この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

無名

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第二章

58 村が見えてきたが……

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 モグラ肉のバーベキューを終えて、朝になった。

 俺たちは眠い目をこすりながら、顔を洗って歯を磨く。

 俺の朝の仕事は、家畜の世話。彼らのおかげでここまで来れている。きちんとマッサージもしてやらないとな。

 まず、牛やポニーのオルフェに、干し草を与える。彼らがムシャムシャと食べるのを見て、癒される。

 これは余談になるが、持ってきた干し草もそろそろ底をつきそうである。野菜も無限にあるわけじゃない。荒野には多少の草が生えているが、彼らの餌には少なすぎる。

 次に、俺は水を桶に貯めて、彼らにたくさん飲ませた。水を飲んでいるときに、彼らの体をマッサージする。

 ついでに牛たちの頭を撫でると、「モー」と、可愛い鳴き声を上げてくれる。長い舌をベロベロ出して、俺の手を舐めようとする。ポニーのオルフェも混ざり、甘えようと俺の体に突撃してくる。

 彼らと朝からじゃれつくのは、なかなかに大変だ。

 最後に、砂埃で汚れた牛たちを洗い流してやり、蹄の状態を確認。彼らの状態が健康であると分かると、再び移動開始。俺たちの朝食はドライフルーツと牛乳で簡単に済ます。

 そして数時間、今日も今日とて、朝から移動を続けるのである。

 荷台から周囲を見張るライド。

 黙々と俺のふんどしを作るクー。

 料理に使ったナイフを研ぐプルウィア。

 三者三様、思い思いに過ごしている。

 俺はと言うと、リザに牛車の操り方を教わっている。何もない荒野なので、どこかにぶつかるとかの心配はない。少し操縦をミスったくらいでは、どうにもならない。

「アオ君もだいぶ牛車の操縦がうまくなったな」

「そうか?」

「あぁそうだ」

 リザが俺の頭を撫でつつ、太ももを触ってくる。この女は、マジのショタ好きだ。俺を褒めると見せかけて、ボディタッチしてくる。俺の容姿は中性的で女っぽいので、ショタ好きのリザにとってはたまらないんだろう。

 そんなこんなやっていると、ようやく村が見えてきた。

「お? やっと村か?」

 この国で初めての村だ。食料の補給が出来る。これで一安心だ。一応、村の状態を遠目から確認するため、双眼鏡で村を見てみる。

 すると、そこでは起きていけないものが起きていた。

「なんだありゃ?」

「どうした? なにか見えるのか?」

「黒い煙が上がってるぞ」

 モクモクと、黒い煙が上がっている。それも一ヶ所ではない。村のあちこちから黒い煙が上がっている。

「確かに、遠目で見ると煙が上がっているように見えるな。あれはゴミを燃やしているんじゃないのか?」

「いや違う。普通の燃え方じゃないぞ。もう少し双眼鏡で見てみる」

 俺は双眼鏡の倍率を最大にし、村を観察する。よく見たら、家から火の手が上がっていた。人も襲われている。これは今まさに、盗賊の襲撃にあっているようだ。人が攫われているのが見える。

「うげっ。まじかよ。こんな何もないところで、略奪かよ」

「略奪? あの村でか?」

 俺はリザに双眼鏡を渡し、見てもらう。

「どうだ? 襲われてるだろ?」

「あぁ。確かに襲われてるが、襲われてるというより、あれは戦っているのではないか? あれは村に常駐する神殿騎士と、誰かが戦っているように見える」

「そうなのか? 人をさらってるように見えたが。でも、どっちにしろ村を襲ってるんだろ? 盗賊じゃないか」

 はぁ~あ。げっそりする。この世界の治安は、マジ最悪だ。

 このまま村には近づかない方がいい。迂回して進もうと、牛たちに指示しようとした。

 そう思ったら、隣に座っていたリザが叫んだ。

「違うぞアオ君! あれは村を襲っているのではない!」

「はぁ? どういうことだよ」

「アオ君! 君はやはり神の使徒だ! これこそダーナ様のお導きだ!」

「はい? 神のお導き? リザさん、何を言ってるんですか?」

 リザが急にわけのわからないこと言いだした。この国は朝から気温が高いので、熱中症にでもなったか?

「アオ君、あの村に行こう!! きっと私の知り合いがいる!」

「え? なに? 知り合い? どういうこと? あの襲われている村に、知り合いがいるの?」

「違う。あの村は知らん。逆だ。あの村で戦っているのが、私の仲間なんだ!!」

「…………はい? なんですと?」

 リザのお仲間は野盗か盗賊らしい。人々を襲っている側が、俺たちの味方らしい。

 これは完璧にまずい展開である。


 
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