ゾンビに噛まれて異世界で腹ペコライフ

タギリス

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ゾンビ街に出る2

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俺たちは町に向かった。目標は、俺の隣にいるゾンビになった管理人の息子に文書を届ける為だ。墓地の近くに村があると思ったが、そうではなかった。だから、町へは、管理人の案内を頼りにしている。

「よう、ゾンビじゃねえか。王都に行ってるのか?」

 馬車の業者から唐突に話かけられた。帽子をかぶっていて、旅人の装いをしている。首には、銀色の天秤のペンダントをしている。

「ん。そうだが。ってか何でゾンビだとわかった?」

「昼間っから傘さしている奴はゾンビ以外いないだろ?」

「この国はゾンビだらけなんか?」

「まっさか、国一杯亜人はいるが、そこまでいねえぜ」

「そんなに国中に亜人がいるのか?」

「なんだ。お前さん、この国は初めてなんか?」

「あぁ、実はさっき墓地から生まれたばっかなんだ」

「そんなことあるんか?まぁいいや。狭いが、乗って行っていいぞ。但し、商品に手をつけるなよ」

「いいのか?見ずしらずのモンスターを乗っけちゃって」

「かまわん、かまわん。カルマ様が見ているしな」

 カルマ様?この世界の宗教の神だろう。ひとまず、言葉に甘えて、荷台に乗せてもらおう。傘越しとはいえ、日差しがきつい。

「紹介が遅れたな、俺はヤイル。あちこちから、名産品を集めて、国で売りさばいている孤独の商人だ。よろしく頼むよ」

「俺はソンだ。こっちは、グルだ。よろしく」

 そういえば、管理人の名前わからないままだった。もうグルでいいや。

「ところで、お前さん達は何をしに行くんだ?」

「ギルドに行こうと思ってるんだ」

「やめといた方がいいぞ。仕事なら、俺が紹介してやってもいいぞ」

「?…ギルドって魔物退治の紹介をする場所じゃないのか?」

「昔はやっていたが、条約の後じゃぁ、害獣退治の依頼が少なくなって代わりに日雇いの仕事が増えた。クラスが低い依頼は、そりゃあ過酷らしい。亜人が受けようもんなら、二度と帰れない恐ろしい依頼が紛れていやがるらしい」

「それは、どんな害獣より恐ろしいな。で、条約ってなんだ?」

「それも知らないのか?聖魔平等条約だよ。勇者が役に立たないで国王と魔王が手を組んだんだよ」

「はあああああああああああ!?」

 思わず大声を出してしまった。なんだこの世界おかしすぎる。勇者何やってるんだよ。俺はうっすらと、魔王を倒したら、元の世界に戻れるかと思っていたが、不可能になった。てか、無理だろ。どんな勇者も相手にならないくらい強いんだろう。

「はっはっは、そりゃぁ驚くよな。百の勇者より強い王様が魔王となかよくなっちまったからな」

 ヤイルが陽気に笑ってるが、とんでもないぞこの国の王様

「そんで、世界中の戦争を王様と魔王が全部制圧しちまって、全部属国だぜ。お陰で、行商がやりやすいぜっはっはっは」

「はっはっは」

 クラクラしてきた。王様が自由奔放すぎる。だが、会ってみたいな。もしかしたら…もしかしたらな
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スパークノークス

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花雨
2021.08.15 花雨

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