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兇手 3
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二班を終える頃に昼食の時間が来てしまった。
いちいち別館まで戻るのも面倒なので、このままここで、俺たちも昼食にしようということになった。
二班には、妨害の為に雇われた者が二名居た。
しかし、二人とも、もう妨害する気は無く、むしろ俺が襲われたと聞いて肝を冷やし、反省したらしい。
「貴族が無茶な工事をごり押しするから、適度にサボって適度に妨害し、諦めさせるのが目的なんだって聞いてたんだ。
だけど村の人たちは俺を歓迎してくれた。そこでもう話が違うかなって思いはじめてさ。
まあ、妨害するような隙も無くって、言われるままに、作業してたんだけど……まさかご子息様を襲うなんてさ……俺、そんな大それたことに関わってる気は無かったんだ!」
一人は半泣きになってそんな風に言っていた。
依頼の指示はメバックでのみ。セイバーンに来てからは特に何も無いという。
心を入れ替えて、一生懸命頑張るから許して下さいと懇願され、俺はそれを受け入れた。
そして、練度を達成していた為、そのまま延長で雇うこととなった。練度の具合を見るに、本当に心を入れ替えて一生懸命頑張ったのだと思えたからだ。
「練度の達成率が高いな……。当初七割ほどを目標にって言ってなかったか」
「うん、延長しない者も含めてだけど。
にしても…二班まで未達成者が居ないとは…。これが遊戯効果か?」
「延長しないって奴も二名のみか……追加の人員、五十人も要らないんじゃないのか?」
「そうだな。三十人程で良いかもしれない。けど、多くて困る事は無いからな。
資金的には問題無いから、集められるだけ集める方向で良いと思う」
「明日、延長しない者をメバックに送るついでに集めてくるのですよね?募集期間一日で大丈夫なんですか?」
「ああ、マルがもう募集をかけてくれてる筈だよ。今回は、エゴンも居ない上にマルが居るからな。宿屋組合も酷い人選をしないと思うし」
「人数に余裕が持てるようなら、基準に沿わない者は雇用しない方向で考えておくのもありですかね」
調理場の作業台で日程の話し合いをしつつ、食事を進めていると、休憩中の人足たちが調理場の前を通り過ぎる。たまに視線が合うので手を振ると、妙に嬉しそうに去っていく。
まれに、こんな所に居て大丈夫なんですかと聞きに来たりする。
頼もしい護衛に囲まれてるから、なんとかね。と答えると、あまり無茶しないようにと注意された。
「平和だよなぁ……雨季手前とは思えねぇな。去年じゃ今頃、誰かさん死にかけてたしな」
「あー……まぁ、そんなこともあったなぁ……」
「今年も死にかけてますよ。凶器で狙われる方向で」
「……うん、まぁ……そうかな」
「そ、そういえば、近頃ジメッとして来ましたね。
工事が始まった頃は、案外風が涼しかったんですけど……」
「七の月になると、もっとじっとりするよ。それまでに目処がつくことを祈ろう」
他愛ない会話を楽しみつつ、ぼんやりと出来上がりつつある土嚢壁を眺める。
うん。壁と言えるものに、なって来たよな……。希望していた基準とは程遠い人足たちで、工事が遅れることを仕方がないとすら思っていたのに、蓋を開けてみれば、きっちりと計画通りに事が進んでいる。多少の問題を孕むものの、俺の人生において、ここまで物事が順調だったことってあるだろうか……?
「ここ最近、なんだか妙に充実してる気がするよなぁ。
今まで、毎日がこんなに……こんなに、目まぐるしいなんて、思ったこと無かった……」
「……そりゃあな、決まったことを決められた通りやってた日常が、こうも変わりゃあさ」
俺の呟きに、ギルがそう言って、口角を持ち上げた。
ハインも心なしか、穏やかな表情をしている。
サヤがふと、表の方を見るから視線をやったら、ルカとウーヴェが人足たちを伴って通りかかったところで、ウーヴェが頭を下げ、ルカが手を振るから、サヤと二人で手を振り返した。
「さて。
そろそろ午後からの準備を始めるか。
サヤは仮眠時間だから、ギルとハインに護衛を……」
「いえ、今日は面接終わりまで、サヤに護衛をお願いします。賄い作り迄にはこちらの仕事を終えておきますから、そこから私が交代。ギルは休憩して下さい」
「だがそれではサヤが……」
「まだ初日ですから、別段疲れてもいませんよ。仮眠無しでも大丈夫です」
「サヤ、申し訳ありません。今日中に私の方の諸々は目処を立てるので、明日以降は仮眠時間をきちんと確保します」
そんなわけで、午後からもギルとサヤを護衛に、聞き取りの続きを行うこととなった。
立ち位置も午前と一緒だ。サヤは、耳を使っている為、外に近い方が都合が良いらしい。だが、何時間も目と、耳と、両方に集中しておくのは消耗するに違いない。夜祭の時のサヤを思い出し、心配だった。
女性の装いをしていないぶんマシだと良いのだけど…。
そんなことを考えているうちに、三班の一人目がやって来た。
いちいち別館まで戻るのも面倒なので、このままここで、俺たちも昼食にしようということになった。
二班には、妨害の為に雇われた者が二名居た。
しかし、二人とも、もう妨害する気は無く、むしろ俺が襲われたと聞いて肝を冷やし、反省したらしい。
「貴族が無茶な工事をごり押しするから、適度にサボって適度に妨害し、諦めさせるのが目的なんだって聞いてたんだ。
だけど村の人たちは俺を歓迎してくれた。そこでもう話が違うかなって思いはじめてさ。
まあ、妨害するような隙も無くって、言われるままに、作業してたんだけど……まさかご子息様を襲うなんてさ……俺、そんな大それたことに関わってる気は無かったんだ!」
一人は半泣きになってそんな風に言っていた。
依頼の指示はメバックでのみ。セイバーンに来てからは特に何も無いという。
心を入れ替えて、一生懸命頑張るから許して下さいと懇願され、俺はそれを受け入れた。
そして、練度を達成していた為、そのまま延長で雇うこととなった。練度の具合を見るに、本当に心を入れ替えて一生懸命頑張ったのだと思えたからだ。
「練度の達成率が高いな……。当初七割ほどを目標にって言ってなかったか」
「うん、延長しない者も含めてだけど。
にしても…二班まで未達成者が居ないとは…。これが遊戯効果か?」
「延長しないって奴も二名のみか……追加の人員、五十人も要らないんじゃないのか?」
「そうだな。三十人程で良いかもしれない。けど、多くて困る事は無いからな。
資金的には問題無いから、集められるだけ集める方向で良いと思う」
「明日、延長しない者をメバックに送るついでに集めてくるのですよね?募集期間一日で大丈夫なんですか?」
「ああ、マルがもう募集をかけてくれてる筈だよ。今回は、エゴンも居ない上にマルが居るからな。宿屋組合も酷い人選をしないと思うし」
「人数に余裕が持てるようなら、基準に沿わない者は雇用しない方向で考えておくのもありですかね」
調理場の作業台で日程の話し合いをしつつ、食事を進めていると、休憩中の人足たちが調理場の前を通り過ぎる。たまに視線が合うので手を振ると、妙に嬉しそうに去っていく。
まれに、こんな所に居て大丈夫なんですかと聞きに来たりする。
頼もしい護衛に囲まれてるから、なんとかね。と答えると、あまり無茶しないようにと注意された。
「平和だよなぁ……雨季手前とは思えねぇな。去年じゃ今頃、誰かさん死にかけてたしな」
「あー……まぁ、そんなこともあったなぁ……」
「今年も死にかけてますよ。凶器で狙われる方向で」
「……うん、まぁ……そうかな」
「そ、そういえば、近頃ジメッとして来ましたね。
工事が始まった頃は、案外風が涼しかったんですけど……」
「七の月になると、もっとじっとりするよ。それまでに目処がつくことを祈ろう」
他愛ない会話を楽しみつつ、ぼんやりと出来上がりつつある土嚢壁を眺める。
うん。壁と言えるものに、なって来たよな……。希望していた基準とは程遠い人足たちで、工事が遅れることを仕方がないとすら思っていたのに、蓋を開けてみれば、きっちりと計画通りに事が進んでいる。多少の問題を孕むものの、俺の人生において、ここまで物事が順調だったことってあるだろうか……?
「ここ最近、なんだか妙に充実してる気がするよなぁ。
今まで、毎日がこんなに……こんなに、目まぐるしいなんて、思ったこと無かった……」
「……そりゃあな、決まったことを決められた通りやってた日常が、こうも変わりゃあさ」
俺の呟きに、ギルがそう言って、口角を持ち上げた。
ハインも心なしか、穏やかな表情をしている。
サヤがふと、表の方を見るから視線をやったら、ルカとウーヴェが人足たちを伴って通りかかったところで、ウーヴェが頭を下げ、ルカが手を振るから、サヤと二人で手を振り返した。
「さて。
そろそろ午後からの準備を始めるか。
サヤは仮眠時間だから、ギルとハインに護衛を……」
「いえ、今日は面接終わりまで、サヤに護衛をお願いします。賄い作り迄にはこちらの仕事を終えておきますから、そこから私が交代。ギルは休憩して下さい」
「だがそれではサヤが……」
「まだ初日ですから、別段疲れてもいませんよ。仮眠無しでも大丈夫です」
「サヤ、申し訳ありません。今日中に私の方の諸々は目処を立てるので、明日以降は仮眠時間をきちんと確保します」
そんなわけで、午後からもギルとサヤを護衛に、聞き取りの続きを行うこととなった。
立ち位置も午前と一緒だ。サヤは、耳を使っている為、外に近い方が都合が良いらしい。だが、何時間も目と、耳と、両方に集中しておくのは消耗するに違いない。夜祭の時のサヤを思い出し、心配だった。
女性の装いをしていないぶんマシだと良いのだけど…。
そんなことを考えているうちに、三班の一人目がやって来た。
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