マリア様の奴隷

無名

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4 生首とお風呂

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 俺は浴槽に湯を溜めた。シャワーなどと言うものは無いので、浴槽の湯で体を洗い流す。

 用意が出来たのでマリアの所に行ってみると、こっくりこっくりと船を漕いでいた。飯を食べて眠くなったらしい。アンデッドなのに睡眠が必要とは、おかしなやつである。

 このまま永遠の眠りについてくれないかと思ったが、多分無理なので諦める。本来俺は誰かの命令をきく奴ではないが、この圧倒的レベル差の前では無意味だ。俺は言うことを聞くしかない。

「マリア様。風呂の用意が出来たぜ」

「むっ。そ、そうか。ならば妾の髪を洗え」

 マリアは眠りに落ちそうになりながら、俺に命令する。ヨダレを垂らしてウトウトしているので、まるで子供みたいだ。生首だけの女だが、一瞬無害なアンデッドだと感じてしまう。

 しかし、男の俺に初日から髪を洗わせるとは、何を考えているんだ? 生首だが、マリアは女ではないのだろうか? あまり男に抵抗はないのか?

「それでは、湯が目に入らないように、うまく洗うのだぞ」 

 尊大にそういって、マリアは目をつぶって動かなくなる。どうやら眠ったようだ。こいつは俺をまったく恐れていない。反抗されてもどうにでもなると思っているんだろう。

 このまま浴槽に叩き落として溺死させられないか考えたが、やめた。逆に殺されるのが落ちだ。俺は死んでもアンデッドにされてこき使われるので、まだ死にたくない。

 俺はマリアを落とさないように抱き上げ、風呂場に移動。抱き上げた時、ひんやりとした体温が俺の左手に伝わってくる。やはり、アンデッドなのは間違いない。

 脱衣所で頭のかんざしを取り外し、結われた髪をほどく。すると金色の髪がふわりと舞った。

 マリアは、髪が金色で長かった。少し髪の色がくすんでいるので、ほこりなどで汚れているようだ。

「これは洗うのが大変そうだぞ」

 耳に付けたピアスは簡単に取れそうにないので、悪いが今回はこのままにした。ウトウトしているし、気づかないだろう。

 俺は風呂場で裸になると、股間のイチモツ丸出しでマリアの髪を洗った。強く頭をこすると怒られそうなので、優しく、起こさないように洗う。

 洗っていて、思う。俺、何をしてるんだ? 俺って、凄腕の盗賊じゃなかったっけ? なんでメイドみたいなことをしているんだ?

 未だに自分のしていることが信じられない。宝箱を開けたら生首で、その生首の奴隷にされて、今は風呂場で髪を洗わされてる。一体何の冗談だ。

 びっくり箱かよ全く。

 俺は心の中で悪態をつく。マリアは俺に髪の毛を洗われて、気持ちよさそうに眠ってる。あまりに動かないので、本当に浴槽の中に叩き落とすかどうか悩んだが、左腕の奴隷紋が輝いて俺の心臓を締め付けてきた。

「ぐっ。主人への殺意まで読み取れるのか? なんて奴隷紋だ」

 心臓が止まりそうになるほど苦しいので、俺はマリアを殺すのをあきらめた。というか、奴はすでにアンデッドなので、死にはしない。聖魔法が使えなければ、結局倒せない。

「なんてことだ。不幸すぎる」

 その後、マリアの洗髪は、滞りなく終わった。


★★★


 マリアと一つ屋根の下、夜を明かした。俺のベッドに生首が寝ているのは、ゾッとする光景だった。

 そして朝になり、俺は再び飯を作り、目玉焼きをマリアに食わせていた。マリアは、朝からよく喰う女だった。

「うむ。貴様を妾の専属料理人にしてやろう。ただの奴隷から格上げじゃ」

 結局奴隷なのは変わりない。俺にとっては何の意味も無い称号だ。

「これから長い付き合いになるだろう。よろしく頼むぞ、レオン」

「……………はい。マリア様」

 俺は左腕の奴隷紋を見て、がっくりとうなだれた。

 











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