精術師と魔法使い

二ノ宮明季

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三章

3-76 次はあれと戦うのか

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 バタバタした昼食を終え、午後の部が開始した。オレ達は再びスーさんのスペースにお邪魔して大会を眺める。

 四試合目はどちらも知らないチームだったからか、顔見知りがいる時に比べると、気を抜いての観戦になった。本当はよくないし、この先誰かと当たるかもしれない相手なんだけど、どうしても知り合いが出ている時とは応援の熱の入り方が違う。
 五試合目は知り合いっていうか、スティアと、ベルと、テロペアのチームの対戦。かっつり応援に熱が入りまくり、勝ち残った時には大きな声ではしゃいでしまった。
 これは別にオレだけじゃないし、いいよな? 所長も「よし!」とか大喜びしてたし。

 しかし、印象に残ったのは六試合目の事だった。
 ジギタリスのチームが出ている試合で、管理官代表でもあるジギタリス達は勝ち進んだ。これだけ聞けばそれほど印象深い事はなさそうに思えるかもしれない。
 ところが、午前にも感じたカラーの危うい戦い方により、相手のチームの人に、怪我を負わせてしまったのだ。ジギタリスが間に入ったのであまりにも酷くはならずに済んだが、それでも相手の選手は太ももから血を流し、その場に倒れ込んだ場面があった。
 もちろん、多かれ少なかれ怪我はする。
 ちょっとの流血だとか、打撲だとか。けれども管理官は「怪我をさせすぎないように」戦っている節がある。その中でそれなりに血が流れる場面は結構衝撃的で、直ぐに担架が入り、手当てが済んだあたりに「先程の選手は問題なかったです」みたいな事を偉い人が出て喋っていたくらいだ。

「次はあれと戦うのか」

 ベルが小さく零す。そう、明日の試合で、ベルのチームとジギタリスのチームが戦う事が決定しているのだ。
 あの危うい戦い方をするヤツがいるチームと、スティアが戦うのが不安で、憂鬱だ。
 ベルとテロペアの心配をしていない訳じゃないが、スティアはやっぱり妹だし、正直戦ってほしくない気もする。
 この感情は所長にも沸き上がったようで「ベル、棄権しない?」などと言いだしていた。当然というべきか、ベルは「しない」と短く答えていたが。
 お祭りのはずの大会。ここまで勝ち残ったというのに、このモヤモヤする感じは何だろうか。思わずため息が零れた。

   ***
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