ゾンビに噛まれて異世界で腹ペコライフ

タギリス

文字の大きさ
2 / 4

ゾンビトリップ2

しおりを挟む
「嘘だろぉぉ!!」

 墓所に雷鳴と俺の悲鳴が響き渡った。墓石に頭をぶつけてみた。

「痛ったぁぁ!!」

 俺は痛みで両手で頭を押さえて蹲った。確かに痛い。ものすごく痛い。全然夢じゃない。

 もう一度水溜りを見る。顔面蒼白で死人のような顔の俺が頭から血を流してた。
 恐る恐る首を撫でてみる。あった。ゾンビに噛まれた跡がくっきりと。
 
 確かあの時ゾンビに噛まれたんだな。それでその後
…棺の中か。
 棺にどうやって入れられたんだ。

 というか、ここどこだ?
 
 墓石の形が日本のものではない。それにさっきの男の服装は日本のものじゃなかった。なんていうかファンタジーなゲームに出てきそうな感じだった

 あの火球はなんだ?どっから出したんだ?

 目覚めてから訳がわからないことが多すぎる。ひとまず、雨宿りできる場所に行くとするか。
 

***
 少し歩くと木造の小屋が見えて来た。墓の管理小屋であろう。
 
「ごめんくださーい」

 扉をノックして中の人を呼んでみたが、返事がない。
 ドアノブを捻ってみた。鍵はかかっていないで、開いた。

「すみませーん」

 扉を少し開けて顔を入れて中の様子を見てみる。内装はファンタジーのゲームで見たことある昔の西洋風だった。
 驚くことに先程のつなぎの男が椅子に括り付けられていた。机の上には紙が置かれていた。

 紙には文字が書かれていた。が日本語ではなさそうだ。まして、今まで見たことがない文字だ。しかし、読むことができた。
 

 『これを読んでいる方へ
 これを読んでいることは俺はもうゾンビになっている頃だろう。
 もし、俺の姿を見たら殺してくれ。絶対にゾンビになるな。
 それと、書類を息子に渡してくれないか?引き出しの1番上に直したはずだ。ギルドに行けばわかると思う
 息子にがんばれっていってくれ』

「グギギギ」

 椅子に括り付けられていた男が言葉にならない呻き声を発した。
 どうやら俺がゾンビにしてしまったようだ。可哀想なことをしてしまった。でも腹が減ってたんだ。許してくれ。せめて、この紙に書いてある通り殺してあげるか。

「道具かなにかないかな?」

 流石に非力な俺の素手で殺す事はできない。スコップか何かいいものはないかな

「グギガガガガ」
 
 管理人は外を指差した。あっちにあるって事か。
外に出て小屋の周りを一周してスコップとナタを見つけた。
 あのゾンビ、まだ自我があるのか?

 スコップとナタを小屋の中に戻って帰り、一旦机の上に置いた。

「書類ってどこにあるんか?」

 ダメもとでゾンビに聞いてみた。

「グガガガ」

 ゾンビは再び指を指し示した。あそこだな。指の先にある棚の1番上の引き出しを開ける。
 大量の書類がそこにはあった。内容は墓所の名簿とか土地の権利書だった。

 『アエリタム王国管轄ー』

 どこなんだ。全く聞いたことがない国だ。ヨーロッパの小さな国だろうか。

「うーん」

 書類を見て唸る後ろで

「グギグギギ」

 そうだったな。楽にしてあげないとな。振り返るとゾンビが目前に迫っていた。自分でロープをちぎったのか!?
 
「待ってくれっ!!」

 咄嗟に叫んだ。叫んだからって何も変わらない事はわかっている。

「グギギギ」

 止まった…?ゾンビは俺に攻撃せずに立ち止まった。

「お座りっ!!」

 もしかしてだが

「グギ」
 
 ゾンビは座り込んだ。

 俺ってゾンビを操る事できるんだ。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...