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スキル無双
カノンのスキル
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俺達が休憩を終えるタイミングで襲いかかって来たのは、茶色い体毛をした毛むくじゃらなゴリラに似たモンスターだった。
「コングか。討伐クラスはDクラスだ。俺も手伝った方がいいか?」
このゴリラに似たモンスターは、コングって言うのか。
俺達の目の前に現れたコングは二体。
Dクラスなら余裕だな。
ただ、カノンにはまだ荷が重い相手だ。
俺は一人で相手にするとみんなの前に出た。
「待って。私も戦う。」
カノンは俺の横に立ち、そう宣言した。
俺がカノンに大丈夫か確認すると、頷いて応えた。
カノンが心配だから、なるべく早く一体を片付けるとしよう。
俺は剣を構え、コングへ敵意を向ける。
するとコングは咆哮を上げて、胸をドンドン叩き出す。
これは、ドラミングか?
俺のいた世界でも、ゴリラが胸を叩いてドラミングをしてたけど、この世界もドラミングをする理由は同じなのだろうか?
俺のいた世界のゴリラのドラミングは、威嚇では無く、戦わずに引き分けにしようぜと言うものだった筈なんだが、この世界のゴリラ似のモンスターも同じ理由なのだろうか? あれ? なんかドラミングには他に理由があった気がするんだけど、なんだったかな? 思い出せない。
記憶喪失だからか?
いや、記憶喪失は設定上の話だから、単に思い出せないだけなんだけどね。
理由は分からないが、コングも逃げ出さないので、俺はコングへと接近する。
コングの極太の腕が後ろに引かれ、そこから大きな拳が俺へと繰り出された。
俺は最小限の動きで拳を躱し、伸ばされたコングの腕を斬り落とす。
「ウホッ!?」
コングは切断面を反対の手で押さえながら後退する。
俺は地面を蹴り、一気にコングへと接近してコングの胴体に斜めの線を刻み込む。
俺の一撃を受けたコングは、その場で仰向けに倒れ、ピクリとも動かなくなった。
その様子を眺めていたターンは、Dクラスだがパワーと耐久力に定評のあるコングを一瞬で倒したクレシェンドの戦闘力の高さに関心していた。
一方その頃、もう一体のコングと戦闘を開始していたカノンは、コングの攻撃を躱すのに精一杯だった。
「くっ!? 近付けない。」
カノンは何度も攻撃を繰り出していたが、コングには大してダメージを与えられないでいた。
それだけじゃなく、コングの剛腕から繰り出される攻撃は、カノンにとって一撃当たるだけでも命取りとなる。
そのため、カノンは攻めあぐねていた。
そんな時、カノンは地面の窪みに足を取られ、バランスを崩してしまう。
コングはその隙を見逃すことなく拳を振るう。
俺がコングを倒し終えてカノンに目を向けた時には、カノンがバランスを崩し、コングの拳が迫っているところだった。
や、やばい!? カノンがピンチだ!
俺の位置からじゃカノンまで距離があり過ぎる!?
離れ過ぎてしまったことを後悔するが、もう遅い。
それでも、カノンを助けようと必死に足を動かす。
俺には、カノンに迫るコングの拳がスローに見えた。
そして、遂にコングの拳がカノンへと直撃した。
俺は、その光景を見たくなくて目を瞑ってしまう。
次に俺の目に映った光景は、俺の想像したものとは違っていた。
時は、コングの拳がカノンに当たる直前。
カノンは、生きることを諦めなかった。
そんなカノンは、生き延びる一つの方法を思い出す。
そして、その方法を使用したのだ。
「……絶対防御!」
カノンが★5スキル、絶対防御を発動した瞬間、カノンの身体を光の膜が覆う。
コングの剛腕から繰り出された拳を光の膜が完全に遮断し、カノンは衝撃すら受けることは無かった。
「ウホ?」
コングも、自分の攻撃が直撃した筈なのに、何の変化も無いことに疑問を感じていた。
しかし、コングが疑問に感じていた一瞬の内に、コングの生涯は幕を閉じることとなった。
その一瞬で、コングへと距離を詰めたクレシェンドの一撃により、コングの首は刎ねられたのだ。
「か、カノン? 無事か?」
あれ? カノンは何で無事だったんだ?
「うん。スキルのお陰で。」
その言葉で、俺は何が起きたのか理解出来た。
やっぱカノンのスキルすげぇな。
俺はカノンが無事だったことに安堵した。
「あ!? 危ねぇ!」
「あっ!?」
ターンとカノンは、俺の方を向いて目を見開く。
二人の言葉を最後に、俺の意識は途絶えた。
『スキル捲土重来を発動します。』
「コングか。討伐クラスはDクラスだ。俺も手伝った方がいいか?」
このゴリラに似たモンスターは、コングって言うのか。
俺達の目の前に現れたコングは二体。
Dクラスなら余裕だな。
ただ、カノンにはまだ荷が重い相手だ。
俺は一人で相手にするとみんなの前に出た。
「待って。私も戦う。」
カノンは俺の横に立ち、そう宣言した。
俺がカノンに大丈夫か確認すると、頷いて応えた。
カノンが心配だから、なるべく早く一体を片付けるとしよう。
俺は剣を構え、コングへ敵意を向ける。
するとコングは咆哮を上げて、胸をドンドン叩き出す。
これは、ドラミングか?
俺のいた世界でも、ゴリラが胸を叩いてドラミングをしてたけど、この世界もドラミングをする理由は同じなのだろうか?
俺のいた世界のゴリラのドラミングは、威嚇では無く、戦わずに引き分けにしようぜと言うものだった筈なんだが、この世界のゴリラ似のモンスターも同じ理由なのだろうか? あれ? なんかドラミングには他に理由があった気がするんだけど、なんだったかな? 思い出せない。
記憶喪失だからか?
いや、記憶喪失は設定上の話だから、単に思い出せないだけなんだけどね。
理由は分からないが、コングも逃げ出さないので、俺はコングへと接近する。
コングの極太の腕が後ろに引かれ、そこから大きな拳が俺へと繰り出された。
俺は最小限の動きで拳を躱し、伸ばされたコングの腕を斬り落とす。
「ウホッ!?」
コングは切断面を反対の手で押さえながら後退する。
俺は地面を蹴り、一気にコングへと接近してコングの胴体に斜めの線を刻み込む。
俺の一撃を受けたコングは、その場で仰向けに倒れ、ピクリとも動かなくなった。
その様子を眺めていたターンは、Dクラスだがパワーと耐久力に定評のあるコングを一瞬で倒したクレシェンドの戦闘力の高さに関心していた。
一方その頃、もう一体のコングと戦闘を開始していたカノンは、コングの攻撃を躱すのに精一杯だった。
「くっ!? 近付けない。」
カノンは何度も攻撃を繰り出していたが、コングには大してダメージを与えられないでいた。
それだけじゃなく、コングの剛腕から繰り出される攻撃は、カノンにとって一撃当たるだけでも命取りとなる。
そのため、カノンは攻めあぐねていた。
そんな時、カノンは地面の窪みに足を取られ、バランスを崩してしまう。
コングはその隙を見逃すことなく拳を振るう。
俺がコングを倒し終えてカノンに目を向けた時には、カノンがバランスを崩し、コングの拳が迫っているところだった。
や、やばい!? カノンがピンチだ!
俺の位置からじゃカノンまで距離があり過ぎる!?
離れ過ぎてしまったことを後悔するが、もう遅い。
それでも、カノンを助けようと必死に足を動かす。
俺には、カノンに迫るコングの拳がスローに見えた。
そして、遂にコングの拳がカノンへと直撃した。
俺は、その光景を見たくなくて目を瞑ってしまう。
次に俺の目に映った光景は、俺の想像したものとは違っていた。
時は、コングの拳がカノンに当たる直前。
カノンは、生きることを諦めなかった。
そんなカノンは、生き延びる一つの方法を思い出す。
そして、その方法を使用したのだ。
「……絶対防御!」
カノンが★5スキル、絶対防御を発動した瞬間、カノンの身体を光の膜が覆う。
コングの剛腕から繰り出された拳を光の膜が完全に遮断し、カノンは衝撃すら受けることは無かった。
「ウホ?」
コングも、自分の攻撃が直撃した筈なのに、何の変化も無いことに疑問を感じていた。
しかし、コングが疑問に感じていた一瞬の内に、コングの生涯は幕を閉じることとなった。
その一瞬で、コングへと距離を詰めたクレシェンドの一撃により、コングの首は刎ねられたのだ。
「か、カノン? 無事か?」
あれ? カノンは何で無事だったんだ?
「うん。スキルのお陰で。」
その言葉で、俺は何が起きたのか理解出来た。
やっぱカノンのスキルすげぇな。
俺はカノンが無事だったことに安堵した。
「あ!? 危ねぇ!」
「あっ!?」
ターンとカノンは、俺の方を向いて目を見開く。
二人の言葉を最後に、俺の意識は途絶えた。
『スキル捲土重来を発動します。』
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