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第一章 伝説の水魔法使い
24 ボブカット
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教会で食事を終えた後、俺はオルフェと牛たちに餌を与えた。小屋にいたニワトリと豚にも、与えておく。
「オルフェ。今日は良いニンジンが手に入ったんだ」
俺はニンジンが好きなオルフェに、直接持って食べさせる。鼻をひくつかせ、ムシャムシャと食べる。オルフェは目が優しく、勇壮な鬣をしている。オルフェはメスなので、いずれは子供を産んでもらいたい。彼女だって、愛する人や子供が欲しいだろう。
「オルフェ。旅はこれからだ。すまないが、俺に付き合ってくれ」
「ブルルル」
俺に頭をこすり付けてきた。
「ありがとう」
オルフェにニンジンを食べさせていると、牛たちが近寄ってきた。俺にもくれと言っているらしい。
俺は牛たちにもニンジンを与えた。すると、長い舌でベロベロと俺を舐めてきた。舌がざらざらしていて、なんだか気持ち良い。
「モー」
「お前たちはもう少し食べて、力を付けないとな。そんなに痩せてたんじゃ、牛車を引っ張れないぞ」
俺が牛たちを見ると、村で見捨てた家畜たちが思い出される。オルフェしか連れてこれなかったのが、悔やまれる。
「お前たちは見捨てないよ。俺が面倒見る」
俺はオルフェと牛たちを可愛がり、教会に戻った。
★★★
教会では、ランプの明かりを頼りに、神父が修理を続けていた。ボランティアの信者たちは帰って行ったが、ヌアザは修理を続けている。
「寝ないのか?」
「少しでも修理しないといけませんからね。こんな状態では、みなさんに説教もできない」
「そうだな」
宗教間の派閥争いか知らないが、ダーナ教会はひどいありさまだ。教会の女神像も壊れて、羽が片方無くなっている。手に持っていた石か何かも、床に落ちて壊れている。よくこれでカイトの街を治める領主が何も言わないものだ。
「あっ! アオ君こんなところにいたのか? ハサミを買ったから、髪を切るよ」
「え? 今からか?」
「明日も忙しいんだから、今切らないとだめだ。 ほら、そこに座ってくれ」
月明かりが教会を照らしているし、ランプの明かりもあるが、それでも暗い。何も夜に切らなくてもいいだろう。俺はそう思ったが、結構髪がウザかったので、切ってもらうことにした。坊主でもいいので、ばっさりとやってくれ。
リザはハサミを持って俺の頭を押さえる。どこから切るのかと思ったら、前髪を一直線に切りやがった。前髪パッツンである。
「やっぱり! アオ君は可愛いな!」
「なんだと?」
「ふふふ。いいからそこに座っているんだ」
リザはニヤニヤして俺の髪を切り続ける。一体どんな髪型にするのかと思ったら、ボブカットにしやがった。見た目が完全に女の子になってしまった。
「おいリザ。もっと短く切ってくれ」
「だめだ。それがいい」
「ふざけるな。人の髪で遊ぶな」
「いやだ」
リザはハサミを俺に渡そうとしない。
「ハサミを渡せ。自分で切る」
「ダメだ」
俺は椅子から立ち上がり、リザに手を伸ばしたが、届かない。身長差があるので、リザからハサミを奪えない。何度もとびかかるが、奪えない。さすがは本職の冒険者だ。動きが早い。俺とリザが教会で暴れていると、シスターのアリアンが怒った。
「ダメでしょ二人とも! 教会で刃物を振り回さないこと!!」
怒るところはそこなのか? 俺の髪型はどうなる? そう思ったが、ハサミは渡してもらえなかった。
「神父様も、笑ってみてないで、止めてください!」
「ははは。すまない。教会がにぎやかになると、私もうれしくてね。ははは」
ボロボロになった夜の教会に、神父様の優しい笑い声が響き渡った。
「オルフェ。今日は良いニンジンが手に入ったんだ」
俺はニンジンが好きなオルフェに、直接持って食べさせる。鼻をひくつかせ、ムシャムシャと食べる。オルフェは目が優しく、勇壮な鬣をしている。オルフェはメスなので、いずれは子供を産んでもらいたい。彼女だって、愛する人や子供が欲しいだろう。
「オルフェ。旅はこれからだ。すまないが、俺に付き合ってくれ」
「ブルルル」
俺に頭をこすり付けてきた。
「ありがとう」
オルフェにニンジンを食べさせていると、牛たちが近寄ってきた。俺にもくれと言っているらしい。
俺は牛たちにもニンジンを与えた。すると、長い舌でベロベロと俺を舐めてきた。舌がざらざらしていて、なんだか気持ち良い。
「モー」
「お前たちはもう少し食べて、力を付けないとな。そんなに痩せてたんじゃ、牛車を引っ張れないぞ」
俺が牛たちを見ると、村で見捨てた家畜たちが思い出される。オルフェしか連れてこれなかったのが、悔やまれる。
「お前たちは見捨てないよ。俺が面倒見る」
俺はオルフェと牛たちを可愛がり、教会に戻った。
★★★
教会では、ランプの明かりを頼りに、神父が修理を続けていた。ボランティアの信者たちは帰って行ったが、ヌアザは修理を続けている。
「寝ないのか?」
「少しでも修理しないといけませんからね。こんな状態では、みなさんに説教もできない」
「そうだな」
宗教間の派閥争いか知らないが、ダーナ教会はひどいありさまだ。教会の女神像も壊れて、羽が片方無くなっている。手に持っていた石か何かも、床に落ちて壊れている。よくこれでカイトの街を治める領主が何も言わないものだ。
「あっ! アオ君こんなところにいたのか? ハサミを買ったから、髪を切るよ」
「え? 今からか?」
「明日も忙しいんだから、今切らないとだめだ。 ほら、そこに座ってくれ」
月明かりが教会を照らしているし、ランプの明かりもあるが、それでも暗い。何も夜に切らなくてもいいだろう。俺はそう思ったが、結構髪がウザかったので、切ってもらうことにした。坊主でもいいので、ばっさりとやってくれ。
リザはハサミを持って俺の頭を押さえる。どこから切るのかと思ったら、前髪を一直線に切りやがった。前髪パッツンである。
「やっぱり! アオ君は可愛いな!」
「なんだと?」
「ふふふ。いいからそこに座っているんだ」
リザはニヤニヤして俺の髪を切り続ける。一体どんな髪型にするのかと思ったら、ボブカットにしやがった。見た目が完全に女の子になってしまった。
「おいリザ。もっと短く切ってくれ」
「だめだ。それがいい」
「ふざけるな。人の髪で遊ぶな」
「いやだ」
リザはハサミを俺に渡そうとしない。
「ハサミを渡せ。自分で切る」
「ダメだ」
俺は椅子から立ち上がり、リザに手を伸ばしたが、届かない。身長差があるので、リザからハサミを奪えない。何度もとびかかるが、奪えない。さすがは本職の冒険者だ。動きが早い。俺とリザが教会で暴れていると、シスターのアリアンが怒った。
「ダメでしょ二人とも! 教会で刃物を振り回さないこと!!」
怒るところはそこなのか? 俺の髪型はどうなる? そう思ったが、ハサミは渡してもらえなかった。
「神父様も、笑ってみてないで、止めてください!」
「ははは。すまない。教会がにぎやかになると、私もうれしくてね。ははは」
ボロボロになった夜の教会に、神父様の優しい笑い声が響き渡った。
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