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2 生首は女王
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「貴様の名前は?」
「レオン」
「ふむ。妾の名前は、マリアドール・エッケルザック・レインフォードじゃ。レインフォード家の王女様じゃぞ」
そう言って、生首はふふんと鼻を鳴らした。テーブルに置かれた首だけで喋られると、すごく違和感がある。確かに見目麗しい容姿をしているが、首だけに可愛いと思えない。
しかし、ここまでのアンデッドは初めて見た。ものすごくレベルの高い、アンデッドだ。この俺が、手も足も出なかった。今もこうやって、奴の言うことを聞くしない状態だ。
「じゃぁ、これからはあんたをマリアドールと呼べばいいのか?」
「レオン。貴様の育ちが良くないのは分かるが、せめて様をつけよ。奴隷の分際で、言葉が過ぎるぞ」
「……分かったよ。じゃぁ、マリア様って呼ぶよ。これでいいだろ?」
「よし。許す。貴様の下卑た口調も、特別に許してやろう。どうだ? 妾は奴隷にも優しいじゃろ?」
そう言って、また鼻を鳴らすマリア様。とんでもない生首である。なぜ俺を殺さないのかは不明だが、奴隷になってしまった以上、あきらめた。俺の人生、すべてあきらめた。
「で? 俺は何をすればいいんだ? あんたの命令に逆らえない以上、もうどうにでもしてくれ」
俺の左腕には、青色に光る奴隷紋がある。奴に逆らおうにも、念じられるだけで俺は動けなくなる。言葉すら必要なく、俺は生首のいいなりだ。
「いろいろと聞きたいことがあるが、まずは食事じゃ。魔力が足りん」
食事と聞いて、嫌な予感がする。人間を食うつもりか?
「人間の肉を食うのか? それとも魂か?」
「人間の肉? そんなもの食えるか。脂の乗った牛肉を用意せよ」
え? 何? 脂の乗った牛肉だと?
「牛肉? あんた……、いや、マリア様はアンデッドだろ? 人間の心臓や、魂とかを食うんじゃないのか?」
「人間の心臓は食わん。人間の魂は悪くないが、野菜などの栄養も必要だ。特に妾のようなアンデッドは、あらゆるものから魔力を吸収できる。魚や野菜の経口摂取は、とても吸収率が高い。すべて魔力に変換可能じゃ」
「そ、そうなのか」
すごく意外だ。人間を誘拐して来いと言われると思った。すごく怖いやつかと思ったが、話してみると普通だ。
「じゃぁ、少し待っててくれ。飯を作るから」
「む? レオンが料理するのかえ?」
「あぁ。料理は得意だ。なんだ? 俺の作る飯は嫌か?」
「嫌というわけではない。お前のような男が料理など、意外に思ったのじゃ。それと、片腕だけで料理は不便ではないか?」
マリアは俺の右腕が無いことに気付き、声をかけてきた。意外と俺を見ている。アンデッドのくせに。
「これは迷宮の罠で失った。再生魔法はすごく金がかかるから、今は治せないんだ」
「ふぅむ。そうかそうか」
マリアは何か考えている。考える生首など、聞いたことも無い。こいつは本当にアンデッドなのか。
俺はマリアをテーブルに残し、キッチンに移動。俺の家は少し特別な場所にあり、至る所に配管が走ってる。俺は天井にある配管のバルブを開くと、キッチンにあるコンロからガスが出た。魔法で火花を散らすとバーナーに火が付き、青い炎が勢いよく出る。
俺はその火を利用し、フライパンに油を引いて分厚い肉を焼くことにした。すでに下味をつけていつでも食べられるようにしていた、ワイバーンの肉だ。あいにく、ご所望の牛肉は切らしていた。だからワイバーン肉だ。
冷蔵庫からその肉を取り出すと、フライパンで焼く。焼いているうちに野菜を木の皿に盛りつけて黒糖パンを焼いた。
「一体、何の因果で生首の飯を作らにゃならんのだ。どうして、宝箱に生首が入っていたんだ」
俺は肉を焼きながらがっくりと肩を落とす。左腕にはまぎれもない奴隷紋が刻まれているので、もはや逃げることも死ぬことも出来ない。
「運が無かったな……」
俺は表面だけを焼いた肉を、ドカッと皿に乗せる。大きなワイバーンのステーキだ。俺の作った特製ソースもかかっていて、うまそうだ。そのままアンデッドのマリアの所まで飯を運ぶと、ようやく食事が始まるのだった。
「レオン」
「ふむ。妾の名前は、マリアドール・エッケルザック・レインフォードじゃ。レインフォード家の王女様じゃぞ」
そう言って、生首はふふんと鼻を鳴らした。テーブルに置かれた首だけで喋られると、すごく違和感がある。確かに見目麗しい容姿をしているが、首だけに可愛いと思えない。
しかし、ここまでのアンデッドは初めて見た。ものすごくレベルの高い、アンデッドだ。この俺が、手も足も出なかった。今もこうやって、奴の言うことを聞くしない状態だ。
「じゃぁ、これからはあんたをマリアドールと呼べばいいのか?」
「レオン。貴様の育ちが良くないのは分かるが、せめて様をつけよ。奴隷の分際で、言葉が過ぎるぞ」
「……分かったよ。じゃぁ、マリア様って呼ぶよ。これでいいだろ?」
「よし。許す。貴様の下卑た口調も、特別に許してやろう。どうだ? 妾は奴隷にも優しいじゃろ?」
そう言って、また鼻を鳴らすマリア様。とんでもない生首である。なぜ俺を殺さないのかは不明だが、奴隷になってしまった以上、あきらめた。俺の人生、すべてあきらめた。
「で? 俺は何をすればいいんだ? あんたの命令に逆らえない以上、もうどうにでもしてくれ」
俺の左腕には、青色に光る奴隷紋がある。奴に逆らおうにも、念じられるだけで俺は動けなくなる。言葉すら必要なく、俺は生首のいいなりだ。
「いろいろと聞きたいことがあるが、まずは食事じゃ。魔力が足りん」
食事と聞いて、嫌な予感がする。人間を食うつもりか?
「人間の肉を食うのか? それとも魂か?」
「人間の肉? そんなもの食えるか。脂の乗った牛肉を用意せよ」
え? 何? 脂の乗った牛肉だと?
「牛肉? あんた……、いや、マリア様はアンデッドだろ? 人間の心臓や、魂とかを食うんじゃないのか?」
「人間の心臓は食わん。人間の魂は悪くないが、野菜などの栄養も必要だ。特に妾のようなアンデッドは、あらゆるものから魔力を吸収できる。魚や野菜の経口摂取は、とても吸収率が高い。すべて魔力に変換可能じゃ」
「そ、そうなのか」
すごく意外だ。人間を誘拐して来いと言われると思った。すごく怖いやつかと思ったが、話してみると普通だ。
「じゃぁ、少し待っててくれ。飯を作るから」
「む? レオンが料理するのかえ?」
「あぁ。料理は得意だ。なんだ? 俺の作る飯は嫌か?」
「嫌というわけではない。お前のような男が料理など、意外に思ったのじゃ。それと、片腕だけで料理は不便ではないか?」
マリアは俺の右腕が無いことに気付き、声をかけてきた。意外と俺を見ている。アンデッドのくせに。
「これは迷宮の罠で失った。再生魔法はすごく金がかかるから、今は治せないんだ」
「ふぅむ。そうかそうか」
マリアは何か考えている。考える生首など、聞いたことも無い。こいつは本当にアンデッドなのか。
俺はマリアをテーブルに残し、キッチンに移動。俺の家は少し特別な場所にあり、至る所に配管が走ってる。俺は天井にある配管のバルブを開くと、キッチンにあるコンロからガスが出た。魔法で火花を散らすとバーナーに火が付き、青い炎が勢いよく出る。
俺はその火を利用し、フライパンに油を引いて分厚い肉を焼くことにした。すでに下味をつけていつでも食べられるようにしていた、ワイバーンの肉だ。あいにく、ご所望の牛肉は切らしていた。だからワイバーン肉だ。
冷蔵庫からその肉を取り出すと、フライパンで焼く。焼いているうちに野菜を木の皿に盛りつけて黒糖パンを焼いた。
「一体、何の因果で生首の飯を作らにゃならんのだ。どうして、宝箱に生首が入っていたんだ」
俺は肉を焼きながらがっくりと肩を落とす。左腕にはまぎれもない奴隷紋が刻まれているので、もはや逃げることも死ぬことも出来ない。
「運が無かったな……」
俺は表面だけを焼いた肉を、ドカッと皿に乗せる。大きなワイバーンのステーキだ。俺の作った特製ソースもかかっていて、うまそうだ。そのままアンデッドのマリアの所まで飯を運ぶと、ようやく食事が始まるのだった。
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