10 / 12
10 突撃、隣の魔族集落! 道程編
しおりを挟む
私は現代の日本から転生している。インターネットが普及し、誰もがみんなスマホをもって歩いている時代から転生してきた。
私の死因はよく覚えていないが、自殺だった気がする。
いきなり重い話になるが、レイプされた記憶が鮮明に残っており、それが理由で自殺した記憶がある。友人からの裏切りによる、レイプ。転生する際に記憶があやふやになっている部分があるが、それだけは覚えている。
両親にも冷たくされていたのも記憶にあるし、私の前世はろくでもない状態だった。
生後半年で、日中の大半は寝てしまう私だが、前世の記憶は多少なりとも覚えているのだ。
「あぅぅ」
「ん? どうしたの? うんち?」
私は母に優しく言われ、首を横に振る。
「違うの? もう少しで着くからね? 我慢してね?」
母はとても優しい。日本で生きていた頃の母とは、比べ物にならない。
エレノアは女神のような微笑みを私にくれる。少し抜けているところがあるけど、私にとってはかけがえのない母だ。
今世は最初からハードモードだけど、大人になって魔法を自在に使えるようになれば何も怖くない。それまでは母と一緒に頑張る。優しいエルフの母と頑張るのだ!
◆◆◆
私は今、母に抱きかかえられ、森の中を歩いている。ダークエルフのララに連れられ、けもの道を歩いている。
大根たちは私たちの周りを守るように歩いているが、小石につまづいて転んだり、近くに生えている野草を食べまくっている。危険な魔物が出る森だというのに、緊張感が全くない。
私たちを守ってくれるのか本当に疑問だが、逆に彼らが死ぬのもそれはそれで嫌だ。私が勝手に生み出した魔物だし、私の命令で死ねというのも言いたくない。彼らはもう、仲間だ
「んげぇッんげぇ」
ロバが汚い鳴き声で鳴いた。
うーむ。こいつらは元衛兵だ。母をこき使っていた人間だ。ロバになって当然のクズだし、こいつらには同情の余地がないか。残念だけど、魔族の村でお別れだね。
ララに連れられてしばらく歩くこと一時間。母が息を切らして、休憩しましょうとララに言った時、問題は起きた。最悪のタイミングで、それは起きてしまった。
「魔物だ! エレファントタートルだ! 逃げろ!」
虫の居所が悪いのか、巨大な亀が木々をなぎ倒して突っ込んでくる。私たちを食べるつもりなのか?
「ララ! いつも狩ってるんじゃないの!? 倒してよ!」
「無茶いうな! 奴らを倒すには、罠を使うんだよ! 正面から戦える相手じゃない! 見ればわかるだろ! 地竜と同じくらい、デカいんだぞ!」
確かに、大きさはアフリカゾウ並みにデカい。それに背中には亀の甲羅を背負っている。ものすごい防御力のありそうな魔物だ。
「ちょ! ロバはどうするのよ! 一緒に逃げないと!」
「諦めろ! 何匹かは生き残るだろうから、あとで捕まえに来ればいい! 今は逃げるんだ!」
「えぇ!?」
ロバたちはその場で「んげぇんげぇ」鳴くだけで、逃げることもできない。足がすくんで動けないようだ。大根たちもどうしたらいいか分からず、大混乱だ。不思議な踊りを踊って、てんやわんやな状態だ。やはり、巨大な魔物に対しては大根たちでは無理があった。
くそ。最悪の展開だ。母も疲れている。逃げ切るのは無理だ。ララも先頭のロバだけでも逃がそうと必死になっているし、なによりもう時間がない。エレファントタートルがこちらに突っ込んでくる。魔族の村に着く前に魔法は使いたくなかったが、仕方あるまい。
喰らえ! エレファントタートル! 我が魔法、レクリエイショ…………!?
ン?
「助けが必要か? お嬢ちゃんたち」
え? なに?
私が魔法を使おうとしたところで、空から肉の塊が降ってきた。
筋肉ダルマが地鳴りを響かせて、エレファントタートルと私たちの間に割って入ってきた。
その筋肉ダルマは、よく見ると私の知っている生物だった。
そう、彼こそは。
オークの戦士だった。
鼻をひくつかせ、ブヒブヒ言っていた。かっこいい登場が台無しであった。
私の死因はよく覚えていないが、自殺だった気がする。
いきなり重い話になるが、レイプされた記憶が鮮明に残っており、それが理由で自殺した記憶がある。友人からの裏切りによる、レイプ。転生する際に記憶があやふやになっている部分があるが、それだけは覚えている。
両親にも冷たくされていたのも記憶にあるし、私の前世はろくでもない状態だった。
生後半年で、日中の大半は寝てしまう私だが、前世の記憶は多少なりとも覚えているのだ。
「あぅぅ」
「ん? どうしたの? うんち?」
私は母に優しく言われ、首を横に振る。
「違うの? もう少しで着くからね? 我慢してね?」
母はとても優しい。日本で生きていた頃の母とは、比べ物にならない。
エレノアは女神のような微笑みを私にくれる。少し抜けているところがあるけど、私にとってはかけがえのない母だ。
今世は最初からハードモードだけど、大人になって魔法を自在に使えるようになれば何も怖くない。それまでは母と一緒に頑張る。優しいエルフの母と頑張るのだ!
◆◆◆
私は今、母に抱きかかえられ、森の中を歩いている。ダークエルフのララに連れられ、けもの道を歩いている。
大根たちは私たちの周りを守るように歩いているが、小石につまづいて転んだり、近くに生えている野草を食べまくっている。危険な魔物が出る森だというのに、緊張感が全くない。
私たちを守ってくれるのか本当に疑問だが、逆に彼らが死ぬのもそれはそれで嫌だ。私が勝手に生み出した魔物だし、私の命令で死ねというのも言いたくない。彼らはもう、仲間だ
「んげぇッんげぇ」
ロバが汚い鳴き声で鳴いた。
うーむ。こいつらは元衛兵だ。母をこき使っていた人間だ。ロバになって当然のクズだし、こいつらには同情の余地がないか。残念だけど、魔族の村でお別れだね。
ララに連れられてしばらく歩くこと一時間。母が息を切らして、休憩しましょうとララに言った時、問題は起きた。最悪のタイミングで、それは起きてしまった。
「魔物だ! エレファントタートルだ! 逃げろ!」
虫の居所が悪いのか、巨大な亀が木々をなぎ倒して突っ込んでくる。私たちを食べるつもりなのか?
「ララ! いつも狩ってるんじゃないの!? 倒してよ!」
「無茶いうな! 奴らを倒すには、罠を使うんだよ! 正面から戦える相手じゃない! 見ればわかるだろ! 地竜と同じくらい、デカいんだぞ!」
確かに、大きさはアフリカゾウ並みにデカい。それに背中には亀の甲羅を背負っている。ものすごい防御力のありそうな魔物だ。
「ちょ! ロバはどうするのよ! 一緒に逃げないと!」
「諦めろ! 何匹かは生き残るだろうから、あとで捕まえに来ればいい! 今は逃げるんだ!」
「えぇ!?」
ロバたちはその場で「んげぇんげぇ」鳴くだけで、逃げることもできない。足がすくんで動けないようだ。大根たちもどうしたらいいか分からず、大混乱だ。不思議な踊りを踊って、てんやわんやな状態だ。やはり、巨大な魔物に対しては大根たちでは無理があった。
くそ。最悪の展開だ。母も疲れている。逃げ切るのは無理だ。ララも先頭のロバだけでも逃がそうと必死になっているし、なによりもう時間がない。エレファントタートルがこちらに突っ込んでくる。魔族の村に着く前に魔法は使いたくなかったが、仕方あるまい。
喰らえ! エレファントタートル! 我が魔法、レクリエイショ…………!?
ン?
「助けが必要か? お嬢ちゃんたち」
え? なに?
私が魔法を使おうとしたところで、空から肉の塊が降ってきた。
筋肉ダルマが地鳴りを響かせて、エレファントタートルと私たちの間に割って入ってきた。
その筋肉ダルマは、よく見ると私の知っている生物だった。
そう、彼こそは。
オークの戦士だった。
鼻をひくつかせ、ブヒブヒ言っていた。かっこいい登場が台無しであった。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる