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治癒の出張大サービス(花梨命名)をやり始めて一週間。
花梨の想像通り、王都といえど病人は沢山居た。それを一人ずつ回って治していくのは、大変ながらも、ある意味充実した役目と花梨は思えていた。
「つ、疲れた」
きっと今の自分は、疲れきったサラリーマンみたいに違いない! と心で思いながら、城内を重い足取りで歩いていく。
顔元には白いヴェール。顔が見えないようにとライヤの配慮だ。
『最初より、体力出てきたです~』
ミケは肩には乗らずに、花梨の足元を歩いてついてきている。猫一匹を肩に乗せるのは、疲れた状態ではかなり辛かったからだ。
「ん。確かに最初よりは治せる人数増えてきたからね」
毎日治療に専念しているおかげで、体力がついたのは自覚していた。それと同時に、城内にいるからといってヴィラに会えるわけでもないことも分かった。
話がしたくて、でもこの前のように仕事の途中に会いに行くのは気が引けて。時々ライヤにヴィラは今暇? と訊ねるのだが、そのたびににっこりと笑顔で無理だと言われるのだ。
「ねぇ。そういえば前の龍の娘に会うには、どうしたらいいと思う?」
ふと足を止めて、ミケに訊ねた。
『会うには。そうですねー、やっぱりヴィラさんに聞くのが一番だと思うです!』
「だよね」
はぁ、とため息をつくと、突然背中を叩かれた。気分は憂鬱。目線は足元のミケにだけ向けていて、後ろから近づく人には気がつかなかった。
「邪魔だ」
「なっ?! って、ゼフィルド。久しぶり」
相変わらずの無表情で、ゼフィルドが立っていた。どうやら、道の真ん中で立ち止まっている花梨が邪魔だったよう。
「ねぇねぇ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ことわ……何だ」
断ると言う途中で、がしっと花梨はゼフィルドの手を掴んだ。それを見て、ゼフィルドは諦めたようだ。
「ヴィラっていつ休みあるか分かる?」
「王か?」
ぴく、と片眉を上げて、どこか憮然とした表情を浮かべた。
「休みはないだろう」
「えっ?! 何で!」
「王に休みがあると思うか?」
花梨が多少白熱して、声を大きくしてもゼフィルドはそのまま淡々とした声色だ。
「ん~。そっか。ありがとう」
あからさまに肩を落とす花梨の様子に、ゼフィルドは浅くため息をついた。
「王に用でもあったのか」
「ちょっと聞きたいことがあって」
その場に座り込んで、ミケの頭を何となくぐりぐりと撫でた。
休みがないなら、ずっと会えないじゃないか。と心底落ち込んでいた。
「……王の職務に入ってるだろう」
「え?」
ぱっと顔を上げて、首を傾げる。
「龍の娘と会うのが予定に入っているだろう」
「本当に?」
ぱぁっと目に見えて表情を明るくした花梨に、ゼフィルドは何も言わずに頷いた。
「そっか。うん! そうだよね。だって私龍巫女様だし」
冗談口調で言っても、勿論相手はゼフィルド。冷えた目線をくれるだけ。
『やっぱり、ゼフィルドさんは優しいです~』
ミケが嬉しそうに、ぴょんとゼフィルドの肩に乗った。すりすりとそのまま頭を頬に擦り付けてくるミケに、ゼフィルドは追い払うことも出来ずに固まっている。
強張った表情だが、花梨には困った表情に見える。
「よし! そうと決まれば、練習かな。もっともっと体力つけないと」
ゼフィルドの肩から離れないミケを、自分の肩に乗せると足取り軽く歩き出した。
「それじゃあ、またね」
ばいばい、と手を振れば、ゼフィルドは眉を寄せてひらひらと少し手を動かした。
花梨は気がついていない。ヴィラとは一週間会っていないだけだが、ゼフィルドとの会話は、宴の時以来だということを……
「早い、な」
花梨の背中が見えなくなった頃、小さくゼフィルドが呟いた。その表情は穏やかな物でもあり、どこか悲しげなものだった。
花梨の想像通り、王都といえど病人は沢山居た。それを一人ずつ回って治していくのは、大変ながらも、ある意味充実した役目と花梨は思えていた。
「つ、疲れた」
きっと今の自分は、疲れきったサラリーマンみたいに違いない! と心で思いながら、城内を重い足取りで歩いていく。
顔元には白いヴェール。顔が見えないようにとライヤの配慮だ。
『最初より、体力出てきたです~』
ミケは肩には乗らずに、花梨の足元を歩いてついてきている。猫一匹を肩に乗せるのは、疲れた状態ではかなり辛かったからだ。
「ん。確かに最初よりは治せる人数増えてきたからね」
毎日治療に専念しているおかげで、体力がついたのは自覚していた。それと同時に、城内にいるからといってヴィラに会えるわけでもないことも分かった。
話がしたくて、でもこの前のように仕事の途中に会いに行くのは気が引けて。時々ライヤにヴィラは今暇? と訊ねるのだが、そのたびににっこりと笑顔で無理だと言われるのだ。
「ねぇ。そういえば前の龍の娘に会うには、どうしたらいいと思う?」
ふと足を止めて、ミケに訊ねた。
『会うには。そうですねー、やっぱりヴィラさんに聞くのが一番だと思うです!』
「だよね」
はぁ、とため息をつくと、突然背中を叩かれた。気分は憂鬱。目線は足元のミケにだけ向けていて、後ろから近づく人には気がつかなかった。
「邪魔だ」
「なっ?! って、ゼフィルド。久しぶり」
相変わらずの無表情で、ゼフィルドが立っていた。どうやら、道の真ん中で立ち止まっている花梨が邪魔だったよう。
「ねぇねぇ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ことわ……何だ」
断ると言う途中で、がしっと花梨はゼフィルドの手を掴んだ。それを見て、ゼフィルドは諦めたようだ。
「ヴィラっていつ休みあるか分かる?」
「王か?」
ぴく、と片眉を上げて、どこか憮然とした表情を浮かべた。
「休みはないだろう」
「えっ?! 何で!」
「王に休みがあると思うか?」
花梨が多少白熱して、声を大きくしてもゼフィルドはそのまま淡々とした声色だ。
「ん~。そっか。ありがとう」
あからさまに肩を落とす花梨の様子に、ゼフィルドは浅くため息をついた。
「王に用でもあったのか」
「ちょっと聞きたいことがあって」
その場に座り込んで、ミケの頭を何となくぐりぐりと撫でた。
休みがないなら、ずっと会えないじゃないか。と心底落ち込んでいた。
「……王の職務に入ってるだろう」
「え?」
ぱっと顔を上げて、首を傾げる。
「龍の娘と会うのが予定に入っているだろう」
「本当に?」
ぱぁっと目に見えて表情を明るくした花梨に、ゼフィルドは何も言わずに頷いた。
「そっか。うん! そうだよね。だって私龍巫女様だし」
冗談口調で言っても、勿論相手はゼフィルド。冷えた目線をくれるだけ。
『やっぱり、ゼフィルドさんは優しいです~』
ミケが嬉しそうに、ぴょんとゼフィルドの肩に乗った。すりすりとそのまま頭を頬に擦り付けてくるミケに、ゼフィルドは追い払うことも出来ずに固まっている。
強張った表情だが、花梨には困った表情に見える。
「よし! そうと決まれば、練習かな。もっともっと体力つけないと」
ゼフィルドの肩から離れないミケを、自分の肩に乗せると足取り軽く歩き出した。
「それじゃあ、またね」
ばいばい、と手を振れば、ゼフィルドは眉を寄せてひらひらと少し手を動かした。
花梨は気がついていない。ヴィラとは一週間会っていないだけだが、ゼフィルドとの会話は、宴の時以来だということを……
「早い、な」
花梨の背中が見えなくなった頃、小さくゼフィルドが呟いた。その表情は穏やかな物でもあり、どこか悲しげなものだった。
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