俺は自販機使いの魔王

無名

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ニホンジン魔王爆誕

魔王様、戦う準備を整える

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 俺は自販機をいろいろと利用した。

 食料、武器、弾薬。民を護る防護服まで自販機で購入した。

 一日で大量の商品を購入したが、俺の魔力は全然尽きない。並みの魔族の数千倍、いや、数万倍の魔力があるらしい。

 俺一人で魔族数万人分。これは神だと崇められるわけだ。桁違いの魔力を持ってれば、神同然。千年に一人の逸材だぞ。
 
 買った食材はすぐに民に分配した。清潔な水も購入して分け与える。この城では水の確保が大変だからな。森に囲まれていて、近くに川もないし。

 民には俺からの施しだと伝えると、魔王コールの嵐。さらに俺の信仰レベルが増した。

 こんなに尊敬されるのは初めてだ。逆に怖い。神風特攻隊のように、魔王の為なら死んでも悔いはないとか言いそうだ。

 俺が食糧事情を劇的に改善させ、ポーションで傷も治した。民たちは普通に働けるまでに回復したのである。

 リシャールに俺は聞いた。民は現在、何名いるのかと。

「城の地下にも民はいまして、全部で3000名近い民が避難しています」

 3000? デカい城ではあるが、そんなにいたのか?

 それに地下だと? 地下室もあったのか? もしかして牢屋みたいなところか?

 そんな場所にまで民がいたのか。

「魔王様、報告があります。信じられない報告なのですが」

「なんだ。言ってみなさい」

 俺は会社の部下みたいに、リシャールに聞いた。

「魔王様が大量に購入されたポーションの自販機があります。その自販機の周辺が魔力で満たされ、建築物が修復されています」

 俺は耳を疑った。

 自販機周りの建築物が修復? なに?

「どういうことだ?」

「見た方が早いかと。こちらです」

 俺はリシャールに案内され、ポーションが売っている自販機前に来た。このポーション自販機は、俺が知る限りここだけだ。円卓会議室の近くの通路だ。

 ポーション自販機に来て見ると、リシャールの言っていることが分かった。

 崩れかけていた城が、いきなり修復されている。新築みたいに。自販機の周りだけ。

 空いた穴がふさがり、ひび割れた窓が治り、天井に吊るされたシャンデリアまで治っている。

「私が思うに、この自販機。吸い取った魔力を、周囲に還元しているようです。なんらかの方法で、壊れかけた城を修復している模様です」

 なんと。吸い取った魔力は俺に還元するのではないらしい。俺が生み出したが、俺に魔力を戻すわけではない。周囲の環境を修復する力を持っているようだ。

「何のために、こんなことをするのか分かりませんが、城が修復されるのなら願ってもないこと。人間たちとの戦いに備えることが出来ます。いずれこの城も発見される。その時の戦いは用意しておかないと」

「うむ。そうだな。分かった。リシャールよ、3000人いるという民だが、使えそうな奴はいるか?」

「戦闘が出来そうなものなら、すでに選抜しています」

 さすがリシャール。前魔王の右腕は伊達ではない。3000人もいるのに、もう選抜したか。

「わかった。非常に助かるが、実は別にやってもらいたいことがある。玉座に、3000の民を集めてくれ。自販機の前に、一列に整列させてくれないか?」 

「3000人、全部ですか? 自販機の前に?」

「一気にとは言わん。100人ずつに分けて、自販機の前に整列させてくれ。自販機の商品を買える奴を探したい」

 リシャールは俺の言葉に即理解した。

 自販機の商品を買える魔力を持った、民を探す。これは大切なことだ。

「そうですね。私よりも魔力を持った人材がいるでしょう。私は魔石や魔剣に頼った魔剣士ですから、もともと魔力が低かったのかもしれません」

 そうか、リシャールは魔剣士か。肉体派なわけだな?

「頼む。一日でやれとは言わん。俺もその場に同席して、民が魔力切れで死なないようにしなければいかんからな」

「かしこまりました。では、一時間後に民を用意します。玉座の間でお待ちください」

 俺は分かったと言って、リシャールに仕事を任せた。

 そういえば、エルナだが、彼女は自分で購入した水や食べ物を子供たちに配っていた。とんでもない偉い五歳児だ。俺は死んでもエルナを守らなければならない。本当は赤の他人だが、今俺は魔王。何とかして幸せにしたいところだ。


★★★


 リシャールに言って、民の選抜が始まった。魔力測定試験みたいなものだ。

 この世界には魔力量を計る機械はないとのことだ。もし測定するのなら、空の魔石に魔力を込めて、どれだけ魔力が入ったかで数値化するらしい。魔石何個分とか、かなりアバウトで。

 現在、魔石は高価なのでそんなことはしていないようだ。新しい鉱脈がみつかれば別だが、現在は魔石は貴重品らしい。

 さて、自販機で商品購入が始まった。老若男女、差別をまったくしないで、商品を買わせる。

 買わせるのは水のペットボトル。これが基本ベースの魔力となる。何本買えるかで魔力を計る。

 ちなみに、500ミリの水で魔力10だった。リシャールなら水を3本買える計算となる。

 俺はこの水を10本買える民を探したかった。10本も買えれば、それだけでそいつは使える奴となる。水が毎日5リットルも手に入るのだからな。

 魔力が供給されれば、自販機のおかげで城も修理されるし。

 俺は3000人の民に水を買わせた。買わせまくった。数日がかりの大規模プロジェクトだったが、なんとか終わった。

 選抜した中で、ダントツの一位がいる。

 エルナだ。

 彼女はまだ5歳にもかかわらず、水のペットボトルを100本近く買いやがった。俺の孫だか何だか知らんが、とんでもない魔力量だ。彼女が成長すれば、次代の魔王として崇められるだろう。

「さすが魔王様の血を引くお方。エルナ様もやはり魔王の資格を持っている」

 リシャールはエルナも崇拝しだした。

 俺はリシャールに、あまりエルナを甘やかさないように言っておいた。ろくな大人に育たんぞ。

 まぁ、俺は甘やかすけどね。やっぱ可愛いし。

 3000人いた中で、使える民は200人近くに上った。実は結構魔力を持った奴がいたのだ。

 俺は彼らを“魔術師”として迎え入れた。自販機で売っていた初心者用の魔術書を渡し、勉強してもらうのだ。もちろん、俺も勉強している。さすがに魔術までは記憶に残っていなかった。

 選抜した民は若い者が多い。もともと3000の民に老人が少ないこともあって、子供が多く選抜された。

 この200人が成長し、さらなる魔力を得たら、倍々ゲームだ。俺たちの陣営はねずみ講式で膨らんでいく。

 食料も改善され、衣類も俺が購入した。水も大量に手に入り、彼らは清潔な状態を保てるようになった。

 最後は武具だ。

 これはエルナと俺くらいしか調達できないので、エルナには毎日ボウガンを一つ買うように言いつけた。自販機にコンパウンドボウが売っていたので、それを買わせるのだ。

 エルナは元気に「おじいちゃん! 分かった!」と言っていた。俺は爺ではないと言いたかったが、実際にエルナの祖父なので仕方ない。

 あとは毎日俺がAKライフルを100丁近く買いまくった。もちろんそれ以外にも食料を買いまくっている。

 自販機からは俺と民から魔力が供給され、城が劇的に改善していく。かつての魔王城が蘇っていく。

 リシャールは俺の絶大な力と民の結束力に、涙を流して喜んだ。いずれこの城が魔王城として復活する日も近い。そうなれば、魔王軍は再起をかけられる。

「苦汁を舐めた100年。ようやく我らに希望の光が。必ずや皆の仇を討つぞ」

 リシャールはいつでも使えるように、魔剣のメンテナンスを欠かせなかった。 

  

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