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第40話:ナギサのこすぷれ披露会
しおりを挟むナギサのこすぷれ披露会とやらの日がやって来た。
今日まで時間との戦いでみしんとやらを使って衣装を作っていたサナだが、なんとか間に合わせたようだ。
傍目にはこの世界の普通の学問所の制服とあまり変わりないような服に見えるが、これも作品の中で登場人物が着ている服なのだろう。
茶髪のうぃっぐとやらを被って、準備万端の構えを見せる。
一方でルリは白いローブのようなものを纏っており、この世界のよくある服とは全く異なる雰囲気を放っている。
これぞこすぷれ、と言った感じだ。フェイフーはちゃいな服というらしい服を着て、俺とリリアはいつも通り鎧姿だ。
「佐奈、よくできてるね、それ」
「瑠璃の方こそ。大変だったでしょ」
こすぷれいやー同士、こすぷれ作りの苦労を話し合う。これもこすぷれ披露会ではよくあることのようであった。
「そろそろ渚が来るんじゃないかしら」
フェイフーがそう言ったのを合図にしたようにりむじんがやって来て、止まる。
いつものようにヒカルは既に乗っているようだ。ナギサがりむじんから出てきて、俺たちを招き入れる。
「いつもすまないわね」
サナがそう言う。気にしていないというようにナギサは笑った。
「コスプレ仲間なんですもの。気にしておりませんわ」
そう言うナギサは全身が白い独特の服を着ている。
聞けばコードゼロス 逆襲のララーシュとか言う作品のアールツーというキャラのこすぷれらしい。
緑色の長髪のウィッグまで被っていて、ぱっと見ではナギサと分からなかった。
みんなりむじんに乗り、出発する。
びるのほーるを貸し切ってのこすぷれ披露会のようであった。
この世界の常識と金銭感覚をだいぶ身に付けてきた身としてはいくらかかったんだ、と心配してしまう。
大金持ちなら問題はないのかもしれないが。
「皆さん、よくできたコスプレ姿ですわ。ですがアドニスにリリア、その鎧は凄くよく出来ていますが、たまには鎧以外のコスプレに手を出してはどうですか?」
そう言われてもこれはこすぷれではないし、これ以外のこすぷれと言われても困ってしまう。
俺とリリアは顔を見合わせ、ナギサに「まぁ、そのうちな」と曖昧な返事をするにとどめた。
りむじんは進み、びるの前で止まる。このびるのほーるでこすぷれの披露会が開かれているようであった。えれべーたーで昇っていきほーるに到着するとそこには多種多様な格好をした人々で溢れていた。
すべてなんらかのこすぷれだろう。
あいにくこの世界の文化については不勉強ゆえ、何のこすぷれなのか分からないが。
それでもサナやルリには分かるようで積極的にこすぷれいやーたちに話しかけて交流を取っている。
俺とリリアは置いてけぼりにされた感を味わうが鋼鉄製の鎧に惹かれてやって来る人も多く、俺たちはその度にこれはこすぷれではない、と言う羽目になった。
「ルリ、楽しんでいるか?」
そんな中、見知らぬこすぷれいやーとの談笑に興じていたルリが一人になった所を見計らって声をかける。俺の声にルリは満面の笑みで頷いた。
「はい、アドニスさん。このコスプレ衣装も苦労して作った甲斐があるというものです」
「なかなか本格的だからな、それ」
白いローブのような衣装はこの世界の一般的な服装とはかなり異なるものだ。
多種多様なこすぷれ姿が見れるこの会場でもルリは目立っている。
半面、サナの方は普通の学問所の制服に近いこともあって埋もれている感じだ。
「アドニスさんとリリアさんも相変わらず鎧姿が似合ってますね」
「あはは……俺たちのはこすぷれじゃないんだけどね」
笑みを浮かべたルリに苦笑を返す。この場でこすぷれではない、と言っても説得力など何もないだろうが。
「こすぷれいやー同士、会話するのはやっぱり楽しいか?」
「そうですね。どんな素材を使ったのかとか、どういう縫い方をしたのかとか、コスプレ作りの苦労を話し合うのは凄く楽しいです」
苦労を話し合うのが楽しいのか……? 少し疑問に思ったが、そういうものなのだろう。
「ははは、俺には分からない世界だな」
結局、曖昧に笑っておいた。そうしているとルリに他のこすぷれいやーが話しかけ、邪魔になっているようなので俺はルリから離れる。
多種多様なこすぷれが揃っている中では没個性気味なサナを見つけ、話しかける。
「どうだ、サナ。楽しんでいるか?」
「うーん、ミナトの服は作中でも普通の学生服だからねぇ。ちょっとチョイスを誤った感が」
「そういうものか」
分からないでもなかった。この派手なこすぷれが多くある中ではサナのこすぷれはぱっと見普通の服に見えてしまってインパクトが薄い。
「まぁ、次への反省点としておくわ」
サナはそう言い、こすぷれいやーの中に紛れていく。俺はさて、どうしたものかと思うのであった。
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