小柄な妻を昔の友人に貸し出したら

MASAJIN

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一話 初めての貸し出し

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「今度男友達と飲みに行っても良い?」
 茹だる8月の夜、仕事中に妻ちゃんからのLINE、背中に冷たい汗が流れる。が、それを気取られないように返事を打つ。
「男友達なんていたんだ」
「昔の知り合い、今度こっちに来るから飲もうって」
「朝には帰って来てね」
「何で泊まる前提なんだよコラ♯」

 私と妻ちゃんは、とある団体で知り合い、20代のうちにすぐ結婚、10年以上経つ今でもその辺の夫婦よりは仲が良いと思っている。
 付き合った当初から体の相性は良かったが、入籍と同時に妊娠、そのまま3人の子宝にも恵まれた。
 ただ、お互い仕事や家庭、子育てと忙しく、妻ちゃんも体が弱くてすぐに体調を崩すため、夜の回数もだんだん減ってきていた。最近では月に1回しない時もあった。
 因みに妻の経験人数は私も含め3人である。

 ソワソワしながら家に帰り、妻ちゃんに詳細を訊ねると、
・相手(Aさん)は妻ちゃんの8歳年上
・同じ団体に所属していた(私と入れ替わりで退団したので面識はない)
・当時妻ちゃんは別の人と付き合っていたが、あからさまに口説かれていた
・Aさんも結婚して今は他県に住んでいる
・出張でこちらに泊まることになったので、久し振りに会おうよと連絡してきた
・最近まで誕生日や正月におめでとうLINEが来ていたらしい(全く知らなかった)

 我慢できず妻ちゃんに襲いかかる。今日は珍しく妻ちゃんも乗り気である。貪るように服を剥ぎ取り、愛撫しながら問い詰める。
「それって完全にヤリモクだよね」
「そうかな?私なんかにもう興味ないんじゃない?」
「絶対にヤリモクだよ!妻ちゃんかわいいもん」
「仮にそうだったとして、私君はどうして欲しいの?」
 妻ちゃんが挑発的な笑顔で私の顔を覗き込む。
「くっ…シて欲しいけど…誰にも触らせたくないっ!」
「どっちだよ(笑)」
 妻ちゃんは私の性癖を知っている。所謂NTRである。
 私はいつものバイブ(勿論私のモノより大きい奴)を妻ちゃんに挿入する。
「Aさんは僕のより大きいかな?こんな感じで」
「んッ、知らないよ…見たこと無いもん」
「妻ちゃんは抱かれたいの?」
 スイッチを入れ、奥をつつき回す。
「あんっ、あたしはする気は無かったけど…」
 やがて高まりを迎える。
「私君が…シて欲しいなら…抱かれてもいいよ…ンンンッッ!」
 いつもより絶頂が早い。妻ちゃんも興奮しているようだ。
 私も我慢できず、バイブを抜き挿入する。もちろんゴム付きだ。
「Aさんに口説かれていたんでしょ、どうだったの?」
「…悪くなかったよ」
「好きだったの?」
「…嫌いじゃなかった…」
 興奮と嫉妬でぐちゃぐちゃになりながら、激しく腰を打ち付ける。
「正直彼氏が居なかったら…付き合ってたかも」
 興奮しすぎたせいか、10分も経たずに果ててしまった。
「早w興奮しすぎ、冗談だよ。今は好きなのは私君だけだって」
 私にはとても冗談には聞こえなかった。

 夏の喧噪と激務の中、あっという間にその日は訪れる。
 シャワーを浴びて、いつもより少しおしゃれに着飾った妻ちゃんとソファに並んで座る。
 子供達はテレビに夢中である。
「私君のこと(性癖)Aさんに言っても良い?」
 妻ちゃんと手を繋ぎ、左手の指輪をさする。
「…いいよ」
「…いいの?帰り遅くなっちゃうかもよ」
 蝉が喧しく鳴いている。
 私はここで無理して強がってしまった。
「僕とのHの前戯だと思って行って来なよ」
 妻ちゃんがこの一言で覚悟を決めたことを、私は後で知ることとなる。

 夕方、妻ちゃんは出掛けて行った。私は考えを消し去るように、子供にご飯を作り、風呂に入れ、寝かしつける。
 布団に入り考える。大丈夫だ、妻ちゃんは生真面目で頭が固い。流石に今日は何もないだろう。せめて次の約束を取り付ける位だろう。
 そんな希望的観測を抱きながら布団でスマホを眺める。写真嫌いな妻ちゃんの数少ない画像を眺めているとLINEの通知が
「なんか連れ込まれてる」
 一気に鼓動が高まる。いてもたっても居られずリビングに駆け降りる。
 強がって「こっちは大丈夫だよ」と返事するも全然大丈夫じゃない。ウロウロしたり窓の外を覗いてみたり。
(あはは、焦った?冗談だよw)
 なんて妻ちゃんが帰ってくるんじゃないかと往生際の悪い妄想をしていると、
 妻ちゃんからの着信、しかしワン切り。
 焦って折り返すも応答なし。さっきは大丈夫なんて言った癖に「声が聞きたい」とLINEに弱音を吐くも、既読すら付かない。
 焦りと興奮と後悔とで頭はぐちゃぐちゃ。私の望んだ寝取らせなのに、さんざん妄想してきた最高の展開なのに、自分の愚息は萎えたままだ。
 そのまま数十分経った所で、妻ちゃんから着信。反射的に応答する。
「今何してるの?」
「ん~、きゅうけい?…ふふっ」
 これ以上ないくらい甘ったるい声。イライラする。
「何してたの?」
「ンフフ、さぁ?どおだろうね」
 頭がぐちゃぐちゃになって声が出ない、会話が出来ない。
 しばらくの沈黙の後、電話の向こうから
「…ン…ャン…もう」いちゃつく声
「遅くなるから…先にねてて」一方的に電話が切れる。
 この瞬間私の中で何かが壊れた。
 手も触れず、萎えたままの状態で私は射精した。
 快感もなく、せき止める事もできず、ただダラダラと、大量に流れ出て、下着を汚す。
 そのまま暫く、真っ暗なスマホの画面を眺めたままで、動けなかった。
 やっと重い体を起こして、洗面所で惨めに下着を洗っていると、また着信
「アン…やあッ…」
「何してるの」
「そこだめッ…ダメダメダメッッッ…」
「何されてるの!」
「うううン…いやぁッ」
 私の問いには全く応えない。ただ妻ちゃんの喘ぐ声。明らかに私とする時よりも激しい。
 私の息も荒くなる。
「…気持ちいい?」
「……気持ち…いいっ!」
 絞り出すような微かな声で、初めて私の問いに応える。
 そこで通話は切れる。
 私はただ「愛してる」とLINEしてその場に崩れ落ちる。
 目に涙を浮かべ、一向に勃たない萎えた愚息を握りながら。
 ただスマホのタイムラインを眺める。画面が消えてはスマホを開く。

 それから暫く、既読は付かなかった。
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