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ニホンジン魔王爆誕
魔王様、近くの村と同盟を結ぶ 1
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ここに来てからなんと、1ヶ月が過ぎてしまった。あっという間に過ぎたように感じる。
魔王になって目覚めて、自販機召喚して、民を助けて。
日本にいたころよりもずっと忙しい気がする。
こんなにも続くと、もはや夢とかゲームの世界を通り越してる。やはりこれは現実。日本での俺は何らかの理由で死んでる。もしくは植物状態か? 魂だけ抜け出て、この魔王様に宿っている。そうとしか思えん。
リアル感も半端ないし、これは現実だ。
俺はもう諦めた。
日本には帰ることは出来ないと、諦めた。
諦めてからの俺は、行動が早かった。
外に出たいのだ。城の外に行って、世界がどうなっているのか確認したい。
というのは建前で、本当は自販機のジャンクフードに飽きた。
森を開拓して畑を耕してもいいが、まだ人間に見つかるのは避けたい。ならばばれないように、どこかの村と交易した方がいい。
リシャール曰く、近くにエルフの村があるという。
エルフは中立の立場で、俺たちには不干渉という事だが、最近は人間たちに戦争を吹っ掛けられているようだ。中立の立場を維持出来なくなってきているらしい。
俺たちのことも、エルフはこの城に避難していると知っているが、黙認してくれている。中立の立場だかららしい。
こうなったら、エルフを懐柔する。俺たちの力を見せて、いざという時に人間から守る。その代わりに食材をもらう。もちろん、自販機の商品で物々交換してもいい。
城近くのエルフ村は、小さな集落らしい。それでも家畜もいるし、畑もある。武器屋や道具屋もあるとのことだ。さらに言うと、エルフは農耕民族らしく、農業に詳しい。
難民となった魔族の民たちは子供や女が多い。生き残っている老人たちも、技術職ばかり。農耕には詳しくない、
俺は思った。民の食を満たすには、まず農業だ。
エルフ村は、この城から歩いて一時間位の距離にある。俺は遠いと思ったが、リシャールは近いという。自動車が走っている日本では、考えられない感覚だ。
ヘイタクシー! 俺は森に向かって叫びたくなる。
エルフと交渉することに難色を示したリシャールだが、俺が強く言ったので渋々折れた。
「では、私が行ってきますので魔王様はここでお待ちください」
「は? リシャールが行くだと? ふざけるのはよしてくれ。私が行こう。同盟を結ぶのに、一番上の者が行かなくてどうする」
「なにをおっしゃっているのですか! それではこの城はどうするのですか!」
リシャールはなんだか騒ぎ出した。俺の魔王としての責任感を問うているようだ。
「だからですね! 魔王様は絶対にですね!」
リシャールはうるさい。まじめすぎるのはよくないぞ。民の命を預かっていると言っても、重荷に感じたらやっていけんぞ。もう少しシンプルに考えたまえ。
「リシャール。そんなにも魔王が大事なら、君が魔王代理ね」
「……は?」
「何か会った時、民と玉座を護るのはリシャール。君しかいない! 頼んだぞ!」
茫然と立ち尽くすリシャールの肩を、バシッと叩いた。今日から彼は魔王代理となった。拒否権はない。
城の留守は任せたぞ。リシャール魔王!
★★★
俺はエルナに案内役を頼んだ。
城の民はまだ兵士として訓練中だ。使い物にならない。銃器に関しては俺の方がまだ詳しいし、魔力操作でも敵を圧倒できる。
足手まといを増やすより、少数精鋭で行こう。
俺はエルナを肩車しながら、森の中をひたすら歩いた。
エルナには魔力操作の仕方を教えながら、森の中を一時間、歩きに歩いた。日本でもこんなに歩いたことはないくらい、歩いた。たった一時間と思うかもしれないが、森の中ではかなりきついのだ。道がないような、けもの道だし。
「あ! あれがエルフの集落だよ」
近くまで来ると、結界のようなものが見えた。魔力の防御結界らしい。かなり薄いので、力任せに壊して入った。
すると、エルフの若い男がすっ飛んできた。
「貴様! 結界を壊したな! 敵か!」
エルフの美男子三名が、俺に弓を向けている。警備のエルフたちか?
「俺は城に住んでいる魔王だ。名前はなんだっけな? エルナ? 俺の名前ってなんだったけ?
「ディオール・ド・ラグラデ・グラストール・シェウマン・レイスティール。だよ」
実はリシャールに一度、俺の名前を聞いていたのだが、あまりに長くて覚えられなかった。エルナは俺の直系の孫なので、子供でも名前を憶えていたようだ。
「めんどくさいので略すが、俺はディオールだ! 魔王だから、村長に合わせて欲しい。きちんと土産もあると伝えてくれよ」
むちゃくちゃな言い分だが、俺は魔王だ。偉いはずだ! だから村長に会わせろ!
「なんだと? 魔王? 貴様、ウソも大概にしろよ。魔王はもうずっと昔に死んでいるはずだ」
「いや、死んでないよ。石化してたんだ。つい最近、石化から蘇ったんだ。だから、俺は魔王」
軽い口調で言ってやった。
「ふざけるな! 怪しい奴め! その娘も魔族だな! 捕まえてから尋問にかける!」
おいおい。中立の立場じゃないのかよ。捕まえるのかよ。
俺はめんどくさいので、魔力操作でエルフたちを黙らせる。まるで念動力のように、エルフたちの動きを封じる。
「か、体が動かん!」
「なんだこれは!」
エルフたちが騒いでいる。
「これは魔力か!? こんなにも高密度な魔力操作を!?」
魔力は空気のようなものだ。それ単体では大きな力は扱えない。魔力に属性をかけてようやく炎や水になる。魔力だけでは相手を拘束するのは難しい。空気で相手を倒すようなものだからな。
だけど俺は違う。空気のような魔力ですら、自分の四肢のように操れる。
「貴様! この魔力量はなんだ! 貴様は一体何者だ!」
「だから魔王だって言ってるでしょ」
エルナが俺の肩の上でプンプン怒っている。
「エルナ、どうしたらいい?」
「村長探しに行こう?」
エルナは村長を探した方が早いという。確かにそうだな。こいつらでは話が進まん。俺は魔力で拘束したまま、近くにあった植物の蔦でエルフをグルグル巻きにした。
「貴様! こんなことをしてタダでは済まんぞ!」
「別に戦争史にきたわけじゃない。その逆だ。お前たちでは埒があかんのでな。それじゃぁな」
俺は村にズカズカと侵入すると、村長を探し始めた。
村の中には木で出来たロッジがいくつもあり、それなりに建築技術があるようだ。かなりしっかりとした建物が建っている。
時折りエプロンをしたエルフと出会うが、俺を見ると全員叫んで逃げた。
よそ者が珍しいのか、魔族が怖いのか。よく分からんが、俺を見ると全員逃げていく。
「ずいぶん男が少ないな」
俺はエルナと一緒に村を見て回っていると、一人の老人が声をかけてきた。
「侵入者とは、あなたですかな?」
「侵入者ではない。客だ。間違えるな」
俺は振り返ると、老人に言ってやった。かなり身なりがいい。もしかしてこいつが村長か?
「そうでしたか。これは失礼しました。若い衆が勇み足で行ったのですが、なにやら返り討ちにあったと聞きましてな。あなたを探してみると、この広場にいると聞いたもので」
「そうだ。村長の家はどこにある? というか、あなたが村長か? 話がしたい。食料が欲しくて、交渉したいことがある」
「ほうほう。我らの作物ですかな? 分かりました。村長の家へご案内しましょう」
なんだ? この老人が村長ではないのか?
「あんたが村長じゃないのか?」
「私は元村長です。今は娘に村長を譲りました。私はもう、400歳の年ですからな」
400歳だと。そんなに生きるのか。すげぇな。って、俺も数百歳だっけ?
「こちらです」
俺は元村長だという老人に案内され、村長の家に行った。
村の少し奥にあり、三階建ての、かなり大きなロッジだ。俺はそのまま村長の後ろをついていき、ロッジの扉を開けて中に入って行く。
エルナの手を引いて、いつでも守れるような態勢で中に入る。すると、ロッジの中には一人の女性が、飯を食っていた。
ガツガツと飯を食べている。食べているのは、とんかつか? 揚げ物系だな。
なんだこの女は。エルフか? すげぇ、アマゾネスみたいな女だ。筋肉質だし、こいつが村長? この老人の娘なのか? 本当に親子か?
それによく見ると、こいつ、裸だぞ。おっぱい丸出しだぞ。超巨乳だぞ。
「あ? 父さんおかえり。なに? 誰? そこの人」
アマゾネスが元村長に向かってしゃべっている。飯が口から飛んでいる。
老人は額に手を当てて、あちゃ~っという表情をしている。
「すみません。あれが私の娘でして。今は村長を任せているのですが。どうにもガサツに育ちまして。腕っぷしはこの村で一番なのですが」
「そうですか。とにかく服を着て、話をするように言って頂きたい。渡したい贈り物もありますので」
俺はニヤリと笑って、元村長の老人エルフに言ってやった。
「そうですか。我々も話がしたいと思っていました。今は人間たちと戦争に入ってしまいましたからな」
老人は、軽く戦争になったと言った。
なんだと。戦争? 人間たちとか?
これは面倒くさいことになりそうだな。
魔王になって目覚めて、自販機召喚して、民を助けて。
日本にいたころよりもずっと忙しい気がする。
こんなにも続くと、もはや夢とかゲームの世界を通り越してる。やはりこれは現実。日本での俺は何らかの理由で死んでる。もしくは植物状態か? 魂だけ抜け出て、この魔王様に宿っている。そうとしか思えん。
リアル感も半端ないし、これは現実だ。
俺はもう諦めた。
日本には帰ることは出来ないと、諦めた。
諦めてからの俺は、行動が早かった。
外に出たいのだ。城の外に行って、世界がどうなっているのか確認したい。
というのは建前で、本当は自販機のジャンクフードに飽きた。
森を開拓して畑を耕してもいいが、まだ人間に見つかるのは避けたい。ならばばれないように、どこかの村と交易した方がいい。
リシャール曰く、近くにエルフの村があるという。
エルフは中立の立場で、俺たちには不干渉という事だが、最近は人間たちに戦争を吹っ掛けられているようだ。中立の立場を維持出来なくなってきているらしい。
俺たちのことも、エルフはこの城に避難していると知っているが、黙認してくれている。中立の立場だかららしい。
こうなったら、エルフを懐柔する。俺たちの力を見せて、いざという時に人間から守る。その代わりに食材をもらう。もちろん、自販機の商品で物々交換してもいい。
城近くのエルフ村は、小さな集落らしい。それでも家畜もいるし、畑もある。武器屋や道具屋もあるとのことだ。さらに言うと、エルフは農耕民族らしく、農業に詳しい。
難民となった魔族の民たちは子供や女が多い。生き残っている老人たちも、技術職ばかり。農耕には詳しくない、
俺は思った。民の食を満たすには、まず農業だ。
エルフ村は、この城から歩いて一時間位の距離にある。俺は遠いと思ったが、リシャールは近いという。自動車が走っている日本では、考えられない感覚だ。
ヘイタクシー! 俺は森に向かって叫びたくなる。
エルフと交渉することに難色を示したリシャールだが、俺が強く言ったので渋々折れた。
「では、私が行ってきますので魔王様はここでお待ちください」
「は? リシャールが行くだと? ふざけるのはよしてくれ。私が行こう。同盟を結ぶのに、一番上の者が行かなくてどうする」
「なにをおっしゃっているのですか! それではこの城はどうするのですか!」
リシャールはなんだか騒ぎ出した。俺の魔王としての責任感を問うているようだ。
「だからですね! 魔王様は絶対にですね!」
リシャールはうるさい。まじめすぎるのはよくないぞ。民の命を預かっていると言っても、重荷に感じたらやっていけんぞ。もう少しシンプルに考えたまえ。
「リシャール。そんなにも魔王が大事なら、君が魔王代理ね」
「……は?」
「何か会った時、民と玉座を護るのはリシャール。君しかいない! 頼んだぞ!」
茫然と立ち尽くすリシャールの肩を、バシッと叩いた。今日から彼は魔王代理となった。拒否権はない。
城の留守は任せたぞ。リシャール魔王!
★★★
俺はエルナに案内役を頼んだ。
城の民はまだ兵士として訓練中だ。使い物にならない。銃器に関しては俺の方がまだ詳しいし、魔力操作でも敵を圧倒できる。
足手まといを増やすより、少数精鋭で行こう。
俺はエルナを肩車しながら、森の中をひたすら歩いた。
エルナには魔力操作の仕方を教えながら、森の中を一時間、歩きに歩いた。日本でもこんなに歩いたことはないくらい、歩いた。たった一時間と思うかもしれないが、森の中ではかなりきついのだ。道がないような、けもの道だし。
「あ! あれがエルフの集落だよ」
近くまで来ると、結界のようなものが見えた。魔力の防御結界らしい。かなり薄いので、力任せに壊して入った。
すると、エルフの若い男がすっ飛んできた。
「貴様! 結界を壊したな! 敵か!」
エルフの美男子三名が、俺に弓を向けている。警備のエルフたちか?
「俺は城に住んでいる魔王だ。名前はなんだっけな? エルナ? 俺の名前ってなんだったけ?
「ディオール・ド・ラグラデ・グラストール・シェウマン・レイスティール。だよ」
実はリシャールに一度、俺の名前を聞いていたのだが、あまりに長くて覚えられなかった。エルナは俺の直系の孫なので、子供でも名前を憶えていたようだ。
「めんどくさいので略すが、俺はディオールだ! 魔王だから、村長に合わせて欲しい。きちんと土産もあると伝えてくれよ」
むちゃくちゃな言い分だが、俺は魔王だ。偉いはずだ! だから村長に会わせろ!
「なんだと? 魔王? 貴様、ウソも大概にしろよ。魔王はもうずっと昔に死んでいるはずだ」
「いや、死んでないよ。石化してたんだ。つい最近、石化から蘇ったんだ。だから、俺は魔王」
軽い口調で言ってやった。
「ふざけるな! 怪しい奴め! その娘も魔族だな! 捕まえてから尋問にかける!」
おいおい。中立の立場じゃないのかよ。捕まえるのかよ。
俺はめんどくさいので、魔力操作でエルフたちを黙らせる。まるで念動力のように、エルフたちの動きを封じる。
「か、体が動かん!」
「なんだこれは!」
エルフたちが騒いでいる。
「これは魔力か!? こんなにも高密度な魔力操作を!?」
魔力は空気のようなものだ。それ単体では大きな力は扱えない。魔力に属性をかけてようやく炎や水になる。魔力だけでは相手を拘束するのは難しい。空気で相手を倒すようなものだからな。
だけど俺は違う。空気のような魔力ですら、自分の四肢のように操れる。
「貴様! この魔力量はなんだ! 貴様は一体何者だ!」
「だから魔王だって言ってるでしょ」
エルナが俺の肩の上でプンプン怒っている。
「エルナ、どうしたらいい?」
「村長探しに行こう?」
エルナは村長を探した方が早いという。確かにそうだな。こいつらでは話が進まん。俺は魔力で拘束したまま、近くにあった植物の蔦でエルフをグルグル巻きにした。
「貴様! こんなことをしてタダでは済まんぞ!」
「別に戦争史にきたわけじゃない。その逆だ。お前たちでは埒があかんのでな。それじゃぁな」
俺は村にズカズカと侵入すると、村長を探し始めた。
村の中には木で出来たロッジがいくつもあり、それなりに建築技術があるようだ。かなりしっかりとした建物が建っている。
時折りエプロンをしたエルフと出会うが、俺を見ると全員叫んで逃げた。
よそ者が珍しいのか、魔族が怖いのか。よく分からんが、俺を見ると全員逃げていく。
「ずいぶん男が少ないな」
俺はエルナと一緒に村を見て回っていると、一人の老人が声をかけてきた。
「侵入者とは、あなたですかな?」
「侵入者ではない。客だ。間違えるな」
俺は振り返ると、老人に言ってやった。かなり身なりがいい。もしかしてこいつが村長か?
「そうでしたか。これは失礼しました。若い衆が勇み足で行ったのですが、なにやら返り討ちにあったと聞きましてな。あなたを探してみると、この広場にいると聞いたもので」
「そうだ。村長の家はどこにある? というか、あなたが村長か? 話がしたい。食料が欲しくて、交渉したいことがある」
「ほうほう。我らの作物ですかな? 分かりました。村長の家へご案内しましょう」
なんだ? この老人が村長ではないのか?
「あんたが村長じゃないのか?」
「私は元村長です。今は娘に村長を譲りました。私はもう、400歳の年ですからな」
400歳だと。そんなに生きるのか。すげぇな。って、俺も数百歳だっけ?
「こちらです」
俺は元村長だという老人に案内され、村長の家に行った。
村の少し奥にあり、三階建ての、かなり大きなロッジだ。俺はそのまま村長の後ろをついていき、ロッジの扉を開けて中に入って行く。
エルナの手を引いて、いつでも守れるような態勢で中に入る。すると、ロッジの中には一人の女性が、飯を食っていた。
ガツガツと飯を食べている。食べているのは、とんかつか? 揚げ物系だな。
なんだこの女は。エルフか? すげぇ、アマゾネスみたいな女だ。筋肉質だし、こいつが村長? この老人の娘なのか? 本当に親子か?
それによく見ると、こいつ、裸だぞ。おっぱい丸出しだぞ。超巨乳だぞ。
「あ? 父さんおかえり。なに? 誰? そこの人」
アマゾネスが元村長に向かってしゃべっている。飯が口から飛んでいる。
老人は額に手を当てて、あちゃ~っという表情をしている。
「すみません。あれが私の娘でして。今は村長を任せているのですが。どうにもガサツに育ちまして。腕っぷしはこの村で一番なのですが」
「そうですか。とにかく服を着て、話をするように言って頂きたい。渡したい贈り物もありますので」
俺はニヤリと笑って、元村長の老人エルフに言ってやった。
「そうですか。我々も話がしたいと思っていました。今は人間たちと戦争に入ってしまいましたからな」
老人は、軽く戦争になったと言った。
なんだと。戦争? 人間たちとか?
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