4 / 6
第4話:空中戦
しおりを挟む「魔将の居場所は分かっているのか?」
歩きながらレイは訊ねる。シリアが頷いた。
「はい、レイ様。この地区の魔物たちを束ねる魔将は竜人族のドラギース。ここから南に行った先にドラギースの拠点があります」
「なら、まずはそこを目指すことだな」
場所が分かっているのなら話は早い。
その竜人ドラギースとやらを倒して、この地区に平和を取り戻そう。
俺の体が妖精聖姫の生まれ変わりがどうこうというのはその後だ、とレイは思う。
「あのー、レイ様ー」
そんな中、フレミアが口を開く。
なんだろう、と思いレイはそちらに視線を向けた。
「こんな風に歩いていくんじゃなくて、飛んで行きません? そっちの方が遥かに速いですよ?」
「あー、それもそうだな……」
言われてみれば確かに。
足で行くより羽根で行った方が早そうだ。
だが、それをするとなると、
(また妖精の姿になるのか……)
それが少し悩ましいことではあった。
いや、既に覚悟は決まっている。
魔将と戦うにあたってレイは妖精聖姫リリィの姿になる必要があることは分かっている。
とはいえ、なるべくあんな幼い美少女の体になるのも遠慮したいというのも事実であった。事実ではあるのだが。
「そうだな。飛んで行こう」
「やった!」
「分かりました、レイ様」
そうと決まり、レイは腕輪に思いを込める。
するとレイの体が光に包まれ、むさ苦しい男の肉体が美少女妖精のものに変貌していた。
それを見たフレミアが目を輝かせる。
「うん。レイ様。やっぱりそちらのお姿の方が素敵ですよ」
「そ、そうか……」
レイにとっては違和感しかない姿なのだが。
三人して羽根を広げ、空を駆け、魔将のアジトに向かって飛んでいく。
途中で前方から飛行型の魔物が何匹も襲来して来た。
「シリア! これは!」
確信を持ちつつ、レイは言う。シリアは頷いた。
「私たちを迎撃しようとする魔将配下の魔物たちでしょう」
「こんなのあたしたちなら楽勝よ! そうでしょ? レイ様?」
シリアもフレミアも戦意は十分のようであった。
レイとて今の妖精聖姫の体ならこんな程度の魔物たちに負ける気はしない。
前方を見据え、レイも返事をする。
「ああ! 蹴散らしてやろう!」
手をかざし、光線を放ち、敵魔物を撃ち落としていく。
シリアも光線を放ち、フレミアは火炎を放ち、敵魔物を攻撃する。
怪鳥型の魔物の他にワイバーンなどの亜竜も混ざっていたが、それでも妖精三人の敵ではない。
片っ端から撃ち落としていく。
レイが人間の姿であればとてもかなわないであろう魔物たちを次々に撃破していく。
妖精聖姫の力は伊達ではなかった。未だにロリ美少女妖精となっている我が身には違和感を抱くものの。
そうして、魔物たちを蹴散らしてると一匹の大型のワイバーンが姿を見せた。
「ワイバーン・レックス!?」
若干の警戒心を込めて、フレミアが叫ぶ。シリアもレイを見た。
「レイ様、お気を付けを。ワイバーン・レックスは通常のワイバーンの数倍の力を持っています」
「分かった! お前たちも気を付けてな!」
そう叫び返すレイだが、負ける気はしない。
ワイバーン・レックスのそばまで飛び寄ると、ワイバーン・レックスは火炎を吐いて攻撃してくる。
それを羽根を動かし回避し、手をかざし、暴風を放つ。
この暴風をワイバーン・レックスは受け止めて、吹き飛ばされず、レイに爪を振るう。
これもすんでの所で躱す。
(なるほど。確かに普通のワイバーンよりは強いみたいだな)
その認識を改めて、手をかざし光線を放つ。
光線はワイバーン・レックスの羽根に命中したが、貫くことはできなかった。
しかし、ダメージは与えた。
そのままレイは光線を連射。
シリアも光線を放ち、フレミアは火炎で攻撃する。
三人の妖精の集中攻撃を喰らい、さすがのワイバーン・レックスもされるがままになっている。
しかし、火炎放射で反撃してきてただではやられてくれないことを示す。
「この!」
そんなワイバーン・レックスにレイはさらに光線を放つ。
それらを受けてワイバーン・レックスは満身創痍気味になりながらもまだ闘志は折れないようだ。
レイは両手を合わせて必殺の光線を放つ準備に入る。
そんな時、別のワイバーンがレイに炎を吐いた。
それを羽根に受けたレイの体はバランスを崩し、落下せんとする。
「しまった!? うわ!」
「レイ様!」
あわててフレミアがレイのもとに行き、落下しそうなレイの体を体で受け止める。おかげで地面に叩きつけられずに、済んだ。
済んだのだが。
「レ、レイ様……」
「う、うわっ。すまない!」
体と体が重なりあっている。
レイの体はフレミアの体の触ってはいけない所を触っており、慌てて、フレミアから離れる。
「ま、まぁ、レイ様だから許しますけど……」
頬を若干朱色に染めて、フレミアが言う。
そうして、二人して上空のワイバーン・レックスを見据えた。
レイとフレミアが戦線離脱したのでシリアが一人で戦っている。
レイとフレミアは羽根を羽ばたかせすぐに戦線に復帰した。
「レイ様! フレミア! 大丈夫ですか!?」
「なんとかな!」
「あたしもよ、シリア!」
「それならよかった!」
さて、お返しをしなければならない。
レイは光線を放ち、ワイバーンを撃墜するとワイバーン・レックスと再び相対する。
両手を合わせ、今度こそ妨害が入らない状況で極太の光線を放つ。
それはワイバーン・レックスの体を貫き、ワイバーン・レックスは地面に墜落した。
「やったわ!」
歓声を叫ぶフレミア。
しかし、レイにはまだだ、という気がしていた。
ワイバーン・レックスは再び飛び上がり、レイたちの前に現れる。
「しぶとい!」
舌打ちしてレイは言い、光線を連射する。
「あたしたち三人が力を合わせれば!」
「ワイバーン・レックスごとき!」
フレミアとシリアも頷き、集中攻撃を浴びせる。
レイは再び両手を合わせ、極太の光線を放って、ワイバーン・レックスを攻撃する。
今度こそ、ワイバーン・レックスは地に落ちた。
その体が再び浮遊することはなかった。
三人は一息つく。
とりあえず飛んでいるのも疲れるので一旦、地面に降りる。
と、レイの体が光に包まれ、美少女妖精のものから男の体に戻った。
空中戦でワイバーン・レックスなんてヤツとも戦って力を使いすぎたのだろう。
「ふぅ……二人とも、とりあえず今日のところはここで休まないか?」
「そうですね、レイ様」
「レイ様がその姿に戻られてしまっては飛んで行くこともできませんしね。全く。魔将ドラギースも厄介な妨害を……」
レイの言葉に二人は頷き、とりあえず今日の所はここで休むことになった。
相変わらず美少女妖精に体が変身するのは慣れないな、とレイは思いつつ、野営の準備を整えていく。
ワイバーン・レックスは強敵だったが、倒すことができた。
この調子で魔将ドラギースも倒すことができればいいな、と思いつつも少し力を浪費しただけで妖精の体から人間に戻ってしまうのは小さからぬ弱点だな、と己を分析するレイであった。
0
あなたにおすすめの小説
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる