不幸な少女の”日常”探し

榊原

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〚第二章〛〜名無し編〜

〚36話〛「ダンジョンへ」

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 「へぇ~…コレを買ってきたんだ」
 
 女が僕の長く伸びきった白髪をつまみ上げながら男に話しかける。
 
 「たった20銀貨だったんだぜ?」
 
 そう僕を買った男が答えた。
 
 僕は今、男について来て宿屋の一部屋にいる。
 そこには僕が付いていった男と、女が居た。
 
 「やっすいねぇ~…欠陥品じゃなかったの…?」
 
 「え?…ははは…なんか安かったし、ぱっと見手足があったからな」
 
 「ってか髪白いし…絶対なんかあるでしょ」
 
 「まあただの荷物持ち何だしよくねえか?」
 
 「まあ、そうだね」
 
 そう言って、僕に大きなリュックを渡してくる。
 
 「ってことだ、荷物持ち…」
 
 ドンッ
 
 いきなり蹴ってきた。
 
 「おい、返事!!」
 
 「…はい」
 
 リュックを持たされたがとても重い…。
 なんとか背負って見る。
 
 「って事で、まあ精々長持ちしてね」
 
 「じゃあ、予定通りダンジョンへ行くとすっか!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そういえば奴隷商ではご飯の時間かな?
 そんな事を考えながら男達について行くと、人が沢山いる洞窟のような所に着いた。
 
 周りの人たちはみんな武装していて、防具やポーチなどを身に着けていた。
 
 ここは街から少し離れた森の奥地にある洞窟――ダンジョンである。
 ダンジョンにある宝箱を求め、一騎当千を夢に見る冒険者が集まる所である。
 
 ダンジョンは地下へと伸びており、階層ごとになっている。
 
 10階層毎にボス階層があり、倒すと宝箱と次の階層がある部屋の扉が開くというものだった。
 
 そしてボスは下へ行くほど強くなり、宝箱の中身もより良い物へとなっていく。
 
 「おい、これで身を守れ」
 
 そう言って男から渡されたのはボロボロの短剣。
 
 持ち手まで、一つの鉄で出来ている安物のナイフだった。
 
 持ち手には、ボロい布が巻かれていた。
 所々凹んでいて、薄汚れていて、刃の部分がボロボロで刃こぼれをおこしていた。
 
 「そのナイフで俺を刺そうとして見ろ…二度と表に出られない身体にして奴隷商に売ってやるからな?って言っても俺のレベルは23、お前みたいなやつの攻撃なんて痛くも痒くもねえがな」
 
 「……」
 
 これで……死ねるだろうか?
 
 そんな事を頭が埋める。
 
 「そんな物に構ってないでさっさと行こうよ」
 
 「ん?ああ、悪い、行くか。」
 
 男は腰にある剣、女は太股にある短剣。
 
 それを使うのだろう。
 
 周りを見ると、大剣や細剣、杖や斧、みんな武器を持っていた。
 戦う相手は何だろうか。
 そんな疑問が頭に浮かぶ、が、男達がダンジョンへと進んでいったので僕もそれについていった。
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