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第一章 伝説の水魔法使い
25 女神像の丸い石
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教会で一夜を明かした。
与えられた部屋の天井は吹き飛んでいたが、星空が良く見えた。なによりベッドで寝られたので、屋根が無いことなど些末なことだ。今までは干し草の上ばかりだったので、ベッドはうれしかった。たとえスプリングがぶっ壊れていて、俺の背中をきつくマッサージしてきても、気にしない。そういうことにした。
朝起きると、俺は真っ先にオルフェと牛たちに餌と水を与える。
この世界に生まれてからは、家畜の世話は俺の仕事だ。俺の日課だし、彼らがいなければ今の俺はいない。
俺は神父たちにばれないように、手から水を出して牛たちに与えた。一応豚と鶏にも与えておく。彼らも水に飢えているのか、ごくごく飲んでいた。
「豚もニワトリもかわいいな。彼らを飼うと、どんどん肉が食えなくなるな」
体を洗い、俺は教会に戻る。すでに神父とシスターは起きていて、仕事を始めていた。シスターは床の掃除をしていて、神父は壇上にある女神像を拭いていた。リザは朝食の用意をしていて、干し肉と野菜を鍋で煮ていた。
「家畜の世話は終わったぞ。あとはどうする?」
「そうですか? 早いですね。もう少しでリザが朝食を作り終わるでしょうから、椅子に座って待っていてください」
ヌアザは俺にそう言ったが、みんなが働いて俺だけ座っているのは気まずい。俺はヌアザの仕事を手伝うことにした。女神像の近くに行くと、ボロ雑巾が置いてあった。俺もそれを持って女神像を拭く。女神像は亀裂が入っていて、力を入れて拭くと壊れそうだ。
「アオ君は働き者ですね。本当に良い子だ」
ヌアザは俺を見て、すごく悲しそうな顔をする。なんだか、セリフと表情があっていない。
「この教会もこうなる前は、たくさんの子供たちがいたんです。ちょっとした宗教の争いから、子供たちが全員連れて行かれまして」
ヌアザは悲しそうな表情をして、女神像を拭き続ける。
「さすがのダーナ様も、私たちを守ってくださいませんでした。もっと私たちがしっかりしていれば」
この女神像はダーナと言うのか? 羽が生えていて、天使みたいだな。ボロボロで今にも崩れそうだ。多分石膏か何かで作られている。直してやりたいが、そんな技術は無いし、多分今もっている金では直せないだろう。
「ははは。アオ君には関係のない話でしたね。さぁ朝食にしましょう」
ヌアザは雑巾を足元の丸い石に置いて、シスターの所に行く。多分、女神像が持っていた丸い石だ。壊れて落っこちたのだろう。ヌアザにならい、俺も雑巾をその石に置いたのだが、ふっと力が抜ける感じがした。
「え? なんだ?」
俺は雑巾をどける。すると、また力が抜ける感じがする。
「この感じ。水を出すときに似ている。俺が魔法使う時に似ている」
俺は灰色になった丸い石を見つめる。バレーボールくらいの大きさの石で、ヒビが入っている。石膏で作ったものだと思ったが、なにかおかしい。
「魔力を吸う魔石か何かか?」
教会にある女神像だから、きっと力のある魔石だと思った。俺はそのひび割れた石に触ってみる。
「うっ。これは」
与えられた部屋の天井は吹き飛んでいたが、星空が良く見えた。なによりベッドで寝られたので、屋根が無いことなど些末なことだ。今までは干し草の上ばかりだったので、ベッドはうれしかった。たとえスプリングがぶっ壊れていて、俺の背中をきつくマッサージしてきても、気にしない。そういうことにした。
朝起きると、俺は真っ先にオルフェと牛たちに餌と水を与える。
この世界に生まれてからは、家畜の世話は俺の仕事だ。俺の日課だし、彼らがいなければ今の俺はいない。
俺は神父たちにばれないように、手から水を出して牛たちに与えた。一応豚と鶏にも与えておく。彼らも水に飢えているのか、ごくごく飲んでいた。
「豚もニワトリもかわいいな。彼らを飼うと、どんどん肉が食えなくなるな」
体を洗い、俺は教会に戻る。すでに神父とシスターは起きていて、仕事を始めていた。シスターは床の掃除をしていて、神父は壇上にある女神像を拭いていた。リザは朝食の用意をしていて、干し肉と野菜を鍋で煮ていた。
「家畜の世話は終わったぞ。あとはどうする?」
「そうですか? 早いですね。もう少しでリザが朝食を作り終わるでしょうから、椅子に座って待っていてください」
ヌアザは俺にそう言ったが、みんなが働いて俺だけ座っているのは気まずい。俺はヌアザの仕事を手伝うことにした。女神像の近くに行くと、ボロ雑巾が置いてあった。俺もそれを持って女神像を拭く。女神像は亀裂が入っていて、力を入れて拭くと壊れそうだ。
「アオ君は働き者ですね。本当に良い子だ」
ヌアザは俺を見て、すごく悲しそうな顔をする。なんだか、セリフと表情があっていない。
「この教会もこうなる前は、たくさんの子供たちがいたんです。ちょっとした宗教の争いから、子供たちが全員連れて行かれまして」
ヌアザは悲しそうな表情をして、女神像を拭き続ける。
「さすがのダーナ様も、私たちを守ってくださいませんでした。もっと私たちがしっかりしていれば」
この女神像はダーナと言うのか? 羽が生えていて、天使みたいだな。ボロボロで今にも崩れそうだ。多分石膏か何かで作られている。直してやりたいが、そんな技術は無いし、多分今もっている金では直せないだろう。
「ははは。アオ君には関係のない話でしたね。さぁ朝食にしましょう」
ヌアザは雑巾を足元の丸い石に置いて、シスターの所に行く。多分、女神像が持っていた丸い石だ。壊れて落っこちたのだろう。ヌアザにならい、俺も雑巾をその石に置いたのだが、ふっと力が抜ける感じがした。
「え? なんだ?」
俺は雑巾をどける。すると、また力が抜ける感じがする。
「この感じ。水を出すときに似ている。俺が魔法使う時に似ている」
俺は灰色になった丸い石を見つめる。バレーボールくらいの大きさの石で、ヒビが入っている。石膏で作ったものだと思ったが、なにかおかしい。
「魔力を吸う魔石か何かか?」
教会にある女神像だから、きっと力のある魔石だと思った。俺はそのひび割れた石に触ってみる。
「うっ。これは」
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