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トニトの語る第二話 1
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水の中を必死にもがいた。
服が重い、体が重い、水流からうまく顔を出せず、なかなか息が続かない。
――苦しい……。
だけどそれよりも胸が痛い。
ミコー、僕の可愛い妹狼。死ぬな、死ぬな!
お願いだ、僕を独りにしないで――。
◆
「……っ……ミコー‼︎」
何度繰り返したか分からないミコーの殺される夢に、僕は跳ね起きた。
全力疾走したあとみたいに心臓が暴れてる。嫌な夢だ……なんで繰り返しこんなものを見てしまったんだろう?
「夢でよかった……」
ホッと息を吐き、去ってくれない睡魔に誘われるまま寝直そうと思った僕は、もう一度布団に倒れ込み――。
「だっ⁉︎」
あまりの痛さに悲鳴をあげることとなった。
硬い、寝台が木みたいに硬い! そして右足もむちゃくちゃ痛い‼︎
「……って、あれ?」
そこでようやっと視界に意識が向いて、僕はここが自分の部屋ではないことに気がついた。
木の壁、木の床、木の天井……。
玄関には土間があって端っこに煉瓦作りの簡素な竈門。置かれた薬缶が湯気をあげていて、外からは何か、木を叩くような音が聞こえている。
壁には数箇所、木枠に格子をはめただけの窓があり、煤で黒く汚れた壁や天井は小屋梁が剥き出しで、屋根がそのまま天井になっているみたい。部屋……? というか、この空間に入口らしきものはひとつしかなく、窓の隙間から見えるのは全て青空。あの壁の向こうは外。ということは、ここは部屋ではなく、家なんだと思う。
正直びっくりしてしまった。
なんというか……ここまで簡素な建物、王宮の中では見たことがなかったから。庭の掃除道具入れの方が断然立派。どうして僕はこんな場所に?
改めて自分の寝ていたものを見ると、硬いのも道理、床? に直接薄い綿布団が一枚敷かれただけの状態だった。そして――。
添木され、包帯でぐるぐる巻きになっていた右足を見た瞬間、僕は自分に何があったのかを、まざまざと思い出してしまったんだ。
「あ……ああぁぁぁ」
そうだ、そうだった! あれは夢じゃない……実際に起こっているかもしれないことだ!
こんなことしてる場合じゃない、ミコーを探さなきゃいけない。探さなきゃ、けど……っ。
「…………あれからどれくらい、時間が経った?」
自分の口から溢れた言葉なのに、剣を突き立てられたほどの痛みがあった。
僕を川に突き飛ばしたミコーが追われて逃げるのを、僕はこの目で見たんだ。
追手は流される僕に見向きもせず、ミコーを僕だと思い込んでいた!
人の足になったミコーが馬を振り切れるはずがない。何よりたった一人であんな危険な場所に残してきてしまった。
――あの状況で、生きていられる?
声に乗せるには恐ろしすぎる問いは、吐き出すことすらできなくて胸が苦しい。ミコーが死んでしまったかもしれないなんて考えたくない。結果を知りたくない! 今日はいつだ? もし万が一、ミコーが……っ。
ボロリと涙が溢れ、止まらなくって、僕は歯を食いしばって目元を拭った。
ミコーがどうなったのかを、確認したくない。したくないけど、知らないことも怖いし、ごまかしようもないほど状況から導き出される答えは明白だった。
――なんで僕、生きてるんだ。
なんであのまま死んでしまわなかった? 僕の妹、僕の半身、あの子をひとりぼっちで来世に旅立たせてしまったのだとしたら――。
ギィと、何か軋む音がして、寝具の上に光が差した。
慌てて音の方に視線をやると、逆光の中に黒い影。
戸が開いていた。そして入り口を塞ぐほどの巨体が立っている!
大きな体躯に恐怖を覚え、とっさに武器になりそうなものを視線で探した。
身につけているものも手で探ったが、衣服は知らない間に剥ぎ取られ、大きな大人用の短衣を一枚被せられていただけで、周りにも水差しひとつ置かれていない。首に鎖で吊るした犬笛だけが残されていたけれど、こんなものじゃ身は守れないし、吹いたところで助けは間に合わないだろう。
焦っている間に、のし……と、影が一歩を踏み出した。小さなあばら家はそれだけで圧迫感に押しつぶされそう。
影の腰帯には短刀が一本挟んであって、日差しの届かない位置に来たことでやっと見えたのは、不機嫌そうな男の顔。
一瞬だけ、誰かの面影と重なった気がしたけれど、思い出すよりも先に、男が腕を伸ばしてきたものだから、僕はとっさにかわして後方に逃げた。
怪我の治療はされている。だけど王宮じゃない場所に保護され、こんな粗末なものに寝かされている状況は、僕に最悪の想像をさせた。
――捕まるわけにはいかない!
捕まれば、ミコーがどうなったか知ることができなくなる。万が一生きていた時に、助け出すことができなくなってしまう!
彼女の死を想像した時胸が潰れそうだった。生存は絶望的だと分かってるのに、それでも、どうしても、死んだなんて思えなかったから、足掻くしか選択肢がない。
――腰の短剣を奪って、こいつを倒す!
それしか活路はない。行け――。
と――っ⁉︎
ぐにゃりと視界が歪む。
一瞬で目の前が真っ暗になり、床が溶けてしまったような感覚に襲われた。
身を支えようと手をついたのに、それができているのかどうかが分からないほど、体の輪郭が掴めない。混乱しているうちに、おそらく一瞬意識を失っていたと思う。気がついたら僕は、男の腕に抱えられていた。
「!」
飛びのこうとしたものの、ぐっと抱えて阻止された。
「急に動くな」
男が初めて発した言葉。
また記憶が刺激され、聞いたことのある声だと思った。
だけど誰か分からない。見たことはあっても言葉を交わしたことのない相手? だけど王族の僕とやりとりする立場の者が、こんなあばら屋にいるのはおかしい!
離せ!
そう叫んだつもりだった。
だけど喉から溢れたのは謎の音。
まるでミコーが怒った時に喉を使って鳴らす唸り声に近かった。
そのうえ。
「二日ほど何も食ってないんだ。なのに獣化なんぞしたら、また倒れるぞ」
人の僕に言う言葉じゃない。
そう思ったのに、男を押し除けようと伸ばした腕はどういうわけか――体毛に塗れていた。
「――⁉︎」
ミコー⁉︎
見慣れたミコーの腕がある!
『よかったミコー、お前、無事だったんだな⁉︎』
そう言ったつもりだったのに、ヒャンとワンの間みたいな変な音が、ほよほよと喉から溢れただけだった。
『? え、何これ……』
またボフッて音しか出なかった。
『えっ、何⁉︎ ミコー?(ボッ、フウォフォン! ヒャンッ)』
なん、なんで? 僕の声、僕の喉、どうなってしまってるの⁉︎
「落ち着け、お前を害す者はここには居ない。まず落ち着いて、自分をよく見ろ」
僕を抱えて押さえつけたまま、男が言う。
「深呼吸!」
強い口調に反射で口を開くと、長い鼻梁が見えた。
顔に触ろうと上げた腕が、白銀の体毛に覆われていた。
短くなった指、にょっと伸びた爪、下の方でバサバサしてるのはまさか尾っぽ⁉︎
なんで? 僕、もしかしなくてもこれ――。
『狼になってる⁉︎(ワフォオオオン⁉︎)』
ありえないことだ。
こんな、ありえないことだよ!
なんだって僕が狼になるの、僕は『人』なのに‼︎
服が重い、体が重い、水流からうまく顔を出せず、なかなか息が続かない。
――苦しい……。
だけどそれよりも胸が痛い。
ミコー、僕の可愛い妹狼。死ぬな、死ぬな!
お願いだ、僕を独りにしないで――。
◆
「……っ……ミコー‼︎」
何度繰り返したか分からないミコーの殺される夢に、僕は跳ね起きた。
全力疾走したあとみたいに心臓が暴れてる。嫌な夢だ……なんで繰り返しこんなものを見てしまったんだろう?
「夢でよかった……」
ホッと息を吐き、去ってくれない睡魔に誘われるまま寝直そうと思った僕は、もう一度布団に倒れ込み――。
「だっ⁉︎」
あまりの痛さに悲鳴をあげることとなった。
硬い、寝台が木みたいに硬い! そして右足もむちゃくちゃ痛い‼︎
「……って、あれ?」
そこでようやっと視界に意識が向いて、僕はここが自分の部屋ではないことに気がついた。
木の壁、木の床、木の天井……。
玄関には土間があって端っこに煉瓦作りの簡素な竈門。置かれた薬缶が湯気をあげていて、外からは何か、木を叩くような音が聞こえている。
壁には数箇所、木枠に格子をはめただけの窓があり、煤で黒く汚れた壁や天井は小屋梁が剥き出しで、屋根がそのまま天井になっているみたい。部屋……? というか、この空間に入口らしきものはひとつしかなく、窓の隙間から見えるのは全て青空。あの壁の向こうは外。ということは、ここは部屋ではなく、家なんだと思う。
正直びっくりしてしまった。
なんというか……ここまで簡素な建物、王宮の中では見たことがなかったから。庭の掃除道具入れの方が断然立派。どうして僕はこんな場所に?
改めて自分の寝ていたものを見ると、硬いのも道理、床? に直接薄い綿布団が一枚敷かれただけの状態だった。そして――。
添木され、包帯でぐるぐる巻きになっていた右足を見た瞬間、僕は自分に何があったのかを、まざまざと思い出してしまったんだ。
「あ……ああぁぁぁ」
そうだ、そうだった! あれは夢じゃない……実際に起こっているかもしれないことだ!
こんなことしてる場合じゃない、ミコーを探さなきゃいけない。探さなきゃ、けど……っ。
「…………あれからどれくらい、時間が経った?」
自分の口から溢れた言葉なのに、剣を突き立てられたほどの痛みがあった。
僕を川に突き飛ばしたミコーが追われて逃げるのを、僕はこの目で見たんだ。
追手は流される僕に見向きもせず、ミコーを僕だと思い込んでいた!
人の足になったミコーが馬を振り切れるはずがない。何よりたった一人であんな危険な場所に残してきてしまった。
――あの状況で、生きていられる?
声に乗せるには恐ろしすぎる問いは、吐き出すことすらできなくて胸が苦しい。ミコーが死んでしまったかもしれないなんて考えたくない。結果を知りたくない! 今日はいつだ? もし万が一、ミコーが……っ。
ボロリと涙が溢れ、止まらなくって、僕は歯を食いしばって目元を拭った。
ミコーがどうなったのかを、確認したくない。したくないけど、知らないことも怖いし、ごまかしようもないほど状況から導き出される答えは明白だった。
――なんで僕、生きてるんだ。
なんであのまま死んでしまわなかった? 僕の妹、僕の半身、あの子をひとりぼっちで来世に旅立たせてしまったのだとしたら――。
ギィと、何か軋む音がして、寝具の上に光が差した。
慌てて音の方に視線をやると、逆光の中に黒い影。
戸が開いていた。そして入り口を塞ぐほどの巨体が立っている!
大きな体躯に恐怖を覚え、とっさに武器になりそうなものを視線で探した。
身につけているものも手で探ったが、衣服は知らない間に剥ぎ取られ、大きな大人用の短衣を一枚被せられていただけで、周りにも水差しひとつ置かれていない。首に鎖で吊るした犬笛だけが残されていたけれど、こんなものじゃ身は守れないし、吹いたところで助けは間に合わないだろう。
焦っている間に、のし……と、影が一歩を踏み出した。小さなあばら家はそれだけで圧迫感に押しつぶされそう。
影の腰帯には短刀が一本挟んであって、日差しの届かない位置に来たことでやっと見えたのは、不機嫌そうな男の顔。
一瞬だけ、誰かの面影と重なった気がしたけれど、思い出すよりも先に、男が腕を伸ばしてきたものだから、僕はとっさにかわして後方に逃げた。
怪我の治療はされている。だけど王宮じゃない場所に保護され、こんな粗末なものに寝かされている状況は、僕に最悪の想像をさせた。
――捕まるわけにはいかない!
捕まれば、ミコーがどうなったか知ることができなくなる。万が一生きていた時に、助け出すことができなくなってしまう!
彼女の死を想像した時胸が潰れそうだった。生存は絶望的だと分かってるのに、それでも、どうしても、死んだなんて思えなかったから、足掻くしか選択肢がない。
――腰の短剣を奪って、こいつを倒す!
それしか活路はない。行け――。
と――っ⁉︎
ぐにゃりと視界が歪む。
一瞬で目の前が真っ暗になり、床が溶けてしまったような感覚に襲われた。
身を支えようと手をついたのに、それができているのかどうかが分からないほど、体の輪郭が掴めない。混乱しているうちに、おそらく一瞬意識を失っていたと思う。気がついたら僕は、男の腕に抱えられていた。
「!」
飛びのこうとしたものの、ぐっと抱えて阻止された。
「急に動くな」
男が初めて発した言葉。
また記憶が刺激され、聞いたことのある声だと思った。
だけど誰か分からない。見たことはあっても言葉を交わしたことのない相手? だけど王族の僕とやりとりする立場の者が、こんなあばら屋にいるのはおかしい!
離せ!
そう叫んだつもりだった。
だけど喉から溢れたのは謎の音。
まるでミコーが怒った時に喉を使って鳴らす唸り声に近かった。
そのうえ。
「二日ほど何も食ってないんだ。なのに獣化なんぞしたら、また倒れるぞ」
人の僕に言う言葉じゃない。
そう思ったのに、男を押し除けようと伸ばした腕はどういうわけか――体毛に塗れていた。
「――⁉︎」
ミコー⁉︎
見慣れたミコーの腕がある!
『よかったミコー、お前、無事だったんだな⁉︎』
そう言ったつもりだったのに、ヒャンとワンの間みたいな変な音が、ほよほよと喉から溢れただけだった。
『? え、何これ……』
またボフッて音しか出なかった。
『えっ、何⁉︎ ミコー?(ボッ、フウォフォン! ヒャンッ)』
なん、なんで? 僕の声、僕の喉、どうなってしまってるの⁉︎
「落ち着け、お前を害す者はここには居ない。まず落ち着いて、自分をよく見ろ」
僕を抱えて押さえつけたまま、男が言う。
「深呼吸!」
強い口調に反射で口を開くと、長い鼻梁が見えた。
顔に触ろうと上げた腕が、白銀の体毛に覆われていた。
短くなった指、にょっと伸びた爪、下の方でバサバサしてるのはまさか尾っぽ⁉︎
なんで? 僕、もしかしなくてもこれ――。
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