万能のアイテム屋さん あらゆる魔物・状況に対するチート級武器防具アイテムが揃う店

和美 一

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第52話:退魔の衣 その1

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 魔法を使う魔物が増えて、冒険者たちは魔法対策を練らなければならなくなった。
 女冒険者の剣士リドリーもその一人である。
 彼女は鎧を着用せずに戦う。それだけに対魔の鎧などは装備できなかった。
 自身のスピードが殺されることを恐れているのだ。
 しかし、魔法に対する備えを全く捨てる訳にもいかない。
 悩んだ末にリドリーは噂の店を訪れることにした。
 赤髪の店主がやっている王都から少し外れ、森に踏み入った所にあるという店。
 そこにはあらゆる武器防具アイテムが揃っているという。
 ならば自分でもできる魔法対策があるかもしれない。そう思ってリドリーは店の扉を開いた。

「いらっしゃい」

 赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えてくれる。ちょっと胡散臭いな、と思いつつもリドリーは要件を口にした。

「魔法に対して防御力のあるものが欲しいの」
「ほう。鎧でもいいかい?」
「鎧は嫌よ。スピードが殺されちゃうでしょ。無茶を言っているのは自覚しているけど服で何かそういうものはないかしら」
「ちょっと待ってくれ」

 店主はそう言うと店の奥に消えていく。そして、帰って来た時には一着の服を持っていた。

「この服なんかどうだい?」
「……随分、露出度の高い服ね」

 その服は肩までで肩口から先は肘から袖まで布があるだけで二の腕を晒してる。へそもまるだしで胴体部分はまるで下着のよう。下もパンツが丸見えも同然のものだった。こんな服で効果があるのか。リドリーは疑問に思う。

「こう見えて、この服には魔術的な加護が施されている。魔法に対しては抜群の防御力を発揮するよ」
「ホントでしょうね?」
「無論だとも」

 リドリーの中で疑念は消えなかったが、効果がなければ突き返しにくればいいか、とリドリーはその恥ずかしい服を買うことを決めていた。

「分かった。買うわ。いくら?」
「金貨2枚と銀貨15枚だ」

 それくらいなら出せる。リドリーは代金を払い、代わりに服を受け取る。

「毎度あり」

 そして、店を出る。改めて服を見直し、

「……やっぱり、露出度が高すぎるような……こんなんでホントに魔法に対する防御力があるんでしょうね?」

 疑惑はどんどん強まっていった。
 それでも買ったからには試して見る必要がある。

 翌日、リドリーは恥ずかしい服を着て、冒険者ギルドに行った。
 魔法を使う魔物の討伐依頼を受けるとそこに赴く。
 さて、この服は単なる痴女の代物か、戦闘用の対魔の服なのか。それを試してみるしかない。
 フクロウ型の魔物はリドリーを見ると魔法を唱えてくる。
 氷の刃が中空で作られリドリーに向かって飛ぶ。
 リドリーはそれを回避することもできたが、今回は服の魔法に対する防御力を試してみることにした。
 氷の刃がリドリーに命中……せず、直前で雲散霧消して消えた。
 リドリーも魔物も呆然となる。
 弾いた、のか? この服が? 放たれた氷の魔法を?
 我が事ながら驚くリドリーに構わずフクロウ型の魔物の群れは氷の刃を連続して放ってくる。

 しかし、それらがリドリーを傷付けることはない。
 魔法防御に長けた服が直前で魔法を弾いてしまうのだ。

「どうやらあの店主。ただのホラ吹きじゃなかったみたいね」

 リドリーはニヤリとすると剣を抜く。
 地を蹴り、フクロウ型の魔物に向かって駆け出す。

 フクロウ型の魔物たちは懲りずに氷魔法を唱えてきたがそれらは全て服が弾いて無効化してくれる。
 フクロウ型の魔物の一匹を剣で斬り捨てる。
 リドリーの剣技は一流であった。伊達に鎧の類を一切付けずにこれまで戦ってきた訳ではない。

 残った魔物たちは氷魔法でリドリーを攻撃するも、それがもはやリドリーにとって脅威ではないことは

 明白だ。構わずリドリーは突っ込み、服が氷魔法を弾き、剣を振るい、魔物たちを斬り捨てて行く。
 全ての魔物を斬り捨て、依頼を達成したリドリーは冒険者ギルドに戻り、報酬を貰う。
 そして、何か新しい依頼がないかと思って見て見ると盗賊退治の依頼が出ていた。

 しかも、その盗賊たちの中には魔法を使う者もいるという。
 まさしく今の自分にピッタリの任務でこれを受けようと思った時、声がかけられた。

「リドリー? その服はどうしたの?」

 声には驚愕が含まれている。見れば魔法使いの冒険者ナナリーがリドリーの方を見て目を丸くしている。

「こ、こう見えて魔法に対する防御力が高いのよ」
「そうなの? もしかして例のお店で買った?」
「そうね」

 知り合いにこんな服を着ている姿を見られて羞恥心を刺激されるが、使える服であることは分かったので脱ぐ気にもならない。
 ナナリーはリドリーが見ていた依頼を見ると言った。

「私もこの依頼を受けるわ。二人でやりましょう」
「ナナリーがそう言うならいいけど、大丈夫?」
「問題ないわ。私にもあのお店で買ったアイテムがあるから」

 こうして二人は盗賊討伐の依頼を受けるのだった。
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