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第一章 伝説の水魔法使い
34 人間も魔物も、俺には関係ない
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ライドが、ショットガンをオーガにぶっ放す。
ショットシェルから、百発以上の鉛玉が発射される。いかに素早いオーガと言えど、簡単によけきれるものではない。何発かの鉛だがオーガの体に命中し、動きを鈍らせる。赤い鮮血が、オーガから飛び散る。
「リザ! 今は面制圧用の弾丸しか持っていない! 奴の動きを封じ込めるから、お前は頭を狙え!」
「お前には言われたくないが、仕方ない! 手を貸せ!」
ライドが何発もショットガンを撃つ。やみくもに撃つのではなく、オーガの進行方向を予測して、撃ちまくる。オーガはすさまじい跳躍力でジャンプするが、避けきれずに数発もらって墜落する。
「グアァァァァアァアア!!!」
すさまじい雄たけびを上げるオーガ。体が細くガリガリだが、それでもすさまじい気迫を感じる。
「グア! ゴアア!!」
「動きが鈍いぞ! 怪我をしているからか!?」
もともとの怪我もそうだが、奴隷だったせいか、栄養失調に見えるぞ。足やあばら骨が浮き出ている。それに、ボロ布を纏っているが、オーガには大きな胸が見える。どうやらメスのようだ。
「リザ! 何してる! 早く頭を撃て!」
「動きが早すぎて狙いが定まらない!」
リザもライフルを撃っているが、致命傷を与えれられない。
俺はリザとライドの攻撃を、牛車の中からじっと見ている。オーガを追い詰める二人を、じっと見ている。
「最初は恐ろしかったが、今はなんだか、哀れだな」
ガリガリで逃げ惑うオーガを見ていると、なんだか同情したくなる。かといってこちらが手を緩めると殺されるので、攻撃を止めることは出来ない。
「リザ! オーガ狩りは久しぶりだ! こいつは金になる! 絶対に仕留めるぞ!」
「金だと!? そんなことを考えている場合か!」
すさまじい早撃ちをするライド。戦闘能力は決して低くない。リザの方が強いと言っていたが、今のライドを見ていると、とてもリザより弱いとは思えない。
「ライド! 調子に乗るな! 魔力を温存しないとショットガンを撃てなくなるぞ!」
「そんなことは分かっている!!」
二人は巧みな連係で、オーガを追い詰めていく。オーガは林の中に逃げ込もうとするが、それをライドが防ぐ。ショットガンの散弾で、逃げ道を封じ込めている。リザはと言うと、弾倉を交換しながら連射し続け、確実にオーガの体にダメージを与えていく。
絶え間なく銃の掃射が続き、オーガも攻撃が出来ない。腕を前にして頭をガードし、逃げ回るだけだ。
まさに、蜂の巣だ。
次第にオーガの動きが鈍くなってきて、ついには動けなくなった。
オーガは、俺の十数メートル手前に倒れ伏し、血を吐いた。
「どうだ!? やったか!?」
ライドがショットガンの弾込めをして、リザも弾倉の交換をする。彼らは最後まで手を緩めない。もはやどっちが悪党なのか分からない。
「アオ君! もっと離れろ! オーガが最初から弱っていなかったら、こんなものじゃないんだ!」
やっぱり最初から弱っていたのか? やはり、ガリガリの体だったからか?
オーガは地面に倒れて、ピクピクと痙攣している。リザはとどめを刺すべく眉間に狙いを付ける。
すまんな。こんなところで出会ったのが運のつきだったんだ。悪いが、安らかに死んでくれ。
そう思ったが、オーガは俺のわかる言葉で、倒れたまま、こう言った。
「あぁ、山の水が飲みたかった」
ライドとリザには聞こえなかったが、俺には聞こえた。弱々しい声で、確かに、「水が飲みたい」と聞こえた。
オーガが言葉を喋ること自体驚きだが、それ以上に、水を欲しがっていることに驚いた。
「水だと? この期に及んで、水を欲しがるのか? 嘘だろおい。なんで俺にそんなことを言うんだ」
人間を食うために襲っていたんじゃないのか? 水が欲しかっただけなのか?
最後の最後で、水魔法使いの俺に、何でそんなことを言うんだ!
「がはッ。ごはっ! み、みず……」
もしかするとオーガは、ただ水が欲しかっただけなのかもしれない。この惨劇を起こしたのは、奴隷として捕まえた人間にあるのかもしれない。
単なる希望的観測だが、そう思ってしまった。
「アオ君! 離れろと言っただろう! 言うことを聞いてくれ!」
リザは俺に言うが、その言葉は聞けなかった。
もう、俺の耳には、入らなかった。
『世界を、お願いします』
教会で聞いたその言葉が、なぜか俺の脳内でリピート再生されていた。
「あ~あ。なんでこうなんだろう。なんで俺ってやつは」
こんなに偽善者なんだ。
村の奴らは見捨てて、俺を殺そうとしたオーガを助ける?
何やってんだ俺は。
もしかして、俺を生まれ変わらせた奴の仕業か? くそったれが。
俺はオーガに近づくと、水筒に入っている聖水を与えた。リザとライドが騒いでいたが、構わなかった。
ショットシェルから、百発以上の鉛玉が発射される。いかに素早いオーガと言えど、簡単によけきれるものではない。何発かの鉛だがオーガの体に命中し、動きを鈍らせる。赤い鮮血が、オーガから飛び散る。
「リザ! 今は面制圧用の弾丸しか持っていない! 奴の動きを封じ込めるから、お前は頭を狙え!」
「お前には言われたくないが、仕方ない! 手を貸せ!」
ライドが何発もショットガンを撃つ。やみくもに撃つのではなく、オーガの進行方向を予測して、撃ちまくる。オーガはすさまじい跳躍力でジャンプするが、避けきれずに数発もらって墜落する。
「グアァァァァアァアア!!!」
すさまじい雄たけびを上げるオーガ。体が細くガリガリだが、それでもすさまじい気迫を感じる。
「グア! ゴアア!!」
「動きが鈍いぞ! 怪我をしているからか!?」
もともとの怪我もそうだが、奴隷だったせいか、栄養失調に見えるぞ。足やあばら骨が浮き出ている。それに、ボロ布を纏っているが、オーガには大きな胸が見える。どうやらメスのようだ。
「リザ! 何してる! 早く頭を撃て!」
「動きが早すぎて狙いが定まらない!」
リザもライフルを撃っているが、致命傷を与えれられない。
俺はリザとライドの攻撃を、牛車の中からじっと見ている。オーガを追い詰める二人を、じっと見ている。
「最初は恐ろしかったが、今はなんだか、哀れだな」
ガリガリで逃げ惑うオーガを見ていると、なんだか同情したくなる。かといってこちらが手を緩めると殺されるので、攻撃を止めることは出来ない。
「リザ! オーガ狩りは久しぶりだ! こいつは金になる! 絶対に仕留めるぞ!」
「金だと!? そんなことを考えている場合か!」
すさまじい早撃ちをするライド。戦闘能力は決して低くない。リザの方が強いと言っていたが、今のライドを見ていると、とてもリザより弱いとは思えない。
「ライド! 調子に乗るな! 魔力を温存しないとショットガンを撃てなくなるぞ!」
「そんなことは分かっている!!」
二人は巧みな連係で、オーガを追い詰めていく。オーガは林の中に逃げ込もうとするが、それをライドが防ぐ。ショットガンの散弾で、逃げ道を封じ込めている。リザはと言うと、弾倉を交換しながら連射し続け、確実にオーガの体にダメージを与えていく。
絶え間なく銃の掃射が続き、オーガも攻撃が出来ない。腕を前にして頭をガードし、逃げ回るだけだ。
まさに、蜂の巣だ。
次第にオーガの動きが鈍くなってきて、ついには動けなくなった。
オーガは、俺の十数メートル手前に倒れ伏し、血を吐いた。
「どうだ!? やったか!?」
ライドがショットガンの弾込めをして、リザも弾倉の交換をする。彼らは最後まで手を緩めない。もはやどっちが悪党なのか分からない。
「アオ君! もっと離れろ! オーガが最初から弱っていなかったら、こんなものじゃないんだ!」
やっぱり最初から弱っていたのか? やはり、ガリガリの体だったからか?
オーガは地面に倒れて、ピクピクと痙攣している。リザはとどめを刺すべく眉間に狙いを付ける。
すまんな。こんなところで出会ったのが運のつきだったんだ。悪いが、安らかに死んでくれ。
そう思ったが、オーガは俺のわかる言葉で、倒れたまま、こう言った。
「あぁ、山の水が飲みたかった」
ライドとリザには聞こえなかったが、俺には聞こえた。弱々しい声で、確かに、「水が飲みたい」と聞こえた。
オーガが言葉を喋ること自体驚きだが、それ以上に、水を欲しがっていることに驚いた。
「水だと? この期に及んで、水を欲しがるのか? 嘘だろおい。なんで俺にそんなことを言うんだ」
人間を食うために襲っていたんじゃないのか? 水が欲しかっただけなのか?
最後の最後で、水魔法使いの俺に、何でそんなことを言うんだ!
「がはッ。ごはっ! み、みず……」
もしかするとオーガは、ただ水が欲しかっただけなのかもしれない。この惨劇を起こしたのは、奴隷として捕まえた人間にあるのかもしれない。
単なる希望的観測だが、そう思ってしまった。
「アオ君! 離れろと言っただろう! 言うことを聞いてくれ!」
リザは俺に言うが、その言葉は聞けなかった。
もう、俺の耳には、入らなかった。
『世界を、お願いします』
教会で聞いたその言葉が、なぜか俺の脳内でリピート再生されていた。
「あ~あ。なんでこうなんだろう。なんで俺ってやつは」
こんなに偽善者なんだ。
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何やってんだ俺は。
もしかして、俺を生まれ変わらせた奴の仕業か? くそったれが。
俺はオーガに近づくと、水筒に入っている聖水を与えた。リザとライドが騒いでいたが、構わなかった。
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