【完結】私が見る、空の色〜いじめられてた私が龍の娘って本当ですか?〜

近藤アリス

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龍と会う夢は、やっぱりいつもとは違うなぁとぼんやり花梨は思った。ふわふわとした浮遊感。この感覚も懐かしいとすら感じる。

『話とは?』

「え? あれ、また姿は無しなの?」

 姿を現さない龍に、花梨が少し不満そうに言えばため息が聞こえた。突然の突風に、花梨が目を閉じ、開ければそこに龍の姿が合った。

『これで良いだろう』

「……なんか、初めて会話が成立した気がする」

 何時も何時も、花梨の言葉なんて耳に入らないように自分の言いたい事だけ言って消えていく龍。少し感動して拳を握る。

「色々聞きたいことはあるけど。治癒って病気の人にも使えるの?それと、使えるなら使っても平気?」

『全ての病、外傷を癒せる。ただ、外傷と違い病の方はちと体力を使うからな。せいぜい、外傷30人治せるとすれば、病は10人程度だ』

 ふむふむ、と頷きながらも、メモが欲しいなぁなんて思考が別の方へ行く。

「より、疲れるんだ。え~と、限界までやった場合は何か私に戻ってくる?」

『龍の娘の力、我の物を一定量を与えているに過ぎない。当然使い切れば能力は失われる』

「えっ?!」

 昨日は三十人治したけれど、力、大丈夫だろうか? と花梨は心配そうに表情を曇らせた。

『無論、七日ほどあれば力は戻る。昨日は無理をしたみたいだな、まぁその程度なら明日には戻っているだろう』

 呆れたように嘆息すれば、ひげがゆらゆらと揺れた。

「そういえば。龍の娘って結局何なの? だって、普通こういうのって一人目が凄い人だったりすると思うんだけど。本とか見ると、全然そうじゃないし。確か私の前の人がはじめて聖獣呼べたって」

『龍の娘は我が王都を定めた際、王へ告げた言葉だ。中々我の力を注いでも耐えられる人間が居なくてな』

「それで、わざわざ違う世界から私を呼んだの?」

『そうだ。龍の力との相性は日々変化する。完全一致をしそうだったからこそ、人間の王と会わせた。まぁ、途中で別の方向へ変化してしまっていれば、勿論花梨は呼ばなかった』

 考えるように長い爪がついた手で、同じく長い髭を触った。

「え~と。つまり、私が我慢できずに家を出たり、もしくはものすっごい突然幸せになったりしてたら」

『当然、こっちには来てないな』

 きっぱりと言われた言葉に、体中の力が抜けていく。

 微妙、凄く微妙で複雑な心境だった。しかし、考えれば考えるほどに、喜びが湧き上がってくる。

(――前を向いていれば、絶対良いことがある。母さんの言葉信じてよかった!
……この状況を良いことって言っていいか分からないけど、タグミにもゼフィルドにも会えたし。何よりヴィラと)

『突然笑い出すとは、情報処理が追いつかなかったか』

「ゼフィルドみたいなこと言わないで!」

 失礼なことを淡々と言った龍に慌てて反論すれば、龍は楽しげな笑い声を漏らした。ここがゼフィルドと違う点だろう。ゼフィルドは天然、龍は故意だ。

『他に用はあるか?』

「あっ! 本当に夢の中で会う手段を選んだのって、他の人が混乱するからっていう理由だけ?ミケみたいに小さくなったり出来るんじゃないの……やっぱりただ面倒なだけなんじゃ?」

『ないようだな』

「や、無視しないで」

 手を伸ばすが龍を掴む前に、花梨の体が光に包まれた。

(――やっぱり、龍さんは龍さんだー!)

 体を包む光に目を開けられなくなり、悔しげな表情のまま閉じた。












「まだ終わってない!」

 声と供に起き上がれば、にゃっと悲鳴が上がった。

「あれ?」

『寝ぼけないでくださいー、びっくりします!』

「ごめんね。ん~」

 ぐぐっとそのまま伸びて、ベットに倒れこんだ。

(――途中まで凄く良い感じだったのに、終わり方のせいで感動も出来ないよ)

 ふ~。と重く長いため息を吐けば、ミケが心配そうに寄ってきた。

『龍様に何か言われたんですか?』

「違うよ。あ! そうだ。ライヤに言いに行かないと行けないんだ」

 窓を見れば既に日は昇っていた。花梨はベットから飛び起きると、急いで身を整える。

『何をしに行くんですかー?』

「出張治癒の許可を貰いに、ね」

 とにかく今やるべきことをやらなければ。まだ眠たそうなミケを急かして、走るほどの勢いで部屋から出た。
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