Ω〜本能で縛る愛縛〜

天海 真白

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episode2⑵

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 ………………………………………………………………………

 RISEライズライズカンパニー株式会社 
 専務取締役の執務室では携帯を眺めながら溜息を吐く専務が一人……
 その様子を内心ニヤニヤしながら、平静を装い問いかける秘書が一人…
「何か急用事でもありましたか?朝からずっとそうやって携帯ばかり眺めて…どうしたのです?誰かの連絡でも待っているのですか?」
「…………」

 ウチの専務様は質問もスルーして携帯をデスクの上に無造作に置いた。先週末のホテルの出来事が今の状態を作っているのは明白だ。あの楓さんが自室に他人を入れるなんて…

 秘書である自分ですら入り口迄しか足を踏み入れた事のない領域だ。ある意味、潔癖すぎる彼が見知らぬ他人を部屋に入れたばかりではなく、泊めたなんて…

 彼女はαのようだったが……綺麗な女性だった。世那の家系は代々獅堂家の側で仕える為に存在すると言っても過言ではない。その為、小さい頃から獅堂家の為英才教育を受けてきた。
 歳は楓より五つ上だ。だが昔からの仲なので彼の事はよく知っている。プライベートではフランクに話したりもする。獅堂楓……あの完璧なるスペック、見せかけではない。
 彼の仕事ぶりはまさに完璧主義者だ。プライベートも周りを巻き込む事なくドライに接している。まぁ、全てにおいて執着心がなく、お金も…特に女にも全く興味を示さない。

 まともに付き合った所なんて見た事がない。
 それに、Ωが大嫌いだし…何故かは分からないが毛嫌い具合が半端ない……そんな彼が一晩自分の部屋に他人を入れるなんて、何かあったに違いない。津田さんもニヤニヤしてたし……コレは何かあるかもしれない…今は口を割りそうにないので、もう少し知らぬ顔でやり過ごそう…



 世那の視線を強く感じるが無視を決め込む。それよりも…玲奈からの連絡がない…昨日家に着いたとメッセージは受け取ったが、それ以降は何も無い。午前中は何かと忙しく気にも留めていなかったが…こう…ふとした瞬間に落ち着かなくなる。こんな感情に振り回されるのは初めてだ。
 しかも昨日の今日でだ…

 ましてやΩ……俺の嫌いな…俺は交わる事のない人種だと思っていた。綾香もΩだが、薬品会社の娘でウチの会社と提携を結んでいる。薬の研究や製薬など携わっている故、報告のついでに食事をしたりする程度だ。婚約者だと周りに吹聴されていても気にならない程度に友人だ。俺に意思は無いから興味も湧かない。

 Ω……差別していると言えばそうなのかも知れないが…
 俺は不自由などした事が無い。そもそも何かが欲しいと思った事も無い。金も女も…

 女に至っては獅堂という名のブランド品を持ちたがるように寄ってきた。αだろうとΩだろうが…
 αはプライドの塊りだ。どう落とそうかと周りを巻き込み、蹴落としコチラに上目遣いで近寄ってくる。

 ……Ωは…本能を武器に近寄って来る…息苦しい異臭を放ち擦り寄ってくる。性を剥き出しにして、身体を開く…
 あの悍ましい姿は思い出すだけでも吐き気がする。Ωにとってはフェロモンかも知れないが、俺にとってはただのだ……

 ……俺にフェロモンは……

 俺はΩフェロモンに左右されない。持って産まれた特異体質だそうだ…だか、全くフェロモンが効かない訳ではない。匂いを嗅げば心拍は上昇し本能を掻き立てられる事もある…
 その場限りで相手をした事もあるが、どこに触れても感じ入り達する…前戯も何もしなくてもドロドロだ。ただ腰を振るだけ…相手も夢中で腰を振りただひたすら快楽を貪る…
 浅ましい……そう思うのは理性が俺の中にあるからだ。

 俺は本能に左右されない…この温度差故に匂いが異臭に変わり、嫌悪感を増殖させる。……反吐が出る……

 本能よりも理性が全てだ。だから異臭を放つΩを冷静に見つめ、その度に辟易していた。気持ち悪い……だから会社でも俺の周りにはオメガはいない。側に置きたいと思う事はまず無い。

 俺がフェロモンで理性が崩れた事はない……玲奈以外は…
 今まで忌み嫌い、疎ましく思っていたΩに……

 ………堕ちた………そう思った……

 玲奈のフェロモンは今まで嗅いだ事のない匂いだった…
 花の蜜のような香りに仄かに熟れた桃のような香りが交じり何とも言えない香りだった。息をする度に全身が痺れ、かき抱かずにいられなくなっていた。

 あんなに何度も抱いた事はない。ましてや自分の部屋に入れたばかりではなく一夜を共に過ごすなんて…ありえない…
 女を抱いても一夜を共にした事が無い。同じベッドで寝るなんて…今まで一度も無い…
 ホテルに部屋を取り抱いてしまえばシャワーを浴びて帰るだけ。二度抱きたいと思った奴は一人としていない…

 それに……キスをしたのも初めてだった……
 潔癖過ぎると馬鹿にされるかも知れないが他人の分泌液を自分の身体に入れる事自体あり得なかった。だから食べ物ですら、シェアして食する事は無い。

 セックスも覚えたての頃は快楽を貪る行為に興奮もしていたが、それでもキスをしたいと思った事はない…勿論、下肢の間に顔を埋めた事も無い。それにセックス自体、今ではしたいとも思わなくなっていた。仕事の方が楽しい……

 俺からしてみれば、Ωとセックスをしたという事実よりも
 キスをした事実の方が大きい。初めてキスしたいと思った…
 何の先入観もなく、ただ玲奈とキスがしたかった。

 あの甘い蜜を啜るように舐め上げた……一度口にして味わえば止まらなかった…。焦燥感にも似た思いに駆られ夢中で玲奈を味わった……下肢にも顔を寄せ、今にも弾けそうな小さな粒の包皮を舌で剥き…頬張り…舌と唇で扱いてやるとトロリと蜜が溢れ出す…甘い蜜を啜る…イッた玲奈の顔を視姦しながら……
 ……ぐちゅ、ぴちゅ、じゅるっ…あっ、んっ……

 あの淫靡な匂いや音…あのか細い玲奈の声…光景を思い出しただけで下肢に熱が溜まる…

 玲奈が欲しい…欲しくて堪らない…手に入れたい……

 別れ際、次の約束が欲しくて無茶苦茶な提案をしていた…

 『ウチの会社に来い』と……

 どうしても欲しい…まだ出会ったばかりだが、どうしようもなく、彼女に逢いたい…

 逢いたいと思えば気持ちが逸り落ち着かない……

 早く手に入れたい……さて…どう動くか……

 《 運命の番 見つかるといいねぇ~》

 ふと津田の言った言葉を思い出す……

 …運命の番……なのか?……彼女が……

 ……まさか……

 無意識のうちに携帯を手に取り、メッセージアプリを開いていた……


 昨日の今日で連絡を入れるのはマズイか……でも声だけでも聞きたい…ウチの会社の手掛ける案件に就いていると言っていたな…メッセージだけでも残そうか…

 たかが電話をするのにこんなにヤキモキした事が無い。
 どうすれば自然に連絡を取る事ができるだろう……
 逢いたくて仕方がない……仕事の合間に思い悩む程…

 楓がスマホを眺めながら考え込んでいると、世那が声を掛けてきた。
「何をそんなに携帯を睨みつけてるんです?連絡を取りたいなら取ればいいものを……そんなにあの女性が気になるのですか?っと、そんな顔して見ないで下さい。いい傾向だと思います。それに…初めて執着じみたモノを感じますし…そろそろ結婚も視野に入れて頂かないと…いい歳をして独身なんて、信頼要素とイメージに関わってきます。」
「結婚は…しない…」
 世那は片眉を上げた……
「今までこの話をすると、華麗にスルーしてきた貴方が…迷うとは…彼女…αですよね?気品に溢れてて艶と言いますか、色気もダダ漏れですね。皆が夢中になりそうだ…」

 世那は先日楓を部屋に迎えに行った時、玲奈本人を見ている。

 は?……αだと?玲奈は正真正銘のΩだ…外見は凛としていて甘えた感じは全く無いが、αである世那ですらαだと疑わない。こいつの人を見る眼は確かだ…なのに見当違いもいい所だ。

 そう言えば…玲奈はαにフェロモンを充てることが無いと言っていた。普通に過ごしている分には分からなくも無いが…だがヒートでなくても微弱ながら、それらしい匂いはある。もしかしてこいつはΩか?と疑問に思う程度は…

 何故なんだ…俺は玲奈のフェロモンに充てられたのではないのか?……いや…アレは間違いなくにやられた…全身が沸騰して骨まで溶けそうだった……

 そんな事を考え込んでいると…内線が鳴り我に返る…
 内線を取ると綾香が来ているそうだ。


 綾香が来る事をすっかり忘れていた。執務室に通すように伝えると、綾香が入って来た……入って来るなり
「楓 おはよう。体調は大丈夫?食事の後連絡したのに出ないから心配したのよ。折り返しの連絡も無かったし」

 綾香は一五五cmもない華奢な体型だ。髪はブラウンのロングで大きな目にふっくらした唇…庇護欲を擽ぐる。まぁ、オメガだろうな…と思う容姿だ…
 だか、薬の研究には熱心で言いたい事もハッキリ言う。どちらかと言えばドライだ…仕事上は……

「あぁ…すまない。ずっと寝てたんだ…」
 玲奈と……
「まぁ、心配したところで部屋には入れてくれないでしょうし…そんな事を気にしても仕方がないわ。楓の気まぐれも慣れてるし…看病してくれる人はまだ出来ないの?……まあ、楓の部屋に入る人がいるなら見てみたいわ~」
 余裕の笑みで楓を見る。

 《今まで楓に特定の人が居ないのも承知…潔癖具合も…すぐヤッて捨てられる女には目もくれない。私は誰よりも貴方を理解している。貴方には私しか居ない………

 って、思ってるんだろうなぁ~。綾香は……楓が部屋に引きずり込んだ女性がいるとも知らず……今この現状ですら彼女の事が気になって仕方ない様子だし……
 話の合間に携帯を見るのをやめない楓を見ると…綾香がある意味不憫だな……

 …と世那はこの光景に脳内で呟く…… 》


 綾香も今までの一度も部屋に入れた事はない。寝た事も勿論ない。俺の身近にいる女は綾香ぐらいだか…勘違いされかねない行動はしない。煩わしいからだ。だが……

 玲奈とは部屋でずっと一緒だった…ベッドも食事も風呂も……もっと居たいと思ってしまう程……
 ……逢いたい………

 束の間の沈黙に綾香が眉を潜める……
「楓??どうしたの?ボーッとして…珍しい…」

「いや別に…何でもない…ところで用件はなんだ?後がまだある」
「あぁ、試験薬が出来たの。オメガとの誘発剤と抑制剤…あとアルファの抑制剤…認可が下りたら臨床試験に入る予定。この前の食事の時に話そうと思ってたんだけど、無理だったから報告までに寄っただけ」
「誘発剤…そうか…」

 オメガの誘発剤…要らないと思う人もいるが、必要な人もいる。 体内のリズムが狂う人は誘発剤を用いて整えたりする。また意に反して番になってしまった人にも用いられる。
 番の契約はどちらかが亡くならない限り執行される。
 オメガはヒートが無ければ好きな人の子供を作ることが出来ない…ある意味同情する。
 オメガ性であるが故にレイプなど、残酷な事件が後を絶たない。必要不可欠なのだ。それはアルファも同義だ。オメガがヒートを起こすとアルファも理性と関係なく崩壊する。幾ら温厚なアルファでもヒートを充てられると厄介だ。意識はハッキリしているが、身体が快楽を求めてしまう…

 …番になるとヒートを充てられても理性も働くと聞くが…


 ウチの製薬会社はバース性の薬に特化した会社だ。他社でも様々な薬が出回っている中、国内シェアは一位である。
 綾香の父が営む製薬会社も我が社と提携する事によって利益を上げている。
 この新薬となる薬もそうだ。情報、技術、研究も閉鎖的では先の利益は生まない。お互いがギリギリの所で擦り合わせひとつの事に取り組んでいる。

「また臨床で結果が出たら報告するわ」

「あぁ分かった。よろしく頼む」

「それで今日夜空いてる?久々にゆっくり飲まない?」
「当分ゆっくり出来る時間かない。無理だ」
「そう、残念ね…分かった。じゃぁ、失礼するわ」
「あぁ」

 綾香が部屋から出ていくと世那は笑いを堪えて問いかける。
「今日の夜は何もなかったと思いますが…急用でも?」
「………いや…飲みに行く気分ではないだけだ」

 ふーん、素直に彼女に会いたいと言えばいいのに…
…まぁ、無理だろうなぁ~…どう接したら良いかなんて悩んでいる時点で有り得ない。いつも絶対零度のオーラを纏っている人が、急に連絡を気にしてソワソワしてるし…少年かッ‼︎

 そんな楓を見たことない世那は苦笑いを浮かべならがら、次の業務に取り掛かる。

 昨日の今日で性急過ぎるな…もう少し時間を空けてから連絡してみるか……その間に連絡が来るかもしれない…

 人に興味を持たれる事はあれど、興味を持つ事はない。
 俺に興味を持たないヤツはいない……誰であっても…

 故に客観的概念で脳内で処理した。
 ……自分が動かなくても相手が動く……と

 そう結論したところで切り替え、仕事に精を出した。

 だか……この結論が楓を変えていく……

 
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