最推しの義兄を愛でるため、長生きします!

朝陽天満

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御子誕生編

セドリック君の後ろをついていくことにした

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 兄様と義父と馬車で家に帰ることになった俺は、兄様の隣に座って小さな小さな王子殿下を抱くヴォルフラム陛下を思い出していた。
 もうすっかり父親の顔で、そしてミラ妃殿下の旦那さんの顔をしていた。兄様に教えて貰ったけれど、かなりの愛妻家子煩悩となっているらしい。確かに二人の雰囲気はかなり甘くほほえましくなったよねえ。

「今度は三人が並ぶお姿を絵に描きたいなあ」

 もう兄様に誤解をされるという懸念も払しょくされたから、心が晴れ晴れした俺は、にこにこと呟いた。

「それは喜ぶと思うよ。アルバが王子殿下の生誕祝いに送った絵もダイヤの間に飾ってあるんだが、かなり好評で、私のところまでこの絵を描いた者は誰だと訊きに来る者までいるくらいだ」
「ダイヤの間って……あの隣国の大使とかを通して話し合いをする場所ですよね……」

 そ、そんなところに飾られていたんだ……俺はてっきり離宮に飾ると思ってたのに。
 俺のそんな思いは顔に出ていたらしく、兄様が俺の背をゆっくりと撫でてくれた。

「ヴァルト宰相が大絶賛をしていて、アルバの絵が飾ってあるだけで格が上がると陛下を言いくるめてしまったんだよ。もしかしたらヴァルト宰相はミラ妃殿下よりも熱心なアルバのファンなんじゃないかな」
「ブルーノ君のお父さんが……そ、それは光栄ですね……? でも僕は画家じゃなくて魔術陣技師の方をしたいからな……あくまで絵は趣味なのに」

 趣味なのに高い絵の具を惜しみなく買い与えてくれる義父リスペクトだよ。

「今度の休みは魔術陣よりも三人の絵を描いてもいいかもしれないね。ステファノ殿下はすぐに大きくなってしまうから」
「そうですねえ。あっという間に大きくなってしまいますよね。どの大きさでも可愛さに変わりはないのですが」

 むしろ大きくなったことで甘えられたり拗ねられたりするのもまた可愛いよね。

「ルーナも大きくなりましたからね。でも僕たちが家にいなくて寂しいみたいですよ。普段大人びているので、我慢させちゃっているのかなって思うと胸がぎゅっとします」
「うちの子たちは全員優しいな」

 義父こそ優しい顔をして呟く。ちゃんとそのうちの子に兄様が入ってるのがとても嬉しいなと俺も義父につられて微笑んだ。

   ◇◆◇


 一年女子生徒暴走事件(?)は、セネット公爵が動いたことで一応の解決をみせた。
 俺とセドリック君が一緒に歩くことで、セネット公爵家VSサリエンテ公爵家という対立は無事回避した。
 んだけれど……

「一年の間でアルバ先輩に喧嘩を売ったら消されるっていう噂が出てます……」

 三度目の全体実習で、リリーアン嬢が言いづらそうにそう教えてくれた。
 どうやら、俺に突っかかってきたあの女子生徒たちが全員停学になったことで、そんな噂が出たらしい。
 またか、としか思わなかった。
 中等学園生の時も同じような噂が出回ったなあ……

「そっか。いいよそんなのは慣れてるし」

 あははと笑って伝えたら、すぐ近くにいたコレット嬢がさっと青くなった。

「慣れるほどに消しまくった、と……?」
「違うから」

 後ろではノア君が笑いをこらえている。
 二年生はね、俺たちが中等学園一年生の時も最終学年の氷事件も知ってるからね。
 まあ、俺がリリーアン嬢に懸想しているっていう噂はちゃんと消えたからどうでもいいよ。

「さて、今日の目標は連携攻撃なんですが」

 最初は森を歩くだけ。次は二年生の上級生のサポートで一年生が魔物を討伐、三回目が今度は全員の連携を勉強する、という目標を先生に掲げられた。
 二度目はあの女子生徒たちのせいでグダグダのまま終わってしまったけれど、今日こそはちゃんと学びたいよね。
 とはいえ、一概に連携って言われても難しいと思うんだ。

「これはもしかして、皆よりも僕が勉強しないといけないってことかな……」

 一応皆の攻撃方法なんかはわかっているからいいとして。
 レベルを上げたはずの鑑定をかけてもやっぱり人を鑑定するのは難しすぎてだめだ。

「リリーアン嬢も出来る限り魔物と対峙する方法を学んでほしいし……でも僕だけ攻撃せずに高みの見物っていうのもよくないし、たまには剣を持って先頭に立つっていう経験も……」
「絶対にやめてください」

 フレッド君が半泣きで止めてきたので、俺が剣を持って先頭に立つのは即座に却下された。

「他の班がどのように連携しているのかを見るのもまた勉強ではあるので、しばらくは他の班の人たちの観察でもしましょうか」
 
 その案はすんなりと通ったので、俺たちは比較的連携の取れそうなセドリック君たちの班をお手本にすることにした。
 後ろをついて歩くようにしていると、セドリック君がちらちらとこっちを気にしながら前を歩いている。

「あっ、もしかしてセドリック君を盾にして楽に行こうとしているとみられてしまうかも」
「大丈夫ですって。アルバ様気にしすぎ。堂々と歩けば問題ないです。他の班を見ることも勉強なんでしょ」
 
 俺の後ろ向きな意見は、ランド君が明るい声で吹き飛ばしてくれた。
 そんなことをやっている間にも、セドリック君たちは二匹のフォレストウルフにエンカウントしていた。
 セドリック君がもう一人と共に剣を構えて飛び出し、後ろにいた生徒は詠唱を始めている。一年生はちょっとだけ躊躇いながら詠唱を開始した。

「足を止めてる間に魔法を!」
「はい!」

 セドリック君が明らかに手加減している動きでウルフをけん制している間に、次々魔法が飛び、ウルフに被弾していく。
 魔法攻撃の連携練習かな。
 セドリック君の腕だったら一撃で倒しそうだもんね。

「しかも最小の指示でちゃんと皆が連携できてる。さすがセドリック君。魔法の性能もなかなかだな……セドリック君たちの動きをちゃんと考慮して飛ばしてるの上手いなあ。炎属性と水属性かな。でも一緒に飛ばすとちょっと相殺されるのがもったいないね。二匹いるなら二人は別の方に攻撃した方が魔法威力強いかも」

 すごいなあ、すごいなあ、と見物していると、ほどなく魔物たちは消えていった。
 よし、と剣を鞘に納めたセドリック君は、皆にねぎらいの言葉をかけた後、俺のところに小走りで近付いてきた。

「アルバが後ろで褒め倒すから皆が張り切っちゃって攻撃と魔法の威力がいつもより強かったよ。ありがとう。モチベーション上がるね」
「へ?」

 両手を掴まれてブンブン振られながら、セドリック君の言葉に首を傾げた。褒め倒す? 俺はただ感想を言っただけだけど。セドリック君の後ろでは、セドリック班の人たちが笑顔でうんうん頷いている。

「ただぼーっと見ているだけなのを文句言われると思いました」
「いやいや、言わないよ。教官に後ろから見られてる気分ではあったけど。無様は晒せないなって気合入った。次はアルバ達の班連携を見てもいいか?」

 お願い、と顔の前で手を合わせられたので、とりあえず皆の方を振り返った。
 皆がいいよと頷いてくれたので、オッケーを出すと、そのままなし崩し的に二班合同で動く状態になった。
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