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番外編5
魔大陸開墾編 7
しおりを挟む「なるほど。ハイパーポーションはこれを入れないといけないのか。これは獣人の村で売ってるんだろ?」
「そうです。ヒイロ師匠……狐の獣人がいる村で売っているので、跳ぶとしたら東からがいいかも」
「そっかサンキュ。んじゃこっちのこれは……」
質問に答えつつ、ゆっくりしている雄太たちにちらりと視線を向ける。
皆俺が用意したお茶を飲んで寛いでいる。普通に魔物が出る場所なのにあれだけ寛げるっていうのはある意味才能かもしれない。
「よっし成功!」
ハイパーポーション製作は、ルルーさんが最初に成功した。次にまんまるさん。フィットさんとトッポさんはだいぶ苦戦していて、黒い物体をせっせと製作している状態。
「なんでだ」
「多分複合調薬のレベルが低いんです。肝はそこなので」
「複合調薬かあ……俺まだ十いってない」
「レベルが上がればハイパー系も作れますから、頑張って」
頑張る、とちょっとだけがっかりしながら黒い物体をしまい込んだトッポさんはまたしても材料を出して調薬を再開した。今度はハイポーションを作るらしい。失敗より成功の方が経験値は上がるから、地道に上げることにしたみたいだ。
「マックちゃんと先生してるのね。素敵よ」
海里の横に座ってカップを手にしたサラさんが、ニコニコとそんなことを言い始めた。
「マックってほら、私の弟子のようなものじゃない? やっぱり弟子の成長は嬉しいわよね。アルも似たようなことを言っていたけれど、ようやくその心情を理解できたわ」
俺はいつサラさんの弟子になったのかな、と首を傾げつつも、出来上がったハイパーポーションを皆に配っていく。
「そろそろ中に入ってみる?」
暇そうなユイに声を掛ければ、一瞬にして目を輝かせた。
「いいの? ルルーさんたちも大丈夫?」
「俺は大満足したからおっけー。お前らもそろそろやめようか。コツはわかったし、次からは俺が教えられるから」
「おー。失敗続きで煮詰まったからぶっ放すぜぇ……!」
サッと調薬キットをしまい込んだトッポさんが腕を振り回し、その後ろでまん丸さんが今作ったばかりのハイパーポーションの試飲をする。
「あ、味が格段に違う。これ怪我してなくても飲みたいレベル」
「飲むな」
ルルーさんに止められ、まんまるさんが肩を竦める。
フィットさんは残念そうに黒い物体を見てから、それをそっとインベントリにしまった。
「あーあ、物体Xを量産してしまった。これって捨てるしかないから辛いよねえ。材料も消費するのに」
「それ俺、魔物に放り投げたことあるぜ」
雄太の一声に、愉快な仲間たちと俺以外が雄太を注視した。
「どうなったどうなった?」
ワクワクしながら声を掛けてくるまんまるさんに、雄太はニヤリと笑ってその時の状況を伝えた。
「あれな、魔物にとっては餌に見えるらしくて、戦闘中でも足を止めて食い始めるんだよ」
「え、マジ? 有効活用しちゃう?」
「それでな、状態異常が付くわけだ。『不調(弱)』とかいう」
「マジか! それ使えるじゃん!」
『副業薬師』の面々が盛り上がる。たっくさん持ってそうだからね、失敗作。
「そして…………」
「そして……?」
溜めに溜めた雄太は、一通り話を聞いているメンバーの顔を見渡すと、肩を震わせた。
「魔物のMPが回復した! 魔物の回復薬だったから足元にあると食ってたみてえ。魔物に与えるのも善し悪しだぜ。不調っつってもほんの少しだけテンション下がるくらいだから、MP回復リスクの方が高かった。諦めろ。失敗作の有効活用は未だにこのマックですら思いついてねえ!」
「なんだよおおおお、期待させんなよ!」
わはははと高笑いする雄太は、恨めしそうな視線も全く気にならずに大笑いしている。強い。主に心が。でもいまだに見つけていない失敗作の有効活用……いっそのこと肥料にでもしてみようか錬金してみようか。
『副業薬師』の皆に一回ずつ小突かれた雄太は、気を取り直して、と先頭を楽しそうに歩いている。
その横にはルルーさん。こうしてみると、本当に副業に薬師を持っているとは思えない。
俺は丁度中間くらいを歩いていて、サラさんと共に目に入る素材を教え合っている。
そろそろ俺のインベントリはいっぱいになってきていて、これ以上の採取をすると何か他の物を捨てないといけなくなるから。
建物の内部は、あまり大きな魔物は出てこなかった。
廊下を進むと現れる階段を降り、地下に潜っていく。
魔物の強さは雄太とルルーさんの二人だけで事足りる程度。
そして階段なんかには素材もなく、サラさんが笑顔で「ちょっとつまらないわね」なんて恐ろしいことを呟いている。
「力を温存しておけということだと思います」
「それにしては前衛組楽しそうよね」
俺の決死のフォローは通じず、かといって素材も魔物もない今の状態をキープしたい。
各階層のフロアは、廊下を挟んで両方に部屋が数個ある程度で階段が見つかるので、迷うこともなく、廊下で魔物に会うのはまれ。部屋に入ると部屋の中で魔物が跋扈しているけれど、雄太たちが突っ込んでいっては一瞬で屠って「いいよー」と声を上げるため、苦戦するということも全くなかった。
「んじゃ次開けるよー」
フィットさんがドアを開けると、その部屋には魔物はいなくて、かなり古ぼけた、けれど大分豪華な宝箱が置かれていた。
大きさは通常よりもかなり大きく、雄太たちの目が輝く。
「おおお! お宝の匂い!」
雄太たちが飛び出し、宝箱の前まで行く。
けれど慣れているのか、手出しはしない。
ブレイブが代表して宝箱の前に膝をつくと、「リリース」と呟いた。
途端に宝箱からバチンと音がした。
「……失敗した」
呆然とブレイブが呟く。
ブレイブ、この間Sランクの宝箱まではあけれるようになったって言ってなかったっけ。
ゴクリと喉を鳴らすと、サラさんがブレイブの肩に手を置いた。
「私に任せてくれない?」
その言葉に、サラさんが力業で宝箱を開けるんじゃないかと懸念したのは俺だけじゃないはず。
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