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2 農民娘のナルセウス
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「貴様の名前は今日からナルセウスだ。よいな?」
「はい、ペルセウス将軍」
美しく整った顔立ちの少年、ナルセウスは、跪いて頭を下げた。
ここは帝都から少し離れた教会だ。ここには将軍の息のかかった者たちが潜伏している。
「今日からは貴様は皇帝ティニアス様の従騎士となる。情報が漏れることに対して不安があったので、今まで誰にも伝えておらんが、従騎士の配属は私が指揮を取っているので問題ない」
「はっ」
ペルセウスは跪いたまま返事をする。
「良いか。貴様は性器を切り取り、去勢した騎士ということになっている。いわゆる宦官(かんがん)というやつだ。庶民から騎士に出世するにはこれしかなかった」
他にも難関試験があったり、兵士から出世することもできるが、手っ取り早いのが宦官制度だった。
宦官は男性がなるもので、性器を切り取り去勢した者たちだ。彼らは王の身の回りの世話をする。
「はい。ですが、よいのでしょうか? 私は男ではありませんよ。女です。去勢もしていません」
「知っている。貴様のその中性的な美しい顔立ちで、宦官制度を使うのだ。言ってはなんだが、貴様には胸もない。皇帝には最悪ばれても良いが、他の者には感づかれるな」
「胸がない? はぁそれはそうですが」
ナルセウスは男ではない。女だ。ただ、胸は絶壁だった。
「残念なことに、貴様の戦闘力はドラゴンを上回る。ただの農民娘がだ! これはありえんことだ。まさか勇者が女に生まれてくるとは思いもしなかった。貴様をこのまま農民にさせておくわけにはいかん。せっかく見つけた黄金を、そのまま腐らせることはさせん」
「はぁ」
ナルセウスは話が長くなってきたので、面倒くさそうに頷いた。
「良いか。貴様はナルセウスと名乗り、皇帝の寵愛を受けよ」
「寵愛? それはティニアス殿下に抱かれろということですか?」
「抱かれるのがいやならば、好かれるように努力しろ。といっても、女を知らんティニアス様だ。絶世の美女ともいえる貴様なら、簡単に籠絡できるだろう」
「そうですかねぇ」
「ティニアス様は母性に飢えている。男だろうと優しくされれば好意を持ってくれる。多分だが、貴様が猫撫で声で毎日近づけば、すぐに堕ちるだろう」
「そんなのが皇帝で大丈夫なんですか?」
「だから私が皇帝をお支えしている! これは前皇との約束だ! 絶対にティニアス様を最高の皇帝にする!」
ナルセウスは「はぁ」とだけ頷き、跪いてしびれた足を揉んでいた。
「頼むぞナルセウス!」
「了解ッス」
ナルセウスは軽い口調で答える。
「なんだその言葉づかいは! 語尾に「ッス」と付けるなと言っただろう!」
「すまんッス」
「ふざけるなよナルセウス!」
「へい」
ナルセウスは返事の仕方もうまくできない。
「へいではない! はいだ! 農村の出身というのがばれたらどうする! 貴様は貴族出身ということになっている!」
「そうですか。わかったッスよ」
「…………」
将軍ペルセウスは返す言葉がない。本当にこの娘で大丈夫なのだろうか?
ナルセウスは槍使いだ。そして魔法まで使える。誰にも教えられていないのに使いこなす。そしてこの美しい顔とプロボーション。胸が無いのが残念だが、今回に限ってはない方が良い。
男装などさせず、ドレスでも着せれば女神のような女だが、口を開けば下卑た言葉を使う。
とても貴族出身の娘とは思えない。
「大丈夫です。何とかなりますって。それに僕はティニアス殿下のこと、ハンサムで気に入ってますし。喜んで子供を産みますよ」
「……子供は産むな。面倒になる。頼むから、最初のうちはおとなしくしていろ。頃合いを見て、殿下に接近するのだ」
「へい」
その返事に、将軍は頭を抱えた。
そして数日後の朝。
皇帝のベッドに忍び込み、ティニアスの足をベロベロ舐めて、ナルセウスは警備兵にとっ捕まるのだった。
「はい、ペルセウス将軍」
美しく整った顔立ちの少年、ナルセウスは、跪いて頭を下げた。
ここは帝都から少し離れた教会だ。ここには将軍の息のかかった者たちが潜伏している。
「今日からは貴様は皇帝ティニアス様の従騎士となる。情報が漏れることに対して不安があったので、今まで誰にも伝えておらんが、従騎士の配属は私が指揮を取っているので問題ない」
「はっ」
ペルセウスは跪いたまま返事をする。
「良いか。貴様は性器を切り取り、去勢した騎士ということになっている。いわゆる宦官(かんがん)というやつだ。庶民から騎士に出世するにはこれしかなかった」
他にも難関試験があったり、兵士から出世することもできるが、手っ取り早いのが宦官制度だった。
宦官は男性がなるもので、性器を切り取り去勢した者たちだ。彼らは王の身の回りの世話をする。
「はい。ですが、よいのでしょうか? 私は男ではありませんよ。女です。去勢もしていません」
「知っている。貴様のその中性的な美しい顔立ちで、宦官制度を使うのだ。言ってはなんだが、貴様には胸もない。皇帝には最悪ばれても良いが、他の者には感づかれるな」
「胸がない? はぁそれはそうですが」
ナルセウスは男ではない。女だ。ただ、胸は絶壁だった。
「残念なことに、貴様の戦闘力はドラゴンを上回る。ただの農民娘がだ! これはありえんことだ。まさか勇者が女に生まれてくるとは思いもしなかった。貴様をこのまま農民にさせておくわけにはいかん。せっかく見つけた黄金を、そのまま腐らせることはさせん」
「はぁ」
ナルセウスは話が長くなってきたので、面倒くさそうに頷いた。
「良いか。貴様はナルセウスと名乗り、皇帝の寵愛を受けよ」
「寵愛? それはティニアス殿下に抱かれろということですか?」
「抱かれるのがいやならば、好かれるように努力しろ。といっても、女を知らんティニアス様だ。絶世の美女ともいえる貴様なら、簡単に籠絡できるだろう」
「そうですかねぇ」
「ティニアス様は母性に飢えている。男だろうと優しくされれば好意を持ってくれる。多分だが、貴様が猫撫で声で毎日近づけば、すぐに堕ちるだろう」
「そんなのが皇帝で大丈夫なんですか?」
「だから私が皇帝をお支えしている! これは前皇との約束だ! 絶対にティニアス様を最高の皇帝にする!」
ナルセウスは「はぁ」とだけ頷き、跪いてしびれた足を揉んでいた。
「頼むぞナルセウス!」
「了解ッス」
ナルセウスは軽い口調で答える。
「なんだその言葉づかいは! 語尾に「ッス」と付けるなと言っただろう!」
「すまんッス」
「ふざけるなよナルセウス!」
「へい」
ナルセウスは返事の仕方もうまくできない。
「へいではない! はいだ! 農村の出身というのがばれたらどうする! 貴様は貴族出身ということになっている!」
「そうですか。わかったッスよ」
「…………」
将軍ペルセウスは返す言葉がない。本当にこの娘で大丈夫なのだろうか?
ナルセウスは槍使いだ。そして魔法まで使える。誰にも教えられていないのに使いこなす。そしてこの美しい顔とプロボーション。胸が無いのが残念だが、今回に限ってはない方が良い。
男装などさせず、ドレスでも着せれば女神のような女だが、口を開けば下卑た言葉を使う。
とても貴族出身の娘とは思えない。
「大丈夫です。何とかなりますって。それに僕はティニアス殿下のこと、ハンサムで気に入ってますし。喜んで子供を産みますよ」
「……子供は産むな。面倒になる。頼むから、最初のうちはおとなしくしていろ。頃合いを見て、殿下に接近するのだ」
「へい」
その返事に、将軍は頭を抱えた。
そして数日後の朝。
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