左半身でしか魔術を使えない異世界

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失われた記録

その二 決闘

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風が静かに鳴いている。
それはこれから起こる物事を予兆していたのかもしれない。
「来たな…人類最強の剣士■■■■■」

「ふっ…その名を聞くのも久しぶりだな…確かお前は…『閃光』アルフ・リッターだな?」

「俺を知っているのか…光栄だな」
アルフは静かにブレードを抜く。
妖精の心臓フェアリーハート
妖精種が鍛え上げたとされる世界屈指の名剣。
その刃は纏った魔力を強化するという。
「それが得物か…面白い剣だな」

「お前も抜け」

「俺はこれで十分だ」
■■■■■は、首に引っ掛けてある小刀をチラつかせる。
「…嘗めているのか?この俺を」

「お前などこれで十分だ。俺が本気を出すまでもない」

「後悔するなよ?」

「誰が」
その場からアルフが消えると、瞬時に眼前に現れ、縦に剣を振るうが…
「!?」

「甘い」
小刀で簡単に受け止められてしまう。
「クソ!!」
再びその場から消え、あらゆる方向から、目の前のこの男に勝つためだけに鍛え上げた剣技を放つ。
一発一発が方向、タイミング、全てが申し分ない。
しかしこの男には及ばない。
強い。初めて自分がそう思った。
これが歴然とした力の差。
「畜生ッ!何故当たらねぇ!」
大きく横に剣を振るおうとすると胸の部分に激痛が走る。
「ガハ…」
口から吐き出された赤い塊。
血だ。
胸の部分を見ると、小刀が突き刺さっていた。
「ゴホ…ゴホ…」

「終わりだな。その程度で俺に勝つなど笑わせるな」

「るせェ…」

「まぁ…せいぜい強くなれ」
…え?
今なんと言った?
「もっと強くなれ。そしてもう一度俺に挑戦してみせろ」
何故勝者である向こうから?
を申し出てきた?
「いつかまた会えるといいな…面白いよ」
あっという間に■■■■■は見えなくなった。
最後の発言は小声でよく聞き取れなかったが。
「再戦ね…」
つまりもう一度闘うこと。
でも…それは自分のポリシーに反する。
誇りが傷つく。
剣士としての誇りが。
負けは負けだ。結果は変わらない。
それに…






意識は途絶える。
でもまだ死ねない。
確かめる機会はもう二度と来ない。
それでも…アイツに負けないぐらい強くなる。
最年少でSSランク冒険者になったのだから。
それは名誉だ。祝ってくれた人のためにも…俺は…








四年後。
彼は誇りを取り戻す為に闘う。
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