文字の大きさ
大
中
小
705 / 706
番外編5
魔大陸開墾編 13
『素敵。これでエリモたちをあの場所に連れていけるわ』
大きくなった羽をバッサバッサと動かし、リザの身体がふわりと浮く。
『見て! エリモ、魔法使い、陽炎! これであなたたちを乗せて進めるわ!』
初めて飛んだとは思えないスムーズな動きで、リザが三人の間をスイスイと飛び回る。
「これがリザの最終進化系か」
確実にさっきの石が最終進化促進の石だね。
スルスルと飛び回るリザをそっと掴まえて、エリモさんがそっとその背中を撫でた。
「リザ、前の姿も可愛かったがその翼もかっこいいな」
『フフフそうでしょう』
「鱗も前より綺麗だな。可愛いぞ」
『綺麗な色よね。お気に入りよ』
「俺らを乗せるために進化頑張ったのか?」
『そうよ。だって私が飛べたらあなたたちを行きたいところに連れて行けるもの』
ありがとな、と三人がリザに抱き着く。
リザは嬉しそうにそうでしょそうでしょ、と揺れている。
勝手に変な物食べさせてって怒られるかもと思ったけれど、杞憂だったことにホッとした。
ティーロイも嬉しそうに、また部屋の中を飛び始めたリザについて一緒に飛んでいる。飛行仲間が出来たことがよほどうれしそうだ。
時間は大丈夫とのことなので『リターンズ』の最近の活動内容を聞きながら皆でご飯を食べることにした。
リザは相変わらず聖水茶がお好みで、香石をガリガリとしながらお茶を飲んでいる。
皆は俺のご飯に舌鼓を打ち、ヴィデロさんの持ってきた酒で乾杯した。
実はエリモさんたち、最近ではシークレットダンジョンを攻略することに夢中らしい。
リザも大きくなって尻尾で叩いたり食べたりと充分戦力になっているようで、自分の話が出た時は心なしか誇らしげにしている。可愛い。
「それもこれも、これを手に入れてからだな」
見せてもらったのは、『蛇紋石』のついたアクセサリー。
あの、めっちゃすごいスキルが生える割にはどこにでもあるような感じで何気なく『呪術屋』で売られているアクセサリーだ。
たまたま覗いた露天商で見つけて、その露店の店主が「高く売れると思ったら誰も使えねえと騒いで売れないから」と言って捨て値で売ってくれたらしい。
確かにね。色々特定スキルを伸ばしてないと使えないよね、これ。
「誰か目の上位スキル持ってるんだね」
「目っつうか、感知系の上位スキルだな。やっぱマックは知ってたか。それと魔法使いの魔法陣魔法を組み合わせてみろってセイジに会った時に教えて貰ってようやく使えるようになったんだけどな。それまではやっぱりダメアクセだったかと思ってたくらい」
「マックは持ってねえの? 絶対持ってると思ってた。だって魔法陣魔法使ってんだろ」
「持ってないよ。だって俺一人で入っても瞬殺されて終わりだもん」
ね、と隣のヴィデロさんに同意を求めれば、ヴィデロさんは肩をゆすって笑っていた。
「俺も一緒に行きたいところだが、なかなかそうもいかないしな」
「あーあっちの大陸はな。門番さんはまだ行かない方がいいよな」
本当は仕事の内容が被らないから一緒に行動できないという意味だったんだけど、陽炎さんがしみじみそう呟いたので、訂正もしないで曖昧に微笑んでおく。
「そうそう。んで、この目を使ってて、丁度崖の所に次元の亀裂を見つけて、どうやって行けばいいか相談してたんだよ。魔法使いの転移魔法陣では崖の下の方――――に見えるさけめになんてピンポイントに跳べねえから」
「あ、だったら、ちょっとマックに手伝ってもらってあそこに入れないかな」
「マックが一緒だと心強いよな」
「シークレットダンジョンか……」
この間行ってきた錬金素材のお宝一杯の所だったらいいんだけど、と思いつつ、ヴィデロさんをちらりと見てから、頷いてくれたので「いいよ」と答える。
こうして穏やかな顔でフレンドとのやり取りを見守っていてくれるヴィデロさんは、最近包容力がものすごくて、こういう何気ない仕草の一つ一つが大人の魅力にあふれている気がする。
こうして自由に俺を遊ばせてくれるところもヴィデロさんの魅力。でも、ヴィデロさんも適度に休んで遊ぶといいと思うんだけどね。
「行きたい。待って、今準備するから」
工房に駆け込んで、必要だと思われるアイテムを次々インベントリに突っ込んでいく。
「備えあれば憂いなし」
ヴィデロさん含む皆にもハイパーポーションを数本ずつ渡すと、リザが飲みたそうに瓶をピタピタと手でたたいていて、とても可愛かった。
これからまた移動するというヴィデロさんと別れ、俺たちはソレイルの南端に移動した。
リザの光魔法で跳んでもらった。
目の前は、もう崖だった。この心境いかばかりか。
「のっけから玉ヒュン案件……」
俺の呟きに、エリモさんが噴き出した。
「下覗けるか? 丁度、見えるか見えないかのところに切れ目があるんだが」
「無理」
はっきりと首を横に振った俺に、三人は苦笑した。
「ごめん、これは流石に見れないし、俺は見えないからちゃんと跳ぶなんて無理」
「だよな。そうだよな。普通にアレ、マックも見えてると思ってた、ごめん」
崖から離れてカタカタ震える俺に、リザが元気づけるように巻き付いてくる。
そして、シュルっと離れると、ムクムクと大きくなった。
皆の前に身体を伸ばし、小さい時と変わらない円らな瞳で俺たちを見つめた。
『今度こそ乗れるの! 皆、乗って!』
リザの誇らしげな顔に、俺以外の全員が歓声を上げた。
下を見ないように陽炎さんと魔法使いさんの間に座って、リザの背中に落ち着く。
先頭のエリモさんがリザの羽を邪魔にならないように握り、その身体に俺たちが抱き着く形で、リザを宙に浮いた。
皆が乗ってるのが楽しいのか嬉しいのか、リザはノリノリで下に下っていった。一人も下に落ちなかったのが僥倖だった。
無事魔法使いさんの見えている次元の亀裂に辿り着き、皆で中に入る。
それからは『リターンズ』無双だった。
さすがというかなんというか。
シークレットダンジョンなのに皆楽勝で魔物を倒していき、何より空を飛べるようになったリザの活躍目覚ましく、俺が一度も手を出すことなく、シークレットダンジョンのボスを撃破した。
「全然力になれなかった……」
「途中の回復薬が心配ないってのはデカいよ。アイテムサンキュ」
「ほんとそれ。回復にMP回すことなく攻撃だけに使えるって最高」
「薬師はアイテム貢献してくれたらもうしっかり仲間だろ」
「嬉しいから秘蔵のアイテム出しちゃうね!」
あまりの嬉しさに最近できあがったばかりのサーチ系感度が上がる錬金アイテムを三人にあげると、三人とも「これだよ」と苦笑していた。
まだ使ったことないから効果のほどはわからないんだけどいいのかな。
ボスが撃破された場所にある宝箱に近付いて、早速陽炎さんが蓋を開ける。
すると、中にはメダルが一つ入っていた。
「ここは中央だから……『ソ、レイ』文字が古すぎて読めない」
古代魔道語レベル上げ中の魔法使いさんがひとしきり悔しがってから、俺に「読んで」と渡して来たので、そこに書かれている国名を読み上げる。
「中央の国のメダルだね」
「その『ル』って文字複雑すぎ。マックレベル何?」
「古代魔道語は最近105になったよ」
「高すぎだろ」
「なんでも読めて楽しいよ」
はい、とメダルを返すと、魔法使いさんは今度は陽炎さんたちに視線を向けた。
目で会話してから、メダルを改めて俺に見せた。
「俺ら、このメダル二枚所持してるんだ。もしマックが欲しいなら」
「俺はメダルを持つ気はないよ」
やるよ、という前に断る。
俺の所属はグランデだから。
付け足すと、三人とも妙に納得していた。
「だったら、どうする? どの国に所属する?」
「流石に戦国みたいな国取りにはならねえだろうけど、今のうちにどっかに所属するのは悪くねえよな」
「ソレイルって中央の大国だろ。もうここでいいんじゃね? 丁度これで三枚目だし」
「一枚ずつ持ってる他の国のは、じゃあセイジに売っちまってもいいな」
よし、と方針を決めたらしく、陽炎さんがメダルを所持することを俺に伝えてくれた。
「んじゃ、外に出るか」
「あ、待って、俺に魔法陣描かせて」
魔法使いさんが魔法陣を描こうとしたので、慌てて止める。
そのまま外に出たら真っ逆さまでお陀仏だからね。大丈夫だとは思うけど、もし目の前での行き来しかできない状態だったら、ヤバいからね。
一応リザの背中に座らせてもらってから、俺はさっきリザが光魔法で出てきた地点を指定して魔法陣魔法を描いた。
出てきたところは、俺の指定通りの場所だった。ホッとしてリザから降りて、足を地面につけた瞬間、ブワッと周りの空気が揺れた。
「なんだ!?」
「イベントか!?」
「魔物じゃないよな!?」
足元から湧き上がる何かを感じているのは俺だけじゃなかったらしく、三人とも動揺して武器をサッと構えていた。
けれどリザは全く動揺もなく、ゆったりとあたりを見回している。
『復活したわ』
リザが零した呟きは、状況を的確に表した言葉だった。
地面が温かい魔素で覆われ、今までのどんよりした空気は霧散した。
いくら浄化しても厚い雲で覆われていた空は、今は少しずつ光が射している。
不快な感覚だった風は爽やかになり、まるで魔大陸じゃなくてグランデの森に立っているようで。
なるほど、と納得した。
エンブレムがもたらす力は、思った以上に大きいらしい。
これはもう、人が来てもちゃんと生活を営めるレベルだ。
陽炎さんが手にしたメダルで、きっとソレイルのメダルの個数が規定値を超えたんだろうというのがわかった。
決定的瞬間を、感じてしまった。
大きくなった羽をバッサバッサと動かし、リザの身体がふわりと浮く。
『見て! エリモ、魔法使い、陽炎! これであなたたちを乗せて進めるわ!』
初めて飛んだとは思えないスムーズな動きで、リザが三人の間をスイスイと飛び回る。
「これがリザの最終進化系か」
確実にさっきの石が最終進化促進の石だね。
スルスルと飛び回るリザをそっと掴まえて、エリモさんがそっとその背中を撫でた。
「リザ、前の姿も可愛かったがその翼もかっこいいな」
『フフフそうでしょう』
「鱗も前より綺麗だな。可愛いぞ」
『綺麗な色よね。お気に入りよ』
「俺らを乗せるために進化頑張ったのか?」
『そうよ。だって私が飛べたらあなたたちを行きたいところに連れて行けるもの』
ありがとな、と三人がリザに抱き着く。
リザは嬉しそうにそうでしょそうでしょ、と揺れている。
勝手に変な物食べさせてって怒られるかもと思ったけれど、杞憂だったことにホッとした。
ティーロイも嬉しそうに、また部屋の中を飛び始めたリザについて一緒に飛んでいる。飛行仲間が出来たことがよほどうれしそうだ。
時間は大丈夫とのことなので『リターンズ』の最近の活動内容を聞きながら皆でご飯を食べることにした。
リザは相変わらず聖水茶がお好みで、香石をガリガリとしながらお茶を飲んでいる。
皆は俺のご飯に舌鼓を打ち、ヴィデロさんの持ってきた酒で乾杯した。
実はエリモさんたち、最近ではシークレットダンジョンを攻略することに夢中らしい。
リザも大きくなって尻尾で叩いたり食べたりと充分戦力になっているようで、自分の話が出た時は心なしか誇らしげにしている。可愛い。
「それもこれも、これを手に入れてからだな」
見せてもらったのは、『蛇紋石』のついたアクセサリー。
あの、めっちゃすごいスキルが生える割にはどこにでもあるような感じで何気なく『呪術屋』で売られているアクセサリーだ。
たまたま覗いた露天商で見つけて、その露店の店主が「高く売れると思ったら誰も使えねえと騒いで売れないから」と言って捨て値で売ってくれたらしい。
確かにね。色々特定スキルを伸ばしてないと使えないよね、これ。
「誰か目の上位スキル持ってるんだね」
「目っつうか、感知系の上位スキルだな。やっぱマックは知ってたか。それと魔法使いの魔法陣魔法を組み合わせてみろってセイジに会った時に教えて貰ってようやく使えるようになったんだけどな。それまではやっぱりダメアクセだったかと思ってたくらい」
「マックは持ってねえの? 絶対持ってると思ってた。だって魔法陣魔法使ってんだろ」
「持ってないよ。だって俺一人で入っても瞬殺されて終わりだもん」
ね、と隣のヴィデロさんに同意を求めれば、ヴィデロさんは肩をゆすって笑っていた。
「俺も一緒に行きたいところだが、なかなかそうもいかないしな」
「あーあっちの大陸はな。門番さんはまだ行かない方がいいよな」
本当は仕事の内容が被らないから一緒に行動できないという意味だったんだけど、陽炎さんがしみじみそう呟いたので、訂正もしないで曖昧に微笑んでおく。
「そうそう。んで、この目を使ってて、丁度崖の所に次元の亀裂を見つけて、どうやって行けばいいか相談してたんだよ。魔法使いの転移魔法陣では崖の下の方――――に見えるさけめになんてピンポイントに跳べねえから」
「あ、だったら、ちょっとマックに手伝ってもらってあそこに入れないかな」
「マックが一緒だと心強いよな」
「シークレットダンジョンか……」
この間行ってきた錬金素材のお宝一杯の所だったらいいんだけど、と思いつつ、ヴィデロさんをちらりと見てから、頷いてくれたので「いいよ」と答える。
こうして穏やかな顔でフレンドとのやり取りを見守っていてくれるヴィデロさんは、最近包容力がものすごくて、こういう何気ない仕草の一つ一つが大人の魅力にあふれている気がする。
こうして自由に俺を遊ばせてくれるところもヴィデロさんの魅力。でも、ヴィデロさんも適度に休んで遊ぶといいと思うんだけどね。
「行きたい。待って、今準備するから」
工房に駆け込んで、必要だと思われるアイテムを次々インベントリに突っ込んでいく。
「備えあれば憂いなし」
ヴィデロさん含む皆にもハイパーポーションを数本ずつ渡すと、リザが飲みたそうに瓶をピタピタと手でたたいていて、とても可愛かった。
これからまた移動するというヴィデロさんと別れ、俺たちはソレイルの南端に移動した。
リザの光魔法で跳んでもらった。
目の前は、もう崖だった。この心境いかばかりか。
「のっけから玉ヒュン案件……」
俺の呟きに、エリモさんが噴き出した。
「下覗けるか? 丁度、見えるか見えないかのところに切れ目があるんだが」
「無理」
はっきりと首を横に振った俺に、三人は苦笑した。
「ごめん、これは流石に見れないし、俺は見えないからちゃんと跳ぶなんて無理」
「だよな。そうだよな。普通にアレ、マックも見えてると思ってた、ごめん」
崖から離れてカタカタ震える俺に、リザが元気づけるように巻き付いてくる。
そして、シュルっと離れると、ムクムクと大きくなった。
皆の前に身体を伸ばし、小さい時と変わらない円らな瞳で俺たちを見つめた。
『今度こそ乗れるの! 皆、乗って!』
リザの誇らしげな顔に、俺以外の全員が歓声を上げた。
下を見ないように陽炎さんと魔法使いさんの間に座って、リザの背中に落ち着く。
先頭のエリモさんがリザの羽を邪魔にならないように握り、その身体に俺たちが抱き着く形で、リザを宙に浮いた。
皆が乗ってるのが楽しいのか嬉しいのか、リザはノリノリで下に下っていった。一人も下に落ちなかったのが僥倖だった。
無事魔法使いさんの見えている次元の亀裂に辿り着き、皆で中に入る。
それからは『リターンズ』無双だった。
さすがというかなんというか。
シークレットダンジョンなのに皆楽勝で魔物を倒していき、何より空を飛べるようになったリザの活躍目覚ましく、俺が一度も手を出すことなく、シークレットダンジョンのボスを撃破した。
「全然力になれなかった……」
「途中の回復薬が心配ないってのはデカいよ。アイテムサンキュ」
「ほんとそれ。回復にMP回すことなく攻撃だけに使えるって最高」
「薬師はアイテム貢献してくれたらもうしっかり仲間だろ」
「嬉しいから秘蔵のアイテム出しちゃうね!」
あまりの嬉しさに最近できあがったばかりのサーチ系感度が上がる錬金アイテムを三人にあげると、三人とも「これだよ」と苦笑していた。
まだ使ったことないから効果のほどはわからないんだけどいいのかな。
ボスが撃破された場所にある宝箱に近付いて、早速陽炎さんが蓋を開ける。
すると、中にはメダルが一つ入っていた。
「ここは中央だから……『ソ、レイ』文字が古すぎて読めない」
古代魔道語レベル上げ中の魔法使いさんがひとしきり悔しがってから、俺に「読んで」と渡して来たので、そこに書かれている国名を読み上げる。
「中央の国のメダルだね」
「その『ル』って文字複雑すぎ。マックレベル何?」
「古代魔道語は最近105になったよ」
「高すぎだろ」
「なんでも読めて楽しいよ」
はい、とメダルを返すと、魔法使いさんは今度は陽炎さんたちに視線を向けた。
目で会話してから、メダルを改めて俺に見せた。
「俺ら、このメダル二枚所持してるんだ。もしマックが欲しいなら」
「俺はメダルを持つ気はないよ」
やるよ、という前に断る。
俺の所属はグランデだから。
付け足すと、三人とも妙に納得していた。
「だったら、どうする? どの国に所属する?」
「流石に戦国みたいな国取りにはならねえだろうけど、今のうちにどっかに所属するのは悪くねえよな」
「ソレイルって中央の大国だろ。もうここでいいんじゃね? 丁度これで三枚目だし」
「一枚ずつ持ってる他の国のは、じゃあセイジに売っちまってもいいな」
よし、と方針を決めたらしく、陽炎さんがメダルを所持することを俺に伝えてくれた。
「んじゃ、外に出るか」
「あ、待って、俺に魔法陣描かせて」
魔法使いさんが魔法陣を描こうとしたので、慌てて止める。
そのまま外に出たら真っ逆さまでお陀仏だからね。大丈夫だとは思うけど、もし目の前での行き来しかできない状態だったら、ヤバいからね。
一応リザの背中に座らせてもらってから、俺はさっきリザが光魔法で出てきた地点を指定して魔法陣魔法を描いた。
出てきたところは、俺の指定通りの場所だった。ホッとしてリザから降りて、足を地面につけた瞬間、ブワッと周りの空気が揺れた。
「なんだ!?」
「イベントか!?」
「魔物じゃないよな!?」
足元から湧き上がる何かを感じているのは俺だけじゃなかったらしく、三人とも動揺して武器をサッと構えていた。
けれどリザは全く動揺もなく、ゆったりとあたりを見回している。
『復活したわ』
リザが零した呟きは、状況を的確に表した言葉だった。
地面が温かい魔素で覆われ、今までのどんよりした空気は霧散した。
いくら浄化しても厚い雲で覆われていた空は、今は少しずつ光が射している。
不快な感覚だった風は爽やかになり、まるで魔大陸じゃなくてグランデの森に立っているようで。
なるほど、と納得した。
エンブレムがもたらす力は、思った以上に大きいらしい。
これはもう、人が来てもちゃんと生活を営めるレベルだ。
陽炎さんが手にしたメダルで、きっとソレイルのメダルの個数が規定値を超えたんだろうというのがわかった。
決定的瞬間を、感じてしまった。
感想 555
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結済。
おまけのお話を時々更新したりしています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
ふたりの動画をつくりました!
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
表紙や動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
【8月書籍化♡】キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております)
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
【完結】悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
本編完結済です。
もっちもっち感謝祭で、リクエストいただいたお話を更新しています。
皆さまの応援のおかげで『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』書籍化、心から、ありがとうございます!
皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
表紙や動画にAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】憧れの先輩アルファに告白されたんだがどうやら罰ゲームだったらしい
ある日の放課後、校舎裏で花壇の手入れをしていた上田凛斗に告白してきたのは、憧れの先輩であり校内の人気者でもある上條蘭世だった。
目付きの悪さと暗い性格のせいで恋人どころか友達もいない凛斗は、戸惑いながらもお試しで蘭世との交際をはじめたのだが……
美形溺愛アルファ×三白眼平凡オメガ
ベータだった俺が後天性オメガになったら、幼馴染アルファがもっと過保護になりました
ごく普通のベータとして生きてきた村井圭太(むらいけいた)は、ある日突然、希少な「後天性オメガ」に転化してしまう。
不安な日々が始まる……かと思いきや、幼馴染アルファの白河泰雅(しらかわたいが)とはまさかの両思い。
早々に『番(つがい)』となり、幸せな日々を送っていた。
「オメガになっても俺は俺」と持ち前のポジティブさで新しい生活に向き合っていく圭太。
だが、晴れて番となった泰雅は、今まで以上に過保護になっていく。
どんなトラブルも二人なら大丈夫!
過保護で執着強めなスパダリ幼馴染攻め(α) × ポジティブで男前な元ベータ受け(β→Ω)
明るくて幸せいっぱいオメガバース!
私の大好きなオメガバース。
愛をたくさん詰め込んだので、みなさまにも楽しんでいただけますように。
辺境食堂の隠れΩなのに、拾った皇帝陛下が嫁になれと迫ってくる
元宮廷料理人で隠れΩの青年レオは、帝国の辺境で小さな食堂兼農園を営みながら、誰にも縛られない平穏なスローライフを送っていた。
ある日、レオは裏庭の不思議な洞窟で、血まみれになって倒れていた大柄な青年アレクを拾う。
彼の正体は、お忍びで辺境を訪れていた帝国最強のα皇帝だった。
身分を隠してレオの家に居候することになったアレクは、レオの作る絶品の手料理と、彼から漂う穏やかな香りに冷え切った心を溶かされていく。
一緒に土を耕し、美味しいご飯を分け合ううちに、相反するはずの二人のフェロモンは心地よく調和していくが、やがて帝都からの追手が迫り……。
手料理が繋ぐ心と体。身分差を越えた、最強α皇帝と隠れΩ料理人の美味しくて甘い辺境スローライフが幕を開ける!
※本作にはボーイズラブ要素およびオメガバース設定(α、β、Ωの概念やフェロモンに関する描写)が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。