これは報われない恋だ。

朝陽天満

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308、大人ヤバい、成人ヤバい

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『大人ヤバい。成人ヤバい』



 朝一、俺はヴィデロさんの腕の中でログアウトして、ヴィデロさんの腕の中でログインした。

 そして、雄太に、その言葉をチャットに乗せて、送った。



 昨日はあの後、クラッシュからのプレゼントを試してみた。

 ホットゼリーじゃなくて潤滑香油の方で解した俺の中は、すぐにトロトロになった。何あれ。痛いのが全くない。かといって感覚がマヒするわけじゃなくて、逆に感覚が研ぎ澄まされたみたいに塗られた場所が敏感になった。確かにこれは円満に挿入できるよ。ただただ気持ちよかったヤバかった。奥をぐいぐい突かれながら口に今度は固形媚薬を入れられて、2人で舌を絡めながら舐めたら、俺もヴィデロさんもアイテムの効能が効いて止まらなくなった。触られるとそれだけでイきそうになり、動かれるとそれだけで目の前が真っ白になり、それはヴィデロさんも同じような状態になったらしく、ヴィデロさんの口から洩れる喘ぎ声がとってもエロくて……余計に煽られた俺。ヤバかった。恋愛偽薬は使ってない。っていうか俺たちにはいらなそう。ただ、どんな感じなのかは試してみたいからその内ヴィデロさんと二人で飲んでみようとは思ってる。

 寝て起きても、スタミナ回復してなかった。ログアウトした後の、俺の股間もヤバかった。ホント昇天した。もう振っても何も出ないよ状態になった。二人で。

 ヴィデロさんまで寝入り間際「ごめ……身体は、起きてから……綺麗に……」なんて言ってる途中で寝ちゃったし。大人って、大人って……。



 そっと起き上がった俺は、途端に中から何かがトロッと出てきたことに気付いて、思わず赤面した。こんなことは初めてだった。いつもはちゃんと余力の残ってたヴィデロさんが拭いてくれるし、スタミナ回復とか出来ないからってどこかでセーブしてたし。でも昨日はそれを全部取っ払って暴走したからなあ。……ヴィデロさんも初めて使うって言ってたのがもう。嬉しすぎて、もう。

 横でまだ寝ているヴィデロさんを見下ろして、俺は顔をにんまりさせた。

 今日一日はヴィデロさんを独り占めできるのかと思うと、それだけで最高。



 あ、そういえばログアウトして下に行ってみたら、キッチンのダイニングテーブルの上に父さん母さんからの連名でプレゼントが置いてあった。腕時計だった。滅茶苦茶かっこよかったので、最上級のお礼をメモ用紙に残して、ありがたくもらった。



 そっとインベントリからスタミナポーションを取り出して飲む。昨日飲まされた物より全然美味しい自分作。沢山ヴィデロさんのカバンに入れておこう。

 スタミナが回復したところで、そっとヴィデロさんを跨いでベッドを降りようとした。お風呂の用意をしたかったから。

 途端に、がしっと身体が抑え込まれてヴィデロさんの腹の上に寝転がるような形で身動きが取れなくなった。



「おはようマック」

「おはようヴィデロさん。ちょっとお風呂の用意してくるね。身体を洗わないと、汚れちゃうから」



 なんて言ってる隙に、動いたせいか後ろからトロッと……。そこで零れたらヴィデロさんの上に垂れちゃうから。放して。

 ヴィデロさんも身体に何かが垂れたのに気付いたのか、布団を捲って俺たちの身体を見下ろした。 

 そして、それを指で掬って一言。



「朝から誘惑しないでくれ……」



 不可抗力だから。

 ヴィデロさんのヴィデロさんが元気になったのは、朝勃ちですかな?

 かくして俺は、お風呂場に辿り着くことが出来ずに、朝からヴィデロさんに愛されたのだった。ヴィデロさんスタミナ回復してないのに。何であんなに元気なんだ。





 そんな感じで一日いちゃいちゃしまくった俺たちは、夜、名残惜しく帰っていくヴィデロさんを見送ってから、ずっとびっくりマークがついたままだったチャット欄を開いた。



『具体例を述べよ。成人とは、大人とは』



 雄太からだった。ずっと放置してたんだよね。せっかく二人でいるんだからヴィデロさん一人を見ていたくてさ。

 今頃じれじれしてるんだろうなあ。



『クラッシュから早速エロアイテム製作頼まれた』



 使ってみたよ、なんていう報告はしない。雄太も聞きたくないだろうし。俺だって雄太の性事情なんて知りたくない。

 返事を返してから、俺は早速調薬セットを取り出した。レシピを開きながら使う素材を目で追う。



「あ、持ってない素材がある。あ、こっちのは作れる。これも大丈夫だ」



 倉庫から素材を取り出してきて、アダルトアイテムを作り始める。疑似恋愛成就薬だけは素材が足りなかったから作れないので、まずは潤滑香油から。

 普通の調薬キットで十分作れるそのレシピは思ったほど難しくはなくて、つい鼻歌を歌いながら作る。口は暇だからね。

 一回で出来た数は瓶3本分だった。鑑定をすると、最初からランクBの物が出来上がっていた。複合調薬とか上級調薬から比べるとすごく簡単だったからそんなもんかな。これ、でもランクが上がるとどうなるんだろう。ランクSが出来上がったら、クラッシュに納品しないで使ってみようかな。

 そんなことを思いながら今度は固形媚薬を作る。これはアイテムを固形にする素材も入れるから固体になるんだ。でも入れなかったら液体媚薬になるのかな。薄い茶色の液体をグルグルかき混ぜながら、物質を固体化する素材を最後に投入すると、段々と液体が硬くなっていって最後三つくらいの塊が出来た。コーヒーの飴みたいなそれを取り出して紙に包む。出来た。こっちも難しくはなかった。



 出来上がった物を工房のインベントリにしまい込んでから、寝室に向かった。

 そろそろログアウト時間だ。明日からまた学校。頑張ろう。

 ベッドに転がったところで、チャット欄にびっくりマークがついた。



『明日詳しくよろ』



 話すのはいいんだけど、学校でしていい内容の話なのかな、なんて思いながら俺はログアウトした。







 昼休み、人気のない屋上の日陰で俺達三人は頭を突き合わせていた。

 雄太が唸りながら俺を見て、次いで増田を見た。



「エロアイテム……増田、知ってたか?」

「噂には聞いてたし、掲示板にも載ってたけど、買えたことはないよ」

「え、買えないの? 俺、昨日成人の儀を受けたその足でクラッシュの所に行ったら、すぐにそれを出してこられたよ。ついでに調薬してくれって」

「何でだ。ってか、成人の儀とか律儀に受けたのかよ」



 雄太と増田が驚いたような顔をしてこっちを見ている。

 あれ、受けるもんじゃなかったの?



「俺は受けてない」

「あ、俺も。どっちでもいいのかなって思って」

「でも成人の儀を受けると『成人の儀の祝福を受けました』ってなったよ。どんな効果があるのかはわからないけど」

「ああ、それだ」



 増田がポンと手を打って目を輝かせた。



「多分その祝福が付くと、アダルトアイテムを売ってもらえるようになるんじゃないかな。俺、今日受けてこよう」



 その後は興味津々な増田に、どんなアイテムだったのかを根掘り葉掘り聞かれまくって、誤魔化すつもりだった使った感想まで言葉巧みに話させられて、身も心も消耗しながら昼休みを終えた。

 増田……その分だと、女の子の身体を堪能しまくってるよね……。しっかりと増田についてけるブレイブが素晴らしい。

 その日のうちに『成人の儀を受けてきた』というチャットメッセージを『高橋と愉快な仲間たち』の面々からいただいて、思わず苦笑した俺だった。





 カイルさんの農園から足りなかった素材を買って、疑似恋愛成就薬ランクBを作った俺は、とりあえず作った物を持ってクラッシュの店に向かった。



「クラッシュ、作ってみたけど、これも買い取ってもらえる?」

「やったもちろん! あ、でもこの薬はここでじゃなくて、こっそりと裏で買い取るようになるから。成人してない人には見せちゃいけないから出来た時は声だけかけて裏で待っててもらえる?」

「わかった。でもまだランクBだよ」

「いいじゃんいいじゃん! 割高で買い取るよ」



 クラッシュに提示された買い取り額は、なんかすごく高かった。ちなみに売値も高かった。1万ガル近くするんだよ。大人のお薬だからかな。

 誰か買うのかななんて首を傾げたら、結構需要はあるらしい。身体に害があるものじゃないから、嗜好品的な感じでたまに雰囲気を変えたい人とかが買っていくんだって。確かに、マンネリしちゃった人にはものすごく刺激的だとは思うけど。大人って。







 蘇生薬の成功率はいつの間にか80%を超えていた。

 工房に帰ってきて複合調薬のレベル上げをしようと器具を並べて何気なくセイジさんクエストを開いて確認してみたら、そんな高い数字が目に飛び込んできた。



「今作っても、8割方成功するってこと……?」



 思わず呟く。でも2割失敗するかもしれないってことか。失敗の割合がまだ高すぎる。もっと上げないとだめだ。

 気合いを入れて、複合調薬レシピを開く。素材が手元にあって作れるものをピックアップして、ひたすらそれを作った。

 集中してひたすら複合調薬をしていた俺は、いきなりアラーム音が聞こえてハッと手を止めた。

 スタミナがかなり減ってる。出来上がった『耐久値上昇薬ディフェンサーポーション』は全部で三桁に近くなっていた。素材がなくなりかけてるから、またレガロさんの所で買ってこないと。

 出来上がった物を工房のインベントリに詰め込んで、調薬器具をしまった俺は、複合調薬のレベルが2も上がってることに満足して寝室に向か……おうとして、ギィ……とキッチン奥の普段は決して開かないはずのドアが開いたことに驚いて動きを止めた。

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