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〚第二章〛〜名無し編〜

〚21話〛「暗闇」

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 僕は暗い部屋に居る。
 ろうそくの光が扉の隙間から洩れてくるだけでほとんど明かりがない牢屋のような部屋。
 
 「……」
 
 姉が心配しにたまに来るが紅葉を思い出すからやめて欲しい…。
 
 本当に…。
 
 …。
 
 
 
 
 ガチャッ
 
 扉が開かれメイドがいつものように鼻を覆いながら、臭いと言いながら入ってくる。
 
 「ちっ、まだ生きてのですか、ほら…餌ですよ」
 
 ビチャッと音を立てて上に居る家族たちの残飯が地面に落ち、それ見届けメイドが部屋を出ていく。
 
 「……」
 
 もう‥何も考えたくない、…誰も僕に関わらないで…。
 
 もう嫌だよ。
 転生なんていいから…もう終わりたい…、無になったらどんなに楽か…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「…ぁぁ」
 
 もしかしたら転生が嫌だ…そう思いながら死ねば…、使わなくなったものが置いてあるこの部屋なら、何か。
 
 近くにあった棚をあさってみる。
 手に何か冷たく硬いものが当たる。
 手で触って確かめてみるとフォークやスプーン、ナイフがあった。
 
 「ナイフ……使えるかも…」
 
 壁に寄り、ナイフを胸に当てる。
 
 確かこのまま壁に、勢いをつけて……。
 
 「えっと…入るよ」
 
 ガチャッ
 
 「あのさ…えっと………えっ…?なにやってるの!?止めて!!
 
 
 
 
 
 ―――………………………………死ぬ気…だったの…?」
 
 勢いよく来てナイフを取り上げられる。
 
 「お姉ちゃん…、…ほんとはね………あなたと一緒に普通の生活がしたいんだよ…!」
 
 お姉ちゃんが抱きしめてくる。
 
 「ねぇ…こんな家…私と出よ…?ね‥?おかしいんだよ…この家‥、ただ髪が白いだけでこんな…。」
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