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足枷 2
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まさかギルに知られているとは思っていなくて、俺は狼狽えた。や、そ、そりゃ、あれだけどな……。サヤにはカナくんって想い人がいるわけでだな、俺なんかおよびじゃないんだよ。
「か、関係ないだろ! サヤは戻るんだよ。サヤの世界に。家族だって、想う人だって待ってるんだよ。俺がどうこうは、関係ない!」
「サヤを帰すかどうかも、サヤが誰を好きかも関係ねぇよ。
俺が聞いてんのはお前の覚悟だろ。お前、まだガキのつもりでいんのかよって、聞いてんだろ!
大切だってんならな、目ぇ離してんじゃねぇょ。
お前から離せば安全だ? そんな訳あるか! サヤは自分で、危険にだって突っ込むからな。
お前の見てねぇところで、お前の為に、無茶するぞ。
お前、それを、見えてねぇから知らねぇよって、言えんのか?
後悔したくないなら離れるべきじゃねぇんだ。そもそもあいつはな、お前に守って貰おうなんざ、考えてねぇ。あいつが考えてんのは、どうやってお前の役に立つかだけだぞ?
その為に俺に、刃物相手の鍛錬させろって言うほどなんだからな‼︎」
刃物………⁉︎
「ちょっ、待って、どういうこと⁉︎ なんで刃物相手の鍛錬⁇」
前後のやりとり全部が頭から吹っ飛んだ。
真剣を相手に戦う鍛錬って何⁉︎ なんでそんな危険な鍛錬を⁉︎ そりゃ、いざという時はお願いするよって言ったけど、あれは建前みたいなもんで、サヤを矢面に出そうなんてこれっぽっちも…! そもそも、いざなんて時は、無いの前提だろ!
「なんでそんな話が出てるの⁉︎ 俺はそんなの許してないよ!」
「知らねぇよっ! お前がどう思ってようがサヤは勝手にやるって話だろ。
サヤをここに置いていくってなら、更に関係ないよな!」
突き離されて、うっと詰まる。
関係ない……な、なくないよ! サヤを守るのは俺の責任だ。怪我するような、そんな鍛錬認められない!
サヤに、確認しなければ……そんな危険なことは止めるよう、言わなければ……。
襟首を掴むギルの手を無理やり引き剥がして、サヤの所へ向かおうとしたら、マルとハインが戻ってきた。部屋に入るなり、マルがニマニマと笑いつつ、俺に話し掛けてくる。
「あ、レイ様見てくださいこれ。なんて書いてあると思います?」
馬克思。と、書かれているわけだが、俺にはそれがサヤの国の文字であることしか分からない。
しかも今それどころじゃない。
「分かるわけないだろ。それよりサヤのところにいたのか?今サヤはどこ⁉︎」
マルに詰め寄ると、かわりにハインが教えてくれた。
「サヤならルーシーの着せ替え人形ですよ。
明後日には戻ると伝えましたら、サヤと買い物もお茶もしてないと怒り出しましてね……。
しばらく時間があるので、ルーシーに付き合っておくよう伝えてきました」
「これ、マルクスって書いてあるんですよぅ。
サヤの国のカタカナは憶えたので、漢字を教えてほしいってお願いしたら、これを教えてくれたんです。サヤは太っ腹ですよねぇ」
俺の焦りなんて意に介さず、二人がそんな風にのほほんとしている。
ギルもこちらにやってきて、先ほどまでの会話など無かったかのように、マルの持つ紙を手に取り眺めた。
「へえ……マルクスって……四文字なのに三文字で書くのか……。どれがどの文字なんだ……」
「馬克っていうのが、『マルク』だそうですよ。けどね、この文字の読みと意味、全然違うのが面白いんですよ。
『馬』って、馬のことだそうで、『克』っていうのがまた複雑で、勝つとか、統治するとか、そんな意味があるそうですよ。『思』は思う、考える。
基本的に、し、と読むのに何故、す、と読ませるのか不思議だったんですけれど、サヤの世界にかつてマルクスという名の方がいらっしゃったそうで、その方が馬克思と書いたからということでした。
因みに、マルクスと読むだけなら、他にも山ほど当て字ができるそうです。
ただ、サヤの国では、人の名前には意味を持たせるそうで……その場合だと僕の名前はこれではなく、『巻来守』としたいそうです。書物を集め守る。という意味なんですって。凄いですよねぇ」
「へぇ……凄ぇ。なんかご大層だな。書物を集め守る……確かに、お前っぽい」
「でしょぉ! 因みにサヤの名前の意味も聞きましたよ。小夜と書くそうで、本来は『さよ』と、読ませるそうなんですけれど、サヤの祖母が『さや』と読むと決めたらしいんですよ。
小夜は、貴き夜という意味だそうで、なんだかサヤらしいなあって思ったんですけどね」
「貴き……夜? なんで夜?」
「夜半に産まれたそうです。難産だったとか。あと、鞘の意味も含めたかったのだそうですよ。争いを収めるような、優しい子に育つようにと」
「二文字でどれだけ意味があんだよ……」
呆れ気味にギルが言うが、俺はサヤの名前の由来に心を揺さぶられた。
小夜……貴き夜。サヤの美しく艶やかな黒髪は、名前そのものだ。優しい気質も、誰かを守ろうとする姿勢も、名の由来通りだと思ったのだ。
「名をつけるのは、親から子への最初の贈り物なんだそうですよ。
何千何万とある文字の中から、その子にふさわしい文字を選び組み合わせ名にするのだそうです。高度な文明の国ならではだと感心したんですよぅ。我々にとって名は分類のための記号ですが、サヤの国では違うのですねぇ。
あ、しかも画数制限があるらしく、名に使う漢字を……」
つい、そのままマルの話に聞き入ってしまい、サヤの元に行く機会を逃してしまった。
ギルは途中で退室した。先ほどの話を蒸し返すつもりはない様で、そのまま仕事してくると言い置いて、部屋を後にしてしたのだ。なんとなく、俺を避けて立ち去った様にも思え、少々気分が悪い。
とはいえ、サヤだ……。
ルーシーと二人でいるという話だし……邪魔をするのは気がひける……。
そのうち、帰ってくるだろうと、しばし保留にすることにした。
それに……ギルに言われたことが、結構ぐさりと胸に刺さっていたのだ。
何も知らないくせに……と、心の奥底で、罵る俺がいる……。
しかし、言っていないのだから知るはずもないと、分かっている。
何もやってねぇのに、役立たずって決めてんのは、お前自身だろうが。
そうだよ。
だけど、そうしなければならなかった。
俺が何かをしてはいけなかったんだ。
まだ理解できていないのかと。何も望んではいけない、持ってはいけないと言い聞かせているのに、まだ分からないのかと。言葉で通じないならと。分からせるために、しかたなくだと。俺が一度できちんと理解できない悪い子だから、仕方がないからと……お前のせいなのだと…………そうして、分かるまで、分からされたのだ。
お前がいつまでもそうやって、お前自身を貶めてるから、俺はずっと、苦しいままだ‼︎
貶めてるんじゃないよ……俺は俺が不甲斐ないのをよく知ってる。一番よく分かってるんだよ。
俺は役立たずで、惰弱で、卑屈な、どうしようもないやつなんだよ……。
望まれていない、求められていない、ただ在って、言われるがままをすることを求められていたのに、そうすることが出来ず、沢山のものを犠牲にした。愚鈍で暗愚な痴れ者だ。
なのに……。
出会った頃から、ギルは俺をたくさん構って、たくさん褒めて、まるで真っ当な一人の人間の様に扱ってくれた。言われたことを言われてままにしかしない、聞かれたままのことを聞かれた通りにしか答えない。もう殆ど人形でしかなかった俺を、人に戻してくれたのは、間違いなくギルだ。
ギルがそう望んだから、求めたから、俺はそうなった。
言われるままに、望まれるままに。その様に躾けられたから、その通りにした。
あの時の俺には、それが異母様の望むものであるかどうかなんて、判断できなかった。
ただ求められたから、従った。
だから、これはギルを責められない。ギルは俺に求められていたものを知らなかった。そして俺は、結局人に戻るまで、俺に求められていたものに気付けなかったのだ。
ギルが俺に望んだことは、異母様が俺に求めたことと真反対だった。
ちゃんと人形をやっていれば、誰も不幸にせずに済んだのかもしれない……。
けど俺は……人形のままじゃなくて、良かったと思ってる。学舎で過ごしたあの年月が、あって良かったと思ってる。
出会い、過ごしてくれたのがギルでなかったら、俺はきっと、こんなじゃなかった……。
あの時間がなければ、俺はとっくに壊れていた。きっとそうなってた。
ギルが……俺を作ったんだ。感謝してもしきれない……。ギルのおかげで今の俺がある。
だけど、そんなギルの言葉でも従えない。怖い。どうしても怖いんだよ。
俺は異母様の求めるものを得なかった……。だから異母様は、きっとまた、俺を責めるその口実を、探している。
「望んだらて…駄目なんだよ……」
そうしたら、また壊される。羽根をむしられ、骨を砕かれ、儚くなってしまうんだ……。
学舎には異母様も、兄上も居なかったから、俺は自由にしていられた。だけど、ここはセイバーンなんだ……。俺はギルを壊したくないんだよ。ハインも、サヤも、壊したくないんだよ。あの人みたいに、したくないんだよ!
二年前は、アギー公爵様のお力添えがあった。だから二人を失くさずに済んだ。
だけどな、もうそんな幸運は望めない……。サヤは、無防備なんだ。
しかも俺は、今回異母様に逆らう。
領民を守るのは領主一族の務め……父上のやるべきことを俺が代行しているのだから、これは正しい行動のはずだ。
だけど、異母様は理屈や務めなど気にされない。あの方は正しくセイバーンに身を捧げてはいない。あくまでジェスルの方なのだ。だからきっと、俺を叱責する。躾けようとする。その時にサヤがいたら、あの人みたいに……!
「か、関係ないだろ! サヤは戻るんだよ。サヤの世界に。家族だって、想う人だって待ってるんだよ。俺がどうこうは、関係ない!」
「サヤを帰すかどうかも、サヤが誰を好きかも関係ねぇよ。
俺が聞いてんのはお前の覚悟だろ。お前、まだガキのつもりでいんのかよって、聞いてんだろ!
大切だってんならな、目ぇ離してんじゃねぇょ。
お前から離せば安全だ? そんな訳あるか! サヤは自分で、危険にだって突っ込むからな。
お前の見てねぇところで、お前の為に、無茶するぞ。
お前、それを、見えてねぇから知らねぇよって、言えんのか?
後悔したくないなら離れるべきじゃねぇんだ。そもそもあいつはな、お前に守って貰おうなんざ、考えてねぇ。あいつが考えてんのは、どうやってお前の役に立つかだけだぞ?
その為に俺に、刃物相手の鍛錬させろって言うほどなんだからな‼︎」
刃物………⁉︎
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真剣を相手に戦う鍛錬って何⁉︎ なんでそんな危険な鍛錬を⁉︎ そりゃ、いざという時はお願いするよって言ったけど、あれは建前みたいなもんで、サヤを矢面に出そうなんてこれっぽっちも…! そもそも、いざなんて時は、無いの前提だろ!
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「知らねぇよっ! お前がどう思ってようがサヤは勝手にやるって話だろ。
サヤをここに置いていくってなら、更に関係ないよな!」
突き離されて、うっと詰まる。
関係ない……な、なくないよ! サヤを守るのは俺の責任だ。怪我するような、そんな鍛錬認められない!
サヤに、確認しなければ……そんな危険なことは止めるよう、言わなければ……。
襟首を掴むギルの手を無理やり引き剥がして、サヤの所へ向かおうとしたら、マルとハインが戻ってきた。部屋に入るなり、マルがニマニマと笑いつつ、俺に話し掛けてくる。
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「サヤならルーシーの着せ替え人形ですよ。
明後日には戻ると伝えましたら、サヤと買い物もお茶もしてないと怒り出しましてね……。
しばらく時間があるので、ルーシーに付き合っておくよう伝えてきました」
「これ、マルクスって書いてあるんですよぅ。
サヤの国のカタカナは憶えたので、漢字を教えてほしいってお願いしたら、これを教えてくれたんです。サヤは太っ腹ですよねぇ」
俺の焦りなんて意に介さず、二人がそんな風にのほほんとしている。
ギルもこちらにやってきて、先ほどまでの会話など無かったかのように、マルの持つ紙を手に取り眺めた。
「へえ……マルクスって……四文字なのに三文字で書くのか……。どれがどの文字なんだ……」
「馬克っていうのが、『マルク』だそうですよ。けどね、この文字の読みと意味、全然違うのが面白いんですよ。
『馬』って、馬のことだそうで、『克』っていうのがまた複雑で、勝つとか、統治するとか、そんな意味があるそうですよ。『思』は思う、考える。
基本的に、し、と読むのに何故、す、と読ませるのか不思議だったんですけれど、サヤの世界にかつてマルクスという名の方がいらっしゃったそうで、その方が馬克思と書いたからということでした。
因みに、マルクスと読むだけなら、他にも山ほど当て字ができるそうです。
ただ、サヤの国では、人の名前には意味を持たせるそうで……その場合だと僕の名前はこれではなく、『巻来守』としたいそうです。書物を集め守る。という意味なんですって。凄いですよねぇ」
「へぇ……凄ぇ。なんかご大層だな。書物を集め守る……確かに、お前っぽい」
「でしょぉ! 因みにサヤの名前の意味も聞きましたよ。小夜と書くそうで、本来は『さよ』と、読ませるそうなんですけれど、サヤの祖母が『さや』と読むと決めたらしいんですよ。
小夜は、貴き夜という意味だそうで、なんだかサヤらしいなあって思ったんですけどね」
「貴き……夜? なんで夜?」
「夜半に産まれたそうです。難産だったとか。あと、鞘の意味も含めたかったのだそうですよ。争いを収めるような、優しい子に育つようにと」
「二文字でどれだけ意味があんだよ……」
呆れ気味にギルが言うが、俺はサヤの名前の由来に心を揺さぶられた。
小夜……貴き夜。サヤの美しく艶やかな黒髪は、名前そのものだ。優しい気質も、誰かを守ろうとする姿勢も、名の由来通りだと思ったのだ。
「名をつけるのは、親から子への最初の贈り物なんだそうですよ。
何千何万とある文字の中から、その子にふさわしい文字を選び組み合わせ名にするのだそうです。高度な文明の国ならではだと感心したんですよぅ。我々にとって名は分類のための記号ですが、サヤの国では違うのですねぇ。
あ、しかも画数制限があるらしく、名に使う漢字を……」
つい、そのままマルの話に聞き入ってしまい、サヤの元に行く機会を逃してしまった。
ギルは途中で退室した。先ほどの話を蒸し返すつもりはない様で、そのまま仕事してくると言い置いて、部屋を後にしてしたのだ。なんとなく、俺を避けて立ち去った様にも思え、少々気分が悪い。
とはいえ、サヤだ……。
ルーシーと二人でいるという話だし……邪魔をするのは気がひける……。
そのうち、帰ってくるだろうと、しばし保留にすることにした。
それに……ギルに言われたことが、結構ぐさりと胸に刺さっていたのだ。
何も知らないくせに……と、心の奥底で、罵る俺がいる……。
しかし、言っていないのだから知るはずもないと、分かっている。
何もやってねぇのに、役立たずって決めてんのは、お前自身だろうが。
そうだよ。
だけど、そうしなければならなかった。
俺が何かをしてはいけなかったんだ。
まだ理解できていないのかと。何も望んではいけない、持ってはいけないと言い聞かせているのに、まだ分からないのかと。言葉で通じないならと。分からせるために、しかたなくだと。俺が一度できちんと理解できない悪い子だから、仕方がないからと……お前のせいなのだと…………そうして、分かるまで、分からされたのだ。
お前がいつまでもそうやって、お前自身を貶めてるから、俺はずっと、苦しいままだ‼︎
貶めてるんじゃないよ……俺は俺が不甲斐ないのをよく知ってる。一番よく分かってるんだよ。
俺は役立たずで、惰弱で、卑屈な、どうしようもないやつなんだよ……。
望まれていない、求められていない、ただ在って、言われるがままをすることを求められていたのに、そうすることが出来ず、沢山のものを犠牲にした。愚鈍で暗愚な痴れ者だ。
なのに……。
出会った頃から、ギルは俺をたくさん構って、たくさん褒めて、まるで真っ当な一人の人間の様に扱ってくれた。言われたことを言われてままにしかしない、聞かれたままのことを聞かれた通りにしか答えない。もう殆ど人形でしかなかった俺を、人に戻してくれたのは、間違いなくギルだ。
ギルがそう望んだから、求めたから、俺はそうなった。
言われるままに、望まれるままに。その様に躾けられたから、その通りにした。
あの時の俺には、それが異母様の望むものであるかどうかなんて、判断できなかった。
ただ求められたから、従った。
だから、これはギルを責められない。ギルは俺に求められていたものを知らなかった。そして俺は、結局人に戻るまで、俺に求められていたものに気付けなかったのだ。
ギルが俺に望んだことは、異母様が俺に求めたことと真反対だった。
ちゃんと人形をやっていれば、誰も不幸にせずに済んだのかもしれない……。
けど俺は……人形のままじゃなくて、良かったと思ってる。学舎で過ごしたあの年月が、あって良かったと思ってる。
出会い、過ごしてくれたのがギルでなかったら、俺はきっと、こんなじゃなかった……。
あの時間がなければ、俺はとっくに壊れていた。きっとそうなってた。
ギルが……俺を作ったんだ。感謝してもしきれない……。ギルのおかげで今の俺がある。
だけど、そんなギルの言葉でも従えない。怖い。どうしても怖いんだよ。
俺は異母様の求めるものを得なかった……。だから異母様は、きっとまた、俺を責めるその口実を、探している。
「望んだらて…駄目なんだよ……」
そうしたら、また壊される。羽根をむしられ、骨を砕かれ、儚くなってしまうんだ……。
学舎には異母様も、兄上も居なかったから、俺は自由にしていられた。だけど、ここはセイバーンなんだ……。俺はギルを壊したくないんだよ。ハインも、サヤも、壊したくないんだよ。あの人みたいに、したくないんだよ!
二年前は、アギー公爵様のお力添えがあった。だから二人を失くさずに済んだ。
だけどな、もうそんな幸運は望めない……。サヤは、無防備なんだ。
しかも俺は、今回異母様に逆らう。
領民を守るのは領主一族の務め……父上のやるべきことを俺が代行しているのだから、これは正しい行動のはずだ。
だけど、異母様は理屈や務めなど気にされない。あの方は正しくセイバーンに身を捧げてはいない。あくまでジェスルの方なのだ。だからきっと、俺を叱責する。躾けようとする。その時にサヤがいたら、あの人みたいに……!
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