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16話
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王城までの馬車で、ライは恨みがましい目つきで目の前のジェレマイアを見つめる。
「何だ。視線がうるさい」
「僕まだ休暇中なんですけど。早く帰ってピュリテとご飯を食べないといけないのに」
「ふん。知ったことか」
憎まれ口を叩くライに、ジェレマイアは気分を害す様子はないが冷たくあしらう。
しばらく沈黙が続いたのち、ぽつりとライが言った。
「殿下。ビオラちゃんの能力は分からないけど、聖女が治せなかった病気を治せちゃってよかったんでしょうか」
「……そうだな」
侯爵家の娘である聖女ロザリーンは、癒しの力を持っていた。その力は外傷にも病気にも効果があるが、今回の眠り病は聖女の力では治すことができなかった。
「僕からすれば、ビオラちゃんが聖女ですけどね。多分。薬が発表されれば、商人や平民たちも同様に考えると思います」
「そいつらが崇めるのはビオラじゃなくて、アルゼリアになるだろうがな」
ジェレマイアの言葉に、あっそうか。とライが頷く。
「似たような病が子爵領の小さな村で流行り、既に治療薬も開発済み。この事実に気がついたアルゼリアが、薬学の知識があるビオラに薬の作り方を教えるように指示した」
つらつら、と嘘の話を話すジェレマイア。今回の筋書きのようだった。
「お前はすぐ人を手配しろ。子爵領に行かせ、その証拠を作って持ってこい。しっかりラスウェル子爵も口裏合わせろよ」
「はーい」
気の抜けた返事をするライを、ジェレマイアが睨みつける。
「分かりましたって。そういえば、殿下。かなりビオラちゃんと親しくなりましたね?」
「ああ。あいつが俺のことを愛しているらしいからな」
まんざらでもなさそうにジェレマイアが笑い、ライが首を傾げる。
「そうですか?ビオラちゃんが好きというよりも、殿下の方が好意を抱いているように見えましたよ?」
「なんだと?」
ライを睨んで言ったものの、ジェレマイアも何か心当たりがあるようで黙り込む。
「最初はもっと向こうが積極的だったんだが。どういうことだろうか」
「何か嫌なことでもしちゃったんじゃないですか?」
むっつりと拗ねたような表情のジェレマイアに、おや?とライが内心驚いた。ライの知る限り、ジェレマイアは他人に興味がない。もしかすると初恋かもしれない。慎重にアドバイスをしないといけないぞ、とライが座り直す。
「殿下。王城までにビオラちゃんを振り向かせる方法を教えますよ」
「あいつの気持ちが変わったと決めつけるな。だが……頼む」
素直なジェレマイアに、ライは自分の目を擦った。
「なんだ」
「殿下の偽物かなと思いまして」
「切るぞ」
そう言うとジェレマイアが剣に手をかける。すみません!とすぐにライが謝ると、柄から手を離した。
「ビオラちゃんが喜ぶような贈り物教えてあげますよ」
「ふん」
「でも、殿下。僕もビオラちゃん気に入っちゃったんで、この前話してた護衛の件やらせてくださいね」
「ああ。お前が適任だろう。クレアも母上も黙っているとは考えられんからな」
「明日からビオラちゃんとアルゼリア様にべったりはりついて、しっかり守るから安心してくださいよ」
ジェレマイアにとってビオラは腹心を手元から離しても、守りたい存在になっていた。
「任務じゃなくても、ビオラちゃんのためなら頑張れそうだし」
「何か言ったか?」
「別に。僕の好意は僕の勝手ですからね」
ふふんと、機嫌良く鼻歌を口ずさむライの足を、ジェレマイアが思い切り蹴り上げた。
「何だ。視線がうるさい」
「僕まだ休暇中なんですけど。早く帰ってピュリテとご飯を食べないといけないのに」
「ふん。知ったことか」
憎まれ口を叩くライに、ジェレマイアは気分を害す様子はないが冷たくあしらう。
しばらく沈黙が続いたのち、ぽつりとライが言った。
「殿下。ビオラちゃんの能力は分からないけど、聖女が治せなかった病気を治せちゃってよかったんでしょうか」
「……そうだな」
侯爵家の娘である聖女ロザリーンは、癒しの力を持っていた。その力は外傷にも病気にも効果があるが、今回の眠り病は聖女の力では治すことができなかった。
「僕からすれば、ビオラちゃんが聖女ですけどね。多分。薬が発表されれば、商人や平民たちも同様に考えると思います」
「そいつらが崇めるのはビオラじゃなくて、アルゼリアになるだろうがな」
ジェレマイアの言葉に、あっそうか。とライが頷く。
「似たような病が子爵領の小さな村で流行り、既に治療薬も開発済み。この事実に気がついたアルゼリアが、薬学の知識があるビオラに薬の作り方を教えるように指示した」
つらつら、と嘘の話を話すジェレマイア。今回の筋書きのようだった。
「お前はすぐ人を手配しろ。子爵領に行かせ、その証拠を作って持ってこい。しっかりラスウェル子爵も口裏合わせろよ」
「はーい」
気の抜けた返事をするライを、ジェレマイアが睨みつける。
「分かりましたって。そういえば、殿下。かなりビオラちゃんと親しくなりましたね?」
「ああ。あいつが俺のことを愛しているらしいからな」
まんざらでもなさそうにジェレマイアが笑い、ライが首を傾げる。
「そうですか?ビオラちゃんが好きというよりも、殿下の方が好意を抱いているように見えましたよ?」
「なんだと?」
ライを睨んで言ったものの、ジェレマイアも何か心当たりがあるようで黙り込む。
「最初はもっと向こうが積極的だったんだが。どういうことだろうか」
「何か嫌なことでもしちゃったんじゃないですか?」
むっつりと拗ねたような表情のジェレマイアに、おや?とライが内心驚いた。ライの知る限り、ジェレマイアは他人に興味がない。もしかすると初恋かもしれない。慎重にアドバイスをしないといけないぞ、とライが座り直す。
「殿下。王城までにビオラちゃんを振り向かせる方法を教えますよ」
「あいつの気持ちが変わったと決めつけるな。だが……頼む」
素直なジェレマイアに、ライは自分の目を擦った。
「なんだ」
「殿下の偽物かなと思いまして」
「切るぞ」
そう言うとジェレマイアが剣に手をかける。すみません!とすぐにライが謝ると、柄から手を離した。
「ビオラちゃんが喜ぶような贈り物教えてあげますよ」
「ふん」
「でも、殿下。僕もビオラちゃん気に入っちゃったんで、この前話してた護衛の件やらせてくださいね」
「ああ。お前が適任だろう。クレアも母上も黙っているとは考えられんからな」
「明日からビオラちゃんとアルゼリア様にべったりはりついて、しっかり守るから安心してくださいよ」
ジェレマイアにとってビオラは腹心を手元から離しても、守りたい存在になっていた。
「任務じゃなくても、ビオラちゃんのためなら頑張れそうだし」
「何か言ったか?」
「別に。僕の好意は僕の勝手ですからね」
ふふんと、機嫌良く鼻歌を口ずさむライの足を、ジェレマイアが思い切り蹴り上げた。
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