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1巻
1-4
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(幕間)父との密談(Sideオルシス)
湯あみを終えて、自室に戻る。いつもなら着替えてゆったりとする時間だけど、僕は手に一枚の紙を持って、父上の元へ向かった。
今日は色々なことがありすぎて、身体はとても疲れている。けれど、どうしても父上に相談したいことがあったんだ。
長い廊下を抜けて、父上の執務室のドアをノックする。
「入りなさい」
確認をされることもなくそう言われて、僕は一礼してから部屋に入った。
父上を見ると、もう夜も遅いのにまだ書類にペンを走らせているところだった。
僕の姿を見ると、アルバが来る前では想像も出来ないほどの優しい笑顔が向けられる。
「オルシスはまだ寝ていなかったのかい? 今日は疲れただろう。よければ、明日時間を取るが」
「いいえ、父上。すぐにでも相談したいことがあります」
「……今日のことだね」
父上はすぐにペンを置き、僕をソファに迎えてくれた。
父上の前に腰を下ろして、アルバが描いた地図をそっと父上の方に差し出す。アルバがその存在ごと忘れていたようなので、そのまま僕が持っていたのだ。
「この地図なのですが、本当に正確なのですか?」
「メノウの森か。ちょっと待っていなさい」
僕が差し出した地図をちらりと見た父上は、そう言うとすぐに立ち上がり、奥の部屋へ入っていった。
その後ろ姿を見ながら、ぼんやりと昔を思い出す。
アルバが来る前に父をこの時間に訪ねたら、理由すら聞かずに「明日にしなさい」と素気なく部屋に帰されていたはずだ。
毎日アルバが僕への賛辞とキラキラした目を向けるのを見て感化されたのか、父上は僕への態度を変えていった。もしくはアルバに僕を褒めるという行為を強要されたから、丸くならざるを得なかったのかもしれない。
なにしろ父上は、義母上――フローロ様にベタ惚れで、その義母上にそっくりなフワッとして可愛らしい顔のアルバにはとことん弱かった。何せ、アルバの言うことは目じりを下げて、はいはい聞いていたのだから。
初めのうちはそんな父上の態度に思うところもあったけれど、義弟になったアルバはとことん父上ではなく僕を慕ってくれた。たまに父上には素気なく対応しては父上を翻弄している姿を見ると、どこかほっとした。
「兄様」と呼んでは、どこまでも純粋に僕の背を追ってくれる姿。
それを見ているうちにいつの間にか僕もアルバに絆されてしまっていた。
今はもう、アルバが来る前に感じていた寂しさはまったく感じない。亡くなった母にはなかった温かい眼差しをくれる義母と、口を開けば僕を慕っているとわかる言葉を紡いでくれるアルバのお陰だった。
アルバも義母も、隙あらば僕とのスキンシップを図ろうとする。最初は抱き締められる度に戸惑っていたけれど、今では父上も巻き込まれて、家族でのハグなど当たり前になってしまった。父上と二人で暮らしていた時にはこんな風になるとは想像もつかなかった。
「全部、アルバが来てからだ」
呟いたのと同時に、父上が地図を持って戻ってきた。なんとなく今の言葉が父上に聞こえていないかが気になったけど、どうやら聞こえていなかったようだ。
「待たせたな」
「いえ、大丈夫です」
二枚を並べてテーブルに広げると、アルバが描いた地図は、父上の持つ地図と比べてもかなり正確に描かれていることがわかった。
「道がすべて合致しますね」
「ああ。私も最初これを見た時は驚いたよ。あの子にこの地図を見せたことはなかったし、厳重に管理しているから、盗み見ることだって難しいはずだ」
「そうですよね」
正確な地図はそれ自体が国の機密であり、財産でもあるから、僕も本物の精巧な地図は今日初めて見た。アルバの描いた地図は簡易的だったけれど、地図を見たことがないとは思えないほど正しい道筋が描かれていて、そのことに少しだけ興奮し、そして少しだけ不安になった。
父上もその地図に何かを感じていたらしく、眉間には皺が刻まれていた。
「今日の出来事を一から教えてくれるかい」
父上の言葉に頷く。そしてアルバの動機は憶測でしかないけれど、と前置きしてから今日起こったことを説明した。
部屋に入ったら、アルバが荷物を持って転移の魔術陣を起動していたこと。
咄嗟に一緒に移動したら、そこがメノウの森だったこと。
アルバが持っていた地図にはありえない内容――現在ではまだ起きていない事件や物事が描かれていたこと。……僕が魔法を使ってかっこよかったと、アルバが興奮気味に説明してくれた。でも、もちろん、僕はメノウの森で魔物を退治したことなど一度もない。
「どうやって、これほどの情報を手に入れたんだろうな、アルバは」
「わかりません。けれど、この『罠破壊』と書かれている場所では僕が氷魔法で罠を次々壊したんだそうです」
「オルシスが?」
「アルバがそう言っていました。もちろん、僕はそんなことをしたことはありませんが」
僕がそう言うと、父上はさらに眉間の皺を深くし、考え込むように黙り込んだ。
その沈黙に合わせて、僕も俯く。
ありえない内容はまだある。
その筆頭が、アルバの病を治す何かが目指す先にあるとアルバが言ったことだ。
それを聞いてからの僕に、引き返すなんて選択肢はなかったけど、自分の力だけではアルバを安全にその場に連れて行ってあげられないとわかっていた。
そもそも僕はアルバを手助けする情報すら持っていなかった。だからこそ、すぐに父上に助けを求めた。
実際、アルバの指すその場に行ったときには、僕は何一つ満足に出来なかった。全て父上が采配し、アルバの求める物を見つけられたことが、悔しかった。
「父上に、きちんと説明できる情報すら持ち帰れず、申し訳ございません……」
「オルシス?」
僕の呟きに父上が顔を上げる。僕は小さく首を振った。
アルバがどうやってあそこに『ラオネン病』を治す薬草があることを知ったのか、どうして病み上がりに一人で森に行こうと思ったのか僕は知らない。
ただ、アルバは「来なきゃいけなかったんです」と、酷く大人びた顔で呟いていたから、アルバは自身の時間がもうそれほど残されていないと分かっていたのかもしれない。
そう締めくくると、父上は少しだけ目を伏せた。
年々ひどくなる発作がアルバを追い詰めていたのかと思うと、胸が痛い。
僕の誕生パーティーに起こした発作でアルバが臥せっている時、主治医が「覚悟を決めてください」と静かに僕たちに告げた言葉は、僕の胸にいまだに燻っている。
父上はまたしばらくじっと地図を見下ろしてから、ゆっくりと顔を上げた。
「『ラオネン病』に罹る子供はその魔力の多さから、通常ではありえない属性となるはずだった子供なのではないか、とごく一部の学説として唱えられている。アルバを見ていると、その説もあながち間違いではないのかもしれない、と思わざるを得ないな」
「そうですね。将来僕の表情筋が死滅してしまうと断言していましたし……」
父上のせいで僕の表情筋が死に絶えるから回避してください、と目を吊り上げていたアルバを思い出し、不意に笑いがこみ上げてくる。
言われていることはとても笑えることではないのに、その言い回しと、小さなアルバが言ったということが可笑しい。
思わず笑いを零してしまうと、父上はきまり悪そうに顔を顰めた。
「すまない。確かに、あのままオルシスとすれ違っていたら、その通りになっていたかもしれないと反省したよ。いつの間にか私が自分で嫌だったことを忘れて、オルシスに同じ気持ちを味わわせてしまうところだった」
「いいえ、もう大丈夫です。父上も義母上も、アルバも優しいですから」
「そう感じてもらえるならよかったよ」
父上は苦笑すると、手を伸ばしてテーブル越しに僕の頭を撫でた。
その手にはもうぎこちなさはない。とはいえアルバが来るまでは撫でられることもなかったから少し面映ゆい。
同時にアルバが父上の手を取り、無理やり僕の頭を父上に撫でるよう強制していたことを思い出し、笑いが深くなる。つられるように父上も顔に笑みを乗せた。
ひとしきり二人で笑い合ってから、父上は居住まいを正した。
「ああ、もしかすると、アルバの属性は『刻属性』という希少属性なのかもしれない」
「それは……」
父上の口から飛び出してきた言葉に目を見開く。
『刻属性』とは、未来や過去を見ることが出来ると言われていて、建国から今までで十数名しか確認されていない幻の属性だ。
アルバの今までの言動を見ていると確かに納得がいくかもしれない。
属性とは、必ず一つ誰でも持っている魔法適性のことだ。僕と父上、祖父は氷属性を持っており、義母上は水属性だったはず。アルバは『ラオネン病』のため、属性そのものを調べる行為が出来ていない。
だからアルバが『刻属性』である可能性は否定できないのだ。
『刻属性』は、現在、一人もいないと言われている。文献の中では、発見され次第王家に手厚く保護され、国のためにその力を惜しげなく使っていた、と記されているのを読んだことがあった。
未来を見ることが出来れば、危険を未然に防ぐことが出来るし、裁判で過去の真偽を量ることすら容易いだろう。
「では、もしアルバの属性が露呈すれば……」
「王宮が黙ってはいないだろうね。今の王家の状況では、『ラオネン病』だということを考慮されず、能力を搾取されてしまうことも、あるいは……」
「そんなこと、させません!」
父上の言葉に激高し、僕は思わず声を荒らげてしまった。
想像するだけで血の気が引く。
病に苦しめられて、一人あんな危険な森に挑もうとしていたアルバをこれ以上苦しめるなんて出来るわけがない。
脳裏に病で苦しそうなアルバや、僕を嬉しそうに見上げるアルバが過り、ぐっと手を握りしめる。
あの時アルバの部屋に行こうと思った自分を誇らしくすら思う。あの子を一人で行かせなくて本当によかった。
立ち上がってしまった僕を見て、父上が目を瞬かせている。
それから僕の手をそっと自身の大きな手で包み込んだ。
「もちろん、私もアルバを手放す気はないよ。あの子がいなかったら、我が家にはこれほどの幸せはなかった。あの子の愛情深さは宝だ。血の繋がりのないオルシスをあれほど愛してくれるなんて、父親としてはとても嬉しいと思っているよ」
父上の柔らかい声音に、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
僕は地面に引っ張られるようにして、ソファに沈み込んだ。
「そう、ですね。いつも感じています。どうしてなのかはわからないけれど」
「一度、あの子に聞いたことがあるよ。どうしてあんなにオルシスを愛しているのかと」
本音を零すと、父上は苦笑してそんなことを言い出した。
それにハッと視線を上げる。
どうしてアルバがあれだけ僕を慕ってくれているのか。
聞きたかったけど、聞いたことのなかった問いだ。答えが聞きたくて、そわそわしながら腰を下ろすと、父上が肩を揺らして笑う。
「なんて言ったと思う? 君の顔が、声が、所作が、そして性格。君の全てが理想なんだそうだよ。熱烈だね」
最後の一言は、いつもクールな父にしては茶目っ気にあふれていた。
思わず頬が熱くなって、手を当てる。父上はそんな僕を見て、楽しそうに続けた。
「最初は一目惚れだったけれど、君のことを知る度に、その知ったところを好きになっていって、深みに嵌ってしまったそうだよ。四歳児の言葉とは思えないほど熱烈に大興奮で語ってくれた。君のことを訊くとアルバはまず一時間は君のいいところを並べてくれるので、とても面白いし、オルシスのこともよくわかる。実の父である私が君のことを何も知らなかった、ということも含めてね。……あの子は君のことなら本当に細かいところまで気付くから」
頬の熱さに思わず下を向いてしまった。
落ち着かなくて、けれど今自分がどんな顔をしているのかわからなくて、両手で顔を覆う。覆った手まで熱くなっていく気がした。
くつくつと笑いながら父上の手が、僕の頭を撫でる。
「そんな可愛らしい我が子を、憶測とはいえ王家に取られるわけにはいかないだろう? オルシス、父様と手を組もう」
「……はい。僕も、アルバを取られるのは、嫌です」
零れた言葉に、父上は嬉しそうに微笑んだ。
それから、どうやってアルバを護るかという父上との話し合いは深夜まで続き、スウェンの「大概になさいませ」という言葉と共にお開きになった。
次の日、寝坊した僕にアルバがとても心配な視線を向けてきたので、もう寝坊はしないようにしようと僕は密かに心に誓ったのだった。
二、最推しともう一人の攻略対象者
「こ、ここは……」
「温室だよ。メノウの森を訪れた後に造らせたんだが、さて」
プチ家出を敢行し、兄様と義父に見つかって家族でメノウの森のお散歩をしてから、三日。
今、俺の目の前には館よりは小さめの建物と公爵家の館くらい大きな温室が鎮座している。
こういう建物って三日で建つものだっけ。
義父の腕に抱かれながら、俺は口をパカっと開けた間抜けな顔で大きな建物を見上げていた。
「中を見てみようか。土もあそこから持ってきたから、上手く根付くといいのだけれど」
そう言って温室の中に連れ込まれて、俺はさらに間抜けな顔になった。
メロンの木が数本繁っている。
それどころかあの崖を再現したような雰囲気が、その温室に再現されていた。
陽の光は天窓からのみ入るようになっていて、草もあの広い場所と同じものが生えている。
そして、たわわなメロンが一本の木に何個も生っていた。
「父様……?」
「アルバが見つけてくれた新種の植物をここに移植したんだ。もちろん、これで育たなかったら後がない……とはならないように半分程は元の所に残してあるから心配ない」
「お、お隣にあったのは?」
「隣の建物は、この植物を使った研究所だ。アルバがちゃんと大きくなれるように父様も頑張るから、アルバも協力してね」
「あい……」
義父に流れるように説明をされて、頷くしか出来なかった。
規模が違いすぎる。
ポンコツな俺のためにここまでしてくれるなんて、感動を通り越して、戸惑いしかない。
一緒に建物を見に来た兄様は既に知っていたらしく、平然とした顔をしていた。
「父様……あの、ありがとう、ございます……」
他に言葉が見つからなくてそれだけ言うと、義父はすごく綺麗な顔に柔らかい笑みを浮かべてくれた。
「今日はとりあえず、一つ試したいことがあってきたんだ。こちらへ」
抱っこされたまま温室の一画にある洒落たテーブルに案内され、椅子に腰を落ち着けると、メイドさんがすぐに俺の前に飲み物とお皿を持ってきてくれた。
「あ、実だ……」
お皿の上には丁寧に見た目よく切られたメロンの実が載っている。その実から甘い香りがフワッと漂ってきた。
両隣に座った兄様と義父は、皿に釘付けになった俺に注目しているようだ。
「まだ研究を始めたばかりだが、どうやらこの実には魔力を貯め込んで逃がさないという特性があるようだ。今も地面に置かれた魔術陣から放出された魔力がこの実に込められている」
義父の説明を聞きながら、視線を落とすと、確かにメロンの木の下には魔術陣が彫り込まれていた。同時に、そういえばゲーム内でそんな説明があったな、と思い出す。
崖から落ちて洞窟に入った主人公とオルシス様が、魔法を使ったときにその魔法を吸収してしまう新種の植物があったとかなんとか。
そうそう、夜でも魔力を蓄えて植物が優しく光り輝いていて、その光に照らされた最推しの顔がもう筆舌に尽くしがたいほどに神々しくて……って違った。今はそんなのを思い出している時間じゃない。
あの時は主人公が鑑定を使うことで植物の詳細が分かったけど、鑑定ってどうやって使うんだろう。属性魔法、ではないよね。
「父様、鑑定の魔法は使えますか」
俺が義父の袖を引いてそう訊くと、義父はへにょりと眉尻を下げた。
「父様は鑑定を使えないんだ。鑑定は『光属性』の属性魔法だから、使える人も限定されるんだよ」
「知らなかったです」
「アルバは魔法関連の勉強はしていないから仕方ないよ」
兄様に頭を撫でられて、頭を抱える。
まさかの属性魔法だった。
主人公は『光属性』だったから、鑑定が使えたのか。
オルシス様のご尊顔を拝むのに精いっぱいで忘れがちだったけど、そういえばあのアプリの趣旨って、光魔法を使える平民主人公が、国の守護宝石を復活させるために学園に入って色々な知識を身に着けて魔力を伸ばすとかそういう感じだった気がする。
本来、『光属性』持ちの血筋は王家出身の王女たちが降嫁した三家のみに引き継がれるはずだったんだけれど、主人公が光魔法を使えることが判明して、その三家の家に養子に入って学園に行く、という展開。
その三家のうちのどこの養子になるかは主人公が選んだ恋のお相手次第で、確か三家は公爵、侯爵辺りの高位貴族だったような……
どれにしても身分は申し分ないよね。うろ覚えだけれども。
そんで、誰かと卒業式に結ばれて、いざ守護宝石を復活させようっていうときに、ラブラブの相手と手に手を取って、魔力を注入。これが成功すればトゥルーエンドになるんだっけ。
俺も鑑定を使ってみたかったけれど、最推しの弟が光属性だったなんて表記はどこにもなかったから無理か。残念。
そもそも、魔法自体を使えないというか、使ったらそのまま命を削ってしまうというか。とにかく魔力が抜けるのが恐ろしく早くて、魔法どころじゃないのが『ラオネン病』の怖いところ。魔法を使ったらそのまま儚くなるやつだ。
せっかくの魔法世界、魔法をバンバン使ってみたいし、魔力自体は多いはずなのに。ほんとにポンコツな身体だ。
「父様、僕、魔法の勉強がしたいです」
せめて知識くらいは欲しくて義父を見上げると、義父は何やら痛ましいものを見るような眼つきで俺を見下ろした。
「それは難しいな。アルバは、魔法を習ったら使ってみたくならないかい?」
「え?」
「こんなに落ち着いているオルシスでさえ、三歳で初めて魔法を教わった時ははしゃいで使いまくって、魔力枯渇で倒れたくらいだよ。アルバは習っても使わずにいられるかな?」
「父上! それはもう忘れてください!」
使ってみたいかどうかで言えばそりゃ使ってみたかったけど、続いた義父の言葉ですべてが吹っ飛んだ。
義父の言葉に真っ赤になって反応する兄様が可愛すぎか!
ああ。兄様のその顔が尊すぎて尊死しそう……!
そっかあ。ショタオルシス様も、はしゃいだときがあったのかぁ。切実に見たかった。この目で見ることが出来たならもう悔いはない……! どうしてその時俺は義弟じゃなかったんだ……! まだ生まれてもいないけど!
思わず顔を両手で覆って天を仰いでいると、義父が優しく俺の頭を撫でた。
「そんなに悩むなら、やはりアルバに魔法を教えるのは難しいよ」
「え、あ、え?」
どうやら俺の苦悩は魔法を使うのか悩んでいるように見えていたらしい。
違うんです義父よ。俺は兄様のあまりの萌え顔に心臓を鷲掴みにされていたのです。
でもまあ確かに、習ったら使ってみたくなるのが人間ってものだよね。
俺だってきっと耐えられずに魔法使っちゃうもん。死にそうになるのを知っていても。
断言する。
だったら最初から教わらない方がいいのかな。でも、それも違うような。
「……それでは、せめて知識だけでも欲しいです。どの属性はどんな魔法を使えるか、とかそういうの。父様や兄様が、どんな魔法を使うのか僕も知りたいです。……魔法を使う父様はとてもかっこよかったので」
「そうか、君にそう思ってもらえるのは本当に嬉しいよ」
ポツリとそう言うと、眉尻を下げていた義父の表情が一瞬にしてデレ顔に変わった。義父も可愛い。とはいえ、やっぱり俺に魔法を学ばせる気は薄そうだ。
「光属性ではないけれど、植物の鑑定が出来る者もいずれ研究所に来る。心穏やかに過ごすんだよ、アルバ」
「はい」
ほら、食べてみて、と綺麗に切り分けられたメロンが運ばれてくる。口に入れると、ほわっと甘い味が広がった。口の中で蕩ける果肉に、頬が落ちそうになる。味もまんまメロンだった。美味しすぎか。毎日食べても絶対飽きないお味だよ。
それにしても流石公爵家。やることの規模が想像の範囲外だった。
若干メロンでごまかされた気がするけど、美味しいから何も言うことはない。
メロンを食べ終わった後は、また温室内を案内されつつ研究所の説明を受けた。
義父の作った研究所は、義父の部下から信頼のおける優秀な人たちだけを集めたらしい。
この件に関して、王宮には新しい事業に手を伸ばそうと思っているということを伝え、陛下からちゃんと許可をもらったんだって。事業の中身はあんまり詳しく書かないのが常識らしいので、新事業ということだけを伝えたそうだ。
それでいいの? と首を捻ったら恐ろしい話を教えてもらってしまった。
昔詳細まで書いた事業計画書を出したら、それを横取りされたとか真似されたとかで王宮で殺傷事件があったそうだ。
王宮内での貴族たちの殺傷事件が起きたことは、国としてとんでもない醜聞になったらしく、隣国との貿易とかまで影響が及んで、今でも痛い教訓となっているらしい。
それで、王宮への報告義務が緩和されたんだとか。
「流石に違法な事業が見つかったら捕まるし、一族が連座で処刑される可能性もある。だから王宮からの視察でいずれ査察は入るよ。アルバが心配する必要はないけどね」
「そ、そうなのですか……」
義父にニコニコと説明されても半分くらいしか理解できなかったけど、それはニコニコと説明するような内容なんだろうか。ダラダラと流れる汗をそのままに、にこやかな義父を少しだけ遠い目で見てしまった。
ということで、温室も研究所も合法的なアレで始めた義父は、早速仲のいい人物を巻き込んだらしい。
その人物は夕食にお呼ばれしていたそうで、夕食後に俺は応接間を訪れていた。
兄様の隣で、その方にご挨拶をされる。
「アルバ、こちらが父様のお友達のヴァルト侯爵だよ」
「ヴァルト……侯爵」
父が気軽に紹介してくれたのは、なんとこの国の宰相様だった。
眉間に皺を寄せて、眼鏡を光らせてこちらを見つめるその人は、流石国の中枢、と思わせる気難しそうな雰囲気を漂わせていた。
でもまさか宰相様に俺の病気を治す研究をさせるわけじゃないよね⁉
ドキドキしながら頭を下げると、義父は「実際に研究を手伝ってくれるのはこの人じゃなくて、その息子さんだけどね」と微笑んだ。
同時に、宰相様の後ろから子供が現れる。
「ブルーノ・アン・ヴァルトです」
お父さんそっくりの気難しそうな顔で挨拶したのは、なんと攻略対象者……のショタバージョンだった。
いくら属性が増えたって言っても、俺のショタ許容枠は兄様だけでいっぱいいっぱいだよ。出てこなくてもいいのに。
確かゲーム内のこの人はずっと王子を補佐して持ち上げていた気がするけど……
俺の内心を知らず、義父がさらに説明を続ける。
「研究を手伝ってもらうのはこのブルーノ君だよ。天才と名高い、とても頭のいい子なんだ」
天才って言われてたのか。義父にそう言われるってことは本当に頭がいいんだろう。
あれ、でもそうなると。
ゲーム内で発表される彼の成績は、いつも王子より下だった気がする。大抵兄様が一位を独走していて、王子が二位から五位あたりをうろうろしていて。それに合わせるようにブルーノも上下していた。
あのテスト成績だけは、毎回攻略対象者全員の名前が出るから覚えている。
もちろん自分で付けた主人公の名前も載るし、攻略対象者より上の成績になると好感度が上がる仕組みだったから、最推しの上に行くために座学だけは必死でやっていた。
それなのに、義父に天才と言わしめるとは。
「兄様よりも天才なの?」
最推しはこの人に負けたことがないよ。
そんな思いを乗せて義父に質問すると、義父は「さすがに比べたことがないな」と笑った。
「アルバ、ブルーノ殿はね、僕がとても苦労した本をわずか数時間で読破したらしいよ。噂ではほんの些細なことでも覚えているのだとか。僕はそんなことは出来ないから、比べてはいけないよ」
にこ、と笑ってくれる兄様への思慕の気持ちが溢れ出て、俺は思わず兄様に抱きついてしまった。お客様の前ではしたないと気付いてももう遅い。
恐る恐る顔を上げて宰相様を見上げると、宰相様は何も言わずに眼鏡をくいっとしていた。
「じゃあアルバ。父様はお友達と話があるから」
兄様にくっついている俺の頭をひとつ撫でると、義父は宰相様を伴って応接間を出ていった。改めて、三人の子供でソファに腰掛ける。ブルーノ君はテーブルを挟んで向かいに座り、俺は大きめのソファに兄様と二人で座ることになった。
子供たちだけでおやつタイム。
でも目の前に出されたお菓子に誰一人手を付けない。
義父か兄様が食べていいよって言うまで、俺は手を伸ばしちゃいけないと教わったから。
でも正直お菓子よりも今この腕の中にある兄様の方が魅力は上なので、全然まったく問題ない。
「ブルーノ殿、どうぞ召し上がれ」
「ありがとうございます。ではいただきます」
ブルーノ君が兄様にとても丁寧に返事をすると、メイドさんがそっとやってきてお皿にお菓子を取り分けてくれた。
ブルーノ君が上品にお菓子を口に運ぶ。
その後に兄様は身体を屈めてお菓子を手に取ると、くっついている俺の目の前にそれを差し出してくれた。
「アルバ、食べよう。我慢できて偉いね」
「兄様」
にこ、と笑ってあーんする兄様に、それだけで胸いっぱいになる。
食べるけどね。兄様自らあーんしてくれた貴重な菓子、味わって食べるけどね!
兄様にくっつきながらあーんしてもらっているこの現状、よく考えたら天国だよね! 俺昇天しちゃったのかなってチラッと考えちゃうよね!
「オルシス殿は、弟君とずいぶん仲が良いのですね」
「そうかな?」
「ええ、父からは色々と伺っていたのですが……聞くのと見るのでは大違いですね」
「兄様は、とても格好いいのです!」
「そうだね、君を見るオルシス殿はすごく優しい顔で……」
兄様の布教チャンス! とばかりに割って入ると、ブルーノ君がふわっと笑ってくれた。え、優しい。はわ……と口に手を当てると、ブルーノ君は慌てたように敬語が外れたことを謝ったけど、違うそうじゃない。
俺まで慌てていると、兄様がさらっとフォローを入れてくれて、それから互いにため口で話すようになった。
湯あみを終えて、自室に戻る。いつもなら着替えてゆったりとする時間だけど、僕は手に一枚の紙を持って、父上の元へ向かった。
今日は色々なことがありすぎて、身体はとても疲れている。けれど、どうしても父上に相談したいことがあったんだ。
長い廊下を抜けて、父上の執務室のドアをノックする。
「入りなさい」
確認をされることもなくそう言われて、僕は一礼してから部屋に入った。
父上を見ると、もう夜も遅いのにまだ書類にペンを走らせているところだった。
僕の姿を見ると、アルバが来る前では想像も出来ないほどの優しい笑顔が向けられる。
「オルシスはまだ寝ていなかったのかい? 今日は疲れただろう。よければ、明日時間を取るが」
「いいえ、父上。すぐにでも相談したいことがあります」
「……今日のことだね」
父上はすぐにペンを置き、僕をソファに迎えてくれた。
父上の前に腰を下ろして、アルバが描いた地図をそっと父上の方に差し出す。アルバがその存在ごと忘れていたようなので、そのまま僕が持っていたのだ。
「この地図なのですが、本当に正確なのですか?」
「メノウの森か。ちょっと待っていなさい」
僕が差し出した地図をちらりと見た父上は、そう言うとすぐに立ち上がり、奥の部屋へ入っていった。
その後ろ姿を見ながら、ぼんやりと昔を思い出す。
アルバが来る前に父をこの時間に訪ねたら、理由すら聞かずに「明日にしなさい」と素気なく部屋に帰されていたはずだ。
毎日アルバが僕への賛辞とキラキラした目を向けるのを見て感化されたのか、父上は僕への態度を変えていった。もしくはアルバに僕を褒めるという行為を強要されたから、丸くならざるを得なかったのかもしれない。
なにしろ父上は、義母上――フローロ様にベタ惚れで、その義母上にそっくりなフワッとして可愛らしい顔のアルバにはとことん弱かった。何せ、アルバの言うことは目じりを下げて、はいはい聞いていたのだから。
初めのうちはそんな父上の態度に思うところもあったけれど、義弟になったアルバはとことん父上ではなく僕を慕ってくれた。たまに父上には素気なく対応しては父上を翻弄している姿を見ると、どこかほっとした。
「兄様」と呼んでは、どこまでも純粋に僕の背を追ってくれる姿。
それを見ているうちにいつの間にか僕もアルバに絆されてしまっていた。
今はもう、アルバが来る前に感じていた寂しさはまったく感じない。亡くなった母にはなかった温かい眼差しをくれる義母と、口を開けば僕を慕っているとわかる言葉を紡いでくれるアルバのお陰だった。
アルバも義母も、隙あらば僕とのスキンシップを図ろうとする。最初は抱き締められる度に戸惑っていたけれど、今では父上も巻き込まれて、家族でのハグなど当たり前になってしまった。父上と二人で暮らしていた時にはこんな風になるとは想像もつかなかった。
「全部、アルバが来てからだ」
呟いたのと同時に、父上が地図を持って戻ってきた。なんとなく今の言葉が父上に聞こえていないかが気になったけど、どうやら聞こえていなかったようだ。
「待たせたな」
「いえ、大丈夫です」
二枚を並べてテーブルに広げると、アルバが描いた地図は、父上の持つ地図と比べてもかなり正確に描かれていることがわかった。
「道がすべて合致しますね」
「ああ。私も最初これを見た時は驚いたよ。あの子にこの地図を見せたことはなかったし、厳重に管理しているから、盗み見ることだって難しいはずだ」
「そうですよね」
正確な地図はそれ自体が国の機密であり、財産でもあるから、僕も本物の精巧な地図は今日初めて見た。アルバの描いた地図は簡易的だったけれど、地図を見たことがないとは思えないほど正しい道筋が描かれていて、そのことに少しだけ興奮し、そして少しだけ不安になった。
父上もその地図に何かを感じていたらしく、眉間には皺が刻まれていた。
「今日の出来事を一から教えてくれるかい」
父上の言葉に頷く。そしてアルバの動機は憶測でしかないけれど、と前置きしてから今日起こったことを説明した。
部屋に入ったら、アルバが荷物を持って転移の魔術陣を起動していたこと。
咄嗟に一緒に移動したら、そこがメノウの森だったこと。
アルバが持っていた地図にはありえない内容――現在ではまだ起きていない事件や物事が描かれていたこと。……僕が魔法を使ってかっこよかったと、アルバが興奮気味に説明してくれた。でも、もちろん、僕はメノウの森で魔物を退治したことなど一度もない。
「どうやって、これほどの情報を手に入れたんだろうな、アルバは」
「わかりません。けれど、この『罠破壊』と書かれている場所では僕が氷魔法で罠を次々壊したんだそうです」
「オルシスが?」
「アルバがそう言っていました。もちろん、僕はそんなことをしたことはありませんが」
僕がそう言うと、父上はさらに眉間の皺を深くし、考え込むように黙り込んだ。
その沈黙に合わせて、僕も俯く。
ありえない内容はまだある。
その筆頭が、アルバの病を治す何かが目指す先にあるとアルバが言ったことだ。
それを聞いてからの僕に、引き返すなんて選択肢はなかったけど、自分の力だけではアルバを安全にその場に連れて行ってあげられないとわかっていた。
そもそも僕はアルバを手助けする情報すら持っていなかった。だからこそ、すぐに父上に助けを求めた。
実際、アルバの指すその場に行ったときには、僕は何一つ満足に出来なかった。全て父上が采配し、アルバの求める物を見つけられたことが、悔しかった。
「父上に、きちんと説明できる情報すら持ち帰れず、申し訳ございません……」
「オルシス?」
僕の呟きに父上が顔を上げる。僕は小さく首を振った。
アルバがどうやってあそこに『ラオネン病』を治す薬草があることを知ったのか、どうして病み上がりに一人で森に行こうと思ったのか僕は知らない。
ただ、アルバは「来なきゃいけなかったんです」と、酷く大人びた顔で呟いていたから、アルバは自身の時間がもうそれほど残されていないと分かっていたのかもしれない。
そう締めくくると、父上は少しだけ目を伏せた。
年々ひどくなる発作がアルバを追い詰めていたのかと思うと、胸が痛い。
僕の誕生パーティーに起こした発作でアルバが臥せっている時、主治医が「覚悟を決めてください」と静かに僕たちに告げた言葉は、僕の胸にいまだに燻っている。
父上はまたしばらくじっと地図を見下ろしてから、ゆっくりと顔を上げた。
「『ラオネン病』に罹る子供はその魔力の多さから、通常ではありえない属性となるはずだった子供なのではないか、とごく一部の学説として唱えられている。アルバを見ていると、その説もあながち間違いではないのかもしれない、と思わざるを得ないな」
「そうですね。将来僕の表情筋が死滅してしまうと断言していましたし……」
父上のせいで僕の表情筋が死に絶えるから回避してください、と目を吊り上げていたアルバを思い出し、不意に笑いがこみ上げてくる。
言われていることはとても笑えることではないのに、その言い回しと、小さなアルバが言ったということが可笑しい。
思わず笑いを零してしまうと、父上はきまり悪そうに顔を顰めた。
「すまない。確かに、あのままオルシスとすれ違っていたら、その通りになっていたかもしれないと反省したよ。いつの間にか私が自分で嫌だったことを忘れて、オルシスに同じ気持ちを味わわせてしまうところだった」
「いいえ、もう大丈夫です。父上も義母上も、アルバも優しいですから」
「そう感じてもらえるならよかったよ」
父上は苦笑すると、手を伸ばしてテーブル越しに僕の頭を撫でた。
その手にはもうぎこちなさはない。とはいえアルバが来るまでは撫でられることもなかったから少し面映ゆい。
同時にアルバが父上の手を取り、無理やり僕の頭を父上に撫でるよう強制していたことを思い出し、笑いが深くなる。つられるように父上も顔に笑みを乗せた。
ひとしきり二人で笑い合ってから、父上は居住まいを正した。
「ああ、もしかすると、アルバの属性は『刻属性』という希少属性なのかもしれない」
「それは……」
父上の口から飛び出してきた言葉に目を見開く。
『刻属性』とは、未来や過去を見ることが出来ると言われていて、建国から今までで十数名しか確認されていない幻の属性だ。
アルバの今までの言動を見ていると確かに納得がいくかもしれない。
属性とは、必ず一つ誰でも持っている魔法適性のことだ。僕と父上、祖父は氷属性を持っており、義母上は水属性だったはず。アルバは『ラオネン病』のため、属性そのものを調べる行為が出来ていない。
だからアルバが『刻属性』である可能性は否定できないのだ。
『刻属性』は、現在、一人もいないと言われている。文献の中では、発見され次第王家に手厚く保護され、国のためにその力を惜しげなく使っていた、と記されているのを読んだことがあった。
未来を見ることが出来れば、危険を未然に防ぐことが出来るし、裁判で過去の真偽を量ることすら容易いだろう。
「では、もしアルバの属性が露呈すれば……」
「王宮が黙ってはいないだろうね。今の王家の状況では、『ラオネン病』だということを考慮されず、能力を搾取されてしまうことも、あるいは……」
「そんなこと、させません!」
父上の言葉に激高し、僕は思わず声を荒らげてしまった。
想像するだけで血の気が引く。
病に苦しめられて、一人あんな危険な森に挑もうとしていたアルバをこれ以上苦しめるなんて出来るわけがない。
脳裏に病で苦しそうなアルバや、僕を嬉しそうに見上げるアルバが過り、ぐっと手を握りしめる。
あの時アルバの部屋に行こうと思った自分を誇らしくすら思う。あの子を一人で行かせなくて本当によかった。
立ち上がってしまった僕を見て、父上が目を瞬かせている。
それから僕の手をそっと自身の大きな手で包み込んだ。
「もちろん、私もアルバを手放す気はないよ。あの子がいなかったら、我が家にはこれほどの幸せはなかった。あの子の愛情深さは宝だ。血の繋がりのないオルシスをあれほど愛してくれるなんて、父親としてはとても嬉しいと思っているよ」
父上の柔らかい声音に、少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
僕は地面に引っ張られるようにして、ソファに沈み込んだ。
「そう、ですね。いつも感じています。どうしてなのかはわからないけれど」
「一度、あの子に聞いたことがあるよ。どうしてあんなにオルシスを愛しているのかと」
本音を零すと、父上は苦笑してそんなことを言い出した。
それにハッと視線を上げる。
どうしてアルバがあれだけ僕を慕ってくれているのか。
聞きたかったけど、聞いたことのなかった問いだ。答えが聞きたくて、そわそわしながら腰を下ろすと、父上が肩を揺らして笑う。
「なんて言ったと思う? 君の顔が、声が、所作が、そして性格。君の全てが理想なんだそうだよ。熱烈だね」
最後の一言は、いつもクールな父にしては茶目っ気にあふれていた。
思わず頬が熱くなって、手を当てる。父上はそんな僕を見て、楽しそうに続けた。
「最初は一目惚れだったけれど、君のことを知る度に、その知ったところを好きになっていって、深みに嵌ってしまったそうだよ。四歳児の言葉とは思えないほど熱烈に大興奮で語ってくれた。君のことを訊くとアルバはまず一時間は君のいいところを並べてくれるので、とても面白いし、オルシスのこともよくわかる。実の父である私が君のことを何も知らなかった、ということも含めてね。……あの子は君のことなら本当に細かいところまで気付くから」
頬の熱さに思わず下を向いてしまった。
落ち着かなくて、けれど今自分がどんな顔をしているのかわからなくて、両手で顔を覆う。覆った手まで熱くなっていく気がした。
くつくつと笑いながら父上の手が、僕の頭を撫でる。
「そんな可愛らしい我が子を、憶測とはいえ王家に取られるわけにはいかないだろう? オルシス、父様と手を組もう」
「……はい。僕も、アルバを取られるのは、嫌です」
零れた言葉に、父上は嬉しそうに微笑んだ。
それから、どうやってアルバを護るかという父上との話し合いは深夜まで続き、スウェンの「大概になさいませ」という言葉と共にお開きになった。
次の日、寝坊した僕にアルバがとても心配な視線を向けてきたので、もう寝坊はしないようにしようと僕は密かに心に誓ったのだった。
二、最推しともう一人の攻略対象者
「こ、ここは……」
「温室だよ。メノウの森を訪れた後に造らせたんだが、さて」
プチ家出を敢行し、兄様と義父に見つかって家族でメノウの森のお散歩をしてから、三日。
今、俺の目の前には館よりは小さめの建物と公爵家の館くらい大きな温室が鎮座している。
こういう建物って三日で建つものだっけ。
義父の腕に抱かれながら、俺は口をパカっと開けた間抜けな顔で大きな建物を見上げていた。
「中を見てみようか。土もあそこから持ってきたから、上手く根付くといいのだけれど」
そう言って温室の中に連れ込まれて、俺はさらに間抜けな顔になった。
メロンの木が数本繁っている。
それどころかあの崖を再現したような雰囲気が、その温室に再現されていた。
陽の光は天窓からのみ入るようになっていて、草もあの広い場所と同じものが生えている。
そして、たわわなメロンが一本の木に何個も生っていた。
「父様……?」
「アルバが見つけてくれた新種の植物をここに移植したんだ。もちろん、これで育たなかったら後がない……とはならないように半分程は元の所に残してあるから心配ない」
「お、お隣にあったのは?」
「隣の建物は、この植物を使った研究所だ。アルバがちゃんと大きくなれるように父様も頑張るから、アルバも協力してね」
「あい……」
義父に流れるように説明をされて、頷くしか出来なかった。
規模が違いすぎる。
ポンコツな俺のためにここまでしてくれるなんて、感動を通り越して、戸惑いしかない。
一緒に建物を見に来た兄様は既に知っていたらしく、平然とした顔をしていた。
「父様……あの、ありがとう、ございます……」
他に言葉が見つからなくてそれだけ言うと、義父はすごく綺麗な顔に柔らかい笑みを浮かべてくれた。
「今日はとりあえず、一つ試したいことがあってきたんだ。こちらへ」
抱っこされたまま温室の一画にある洒落たテーブルに案内され、椅子に腰を落ち着けると、メイドさんがすぐに俺の前に飲み物とお皿を持ってきてくれた。
「あ、実だ……」
お皿の上には丁寧に見た目よく切られたメロンの実が載っている。その実から甘い香りがフワッと漂ってきた。
両隣に座った兄様と義父は、皿に釘付けになった俺に注目しているようだ。
「まだ研究を始めたばかりだが、どうやらこの実には魔力を貯め込んで逃がさないという特性があるようだ。今も地面に置かれた魔術陣から放出された魔力がこの実に込められている」
義父の説明を聞きながら、視線を落とすと、確かにメロンの木の下には魔術陣が彫り込まれていた。同時に、そういえばゲーム内でそんな説明があったな、と思い出す。
崖から落ちて洞窟に入った主人公とオルシス様が、魔法を使ったときにその魔法を吸収してしまう新種の植物があったとかなんとか。
そうそう、夜でも魔力を蓄えて植物が優しく光り輝いていて、その光に照らされた最推しの顔がもう筆舌に尽くしがたいほどに神々しくて……って違った。今はそんなのを思い出している時間じゃない。
あの時は主人公が鑑定を使うことで植物の詳細が分かったけど、鑑定ってどうやって使うんだろう。属性魔法、ではないよね。
「父様、鑑定の魔法は使えますか」
俺が義父の袖を引いてそう訊くと、義父はへにょりと眉尻を下げた。
「父様は鑑定を使えないんだ。鑑定は『光属性』の属性魔法だから、使える人も限定されるんだよ」
「知らなかったです」
「アルバは魔法関連の勉強はしていないから仕方ないよ」
兄様に頭を撫でられて、頭を抱える。
まさかの属性魔法だった。
主人公は『光属性』だったから、鑑定が使えたのか。
オルシス様のご尊顔を拝むのに精いっぱいで忘れがちだったけど、そういえばあのアプリの趣旨って、光魔法を使える平民主人公が、国の守護宝石を復活させるために学園に入って色々な知識を身に着けて魔力を伸ばすとかそういう感じだった気がする。
本来、『光属性』持ちの血筋は王家出身の王女たちが降嫁した三家のみに引き継がれるはずだったんだけれど、主人公が光魔法を使えることが判明して、その三家の家に養子に入って学園に行く、という展開。
その三家のうちのどこの養子になるかは主人公が選んだ恋のお相手次第で、確か三家は公爵、侯爵辺りの高位貴族だったような……
どれにしても身分は申し分ないよね。うろ覚えだけれども。
そんで、誰かと卒業式に結ばれて、いざ守護宝石を復活させようっていうときに、ラブラブの相手と手に手を取って、魔力を注入。これが成功すればトゥルーエンドになるんだっけ。
俺も鑑定を使ってみたかったけれど、最推しの弟が光属性だったなんて表記はどこにもなかったから無理か。残念。
そもそも、魔法自体を使えないというか、使ったらそのまま命を削ってしまうというか。とにかく魔力が抜けるのが恐ろしく早くて、魔法どころじゃないのが『ラオネン病』の怖いところ。魔法を使ったらそのまま儚くなるやつだ。
せっかくの魔法世界、魔法をバンバン使ってみたいし、魔力自体は多いはずなのに。ほんとにポンコツな身体だ。
「父様、僕、魔法の勉強がしたいです」
せめて知識くらいは欲しくて義父を見上げると、義父は何やら痛ましいものを見るような眼つきで俺を見下ろした。
「それは難しいな。アルバは、魔法を習ったら使ってみたくならないかい?」
「え?」
「こんなに落ち着いているオルシスでさえ、三歳で初めて魔法を教わった時ははしゃいで使いまくって、魔力枯渇で倒れたくらいだよ。アルバは習っても使わずにいられるかな?」
「父上! それはもう忘れてください!」
使ってみたいかどうかで言えばそりゃ使ってみたかったけど、続いた義父の言葉ですべてが吹っ飛んだ。
義父の言葉に真っ赤になって反応する兄様が可愛すぎか!
ああ。兄様のその顔が尊すぎて尊死しそう……!
そっかあ。ショタオルシス様も、はしゃいだときがあったのかぁ。切実に見たかった。この目で見ることが出来たならもう悔いはない……! どうしてその時俺は義弟じゃなかったんだ……! まだ生まれてもいないけど!
思わず顔を両手で覆って天を仰いでいると、義父が優しく俺の頭を撫でた。
「そんなに悩むなら、やはりアルバに魔法を教えるのは難しいよ」
「え、あ、え?」
どうやら俺の苦悩は魔法を使うのか悩んでいるように見えていたらしい。
違うんです義父よ。俺は兄様のあまりの萌え顔に心臓を鷲掴みにされていたのです。
でもまあ確かに、習ったら使ってみたくなるのが人間ってものだよね。
俺だってきっと耐えられずに魔法使っちゃうもん。死にそうになるのを知っていても。
断言する。
だったら最初から教わらない方がいいのかな。でも、それも違うような。
「……それでは、せめて知識だけでも欲しいです。どの属性はどんな魔法を使えるか、とかそういうの。父様や兄様が、どんな魔法を使うのか僕も知りたいです。……魔法を使う父様はとてもかっこよかったので」
「そうか、君にそう思ってもらえるのは本当に嬉しいよ」
ポツリとそう言うと、眉尻を下げていた義父の表情が一瞬にしてデレ顔に変わった。義父も可愛い。とはいえ、やっぱり俺に魔法を学ばせる気は薄そうだ。
「光属性ではないけれど、植物の鑑定が出来る者もいずれ研究所に来る。心穏やかに過ごすんだよ、アルバ」
「はい」
ほら、食べてみて、と綺麗に切り分けられたメロンが運ばれてくる。口に入れると、ほわっと甘い味が広がった。口の中で蕩ける果肉に、頬が落ちそうになる。味もまんまメロンだった。美味しすぎか。毎日食べても絶対飽きないお味だよ。
それにしても流石公爵家。やることの規模が想像の範囲外だった。
若干メロンでごまかされた気がするけど、美味しいから何も言うことはない。
メロンを食べ終わった後は、また温室内を案内されつつ研究所の説明を受けた。
義父の作った研究所は、義父の部下から信頼のおける優秀な人たちだけを集めたらしい。
この件に関して、王宮には新しい事業に手を伸ばそうと思っているということを伝え、陛下からちゃんと許可をもらったんだって。事業の中身はあんまり詳しく書かないのが常識らしいので、新事業ということだけを伝えたそうだ。
それでいいの? と首を捻ったら恐ろしい話を教えてもらってしまった。
昔詳細まで書いた事業計画書を出したら、それを横取りされたとか真似されたとかで王宮で殺傷事件があったそうだ。
王宮内での貴族たちの殺傷事件が起きたことは、国としてとんでもない醜聞になったらしく、隣国との貿易とかまで影響が及んで、今でも痛い教訓となっているらしい。
それで、王宮への報告義務が緩和されたんだとか。
「流石に違法な事業が見つかったら捕まるし、一族が連座で処刑される可能性もある。だから王宮からの視察でいずれ査察は入るよ。アルバが心配する必要はないけどね」
「そ、そうなのですか……」
義父にニコニコと説明されても半分くらいしか理解できなかったけど、それはニコニコと説明するような内容なんだろうか。ダラダラと流れる汗をそのままに、にこやかな義父を少しだけ遠い目で見てしまった。
ということで、温室も研究所も合法的なアレで始めた義父は、早速仲のいい人物を巻き込んだらしい。
その人物は夕食にお呼ばれしていたそうで、夕食後に俺は応接間を訪れていた。
兄様の隣で、その方にご挨拶をされる。
「アルバ、こちらが父様のお友達のヴァルト侯爵だよ」
「ヴァルト……侯爵」
父が気軽に紹介してくれたのは、なんとこの国の宰相様だった。
眉間に皺を寄せて、眼鏡を光らせてこちらを見つめるその人は、流石国の中枢、と思わせる気難しそうな雰囲気を漂わせていた。
でもまさか宰相様に俺の病気を治す研究をさせるわけじゃないよね⁉
ドキドキしながら頭を下げると、義父は「実際に研究を手伝ってくれるのはこの人じゃなくて、その息子さんだけどね」と微笑んだ。
同時に、宰相様の後ろから子供が現れる。
「ブルーノ・アン・ヴァルトです」
お父さんそっくりの気難しそうな顔で挨拶したのは、なんと攻略対象者……のショタバージョンだった。
いくら属性が増えたって言っても、俺のショタ許容枠は兄様だけでいっぱいいっぱいだよ。出てこなくてもいいのに。
確かゲーム内のこの人はずっと王子を補佐して持ち上げていた気がするけど……
俺の内心を知らず、義父がさらに説明を続ける。
「研究を手伝ってもらうのはこのブルーノ君だよ。天才と名高い、とても頭のいい子なんだ」
天才って言われてたのか。義父にそう言われるってことは本当に頭がいいんだろう。
あれ、でもそうなると。
ゲーム内で発表される彼の成績は、いつも王子より下だった気がする。大抵兄様が一位を独走していて、王子が二位から五位あたりをうろうろしていて。それに合わせるようにブルーノも上下していた。
あのテスト成績だけは、毎回攻略対象者全員の名前が出るから覚えている。
もちろん自分で付けた主人公の名前も載るし、攻略対象者より上の成績になると好感度が上がる仕組みだったから、最推しの上に行くために座学だけは必死でやっていた。
それなのに、義父に天才と言わしめるとは。
「兄様よりも天才なの?」
最推しはこの人に負けたことがないよ。
そんな思いを乗せて義父に質問すると、義父は「さすがに比べたことがないな」と笑った。
「アルバ、ブルーノ殿はね、僕がとても苦労した本をわずか数時間で読破したらしいよ。噂ではほんの些細なことでも覚えているのだとか。僕はそんなことは出来ないから、比べてはいけないよ」
にこ、と笑ってくれる兄様への思慕の気持ちが溢れ出て、俺は思わず兄様に抱きついてしまった。お客様の前ではしたないと気付いてももう遅い。
恐る恐る顔を上げて宰相様を見上げると、宰相様は何も言わずに眼鏡をくいっとしていた。
「じゃあアルバ。父様はお友達と話があるから」
兄様にくっついている俺の頭をひとつ撫でると、義父は宰相様を伴って応接間を出ていった。改めて、三人の子供でソファに腰掛ける。ブルーノ君はテーブルを挟んで向かいに座り、俺は大きめのソファに兄様と二人で座ることになった。
子供たちだけでおやつタイム。
でも目の前に出されたお菓子に誰一人手を付けない。
義父か兄様が食べていいよって言うまで、俺は手を伸ばしちゃいけないと教わったから。
でも正直お菓子よりも今この腕の中にある兄様の方が魅力は上なので、全然まったく問題ない。
「ブルーノ殿、どうぞ召し上がれ」
「ありがとうございます。ではいただきます」
ブルーノ君が兄様にとても丁寧に返事をすると、メイドさんがそっとやってきてお皿にお菓子を取り分けてくれた。
ブルーノ君が上品にお菓子を口に運ぶ。
その後に兄様は身体を屈めてお菓子を手に取ると、くっついている俺の目の前にそれを差し出してくれた。
「アルバ、食べよう。我慢できて偉いね」
「兄様」
にこ、と笑ってあーんする兄様に、それだけで胸いっぱいになる。
食べるけどね。兄様自らあーんしてくれた貴重な菓子、味わって食べるけどね!
兄様にくっつきながらあーんしてもらっているこの現状、よく考えたら天国だよね! 俺昇天しちゃったのかなってチラッと考えちゃうよね!
「オルシス殿は、弟君とずいぶん仲が良いのですね」
「そうかな?」
「ええ、父からは色々と伺っていたのですが……聞くのと見るのでは大違いですね」
「兄様は、とても格好いいのです!」
「そうだね、君を見るオルシス殿はすごく優しい顔で……」
兄様の布教チャンス! とばかりに割って入ると、ブルーノ君がふわっと笑ってくれた。え、優しい。はわ……と口に手を当てると、ブルーノ君は慌てたように敬語が外れたことを謝ったけど、違うそうじゃない。
俺まで慌てていると、兄様がさらっとフォローを入れてくれて、それから互いにため口で話すようになった。
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