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第3章:鉱山都市ラグリア
第36話:一夜、明けて
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ゴルドニアース傭兵団とのメリクリウスと名乗った少女との戦いから一夜明けた。
あれから完全に放心状態のラングを憲兵の元に連れて行き、スパイ容疑で捕縛されるラングを尻目に、事の次第を憲兵たちに説明し、逃走できず、戦いの場に見捨てられたゴルドニアース傭兵団のメンバーたちが捕縛されるのも見届けた。
それからは、もう遅い時間だったが、あいてある宿屋を探し、なんとか宿にありつけ、眠りについた。そして、今、ナハトたちは目覚めると集まって今後のための方針会議を行っていた。
「やはりラグリアからは早めに離れた方がいいでしょう」
そう言ったのはイヴだ。ドラセナがラグリアにいることがゴルドニアース傭兵団に知れ渡っており再度の襲撃も有り得るとなればごく当然の意見だった。「そうだな」とナハトは頷く。
「今日中にも出発しよう。長居は無用だ」
ナハトがそう言うと「え~~!」と声を上げた者がいた。アイネだ。
「せっかくこの町でお買い物を楽しもうと思っていたのに~、みんなで一緒に買い物するって約束だったじゃない? 行っちゃうの~?」
本気で残念がっているその様子にナハトは呆れながらも、「お前、買い物とドラセナ、どっちが大事だよ?」と訊ねる。「いや、そりゃあ、ドラセナだけど……」とアイネもバツが悪そうに答える。
「けど、この町を出たところでまた先の町で待ち伏せされるだけじゃないのか?」
そのナハトの疑問にはグレースが答えてくれた。
「このラグリアから王都クラフトシティアまでの道は一本ではない。三つの町を介して繋がっている。その内、どれか一つの町に行けば、敵もこちらがどこにいるのか特定するのは困難だろう」
「なるほどな」
グレースの言葉にナハトは頷く。そして、再び訊いた。
「じゃあ、どこの町に向かうんだ。やっぱり一番寂れているところか? そっちの方がゴルドニアースの連中も来ないだろうし……」
「寂れている町というとアドマだな。アドマを目指すのか?」
ナハトとイーニッドの言葉にイヴは首を横に振った。
「いえ、一番寂れているところを選ぶのはゴルドニアース傭兵団も予測済みでしょう。それにアドマへの道は整っていて行くのは容易いです。まずそこを目指すとゴルドニアース傭兵団は予測するはずです。ですからここは裏をかいて一番栄えている町に行きます」
なるほど。たしかに追う側の視点から見れば追われる側は人気の少ない所に行くと予想するであろう。イヴはその裏をかこうというのだ。「その一番栄えている町って?」とナハトは訊ねていた。
「交易都市ペルトーセ。アインクラフトの友好国であるリアライド王国とも繋がっている大都市です」
「このラグリアより大きいのか?」
ナハトの言葉にイヴが頷く。「ペルトーセ……」とアイネが露骨に嫌そうな顔をした。何かあるのだろうか? そう思いナハトはアイネに「どうした?」と訊ねるも僅かな沈黙の後、「……なんでもないわよ」と返される。
「しかし、ここからペルトーセに行くとなるとフランベル山脈を越えていくコースと迂回するコースがあるが……どうする?」
グレースが呟く。どういうことだ、とナハトが訊ねるとイヴがこの位置から最短距離を通ろうと思うとフランベル山脈というところを通る羽目になるが遠回りの迂回路もある、と説明してくれた。ナハトは考え込む。
「普通は迂回路を通るよな?」
「普通はそうですね」
イヴが答える。ならば答えは決まった。
「よし、そのフランベル山脈を通るルートで行こう」
「ちょっと正気?」
アイネが眉をひそめる。フランベル山脈。聞くからに険しそうな道筋だ。そんな道をわざわざ好き好んで通るとは誰も思わないだろう。だからこそそちらの道を通る価値がある。
「フランベル山脈って想獣の巣窟でもあるじゃない。そんな道をわざわざ通る訳?」
「そんな道だからこそいいんだろ? ゴルドニアースのヤツらもそんな道をわざわざ通るなんて思わないさ」
「たしかに……連中に対してはいい目眩ましになるな」
アイネがに対し、ナハトが答える。グレースも頷いていた。アイネは最後まで文句をたれていたが、結局、フランベル山脈を越えるルートを通るということで話は決まった。
しかし、想獣の巣窟ともなれば予想以上に厳しい旅路になるな、という予感があった。
「想獣の巣窟か……わたしはまだ行ったことがない場所だが、腕が鳴るな!」
イーニッドは楽しそうだった。戦うことが大好きな彼女にとっては想獣の巣窟もご褒美といったところなのだろう。
「あーあ、ラグリアに来たから少しはゆっくりできると思ったんだけどな~。全く、あのラングとか言うデブのせいよ」
アイネは愚痴りに愚痴る。まぁ、たしかにナハトとしても、もう少しこの町でゆっくりできるだろうとは思っていた。
まさか町の領主がゴルドニアース傭兵団やヴァルチザン帝国と繋がっているとは夢にも思わなかった。そんなことを思っていると申し訳なさそうにドラセナがこちらを見ていた。
「みんな、ごめん。わたしのせいでこんな羽目になっちゃって……」
いきなり何を言い出すのか。目をパチクリさせてナハトはドラセナを見る。
「わたしさえいなければみんなもここでゆっくりできたのにわたしなんかがいるから……」
心底、申し訳なさそうにドラセナは言う。「何言ってんだよ」とナハトは声をかけていた。
「ドラセナは悪くないよ。悪いのはドラセナを狙うゴルドニアースの連中だ」
「そうですよ。ドラセナ様に非はありません」
ナハトとグレースはそう言ったが、ドラセナはいまだに自分を責めているようだった。その優しさはドラセナの美徳でもあるのだが、あまり気負いするのもどうかと思う。
「わたしがいるからどんどん敵が集まってくる。わたしのせいでみんなに苦労をかけている」
「だから気にするなって」
「そうだぞ! わたしは強い敵といっぱい戦えて、むしろ嬉しい!」
「いや、イーニッド、それは少し違うから……」
見当ハズレなことを言ったイーニッドに呆れつつもナハトはドラセナを見た。
「俺たちはみんな自分の意志でお前を守ろうとしているんだ。そのことを気にする必要はない」
「そう……かな……?」
「そうですよ、ドラセナさん」
ナハトに続き、イヴも声をかける。
「あまり自虐的になるのもどうかと思います。もう少し堂々としていてもいいのでは?」
「そうよ。アタシみたいに堂々としておきなさい」
「いや……お前みたいなのは一人でいいから」
アイネの言葉にナハトは突っ込みを入れる。アイネのような自分を天才と言い切ってしまう程の自信過剰者は一人で十分だった。
しかし、たしかにアイネの言うことにも一理はある。いかんせんドラセナは自分に対して自信がなさすぎるのだ。
他の人間にはない特別な能力を持った者として大きな権力の庇護下にずっといたからだろうか? もう少し自分に自信を持って積極的になってもいいのでは、と思わないでもない。無論、アイネのようになられても困るのだが。
フランベル山脈を越えて交易都市ペルトーセを目指す。大体の方針は固まったがナハトは気になることがあった。言い出すタイミングを伺っていたが、「なぁ、イヴ」と口を開く。「なんですか?」とイヴは笑顔で声を返してくる。
「俺、あのメリクリウスとかいう女に言われたんだ。俺はまだ聖桜剣を完全に使いこなせていないって……」
真剣な話題だと読み取ったのだろう。イヴも真面目な顔になって「それは仕方がないですよ」と言う。
「ナハト様はまだ聖桜剣を手にして日が浅いですし……」
「それもそうなんだけどさ。なんとか使いこなすための修行、みたいなのってないかな?」
それは聖桜剣を守ってきた一族であり、桜の勇者の従者であるというイヴへの問いかけだった。だが、イヴは困ったように言葉に詰まってしまう。
「申し訳ありません。私には思い当たることがないですね……」
「そっか……」
ガックリする。そんなナハトにアイネが「アンタねぇ」と声をかけてきた。
「幻想具を使いこなそうって言うならとにかく幻想具を使いまくることが一番に決まっているじゃない。そうすることで幻想具を手に馴染ませていくんだから」
「使いまくる……想獣を狩りまくれってことか?」
ナハトの言葉にアイネは「それも一つの手だけどね」と頷く。
「雑魚の想獣を狩ってもそこそこの経験は得られるけど、それだけじゃ足りないわ。まぁ、想獣王みたいな化け物と戦うのなら話は別でしょうけど……」
「じゃあ、どうすれば……」
ナハトの疑問にアイネは何、分かり切ったこと言ってるのよと言わんばかりの目で見る。
「模擬戦よ、模擬戦。このメンバーには幻想具使いがいっぱいいるんだから、仲間同士で訓練するのよ。アタシならいつでもアンタの相手になるわよ?」
それは全く考えたことのなかったことだった。
そうだ。この面々にはイーニッドやグレース、アイネといった強者がたくさんいる。
彼女らと戦うことで詰める経験は大きいだろう。そう思い「イーニッドやグレースも俺の相手をしてくれるのか?」と訊ねる。
「勿論だ! わたしもナハトと戦うのはいい経験になるしな!」
「まぁ、拒みはしない。ナハト殿が強くなってくれればドラセナ様を守ることに繋がるからな」
イーニッドもグレースも異論はないようだった。「もし怪我をなされても私が治しますからね」とイヴも笑う。ナハトはアイネの方を見た。
「ありがとうアイネ。そのアイディア、ありがたくいただく」
「はっ、勘違いしないでよね。別にアンタのために考えた訳じゃないんだから。旅の安全のためにアンタが強くなればアタシが助かるってだけなんだから」
方針は固まった。フランベル山脈を越えて交易都市ペルトーセを目指しつつ合間合間にイーニッドやグレース、アイネと模擬戦を行い聖桜剣を使いこなすための経験を積む。それでいいだろう。
「よし、それじゃあ、方針も決まったしペルトーセ目指して出発しよう。善は急げって言うしな」
ナハトの言葉に誰も異論はないようだった。ただ、アイネだけが、「ペルトーセか……本当にあそこに行くのね……」と彼女らしからぬ悩んでいるような顔をしたのが気にかかったが。
あれから完全に放心状態のラングを憲兵の元に連れて行き、スパイ容疑で捕縛されるラングを尻目に、事の次第を憲兵たちに説明し、逃走できず、戦いの場に見捨てられたゴルドニアース傭兵団のメンバーたちが捕縛されるのも見届けた。
それからは、もう遅い時間だったが、あいてある宿屋を探し、なんとか宿にありつけ、眠りについた。そして、今、ナハトたちは目覚めると集まって今後のための方針会議を行っていた。
「やはりラグリアからは早めに離れた方がいいでしょう」
そう言ったのはイヴだ。ドラセナがラグリアにいることがゴルドニアース傭兵団に知れ渡っており再度の襲撃も有り得るとなればごく当然の意見だった。「そうだな」とナハトは頷く。
「今日中にも出発しよう。長居は無用だ」
ナハトがそう言うと「え~~!」と声を上げた者がいた。アイネだ。
「せっかくこの町でお買い物を楽しもうと思っていたのに~、みんなで一緒に買い物するって約束だったじゃない? 行っちゃうの~?」
本気で残念がっているその様子にナハトは呆れながらも、「お前、買い物とドラセナ、どっちが大事だよ?」と訊ねる。「いや、そりゃあ、ドラセナだけど……」とアイネもバツが悪そうに答える。
「けど、この町を出たところでまた先の町で待ち伏せされるだけじゃないのか?」
そのナハトの疑問にはグレースが答えてくれた。
「このラグリアから王都クラフトシティアまでの道は一本ではない。三つの町を介して繋がっている。その内、どれか一つの町に行けば、敵もこちらがどこにいるのか特定するのは困難だろう」
「なるほどな」
グレースの言葉にナハトは頷く。そして、再び訊いた。
「じゃあ、どこの町に向かうんだ。やっぱり一番寂れているところか? そっちの方がゴルドニアースの連中も来ないだろうし……」
「寂れている町というとアドマだな。アドマを目指すのか?」
ナハトとイーニッドの言葉にイヴは首を横に振った。
「いえ、一番寂れているところを選ぶのはゴルドニアース傭兵団も予測済みでしょう。それにアドマへの道は整っていて行くのは容易いです。まずそこを目指すとゴルドニアース傭兵団は予測するはずです。ですからここは裏をかいて一番栄えている町に行きます」
なるほど。たしかに追う側の視点から見れば追われる側は人気の少ない所に行くと予想するであろう。イヴはその裏をかこうというのだ。「その一番栄えている町って?」とナハトは訊ねていた。
「交易都市ペルトーセ。アインクラフトの友好国であるリアライド王国とも繋がっている大都市です」
「このラグリアより大きいのか?」
ナハトの言葉にイヴが頷く。「ペルトーセ……」とアイネが露骨に嫌そうな顔をした。何かあるのだろうか? そう思いナハトはアイネに「どうした?」と訊ねるも僅かな沈黙の後、「……なんでもないわよ」と返される。
「しかし、ここからペルトーセに行くとなるとフランベル山脈を越えていくコースと迂回するコースがあるが……どうする?」
グレースが呟く。どういうことだ、とナハトが訊ねるとイヴがこの位置から最短距離を通ろうと思うとフランベル山脈というところを通る羽目になるが遠回りの迂回路もある、と説明してくれた。ナハトは考え込む。
「普通は迂回路を通るよな?」
「普通はそうですね」
イヴが答える。ならば答えは決まった。
「よし、そのフランベル山脈を通るルートで行こう」
「ちょっと正気?」
アイネが眉をひそめる。フランベル山脈。聞くからに険しそうな道筋だ。そんな道をわざわざ好き好んで通るとは誰も思わないだろう。だからこそそちらの道を通る価値がある。
「フランベル山脈って想獣の巣窟でもあるじゃない。そんな道をわざわざ通る訳?」
「そんな道だからこそいいんだろ? ゴルドニアースのヤツらもそんな道をわざわざ通るなんて思わないさ」
「たしかに……連中に対してはいい目眩ましになるな」
アイネがに対し、ナハトが答える。グレースも頷いていた。アイネは最後まで文句をたれていたが、結局、フランベル山脈を越えるルートを通るということで話は決まった。
しかし、想獣の巣窟ともなれば予想以上に厳しい旅路になるな、という予感があった。
「想獣の巣窟か……わたしはまだ行ったことがない場所だが、腕が鳴るな!」
イーニッドは楽しそうだった。戦うことが大好きな彼女にとっては想獣の巣窟もご褒美といったところなのだろう。
「あーあ、ラグリアに来たから少しはゆっくりできると思ったんだけどな~。全く、あのラングとか言うデブのせいよ」
アイネは愚痴りに愚痴る。まぁ、たしかにナハトとしても、もう少しこの町でゆっくりできるだろうとは思っていた。
まさか町の領主がゴルドニアース傭兵団やヴァルチザン帝国と繋がっているとは夢にも思わなかった。そんなことを思っていると申し訳なさそうにドラセナがこちらを見ていた。
「みんな、ごめん。わたしのせいでこんな羽目になっちゃって……」
いきなり何を言い出すのか。目をパチクリさせてナハトはドラセナを見る。
「わたしさえいなければみんなもここでゆっくりできたのにわたしなんかがいるから……」
心底、申し訳なさそうにドラセナは言う。「何言ってんだよ」とナハトは声をかけていた。
「ドラセナは悪くないよ。悪いのはドラセナを狙うゴルドニアースの連中だ」
「そうですよ。ドラセナ様に非はありません」
ナハトとグレースはそう言ったが、ドラセナはいまだに自分を責めているようだった。その優しさはドラセナの美徳でもあるのだが、あまり気負いするのもどうかと思う。
「わたしがいるからどんどん敵が集まってくる。わたしのせいでみんなに苦労をかけている」
「だから気にするなって」
「そうだぞ! わたしは強い敵といっぱい戦えて、むしろ嬉しい!」
「いや、イーニッド、それは少し違うから……」
見当ハズレなことを言ったイーニッドに呆れつつもナハトはドラセナを見た。
「俺たちはみんな自分の意志でお前を守ろうとしているんだ。そのことを気にする必要はない」
「そう……かな……?」
「そうですよ、ドラセナさん」
ナハトに続き、イヴも声をかける。
「あまり自虐的になるのもどうかと思います。もう少し堂々としていてもいいのでは?」
「そうよ。アタシみたいに堂々としておきなさい」
「いや……お前みたいなのは一人でいいから」
アイネの言葉にナハトは突っ込みを入れる。アイネのような自分を天才と言い切ってしまう程の自信過剰者は一人で十分だった。
しかし、たしかにアイネの言うことにも一理はある。いかんせんドラセナは自分に対して自信がなさすぎるのだ。
他の人間にはない特別な能力を持った者として大きな権力の庇護下にずっといたからだろうか? もう少し自分に自信を持って積極的になってもいいのでは、と思わないでもない。無論、アイネのようになられても困るのだが。
フランベル山脈を越えて交易都市ペルトーセを目指す。大体の方針は固まったがナハトは気になることがあった。言い出すタイミングを伺っていたが、「なぁ、イヴ」と口を開く。「なんですか?」とイヴは笑顔で声を返してくる。
「俺、あのメリクリウスとかいう女に言われたんだ。俺はまだ聖桜剣を完全に使いこなせていないって……」
真剣な話題だと読み取ったのだろう。イヴも真面目な顔になって「それは仕方がないですよ」と言う。
「ナハト様はまだ聖桜剣を手にして日が浅いですし……」
「それもそうなんだけどさ。なんとか使いこなすための修行、みたいなのってないかな?」
それは聖桜剣を守ってきた一族であり、桜の勇者の従者であるというイヴへの問いかけだった。だが、イヴは困ったように言葉に詰まってしまう。
「申し訳ありません。私には思い当たることがないですね……」
「そっか……」
ガックリする。そんなナハトにアイネが「アンタねぇ」と声をかけてきた。
「幻想具を使いこなそうって言うならとにかく幻想具を使いまくることが一番に決まっているじゃない。そうすることで幻想具を手に馴染ませていくんだから」
「使いまくる……想獣を狩りまくれってことか?」
ナハトの言葉にアイネは「それも一つの手だけどね」と頷く。
「雑魚の想獣を狩ってもそこそこの経験は得られるけど、それだけじゃ足りないわ。まぁ、想獣王みたいな化け物と戦うのなら話は別でしょうけど……」
「じゃあ、どうすれば……」
ナハトの疑問にアイネは何、分かり切ったこと言ってるのよと言わんばかりの目で見る。
「模擬戦よ、模擬戦。このメンバーには幻想具使いがいっぱいいるんだから、仲間同士で訓練するのよ。アタシならいつでもアンタの相手になるわよ?」
それは全く考えたことのなかったことだった。
そうだ。この面々にはイーニッドやグレース、アイネといった強者がたくさんいる。
彼女らと戦うことで詰める経験は大きいだろう。そう思い「イーニッドやグレースも俺の相手をしてくれるのか?」と訊ねる。
「勿論だ! わたしもナハトと戦うのはいい経験になるしな!」
「まぁ、拒みはしない。ナハト殿が強くなってくれればドラセナ様を守ることに繋がるからな」
イーニッドもグレースも異論はないようだった。「もし怪我をなされても私が治しますからね」とイヴも笑う。ナハトはアイネの方を見た。
「ありがとうアイネ。そのアイディア、ありがたくいただく」
「はっ、勘違いしないでよね。別にアンタのために考えた訳じゃないんだから。旅の安全のためにアンタが強くなればアタシが助かるってだけなんだから」
方針は固まった。フランベル山脈を越えて交易都市ペルトーセを目指しつつ合間合間にイーニッドやグレース、アイネと模擬戦を行い聖桜剣を使いこなすための経験を積む。それでいいだろう。
「よし、それじゃあ、方針も決まったしペルトーセ目指して出発しよう。善は急げって言うしな」
ナハトの言葉に誰も異論はないようだった。ただ、アイネだけが、「ペルトーセか……本当にあそこに行くのね……」と彼女らしからぬ悩んでいるような顔をしたのが気にかかったが。
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