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二章
2-18 寧ろここで目撃したやつ誰だよ
しおりを挟むグロリオーサが「最後の目撃情報」と言った場所は、森の中だった。
「本当に大丈夫なのか? ここなのか?」
「ここだ、と聞いたんです……。先にどこで目撃が途絶えたのかを知りたいとおっしゃったのは、クルトさんじゃないですか」
「まぁ、そうなんだけど」
とりあえずは、最後の所! とか思って来たものの、中々色んな動物が出そうな空間。ここで目撃情報が絶ってるって、寧ろここで目撃したやつ誰だよ。
「ところで、先輩の名前って?」
「ガイスラー先輩です」
「ガイスラー、ね」
聞いた物の、聞き覚えはない。
「なぁ、知ってる?」
『しらない』
『さきにガイスラーしらべる?』
「んー、いや、ここ見てからにする」
『りょうかーい』
ためしにツークフォーゲルに聞いてみたが、こいつらも知らないのか。
隣でグロリオーサがきょとんとした顔をしていたので、「精霊と喋ってた」と簡単に説明する。見えないヤツにとっては、オレが独り言ブツブツ言ってるようにしか見えないもんな。
グロリオーサが頷いてくれたので「ところで」と会話の頭を投げかけた。
「どういう関係なんだ? その、ガイスラーってやつと」
「学生時代の先輩後輩で」
「それだけじゃ、探さないだろ?」
オレにだって先輩も後輩もいるが、仮にいなくなった話を聞いても、わざわざ探したいとは思わない。
必要とあらば、弱みの一つや二つなら探してもいいけど、今回はそういう話じゃないし。
「恩があるんです。全てに消極的だった僕を導いてくれた素晴らしい先輩で、引っ込み思案の僕の手を引いてくれて……」
グロリオーサは、どこかうっとりとした様子で饒舌に語る。
「それで、ちょっとは前に進めて、先輩の明るさや、華やかさに救われたんです」
明るさはともかく、華やかさに救われるって何だ。
オレがアリアさんの美貌に癒されるのと同じ原理か。だったらとてつもない救いだな!
「そんな恩人の先輩が行方不明だと聞いたら、いてもたってもいられなくなって、自分なりに調べていたんです」
「うーん、そんなもんか?」
「そうです。僕にとってはかけがえのない人なので、もしも先輩の身に何かあるのなら、見つけて助けたいと思って」
ここまで話すと、唐突にグロリオーサは足を止めた。
「あ、ここです」
「つったって、何もないしなぁ」
オレはきょろっと見回すが、何がどうここなのかが分からない。
さっきまで歩いてきた森の中との明確な違いがある訳でもないが、どうしてここだと断言するのか。
いや、まぁ、良いけどさ。依頼人がここだ、って言うなら。
とりあえずちょっとでも痕跡が無いかと、オレはその辺を散策する事にした。目を皿のようにして、四つん這いで草木の隙間を縫う。
うーん、何もない。草木の良い匂いがするだけだ。
「形跡、ないな。ツークフォーゲル、どうだ?」
『わかんない』
『ガイスラーのじょうほう、さきかも』
『じょうほうないと、さがせない』
『やーい、だんどりわるいクルトー』
「うっせ」
何故か精霊に小馬鹿にされた、腹立つ。
「なあ――」
振り向くと、オレの想像に反してキラキラしたものが目に飛び込んだ。
「ちょ、おま、なに、それ」
これは、紛れもなく魔法陣……。グロリオーサが、魔法陣を描いてこちらに向けているのだ。
こいつ、魔法使いなのを隠してたのか?
「ガイスラー先輩のお願いだったんです」
オレが逃げる間もなく、魔法は放たれて――オレは……。
「サフラン・ツヴェルフ・ガイスラー先輩の」
さふ、ら、ん……? なんか、聞き覚えが……。何だか、異様に眠気が……。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
頭がぼんやりする。もう、なんか……。
身体も動かず、脳もはっきりしない中、誰かの悲鳴を捉えてから、オレの意識はゆっくりと、しずんで、い、った……。
***
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