無限迷宮のシーカー

無名

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 天井を見上げると、薄く明滅した魔石灯の光が見える。天井はとても高く、空を飛べるジェットバイクでも上に届きそうにない。

 俺はどこかに昇降機(エレベーター)が無いか探すが、どこにもない。階段を上るか、ロッククライミングするしか、「上の階層」にはいけそうにない。

 仕方なしに、マンション内の階段を探して歩き回る。今いる場所は大昔のシーカーキャンプらしいので、なにか物資が残されているかもしれない。特に、水と食料、医療品が必要だ。ガスマスクのカートリッジでもいい。とにかく、このダンジョンを生き抜く物資が必要だ。

 俺はキャンプとなっている、古いマンション内を探索し続ける。歩き回っていると、エントランスと思われる場所に到着した。かなり崩壊が進んでいるが、まだ形は残されている。鉄骨がむき出しになってコンクリートが砕け散っているが、まだ原型はとどめている。

 俺は崩壊しかけたエントランスの隅に、自動販売機を発見した。まだ電力が来ているのか、自動販売機には明かりがついている。

「やった! 販売機がある!」

 俺は急いで自動販売機に走り寄った。見ると、商品サンプルが壊れていない、完全の状態で残っている。かなり錆びてはいるが、販売機は稼働している。中の商品も生きている可能性が高い。

「よし! やったぞ!」 

 日記に書かれていた西暦2024年という年号はいつか分からないが、この自動販売機は「保存の魔法」が使われているはずだ。中身はまだ食べられるに違いない。商品サンプルの缶ジュースやペットボトルの文字は読めないが、行けそうだ。

 俺は圧力バールを腰のソケットから取り出すと、圧力設定のダイヤルを「3」にする。これくらいあれば販売機の扉は開くはずだ。

 俺は販売機の扉の隙間にバールを差し込むと、力任せにこじ開けた。中には、冷たい水やジュース、チョコバーなどが食べられる状態で保存されていた。

「よっしゃぁ! こんなところに生きている販売機が残ってるなんて、ラッキーだ!!」

 扉をこじ開けると、商品がまだ残っている。水やジュース、聖水もある。一番うれしかったのが、チョコバーや携帯食料だ。

 俺は少なくなったリュックに、詰め込めるだけ詰め込む。サイドバッグやウエストポーチ、ズボンのポケットにも詰め込み、自動販売機を空にした。もともと商品があまり残っていなかったので、俺一人で全部持ち出せた。

 久しぶりのチョコバーと水に、俺は歓喜する。俺は夢中で食べた。チョコの甘さに舌鼓を打ち、シュワシュワする炭酸水と一緒に胃へ流し込む。久しぶりに、まともな飯を食えた。

 ふうむ。しかし。

 このシーカーキャンプは俺が来るまで誰も訪れなかったようだ。かなりの年月を放置されていたようだな。広いダンジョンにある、小さなオアシスを見つけるのは至難の業だ。このキャンプも、人知れず滅んでしまったようだな。

 俺はチョコバーを食べながらエントランスを歩き回っていると、小さな小部屋を見つけた。なんの小部屋かと入ってみると、武器庫のようだった。銃器類をかけておく棚がいくつもある。ほとんど残っていないし、残っていても銃器は錆びて使えなくなっていた。

 せっかく武器を手に入れられるかと思ったが、使えるものが無さそうだ。しばらく物色して、諦めたかけたその時、机の引き出しの中に、炸裂魔石の手りゅう弾が残っていた。使えるか分からないが、見たところ錆びてはいない。魔石が化石化してもいない。中の火薬は生きていそうだ。

「五個も残っていたのか。ラッキーは続くな。使えるか分からないから、一個だけあとで実験してみるか」

 俺は棚から手りゅう弾をいただくと、そのキャンプを後にする。上に上る為の階段がマンション内になかったので、俺は建物から出た。

「今日はどこで寝ようかな。安全な場所なんてあるのかな」

 俺は寝床を探して探索を続けた。  
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