理解できるようになる。

「コラ~、ルーネスさぼるな~!」

 どこから女の子の声が聞こえてきた次の瞬間に、ルーネスの後頭部に強力な一撃が炸裂した。その正体は軽めのゴムボールだった。

「いてえええええええ!」
「自分だけ義務を放棄しようたってそうはいかないわよ! ルーネスにはキッチリ、みんなが食べるカレーを作ってもらうわよ!」

 なんと茶色のロングヘアーの少女が、マシンガンを持って、ルーネスのところへとやって来た。どうやら彼女の射撃によるものだろう。

「クルルさん、彼女は一体!?」
「フィンランド国籍のシェルク・モイサンデル。私達の中ではかなりのミリオタよ」
「マジこういう女の子いたんだ……」

 シェルクと言う少女、只者ではないと感じている慶輔だった。

---to be continued---
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...