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第二章
83 国取り合戦1
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ようやくなのか、それともついに来たのか。
エルメール王国軍と反乱軍の、全面的な戦いが始まる。
形式上ではあるが、王国軍からは宣戦布告をされた。すでにこちらが築いた秘密基地の場所は敵にばれており、使者が来てこう言った。
『奴隷になるか、死か。どちらかを選べ』
降伏しろではなく、最初から奴隷ときた。もう、和平交渉とか停戦とか、そんなレベルじゃない。よほどアルテアを抹殺したいようだ。
すでに王国軍はアルテアが管理する村を一つ焼き払っており、まっすぐ俺たちの砦目指して行軍してくる。その数はなんと6万人。予定していた数よりもはるかに多い。いくら砂漠化して人口が減っているとはいえ、やはりそこは国が相手。金をかけて、相当数の兵力を動員したようだ。
対してこちらはというと……。
「なぁ、アルテア。傭兵を雇うのは良いとして、野盗とか死罪人とか兵に組み込んで大丈夫なのか?」
「この際、仕方ありません。ハッタリでも数を揃えねば、士気にかかわります」
「それでも、数が違いすぎるだろ。もしもぶつかったら、数時間で負けるんじゃないか?」
「それはありません。負けませんよ。ルセリア将軍が味方になったのなら、勝機はあります」
さわやかな笑みを浮かべるアルテア。
ルセリアが味方になったから負けない? それだけで? そんな自信満々の顔して言われてもなぁ。
「地図を見たけど、このまま行けば荒野のど真ん中で敵の兵とぶつかることになるぞ。そうなれば遮蔽物が無い分、数で劣るこちらが不利。どんな戦術を組んでも、いずれは押し込まれるんじゃないか?」
俺が無謀だと言ったら、アルテアはこう返す。
「以前にも説明しましたが、本命は王城への突入部隊です。作戦が成功するまでの時間を稼げれば、それで十分なのですよ。それにサンドドレイクたちが味方に付いてくれたおかげで、いろいろと戦術の幅が増えました。突入部隊の時間稼ぎには十分ですよ」
アルテアはいろいろとトラップを用意しているようだ。味方の将軍といろいろ話のすり合わせをしているし、勝算はあるようだ。
「じゃぁ、俺たちは早く王城に向かわないとダメだろ」
「いえ、王国軍が砦に到着するのは一週間以上かかるでしょう。大部隊の行軍ですし、何より途中に砂漠がある。ここまで来るのには時間がかかる」
「いや、だったら尚更俺たちが早くいかないとダメだろ」
王都までの道が険しいなら、俺たちも同じように時間がかかる。もう、戦争は始まっているんだ。
「私たちはこれから精鋭300名で王都に向かい、潜入。その後ルセリアの軍と落ち合い、陽動作戦を展開したのち、王城に突入します。そしてそれは、敵がこの砦に着くよりも早く、決行します」
「もったいぶるなよ。だから、どうやるんだ」
「それは簡単です」
アルテアがニコリと笑い、含みを持たせてこう言った。
「ドラゴンを使います」
「……………え?」
ドラゴンだと? そんなのどこにいるんだ? この砦にはそんなドラゴンはいない………
と、俺が思った直後、外から大きな鳴き声が聞こえた。鳥のような、ライオンのような、そんな巨大な鳴き声だ。それは空気を振動させ、大気を揺らした。
俺はすぐに砦の窓から外を覗くと、数十匹の巨大なドラゴンが空を舞っていた。ドラゴンの背には、この軍の総司令官、ラインハルト将軍と兵士が300名ほど乗っていた。
「マジかよ。こんな切り札用意してたんなら、もっと先に言えよ。なんで教えてくれなかった?」
「ははは。ドラゴンの飼育場所は極秘事項ですから、御使い様にも言えませんね」
アルテアはしれっとした顔で、俺を見て言った。圧倒的戦力差なのに、アルテアが自信満々な理由が分かった気がする。この少年王は一見ひ弱そうに見えて、いくつもの切り札を隠し持ってる。何年も戦争の準備をしてきたのは伊達じゃない。
俺は空を見上げるアルテアを見て、そう思った。
エルメール王国軍と反乱軍の、全面的な戦いが始まる。
形式上ではあるが、王国軍からは宣戦布告をされた。すでにこちらが築いた秘密基地の場所は敵にばれており、使者が来てこう言った。
『奴隷になるか、死か。どちらかを選べ』
降伏しろではなく、最初から奴隷ときた。もう、和平交渉とか停戦とか、そんなレベルじゃない。よほどアルテアを抹殺したいようだ。
すでに王国軍はアルテアが管理する村を一つ焼き払っており、まっすぐ俺たちの砦目指して行軍してくる。その数はなんと6万人。予定していた数よりもはるかに多い。いくら砂漠化して人口が減っているとはいえ、やはりそこは国が相手。金をかけて、相当数の兵力を動員したようだ。
対してこちらはというと……。
「なぁ、アルテア。傭兵を雇うのは良いとして、野盗とか死罪人とか兵に組み込んで大丈夫なのか?」
「この際、仕方ありません。ハッタリでも数を揃えねば、士気にかかわります」
「それでも、数が違いすぎるだろ。もしもぶつかったら、数時間で負けるんじゃないか?」
「それはありません。負けませんよ。ルセリア将軍が味方になったのなら、勝機はあります」
さわやかな笑みを浮かべるアルテア。
ルセリアが味方になったから負けない? それだけで? そんな自信満々の顔して言われてもなぁ。
「地図を見たけど、このまま行けば荒野のど真ん中で敵の兵とぶつかることになるぞ。そうなれば遮蔽物が無い分、数で劣るこちらが不利。どんな戦術を組んでも、いずれは押し込まれるんじゃないか?」
俺が無謀だと言ったら、アルテアはこう返す。
「以前にも説明しましたが、本命は王城への突入部隊です。作戦が成功するまでの時間を稼げれば、それで十分なのですよ。それにサンドドレイクたちが味方に付いてくれたおかげで、いろいろと戦術の幅が増えました。突入部隊の時間稼ぎには十分ですよ」
アルテアはいろいろとトラップを用意しているようだ。味方の将軍といろいろ話のすり合わせをしているし、勝算はあるようだ。
「じゃぁ、俺たちは早く王城に向かわないとダメだろ」
「いえ、王国軍が砦に到着するのは一週間以上かかるでしょう。大部隊の行軍ですし、何より途中に砂漠がある。ここまで来るのには時間がかかる」
「いや、だったら尚更俺たちが早くいかないとダメだろ」
王都までの道が険しいなら、俺たちも同じように時間がかかる。もう、戦争は始まっているんだ。
「私たちはこれから精鋭300名で王都に向かい、潜入。その後ルセリアの軍と落ち合い、陽動作戦を展開したのち、王城に突入します。そしてそれは、敵がこの砦に着くよりも早く、決行します」
「もったいぶるなよ。だから、どうやるんだ」
「それは簡単です」
アルテアがニコリと笑い、含みを持たせてこう言った。
「ドラゴンを使います」
「……………え?」
ドラゴンだと? そんなのどこにいるんだ? この砦にはそんなドラゴンはいない………
と、俺が思った直後、外から大きな鳴き声が聞こえた。鳥のような、ライオンのような、そんな巨大な鳴き声だ。それは空気を振動させ、大気を揺らした。
俺はすぐに砦の窓から外を覗くと、数十匹の巨大なドラゴンが空を舞っていた。ドラゴンの背には、この軍の総司令官、ラインハルト将軍と兵士が300名ほど乗っていた。
「マジかよ。こんな切り札用意してたんなら、もっと先に言えよ。なんで教えてくれなかった?」
「ははは。ドラゴンの飼育場所は極秘事項ですから、御使い様にも言えませんね」
アルテアはしれっとした顔で、俺を見て言った。圧倒的戦力差なのに、アルテアが自信満々な理由が分かった気がする。この少年王は一見ひ弱そうに見えて、いくつもの切り札を隠し持ってる。何年も戦争の準備をしてきたのは伊達じゃない。
俺は空を見上げるアルテアを見て、そう思った。
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