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〚第三章〛〜家族編〜
〚44話〛「転生」
しおりを挟む本当に……僕は何も感じていなかったのだろうか。
本当は、僕は辛いと言うことを…悲しいということを…苦しいということを…感じたくなかった。
拒否していたのでは無いかと思う。
僕は馬小屋で死んだ。
冬の寒い日だった。
男達の性処理に夜遅くまでかかり、臭いと馬が可哀想と言った女将に水をかけられ、そのまま寝てしまったようだ。
寒かった…苦しかった…怖かった…でも、疲れが溜まっていたのだろうか、すぐに寝ていた。
目を開けると視界はぼやけて、焦点が合わず少し混乱したが、一度経験があったのだ、忘れる訳がない、僕は赤ちゃんに産まれてしまったのだと。
僕はもう生きたくない、痛いのも、辛いのも、苦しいのも、悲しいのも…怖いのももう嫌だ。
辛かった、悲しかった、苦しかった、痛かった…そんな思いが溢れる。
きっと他の人からみたら、赤ちゃんが泣いている、としか思わないだろう。
ただ…僕は一生分の悲しみを泣いていた。
乳児期はただただ淡々と日々が過ぎていった。
食べて…休んで…寝て…
そして僕は2歳になっていた。
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