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第38話:らーめんを食べに行こう
しおりを挟む今日は俺とリリアは鎧姿、ではない。私服姿だ。
たまには二人でらーめんでも食べて来たら? とサナに言われ、近場にあるというらーめん屋とやらを目指している所である。
さて、俺はらーめんという料理を知らない。サナの家に厄介になるようになってからその料理が出たことはなかった。
一体どんな食べ物なのか。その思いはリリアも同じようであった。
「アドニス殿、らーめんとはいかなる料理か、分かるか?」
そう問い掛けて来るが俺も初めて食べる料理だ。
「いや、俺も分からん。ただサナが言うには国民食と言っていいくらいこの国では親しまれている料理らしい」
「ほう。それなら味に期待して良さそうだな」
「ああ」
この料理水準の高い国で国民の誰もに愛されている料理となると相当美味しくなければ務まらないだろう。
その点でも期待が持てるというものだった。
サナの地図を頼りに近場にあるというらーめん屋を目指す。
目的の店はすぐに見つかった。扉を開けて中に入ると「いらっしゃいませ!」の声が一斉にかけられ、俺とリリアはドキリとする。
「二名様ですか?」
「ああ、二人だ」
「カウンター席とテーブル席、どちらが良いでしょうか?」
「かうんたー、で構わない」
流石にこの国のお店でカウンター席とテーブル席の区別くらいは付くようになっていた。
別にカウンターでも構わないだろう。リリアも異論はなさそうであった。そうして座り、メニュー表を見る。
「結構、高いな……」
安いのでも700円か。結構な高級食のようであった。
店内一番人気、と書かれたトンコツショウユらーめんとやらを俺もリリアも頼む。
1000円と少し割高であるが、一番人気であるからには味も保証済みであろう。
しばらくしてトンコツショウユらーめんとやらが運ばれてくる。
「ほう、これは……」
感動の声をリリアが漏らす。俺も目の前の料理に釘付けになる。
見るからに濃いスープに黄色い麵が入っている。野菜や海苔、たまごなども入っているがメインがこの黄色い麵であるのは確かだ。
濃いスープも美味そうであるが、そこに入った麵はさらに美味そうである。
「美味しそうだな、アドニス殿」
「そうだな。これは美味そうだ」
そんな会話をしているとスタッフの耳に止まったようだ。
「うちのラーメンは天下一品ですぜ!」
「それは頼もしい言葉だ。是非、味わわせてもらおう」
スタッフの言葉に応えオハシで麵をすくい食べる。
美味い。見るからにカロリー多めな印象を抱き、それは食べた後も変わらなかったが、美味いものは美味い。
俺とリリアは夢中になって麵をすすった。
これは確かに高値を取るだけのことはある。大した美味さだ。
俺とリリアは時折スープをれんげとやらで飲んだりしながら、あっという間にらーめんを完食してしまった。
こんなに美味い食べ物があったのか。この世界、この国の料理には驚かされてばかりだが、今回もその例にのっとって驚愕を持ってらーめんとやらを受け止めた。
会計で2000円プラスショウヒゼイを払い、店を出る。
「美味かったな、アドニス殿」
満足した顔でリリアが言う。それには俺も同意だった。あんな美味いものがあるとは。純粋な驚きだ。
「ああ、すげえ美味かった」
俺もリリアのような満足した顔をしているのであろう。
「あんなに美味いものがあるなんてな。この国の料理には驚かされてばかりだが、らーめんとやらは特に美味しかった」
「うむ。それには同意だ。しかしアドニス殿、あの料理は多少、栄養過多な所があるように感じたな」
「それは、確かに……」
心から満足しているものにケチをつけるのはなんだが、あれは多少、健康に悪い部類の料理であるだろう。
油が多すぎる印象を受けた。それが美味しさに繋がっているのだが。
「まぁ、たまに食べる分には問題ないだろう」
「そうだな。また行こう」
俺とリリアはそう言って、頷き合うとこすぷれしょっぷイスルギに戻る。サナが俺たちを出迎えた。
「おかえりなさい。どうだった、拉麺は?」
「ああ。絶品だった。あんな美味いものがあるんだな」
心からの称賛を俺は届ける。あんな美味しいもの初めて食べた。誇張でも何でもなくそれは事実だった。
「そう。それなら勧めた身としても嬉しいわ」
「ただ少し割高だったな。美味いから文句は言えんが」
「家庭用拉麺はもうちょっと割安なんだけどね」
サナは苦笑いする。家庭用らーめんだと? あの味が店ではなく家庭でも作れるというのか?
「家でも作れるのか?」
「作れるけど流石に拉麺屋のものには味は劣るわよ。インスタントラーメンとかだとね」
味は劣るというが作れるだけでも凄い。
「それならまた今度、お願いしたいな」
「栄養が偏るんだけどねぇ、まぁ、たまにならいいわよ」
俺の言葉にサナは頷く。
ともあれ、らーめん、という未知の文化に触れた一日であった。
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